恋人未満

28 View

2025年3月7日成人向,中編,現代パロ,連載中,カカサス小説エロ,やおい,自慰

いい人だと思ってたのに

 大学に入って少し落ち着いてから、夜コンビニでバイトをすることにした。夕食を買いにくる人を二人で捌いたあとは、ワンオペになる。ぽつぽつと時折人が来る、程度でレジが暇な時間があって、そのタイミングで品出しや前出しをしたりする。そういう時間に決まって買いにくるお客さんがいる。品出しする俺の背中をちょんちょんとつついて、「レジいい?」と聞いてくる背が高くて銀髪の男の人。
 レジに戻って会計をすると夕食なんだろうな、というものを買っている。自炊しないんだろうな。こんな夜遅くまで毎日仕事なんだろうか。そう思いながら、袋詰めを終えて差し出すと、「ありがとね」と言って店から出ていく。
 コンビニのレジで「ありがとう」と言われることはほとんどないから、印象に残って、今日もあの人来るのかなと思いながら前出ししていると、背中をちょんちょんとつつかれる。
 そんな日が続いて、他にあまりお客さんがいないこともあって、その人と時々ちょっとした世間話をするようになった。
 名前はカカシというらしい。俺の名前は名札に書いてあるけど、下の名前教えてよと言われて俺もサスケと名乗った。
 それからカカシは俺のことをサスケ、と呼ぶようになった。「カカシさんは……」と言ったら「〝さん〟はいらないよ」と笑ったから、それからは「カカシ」と呼ぶようになった。
 弁当のほかに時々ゴムを買っているから、きっと彼女とかいるんだろうなと思ったり、エナドリを買ってる日は疲れてるのかなと思ったり、急に雨が降ってきて傘を買いに来たときは、忘れ物のビニル傘あるんでそれ使ってくださいと声をかけたり、俺はカカシのことをただのお客さんではなく、ひとりの人として見るようになって、少しずつお互いのことを知りながら、ちょっと不思議な関係を築いていった。そしていつしか、バイトでカカシに会うのが楽しみになっていった。

 そんなある日、珍しくカカシが来なかったなと、夜勤者に申し送りをしていたら、そのタイミングでカカシが店に入ってきて、夜勤者がレジをした。バックヤードでエプロンを脱いでいるとに「うちは君は?」とカカシが言ったのが聞こえて、夜勤者が「もう上がりました」と答えると、「そう」とだけ言って、いつも俺に言う「ありがとね」を言わずにカカシは店を出ていった。
 カバンを背負って「お先に失礼します」とカウンターにいる夜勤者に挨拶をしてから店を出ると、店の軒先で俺を待っていたかのようにカカシが立っていた。
「22時までなんだね、シフト。」
「今日はずいぶん遅かったんですね。」
 もしかして俺を待っていてくれたんだろうか? 帰る方向を聞かれて指をさすと、「俺もこっちだ」と連れ立って歩き始めた。
「この辺の大学だと、K大?」
「はい、社会学部です。」
「あれ、なら俺の後輩だ。俺もK大の社会学だったよ。猿飛教授ってまだいる?」
「います、今まさに猿飛教授の課題のレポートをやっていて……。」
「あの教授の課題の出し方、ちょっと意地悪だよね。」
「そうなんですよね、抽象的というか、どんな回答が求められているのかよくわからない課題が多くて。」
 そんなことを話しながら交差点で信号待ちをしていると、カカシが俺の方を見る。
「……よかったら俺見てやろうか? 猿飛教授の攻略法教えてあげるよ。」
「いや、こんな夜遅くに悪いです。」
「気にしなくていいよ、俺寝るのいつも0時過ぎだし。ちょっと上がっていきな。」
 毎回猿飛教授の課題に苦戦していたから、攻略法と言われると魅力的だった。ただ、気にしなくていいと言われても部屋にまで上がらせてもらうのは気が引ける。
「好意はありがたく受け取っておきな、俺も誘ったのに断られるのちょっと残念だからさ。」
 そこまで言われて断るのもどうかと思い、俺はカカシの家にお邪魔することにした。
 
