知られてはいけない

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2024年10月7日成人向,中編,原作軸,連載中,カカサス小説無理矢理,異種姦,オメガバース,エロ,自慰

うちはの薬

 気がついたら、6畳くらいのコンクリートの壁、床、天井、ひとつだけぶら下がっている白熱灯が照らす部屋で寝ていた。
 上半身を起こすと、カカシが壁にもたれかかりながら俺の方をじっと見ている。
「朝、薬は飲んだ?」
「いつもの薬なら……」
 窓もないこの部屋は時間の感覚もわからない。いまがまだ朝なのか、昼なのか夜なのかも。
「ん、じゃあ、説明するからよく聞きなさい。これは訓練だ。今からヒート状態を引き起こす薬を飲む。すると、発情期の予兆とよく似た変化が身体に現れる。したがって、自分の身体にどんな変化がどのように起きるのか注意深く観察、分析、記録する事。発情期の前触れをいち早くキャッチするために必要不可欠な訓練だ。一度しかない機会だから集中して取り組みなさい。」
 カカシが近づいてきて、一錠の薬を手のひらに落とす。この薬が、ヒートを。
 ごくりと唾をのみこんだ。続いて、コップに入った水が手渡される。思い切って薬を口の中に放り込み、水で流し込んだ。
 記録……メモ、を取らなければ。
 ポーチの中から小さいメモ帳と鉛筆を出して、縦に線を引く。
『0分 服薬』
 重要なのはここからだ。
 どんな些細な変化も逃すまいと、身体に意識を集中させる。
 カカシは壁際に戻って、腕を組みながらその様子を見ていた。

「っは、はぁっ、はっ、はぁっ、……っ」
 10分後、俺は床に手をついて荒い息を吐いていた。
 『3分 体温が上昇しはじめる、併せて呼吸数、心拍数増加』
 『5分 推定体温37.8℃、呼吸数50回/分、心拍数87程』
 『8分 バイタル値の増加止まり高い状態で安定』
 『10分 下腹部に熱感 唾液分泌増加 陰茎が勃起』
 ひっきりなしにあふれてくる唾液を飲み込みながら、どうにかメモを書いている状態だった。しかし、どうやら増えているのは唾液の分泌量だけではないらしい。
「……? 尻……濡れて、?」
 パンツの中に手を突っ込んでみたら、ぬるりとした液体が尻の穴から漏れ出ていた。そしてその尻に触れた瞬間、ビクンと身体が跳ねる。
「っあ……、っ!」
 触れたい。もっと。穴の中に指を挿れてかき回したい。
 これが、ヒート状態……っ!
 『11分 自慰衝動』
 中が疼いて収縮しているのがわかる。ヒート……発情期……つまりは、今この身体は、性行為を望んでいる、というわけか。
 『自慰衝動』と書いたのを横線で消して、『性交衝動』に書き換える。
 幸い今この部屋にいるのはカカシだけだ。仮に俺が我を忘れても何とかしてくれるだろう。
 そう考えた矢先に、そのカカシから何ともいえない魅惑的な匂いを感じ始めた。何だこれ。どうしようもなく惹かれてしまう匂い。俺の脳がこの匂いを、この匂いを放っているカカシを求めている。……いや、違う、アルファだからだ。カカシがアルファだから、オメガの俺は、カカシを……。
「……うん? ああ、フェロモンか。抑制剤1本じゃ足らなかったか。」
 俺の視線に気づいたカカシはポーチから注射器を出すと、腕にその針を刺してカチカチ、とダイヤルを回す。すると、すぐにあの魅惑的な匂いがしなくなった。
 それでよかったのかというと、そんなことはない。
 性交衝動はおさまることなく、気がつけば手が股間に伸びていくのをもう一本の手で制するような状況がひたすら続く。
「はぁっ、は、ッカカシ、これは、はぁっ、いつ、まで……」
「その薬の血中濃度が最大になるのは飲んでから30分後。それまでは引き続き観察と記録。いいね?」
 これでまだ上がりきっていない? あと15分、耐えながらメモを取り続けるのか? 視界がぼんやりとし始める。だめだ、メモを、書き残して、いかないと、……。
 
