知られてはいけない

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2024年10月7日成人向,中編,原作軸,連載中,カカサス小説無理矢理,異種姦,オメガバース,エロ,自慰

対応

 迫ってきた顔に思わず目をつぶると、ゴチンとおでこに硬いものがぶつかる。
「なーんて、言うとでも思った? さっさと薬飲みなさい。」
 目を開けると、すぐ目の前にカカシの顔。
 期待させるようなことを言って、やっぱりカカシはただの俺の上司でしかなくて、オメガの気持ちなんて全然わからないアルファで、そしてきっと抑制剤も4倍飲んでいて、俺のこの疼きや気持ちはカカシには届かない。
「ひど、い」
「酷いのはこんなとこに来ちゃってるお前だよ。」
「……説教、しにきただけなら、帰れよ!」
「いーや、見過ごせない。薬飲むまで帰らないよ。」
 顔が離れていって俺を見下ろし、口布を上げる。その目は呆れを俺に向けている。
 そうしている間にも俺の薬の効果はどんどん落ちていく。荒く息をしながら、カカシを睨もうと思っても、もう俺はカカシをただのアルファとしか見ることが出来ない。
 目が潤んで身体が紅潮し、唾液の分泌が増していく。組み敷かれている下半身も濡れてきた。
 カカシは懐から小瓶を取り出してコルクの蓋をキュッと開ける。きっと薬が入っているんだろう。顎を掴まれて口が開かされる。近づいてくる瓶の口。俺は力を振り絞って思いっきりそれを振り払った。
 カン、と壁に瓶が当たる音、少し驚いたように開いたカカシの目、ふー、ふー、と息をしながら涙目になっている俺。
「……薬、なくなったぞ、あんたにはもう何も出来ない。帰れよ……っ!」
「……参ったね。そんなにもしたいの。」
「アルファのあんたにはわかんねえよ……!」
「蛇じゃ満足できないんだ?」
「っ……!」
 やっぱり、筒抜けだった。毎晩蛇に慰められていることも。そこまでわかっていて、どうして邪魔をするんだ。俺が何を求めているのかぐらいわかるだろ。
「……全く、仕方ないな。気が進まないけどプラン2に変更するか。」
「……何を……」
 カカシが体勢を変えて俺の横に座る。ズボンに手をかけたかと思ったら、下着ごと一気に脱がされて、服が床に落ちた。
「糸引いてる……もうこんなになってたの。」
 甘い声、だったらどんなに良かっただろう。でもそのカカシの声は、冷静で。とてもオメガのフェロモンに惹かれているアルファの姿ではない。
 お尻にその長い指がぬるりと入ってきて、俺の身体は歓喜に震える。そう、身体は。一方で頭は、まるで傷の処置でもしているかのような淡々としたカカシの顔に、虚しさを覚えていた。
「ぅあ、あっ、は、あっ、っあ!」
 求めていた刺激。でも違う。俺が欲しいのは。なのに、指だけなのに、こんなにも気持ち良い。同時に前も扱かれて、あっという間に一回目の精を放つ。けれどそんなんじゃ全然足りない。俺が欲しいのは、こんな義務的な処置じゃない、フェロモンに狂いながら本能をぶつけ合うような激しいセックスなのに。
「5回? 10回くらい? 気が済むまで相手してやるから、安心しろ。」
 あくまで上司として、部下の管理のために、カカシは俺を。観察するように俺の顔を見るあんたを、そんな目で見るくらいならいっそ見ないでくれと目を閉じた。涙が溢れてくる。こんなこと、望んでない。こんなことをされるためにここまで来たんじゃない。なんでわかってくれないんだ。なんで……。
 蛇とは比べ物にならない快感が俺の喉を震わせる。もっと、もっと。徐々に思考は快感に掻き乱されて、カカシの指がもたらすそれしか感じなくなっていった。
 
 サスケが射精する度にぶわっと濃いフェロモンが広がる。抑制剤がなければとても理性は保てなかっただろう。どれだけ指で愛撫しても満たせそうにないサスケの発情期。やむを得ず室内にあった張型を使ってみても、状況はあまり変わらなかった。
 今までオメガの部下にしてきた対処では不十分らしい。とはいえ……上司として、越えてはいけない一線というものがある。しかしサスケはその一線を越えるのを望んでいる。
 ……さてどうしたものか。いっそ幻術をかけるのも手ではあるが、まぼろしで発情期の対処ができるのであればとうの昔から皆がそうしている。一時的に気を失わせる程度の効果はあるだろうが、この本能的な欲求は満たされないままサスケの中に残り続けるだろう。そしてまたここを訪れる可能性は高い。その度にこうして処置してやるのは現実的ではない上に効果が薄い。……困ったな。
「っあ! んぅっ! い、れっ、っぁあ! カカ、ぅあっ!」
 懇願するサスケの様は哀れだった。早く楽にしてやりたいところだが、もはや幻術以外になす術がない。しかしそれも応急処置に過ぎず、根本的解決にはならないとなると……選択肢はふたつ。サスケの息抜きのためにここでの行為を黙認する、もしくは、毎回自分が相手をしてやる。
 両方とも、できるだけ選びたくない方法だ。しかし、検討段階に移らざるを得ない。黙認したとして、もしもどこの誰かもわからない相手に首を噛まれるようなことはあってはならない。となると残るのは俺が相手をするという選択。部下と一線を越えるという選択。
 ……いや、落ち着け。他に手段がないか考えろ。
 薬を飲むと発情期の状態は完全に消失した、と思われた。が、実際には完全には消失しておらず、毎晩自慰に至っていた。それでも発情期の欲求が満たされず、自ら娼館に足を運んでまで性行為に及ぼうとしていた。
 対策として検討すべきは三つ。
 一、薬の濃度を増やす。
 ニ、初めての発情期につき、一旦幻術で対応して次回まで様子見する。
 三、毎回こうなら発情期ごとに性欲処理用の忍をあてがう。
 
 影分身を作ってサスケの家に向かわせる。
 3倍量の薬と、通常の薬、サスケの家には必ずストックがある。その2つを飲ませれば4倍量、ひとまずそれを飲ませて様子を見よう。
 印を組むために抜いた指、それに縋るように起き上がったサスケはいつの間にか俺の浴衣の帯に手を伸ばしていた。
「あー……ったく……」
 その腕を取って再び布団に押し倒す。とりあえずまた張り子を入れておけば大人しくなるだろう。
 愛液が溢れるそこに木製のそれをグッと押し込みぐりぐりと動かすと、サスケは震えながら声を上げた。
 早く薬を持った影分身が戻ってこないか待ちながら、可哀想に……なんて思っちゃいけないんだろうけど、やっぱりこうして目の当たりにすると、オメガは気の毒だと思ってしまう。
 差別だ、と言われるかもしれないが、実際にオメガと接していると、自分がオメガじゃなくて良かったと思わずにはいられないのだから仕方がない。
 数刻後、影分身が窓から入ってきて、無事薬を受け取ることができた。