知られてはいけない

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2024年10月7日成人向,中編,原作軸,連載中,カカサス小説無理矢理,異種姦,オメガバース,エロ,自慰

日常

 発情期が終わって普通の生活が戻ってきた。
 ちょっとした変化があるとすれば、首の傷に傷薬を塗った大きめのガーゼをあて、ポーチの中には3倍量の薬と一緒に小さい蛇を口寄せして潜ませている事ぐらいだ。
 待ち合わせ場所にはもう三人揃っていた。歩み寄って行くと、俺に向けて笑顔で手を振っていたサクラが手を止めて、俺とカカシを交互に見る。
「おはよう! サスケくん、なんだか……なんていうか、連休中に、カカシ先生と何かあったの?」
 思わず、カカシの顔を見た。カカシはいつもの笑顔のままで、サクラの肩に手を置く。
「別になんもないよ? ただ、一晩俺んちに泊まっただけ。さ、みんな揃ったところで今日の任務だ。」
 カカシが説明を始めて、二人は真剣に話を聞き始めた。話半分に聞いているのは俺だけだろう。
 サクラはもしかして俺たちが番になってしまったことを、何か感じ取ったのだろうか。どこから感じ取ったのだろうか。番になったら特別なフェロモンが出るなんてのは聞いたことがない。であればチャクラの変質? チャクラコントロールに優れたサクラなら感じ取るかもしれない。あるいは、別の何かが変わった? カカシ一人だけの時はなんら違和感を持っていなかったように見えた。俺たち二人が近づいたとき、何かを感じとった、そんな風だった。
 もしサクラよりも聡い、あるいは何かを感じるのに敏感な人間から見たら、この二人は番だとわかってしまうのかもしれない。そうなれば、俺がオメガだとバレるリスクが上がるんじゃないのか。……でもそんな事は、どこにも書いていなかったしカカシも何も言わなかった。
 それでもサクラのあの反応はどこか引っかかる。……匂いが関係するのであれば、今日帰ったら蛇に聞いてみよう。
「と、いうわけで出発ね。ほら行くよ。」
 カカシが二人の肩に手を置く。続いて俺の肩にも手を置いて。すっと少しだけ手を滑らせてから、その手が離れていった。
 今までは、ただポンと置くだけだった。見た目ではわからない微細な変化、だけど確かにさするように手を滑らせた。
 ……どういう意味だ。話を真面目に聞けという注意? それを二人に悟られないように伝えようとした? ……であれば、きっと強めに手を置くか、握るか、そうでないと「注意している」という意図は伝わらない。じゃあ、何なんだったんだ、今のは。
 歩き出したカカシについて歩く二人の少し後ろを、いつもと同じように歩く。
 いつもの日常に戻った、そう思ったのは俺だけなのかもしれない。
 カカシは、三人に対するスキンシップが少しだけ増えた。肩に手を置いたり、頭に手を載せたり、背中を叩いたり、その度に少しだけすっと手を滑らせる。何かを印象付けるかのように。
 
 カカシの俺たちへの対応は、軽微ではあるが、確かに変わった。
 俺という番ができたことでアルファであるカカシ自身に何らかの心理的変化が起こった? 蛇がカカシの匂いには何も変化はないと言っていたから、考えられるとしたらそのくらいしか思いつかない。
 でもカカシの本音はわからない。本音という本音を隠して生きている、カカシはそういう人間だ。俺たちに向ける笑顔も、いや、表情も態度も全てが、何らかの意図を持って作っているものだ。そのくらいのことはわかる。
 だから心理的変化があったとして、それをそのまま態度に出すわけがない。この微細な変化には、他に何らかの意図があるはずだ。それは何だ?
 気にするまでのことでもないのかもしれない。そんな雲を掴もうとするようなことにリソースを割くよりも力をつける努力に意識を向けた方が建設的だ。
 わからない以上、そう割り切るしかなかった。
 
