極秘任務

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成人向,中編,原作軸,カカサス小説エロ描写有,ほのぼの,甘々

 最近、妙に部下たちに絡まれる。
 ナルトは毎日のようにラーメンに誘ってくるし、サクラもお弁当作ってきたから食べて、とか、顔に虫が付いてるとかで顔に触ろうとしてくる。
 サスケだけはそんな二人を遠回しに見ていた感じだったが、そのサスケも今日、思いっきり変な絡み方をしてきた。
「カカシ、あんたが好きだ。付き合ってくれ。」
 これには想定外すぎて、流石の俺も顎が外れそうになった。
「……大丈夫? 熱でもある? 今日は家に帰って休みな?」
「ほ、本気だぞ! 誤魔化されねーからな!」
 言いながら、顔を真っ赤にするサスケ。
 どうしたんだ。
 本当にどうしたんだ。
「俺は男で、いい歳した大人で、君の先生であり上司だよ? ……何言ってるか、ホントにわかってる?」
 俺の目をまっすぐ見ながらこくりと頷くサスケに、カカシは頭を抱えた。
 ……この最近のみんなのおかしさは、きっと何か裏がある。
 カカシはサスケの誘いに乗ったふりをして、その裏を探ることにした。
「……まぁ、なんだ、物は試しだ。俺んち来るか? 付き合うかどうかは、とりあえず保留でね」
 サスケの顔がパッと明るくなる。
「なら、晩飯、一緒に食おうぜ。」
「んー、そうだな、俺料理しないからどっか食べに行くか」
「! なら、ラーメンとかどうだ?」
「ラーメンねぇ、ま! 久しぶりだし行くか!」
 明るくなった表情がさらに明るくなる。
 そして小さくガッツポーズをしたのをカカシは見逃さなかった。
(そういえば、ナルトもラーメンに誘ってきてたな……)
 二人で並んで、一楽に向かったが、その間サスケが俺をチラチラ見てくるのが気になった。
「特製ラーメンちょいカタで味玉」
「俺も、同じやつ」
 一楽のカウンターに座っていてもサスケは落ち着かない。
 やっぱりチラチラと俺の方を見てくるし、俺と目が合うとサッと顔をうつむける。
「ねぇ、さっきから俺のこと見てるよね?」
「……! そ、そうか?」
「そんなに見られると落ち着かないんだけど……」
「……好きな人の顔を見ていたいのは普通だろ?」
 そうか、そうだった。サスケは何故か俺が好きだと言ってきたんだった。
 そう言われると、悪い気はしないが、いかんせん気になるものは気になる。
 はいよ、と一楽の大将がラーメンをカウンターに出す。
 俺たちはそれを受け取って、割り箸を割った。
「いただきます」
 アツアツのラーメンを前に食べようとしたら、隣から猛烈な視線を感じる。
「……サスケ君?」
 俺の顔を凝視するサスケ。
「さめちゃうよ、食べなさい」
「お、おう……」
 サスケはまずスープを少しレンゲにすくい、味わう。
 さて、俺も食べよう、と口布を下げようとしたところで、またもや猛烈な視線。
 ……わかった、わかったぞ。
 こいつら俺の素顔を見たいんだな……?
「サスケ、俺ばっかり見てないで食べな」
 言うと、素直にラーメンをすすりはじめる。
 俺はその隙を見て口布を下げ、ラーメンを頬張ったところでまた口布を上げた。
 一口目を食べ終えたサスケがまた凝視してくる。
「あんた、口布したままでどうやって食べてるんだ?」
 その手には乗らない。
「これはガキの頃からつけてるからねぇ、ま、慣れだな!」
 これは事実だ。長いマスク生活、早食いで素顔を隠すのは慣れている。
「ホラ、のびちゃうよ。」
 しぶしぶ自分のラーメンを食べるサスケ、その瞬間に口布を下げ麺を素早く口に入れまた口布を戻すのを繰り返す俺。
 サスケにはモグモグと咀嚼する俺の姿しか見えない。
 最後にスープまで飲み干してどんぶりをカウンターに置いた。
 ……のを見て、サスケは固まっていた。
「……え? ラーメンだぞ? 口布したまま食べれるわけ……え?」
 ……そうか、なるほど。ナルトもサスケもラーメンに誘ってきたのは、ラーメンだと口を晒す時間が長いからその分見れるチャンスが多いと踏んでのことだったか。
 サスケもスープを飲み切って、「ご馳走様でした」とどんぶりをカウンターに置いた。
「はいはい、勘定はどうする? ひとりずつ?」
 店主がレジの前に来ると、カカシは「二人分で、俺が払うよ」と伝えた。
 するとサスケは「自分の分は自分で出す!」と財布を取り出したので、「恋人になりたいんだろ? こういう時は遠慮しとくもんだよ」と制した。
 