 自分の身を両手で抱きしめながら床に額をつけているサスケを見ているカカシもまた、サスケから溢れ出るフェロモンの影響を受けていた。抑制剤を3倍量打っているのに、カカシのそれもまたガチガチに勃起している。
 こんなにも影響を受けるほど強いフェロモンを出すとは、うちは一族が秘匿し続けてきたわけだ。
 本来アルファしか産まれないはずのうちは一族の中で、突然変異として産まれたオメガの存在が外部に知られるリスクは当然理解できる。しかし、オメガとしての特性がここまで強いとなると、また話は別だ。このままでは、発情期が来た途端アルファはもちろんのこと、ベータにもオメガであることがバレてしまうだろう。
 アルファは下忍になってからは基本的に毎日抑制剤を服用してオメガからの影響を受けないようにしているが、その程度ではサスケのこの強いフェロモンを避けることは出来ない。
 賭けるとすれば、うちは一族が秘密裏に開発した薬が完全に発情期を抑え込むことが出来るかどうか。
 そうこうしている内に、メモを取るサスケの手が止まった。……正気は、まだ保っているか? 観察を続けていると、サスケの手はズボンの中に入っていき、どうやら自慰を始めたようだった。
 ……駄目だったか。まあ、今までにもそういう部下は見てきたし、そもそもアカデミーを出たばかりのサスケには早すぎる訓練だったのだから、仕方がないだろう。
「はぁっ、あ、っは、はぁっ、」
 つぷ、と穴に指を添わせるとそこはぬるりと指を迎え入れた。熱い。届く限り奥まで指を挿れるが全然満たされない。ズボンと下着を脱ぎ去って前と後ろを刺激していると、簡単に精を放つ。それでもまだ刺激が足りない。もっと、もっと指の数を増やして、ぐちゅぐちゅと中を掻きまわして。……だめだ、もっと太くないと。もっと奥まで。そう、奥まで届く……。
 ぼんやりとする視界の中、顔を上げるとそこに誰かがいる。欲しい、誰でもいい。この欲求を満たしてくれるのなら誰でも。
 サスケはゆっくりとカカシの方へ這って行った。
 
 サスケが射精した瞬間にそのフェロモンはまたぐっと濃度を増した。これはだめだ。更に予備の抑制剤を注射していると、サスケがこちらに向かってきている。時計を確認すると、薬を飲んでから25分。少し早いが、やむを得ない。サスケが持っていた発情期用の薬を取り出し、顎を掴んで上を向かせると、その薬を口の中に流し込んだ。ごくりと嚥下したのを確認するが、サスケは俺のズボンに手を伸ばしていた。……仕方がない、薬の効果が現れるまでだ。その腕を掴んで捻り上げ、サスケをうつぶせに倒して背中に膝を立ててその動きを制する。水薬だ、恐らく錠剤よりは早く効果が現れる。注射程の即効性はないだろうが、すぐに回り始めるだろう。
 案の定、あんなにも濃かったフェロモンが少しずつ薄まっていく。それと同時に、サスケの呼吸も落ち着き始め、3分後にはすっかり発情期の特徴が消失し、そして意識も正常に戻っていた。
 腕を捻り上げられ床に臥しているサスケが口を開く。
「……カカシ、俺はなんでこんなことになってるんだ……?」
 ふう、とため息をつく。腕を開放して立ち上がると、サスケはズボンを履いていないことに気がついて、何かを察したようだった。
「……悪い、面倒かけたみたいだな……。」
 落ちているメモ帳を拾い上げて、書いてある文字に目をすべらせる。
「性交衝動……、カカシ、俺カカシに何か、」
「俺が何人の部下持ってきたと思ってんの? オメガの部下の扱いにも慣れてる。気にしなくていいよ。……それより、今の身体の具合はどうなの。」
 床に落ちていたズボンを履いたサスケが、自分の身体を確かめる。
「体温、呼吸、心拍数、全て正常。体液の過剰分泌も止まった。視界もクリアで思考も……問題ない。」
 ……凄い効き目だな、うちはの薬……ヒート状態から全くの正常に戻るとは。
 成分を研究班に回したら、他のオメガにも応用できる新しい抑制剤が作れるかもしれない。
 あとはこの薬の効果がどの程度持続するか、だが、あの巻物には「朝3倍量の薬を飲む」としか書かれていなかった、ということは、恐らくは丸一日は持続するのだろう。
 逆に言うと、この薬は絶対に切らすわけにはいかない。今回は自分たちが任務で材料を調達したが、火影様に上申して常時この薬の材料を集める任務を出してもらい、他の班にも回した方がよさそうだ。第七班だけ薬草集めばかりするのも不自然だし、演習時間が減って成長機会も逃すことになる。
「……一応、ヒートの薬の効果が切れる時間になるまではこの部屋にいてもらう。ただ、見たところ問題なさそうだから……そうだな、俺からのフィードバックの時間にするか。」
 俺が床に腰を下ろすと、サスケも向かい合って正座した。