 任務を終えてから、いつものように修行場に立ち寄って、筋肉や関節の動かし方、視界に入る情報の分析、仮想敵を想定して次に相手がどんな手を打ちうるかの模索を実戦形式で繰り返す。そこに感じた視線。振り向かずにクナイを投げるとパシッと手に取った音。木の枝に着地してしなりを使って視線の方へ飛び、踵落としをするが手で受け止められる。すかさず体を捻ってクナイをその腕に刺そうとするがガキンッとさっき投げたクナイで防がれた。
「激しい挨拶じゃない」
「邪魔しにきたのなら付き合えよっ!」
「邪魔じゃなくて話をしにきたんだけど」
「同じだっ!」
 受け止められた手を蹴って3メートルほど離れた地面に向け飛びながら火遁の印を結び着地と同時に業火球を浴びせる。土煙が舞いカカシの姿が見えづらくなった、と思ったら後ろからポンと肩に手を置かれる。
「……ッチィ!」
「まあ落ち着けって」
 股の間にカカシの膝が入って股間をぐりっと刺激する。
「何のつもりだてめぇ……!」
「経緯はともかく……番になったんだから、もう少し仲良くならない?」
「まさかあんたあの気持ち悪いスキンシップ……っ!」
 肩の手が噛み跡を隠すガーゼを剥がしてねっとりと熱いものがそこをなぞる。俺の身体から力が抜けていく。
「うん、サスケと仲良くしたいなっていう意思表示。通じた?」
 発情期以外は発情なんてしないんじゃないのか。その両手がシャツをたくし上げて胸の突起を触り始めると身体がピク、と反応する。
「……っぁ、……っ!」
「ほら、ね? 仲良く……」
「上司面の次は、一丁前に番面かよ……っ! 調子に乗ってんじゃ……っ!」
 左手で股間のそれを掴まれた。勃って、る……嘘だ、なんで、発情期は終わってるのに。
「発情期じゃなくてもね、人は発情するもんなのよ。相手が番なら尚更……サスケも感じるでしょ? 俺ともっとしたいって思うでしょ?」
「あっ……やめ……っ!」
 ズボンの中に手を入れられて、直接扱かれると思わず身体が前のめりになる。
「ここじゃ目立ちすぎるから少し移動するよ。」
 手を抜いて両脇を支えられて木立の奥に引っ張られていく。はぁ、はぁ、と息をしながら力の入らない身体、アルファ……番に触れられると反応してしまう己の性を呪う。大きな幹の前で手をつかされて、ズボンと下着を一気に下げられた。後ろの穴に沿う手、そこはもう濡れていて、くちゅ、と指が入ってくる。
「っやめろ! っぁ、や、んっ! てめっ……俺にっ、従うって……っく、」
「従う? ああ……」
 笑いを堪えているような息遣いを感じる。笑ってやがる。こいつ、俺のことを……!
「発情期の間は、っていう条件付きでね。よくよく考えてみてよ、番になったことで発情期になっても他のアルファにはフェロモンが効かなくなった。それってオメガであることを隠すのに凄く都合がいいと思わない?」
 講釈を垂れながら指は敏感なところを刺激し続ける。
「やめっ、んぁっ、あっ! やめ、ろっ! んっ、あぅっ!」
「つまりお前にとっても俺と番になれたのはものすごくメリットなわけ。そしてお前がでかい顔できるのは3ヶ月に一度の一週間だけ。……それ以外は俺の性欲処理係なの、わかる?」
「あっ、あ、やっめ、そんっ、あっ! いや、だ、ぁっ!」
「すっごいトロットロ……欲しいんでしょ? 上手におねだりしてみてよ、サスケ。」
「誰が……っ!」
 振り向いて背後のカカシを睨みつけた、つもりだった。でも現実は、半開きの口に潤んだ目、情けなく力の抜けた眉……カカシの額当てに映った自分の顔が目に入って、こんな顔をカカシに見せるくらいなら、ずっと顔をうつむいていた方がマシだった。
「はは、どうみても煽ってる顔じゃない。」
 悔しい、悔しい、自分がオメガであることが、こんな奴が上司で、番になってしまったことが。
「あああっ!!」
 お尻に押し付けられた熱くて硬いそれが一気に奥まで入ってきて、俺は声を上げながら目の前がチカチカしていた。
 嫌なのに、こんな奴とするなんて嫌なのに、どうしようもなく気持ちいい。理性なんて飛んでしまいそうなほどに。
「あっ、はぁっ、あっ! あ、っあぅ! んぁっ!」
 身体が、頭が、カカシのそれを受け入れることを喜んでいる。気持ちいい、もっと、奥に、カカシが欲しい。
「や、あっ! だめ、あっ! だ、イッ……! イクからっ! あっ! やめっ、っあ! あ、おくっ、っあ、あああっ!」
 ビクンと腰が跳ねてきゅうう、と中が締まるのがわかる。カカシのそれを締め付けているのが。中にあるそれの形がくっきりとわかる。はぁ、はぁ、と必死で息をしているとぐいっと更に奥に突かれて電流でも浴びたように身体が痙攣した。
「~~~っ!!」
「子宮孔、当たってる?」
 なん  言って   もう かんが 
「っあああ! あっ! あんっ! あ、もっと、っん! もっ、と、カカッ! あっ、ああっ! おくっ、あっああ!」
「素直が一番っ……てね、しかし、凄いな……っ」
 本能に身を任せた獣のような激しいセックスは愛の営みとはかけ離れていて、正にただの性欲処理だった。
 俺は何が起きてるのかもよくわからないままただただカカシに翻弄されて自ら腰を振って声が枯れるまで喘いで、それが抜かれた後も地面に這いつくばって快感の余韻で頭が回らないまま、ただ荒れた息を繰り返していた。
「そういうわけだから、これからよろしくね。」
 去っていく足音を呆然と聞きながら後ろの穴からどろっとしたものが溢れ出てくるのを感じて、ああ中に出されたのかと知った。
 地面に落ちたズボンのポーチから小さな蛇が顔を出す。蛇の表情なんてよくわからないけど、俺を心配してくれているのはわかった。
「……まずは、落ち着こうぜ。」
「……おち、……」
 頭に少しずつ冷静さが戻ってきて、目から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
「……オメガは……みんな、……こんな目に……、合うのか……?」
「……違うと言ってやりてぇけど……これが現実だ。」
 俺が、あの時いつもの薬を飲み忘れたばっかりに。
 あんな奴が上司になって、挙句そんな奴に噛まれて、謝ったかと思えばあれはきっと嘘で、嫌なのにいいようにされて抵抗もできなくて、そしてきっとこれが俺の日常になっていく。
「……オメガには……人権、なんて……ないん、だな……。よく、わかった……。」
 誰も明言はしないけれど、オメガに向ける眼差しを見ているとわかる。俺たちが最下層の性なんだと。
「つらい時はつらいって言っとけ……俺たちはオメガの、お前の味方だ」
「つ……らい……くや、しい……こんな、日が……続く、くらいなら……」
「……自殺だけは、するなよ。……まだお前さんは若い。」
「じゃあどうしろと……!」
「あんまこんなことは言いたかねえけどよ、……こころを殺せ。何をされても何も感じないくらいに。」
「こころを……」