 1DKの部屋はリビングが広くてベッドの前にローテーブルがあった。あまり生活感はなく、多分帰って寝るだけの場所なんだろうと想像する。彼女がいるんだろうと思っていたけど女の人の気配は感じられない部屋だった。
 買った弁当をレンジに入れてから室内に干してあったワイシャツと下着をクローゼットにしまって、ローテーブルの傍に座る俺が課題のレポート用紙を出すと、カカシはそれを手に取って眺める。
「俺も同じ課題やったよ、懐かしいなあ。これはね……」
 肩と肩がくっつきそうなくらい隣に来て、カカシは課題について説明をする。俺はこの状況に少しドキドキしていた。
(距離、近くないか……?)
 レンジが電子音を鳴らして、ちょっと待ってねとカカシが立ち上がってキッチンに向かい、弁当を持って戻ってくる。ビニールの包装を破って割り箸を取り出すと、ゴミをレジ袋の中に入れてまた少し説明をしてくれたあと、ちょっと書いてみなと言われて、カカシの攻略法を元にレポート用紙にシャープペンシルを走らせた。
 弁当を食べ終わったカカシがまた距離を詰めて俺のレポートを読み始める。
「うん、こんな感じ。筋いいね、頭いい方?」
「一応、高校では学年三位以内だった。」
 教えてもらったことだし、お暇しようとレポート用紙を片付けていたら、カカシから声がかかる。
「もう遅いし、うち泊まって行ったら?」
「それはさすがに悪いです、家もそんなに遠くないですし。」
「気にしなくていいよ、朝7時までに起きてくれたら良いから。」
 また気にしなくて良いと言われて、好意だから受け取るべきなんだろうかと考えて、まあ、カカシだしいいか、と結論付けた。
「じゃあ……お言葉に甘えて、布団お借りします。」
 自分でそう言ったはいいが、よく見たらベッドはシングルだし、客用の布団があるようにも見えない。ということは、このシングルベッドで二人寝るということだろうか? いや、床で布団借りて寝る感じだろう、多分。と思ったけれど、予備の布団もないようで、シングルベッドでふたり一緒に寝る……らしい。
「俺邪魔になると思うんで、やっぱり帰ります。」
「良いって、気にしないで。こんな時間にひとりで外出たら危ないし。」
 女ならまだしも、一応学生で男なんだから大丈夫だと言ってはみたけど、いいからいいから、とカカシは俺の腕を引いてベッドに座らされる。シャワーも浴びてないのに、このまま? まあ、着替えとかもないんだけど。
 いいから、と言うカカシの押しに負けて、結局今日は泊まることになった。カカシは朝シャワーを浴びるらしく、ワイシャツを洗濯機に入れて寝間着に着替えると、俺に部屋着を渡す。
 ジーンズで寝るのも何だし、その好意を受け取ってカカシの部屋着に着替えて、一緒に布団に入った。
 枕元のリモコンで部屋の照明を消すと、カカシは俺の方を向いておやすみとさっさと寝に入る。俺は何となくカカシに背を向けて、おやすみ、と寝ることにした。
 
