知られてはいけない

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2024年7月7日成人向,短編,原作軸,連載中,カカサス小説オメガバース,自慰

告知

 アカデミーに入る前の日、父さんと母さんから三人で大切な話をすると言われて普段は入らない客間に呼ばれた。
 うちは一族は全員アルファだ、と信じてきた。けれど俺はオメガだとそのとき知らされて頭が真っ白になった。
 俺がオメガだとわかったとき、父さんは最初に母さんの浮気を疑ったようだが、その疑いはすぐに晴れて以降、いまだに父さんは母さんを疑ったことを謝っているらしい。
 よくよく調べてみたところによると、特殊変異なのかうちは一族にオメガが産まれることは稀にだがこれまでもあったらしく、オメガ特有のフェロモンを抑制する薬もうちは一族の中で独自に作られていたらしい。
 そして俺が毎朝飲まされてきたお茶の中に、その薬が入っていたことも知らされた。
 渡された巻物には、薬の調合に必要な材料、調合と抽出の仕方、そして年齢ごとに必要な一日の分量が書かれていた。
 アカデミーに入ってからは、自分で管理するようにしなさいと。そして、オメガであることは決して知られないよう、アルファと同等の能力を身につけるための努力をするようにと。
 

 なんだか最近は薬草を探す任務が多いな、と三人で話しながらどうにかノルマを達成して、カカシにまとめて手渡すと、カカシはそれを確認してから報告書を出しに行くから解散ね、と告げてその場から消えた。
 今日も出番はなかった。カバンに入っている薬を手で確かめてから家路につく。
 思春期、10歳を過ぎてからはいつ発情期が起きてもおかしくない。その兆候が感じられたら即座に普段の三倍量の薬を飲むこと。それが巻物に書いてあった発情期対策だった。
 10歳になって以降、毎日薬を持ち歩いているが今のところ出番はない。発情期の兆候は、急激な心拍数の増加、呼吸の乱れ、体熱感。少しでもこれは、と思う症状が現れたらすぐに薬を飲まなければ、特にアルファに対してはオメガのフェロモンを隠し切る事が出来ない。
 
 ここのところ任務続きで、薬の材料を集める時間がなかなか取れなかった。明日は非番のはずだから集めに行かなければならない。誰にもばれないように。
 ……こんな生活を続けていかなければならないなんて。……悔しいけど、ばれるわけにはいかないから、やるしかない。
 
 ため息をつきながらアパートの扉を開けると、そこには報告書を出しに行ったはずのカカシがいて、咄嗟に身構えた。
 家の中に入られた。カカシはいつからここに?何をしにここへ?何を見られた?あの巻物は押し入れの中だから見つかっていないはず。いや、冷蔵庫に作り置きの薬が入ったままだ。
「何の用だ、勝手に人の家に入るな。」
 警戒を緩めないまま尋ねると、カカシは右手に持っていた紙袋を俺に差し出す。この匂いは……薬の材料の薬草と同じ……?
「最近材料探す暇なかったでしょ。これ使いなさい。」
 心臓がドクンと跳ねる。
 こいつ、何を知っている?何故秘伝の薬の材料まで?
 胸に突きつけられた紙袋を手に取ると、カカシはちゃぶ台の傍らに座って「まあ、座りなさい」と隣の畳をポンポンと叩く。
 ゆっくりと靴を脱いでちゃぶ台の向かいに腰を下ろすと、カカシは頬杖をつきながら話し始めた。
「サスケがオメガだと知ってるのは俺と火影様だけだ、安心しろ。」
「どうしてそれを……」
「お前一日だけ、薬飲んでなかった日があったろ。知らなかっただろうと思うけど、事件の後卒業するまで、唯一の生き残りのお前を暗部が常に護衛していたのよ。その中の一人が俺。で、その日、お前からオメガの匂いを感じて不審に思って、部屋を調べさせてもらった。で、出てきたのが薬と巻物。」
 確かに、アカデミー時代に寝坊して慌てて飲むのを忘れた日が一日だけあった。そのたったの一日で……そんなにも前から、知られていたのか。
「あの巻物の中身は俺の頭に全部入ってる。最近の薬草集めの任務はサスケの薬を切らさないように他の薬草も混ぜてカモフラージュしながら集めてたわけだ。」
 これは、ありがたい、と思っていいのだろうか。手元の紙袋とカカシを交互に見る。
 普段と変わらないようでいて、カカシの目はいつになく真剣だった。
「で、ここからが本題ね。サスケがオメガだということは今までと同じように絶対に誰にも悟らせるな。これは火影様からの厳命。唯一生き残ったうちは一族ってだけでサスケは狙われやすい。それがオメガだと知られれば一層狙う輩は増える。オメガのうちはなんて利用法はいくらでもあるからな。」
 狙われる?確かにオメガというだけで不利ではあるが、うちはだと余計に……?どういう事だろう。
「ピンと来てない顔だね。例えば……そうだな、生涯子どもを産むための道具にされる。わかる?うちはの子はうちはだ。うちはが手元にいる、というだけで大幅に戦力を上げられるのよ。お前の一族は、そういう存在だ。」
 想像して、ゾクっとした。自分が子どもを産むなんて、考えたこともなかった。そんな対象として見られる可能性も考えた事がなかった。父さんが生きていた頃は、一族に守られながら生活してきたから、薬さえ飲んで努力を怠らなければそれでいいと思っていた。
 うちは一族が秘密裏に独自の抑制剤を作ったのは、そのリスクを避けるためだったんだ。オメガの存在が秘匿され続けてきたのは、そういう事だったんだ。
「で、サスケはまだ発情期になったことはなさそうだけど、今後いつどのタイミングで来るかわからない。その対策薬は持ち歩いてるみたいだけど……例えば戦闘中に発情期が来たらどうする?薬なんか飲んでる暇はないよ。」
 それは自分でも悩んでいたところだった。今は戦闘になるような任務はしていないけれど、忍として生きていくのであれば戦いは避けて通る事が出来ない。戦闘になりそうな時はあらかじめ薬を飲んでおく?でもそんな暇もないほど突然襲われる可能性だってある。カカシの言うように、俺は唯一生き残ったうちは一族だから。
「解決法がひとつだけある。無理矢理ヒート状態にする薬を飲んで発情期を引き起こすんだ。もちろん誰にも知られない場所で、かつ俺の監視下でね。その後は周期的に発情期が来るようになるから、もうすぐだな、ってタイミングで毎日あらかじめ対策薬を飲むようにしていけばいい。あとは慣れだな。オメガの忍は皆大体この対策をとってる。」
 オメガの忍は皆……。
 つまりそのやり方はちゃんと前例があって、そして有効性が十分ある方法ということか。
 無理矢理ヒート状態にする薬……一体自分の身体はどうなってしまうんだろう。いや、遅かれ早かれいずれ経験する事になるのだから、カカシの管理下の方が安心できる。
「話は、わかった。それで、いつどこでそれをやるんだ。」
「うん、話が早くていいね。善は急げだ。明日早朝に迎えに来る。場所は言えない。木の葉の重要施設のひとつでね。移動中サスケには幻術で眠っていてもらう。」

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