 ……何だろう、変な感じがする……。
 お尻のあたりが痺れるような……でも気持ちいい……。
 何か湿った音がする……何の音……?
 あ……気持ちいい……あれ、なんで……?
 お尻の感覚で、頭が覚醒していく。何かがお尻の中に入ってグチュグチュと音を立てながら出入りしている。
 何だ? どこだここ。あー……そうだ、カカシのベッド。お尻のこれは何だ。
「っ、はぁっ、カカ、シ? っく、なに、なにして、」
 この感触、指、指だ。中に指を入れられているんだ。カカシの指? どうして?
「あー、起きた? 気にしないで、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。」
「どういう、意味っ、っ! やめっ、や、っ!」
 指がある一点を重点的に突き始める。AVで見たことがある手マンみたいに。突かれるたびに痺れるような気持ちよさを感じて、俺は背を丸めた。
「や、あ、あっ、あ、っ! あっ、あっ! やめっ、あっ、んっ! あ、あっ、っ! っあ!」
 だめ、だめだ、気持ちいい、こんなのおかしい、やめさせ、だめ、いく、いっ、……っ!
「やめっ、や、あっ、あっ! いっ、いくからっ、やめっ! あっ、あ、あっ……!!」
 下半身に力が入って、借りた服の中にビュク、ビュク、と出てしまった。指が抜かれて、耳元に吐息を感じる。
「……気持ちよかったでしょ?」
 俺は何が何だかわからないまま、落ち着こうと息をする。
「……っなんで、こんなことっ……!」
「サスケは俺のこと好きじゃないの? ……じゃないと俺の家になんて来ないよね。」
 好意は、寄せていた。けど、それが何の関係があるんだ。
「なんでって、言ってる……!」
 今俺は何をされていた? 尻に指を入れられていた。それがいってしまうくらい気持ちよかった。何で、なんで? そんなことを? カカシが好き? 関係あるのか、それ?
「なんでって……俺もサスケのこと気に入ってるもん。好き同士って事じゃない? ねえ。」
 丸めていた背中、肩を引かれて仰向けになる。暗くてよく見えない。けどカカシの両手が、俺の顔をはさむように横にある。
「ちょうどね、程よく中が弛んできたところだったから。」
 から、って、なんでそこで止めるんだ。好き同士って言っても、ただいい人だなと思ってただけで……そう、
「っいい人だと、思ってたのに……っ!」
「勉強教えて気持ちよくしてくれていい人じゃない?」
「気持ちよくなんてならなくていい、この変態っ!」
 しばし沈黙が流れて、カカシが小さく呟いた。
「〝変態〟……は、ちょっと傷ついたかも。」
「寝てる男のけつに指入れるなんて十分変態じゃねえか!」
「……ならその変態の指で気持ちよくなっていっちゃった子だって変態じゃない?」
「俺は被害者だ俺まで変態の仲間にするな!」
 頭の横にあった手が引いていく。カカシはふう、とため息をついた。
「そっか……じゃあ不合意になるよね。」
「……? ……不合意?」
「いい具合に慣らしたし、気持ちよくもさせたし、一緒にセックスで気持ちよくなろうと思ったのに。」
「……セッ……!?」
「無理矢理は主義じゃないし、仕方ないから今日は諦めるよ。」
 カカシが何を言っているのかさっぱりわからない。セックスだって? 俺は男だぞ。って尻に指って、まさかそのために!? アナルセックス、ってやつか? ……冗談じゃない、今すぐ自分の家に帰らないと、また何をされるか――っ!
 また尻の中に指が入ってきて、カカシの胸ぐらを掴もうとしたら避けられて、上半身を起こそうとしたら右肩を押さえつけられた。
「何しやがるっ! 不合意はやらないんじゃねえのかよ!」
「優等生サスケ君でもそんな口調になるんだねぇ。もっと気持ちよくさせてあげたら気が変わらないかなって、さ。」
 ぐに、と中を押されてさっきの痺れるような気持ちよさが襲ってくる。なんとか声を出さずに我慢して、やめろと言おうとしたらまたさっきのようにそこを集中的に突き始めた。グチュグチュと指が出入りする音は本当に俺の尻の音なのか、声を出さない代わりにハッ、ハッ、と息をして、息を呑んで、何とか喉から捻り出す。
「や、めろっ……!!」
「さっきまで入れてたじゃない、そんで気持ちよくなってたでしょ? また同じことするだけだよ? 気持ちよくなりたいでしょ?」
 暴力的な快感、このこいつの手を何とかして引っこ抜かなければと、蹴飛ばすために上げた足が、気持ちよさに力が抜けて結果カカシが指を出し入れしやすくなっただけだった。
 少しでも中の刺激から意識をそらそうとしても次から次へと刺激されてそれどころじゃない。俺が抵抗できなくなったのをいいことにカカシは肩から手を退けてそのまま俺のを扱き始めた。
 それ、は、だめっ、だ……っ!
 堪えていた声が呆気なく出る。さっき出した精液でぬるついたそれを、しかも男だからなのか一番気持ちいいところをぎゅっと握って、中と外の刺激で俺はもう考える余裕もなく声を漏らした。
「あっ、だ、あ、だめっ、っ! あっ、あ! や、あっ! っひ、い、あっ、いく、っあ! あ、あっ! だ、めっ、っ!」
「……気持ちいい?」
 快感の波の中でよく考えずに俺はこくこくと頷いた。
「……もっと気持ちよくなろうか?」
 同じように頷いて、頭の片隅で『もっと……?』と思考が浮かんだ瞬間また暴力的な気持ちよさでその思考がどこかに消える。
 カカシは扱いていた手を離した代わりに、そこが熱くてぬるっとした感覚に包まれてグチュグチュとお尻とは違うもっと湿った音を出しながらそれが意味がわからないくらい気持ちよくて、俺はまたいってしまった。
 熱くてぬるついたそれから解放されて俺はぐったりとしながら酸素を求める肺に懸命に空気を送る。
「気持ちよかったよね? 一緒にもっと気持ちよくならない?」
 呆然とした頭にカカシの声が入ってくる。もっと? これ以上気持ちいいことなんてあるのか? と興味が頭を出したところに、俺は自分に冷静になれと言い聞かせた。『一緒に』ってのはつまりセックスのことだぞ、こんな男で、変態なんかとセックスなんて論外だ。
「……お断りだっ、早く指抜……っあ゛!」
「今ちょっとぐらついた? セックスの方にぐらついたでしょ? じゃあもう一回いってみようか。……うんって言うまで休ませてあげないから覚悟してね。」
 やっぱりこいつ変態……っ!
「ぅあ! あ、やめ、あっ、あ! あっ、あ、あああっ!!」
 みたび指が動き始めて、いつまで続くんだというくらい散々手マン……じゃない……手アナ……? ……もう何でもいい、そればかりされて4回目にいったとき、もうセックスを承諾しないとこの地獄みたいな状況は終わらないと半ば諦めて、俺はカカシからの問いかけにとうとう頷いた。

28 View

2025年3月7日成人向,中編,現代パロ,連載中,カカサス小説エロ,やおい,自慰