 それにしても素顔見たさに「好きだ! 付き合ってくれ!」なんて、なんて大胆な発想だ。
 カカシは思わず笑みが漏れそうになったが、持ち前のポーカーフェイスで乗り切る。横に並んで歩くサスケはやはりいつもよりチラチラとこちらを見ているが、真相がわかれば可愛いものだ。
「ところでサスケはさ」
 歩みはそのままにサスケの方に顔を向ける。
「付き合って何がしたいの?」
 サスケは少し考えた後、答える。
「一緒にいたい」
 言い出した割には「付き合う」ことに対する知識が全然ないんだろう。控えめなその答えに苦笑しながら、カカシは意地悪な気分になってきた。
「もっとないの? 手を繋ぎたいとか、キスしたいとか、エッチなことしたいとか……? 恋人ならそのくらい普通にするよ?」
 顔を真っ赤にして動揺するサスケを思い描いていたが実際のサスケは顎に手を当てて神妙な顔をして「そうか……」と呟いた。
「キスはまだわかるが、エッチなことというのは何だ?」
 あっそこから……?
 
 カカシはまた頭を抱えたくなった。
 ダジャレがすべった時のような気まずい雰囲気が流れる。
「……ま! 子どもにはまだ早いけどね!」
 流して押し切ろうとするが、カカシはここで選択ミスをした。サスケは子ども扱いされるのが大嫌いなのだ。
「ガキ扱いするな! あんたの家着いたら、その、エッチなこととやらをしようじゃねえか!」
 ……やっちまった。
 精通も来てなさそうな子ども相手にエッチなことなんてして許されるはずもない。
 だがしかし、隣を歩くサスケはやる気満々だ。
 何か別のことをしてこれがエッチだと教えるのも考えたが、やはり嘘を教えるのはやめた方がいい気がする。
「カカシの家に着いたら、すぐやろうぜ」
 おちょくろうなんて考えなければよかった……。
 帰り道、カカシは変な汗が止まらなかった。
「ただいま、と」
「お邪魔します」
 マンションの五階にカカシの家があった。
 独り身だが一LDKで、ちょっとした廊下を通ると広々としたリビングがある。
 ベランダは南に面していて日当たりも良さそうだ。
 俺の家とは全然違う……と、下忍と上忍の財政力の違いを見せつけられたようにサスケは感じた。
「ま、なんだ……とりあえずシャワー浴びてきなさい。廊下の左手の扉な。服は洗濯機に入れといてね。明日までには乾かすから。」
 言われた通り、サスケが廊下に行こうとしたところで、ピタと止まり、振り返る。
「あんたも一緒に入ろうぜ」
 冷蔵庫から缶チューハイを出そうとしていたカカシもピタリと止まった。
 さすがのカカシでもシャワー中は口布を外す。サスケの狙いはおそらくそれだ。
「お風呂場狭いから二人は入れないって」
 誤魔化そうとするが、「家がこんだけ広いのに風呂場だけ狭いなんてないだろ」と正論が返ってくる。
「……俺はあんたと一緒にいたいんだ。……ダメか?」
(うっ……)
 そんな風に言われると、断るに断れない。
 仕方がない、駆け引きはもう終わりだ。
「そんなこと言ってサスケ、お前俺の素顔見たいだけでしょ?」
 サスケの眉がピク、と動く。
「……そりゃ見たいに決まってるだろ、好きな人の素顔なんだから。」
 まだその設定は続けるつもりらしい。
「俺は本当~に心を許した人にしか見られたくないの。俺たち本物の恋人じゃないでしょ。」
「ならどうしたら本物の恋人になれるんだ?」
「なってもいいの? 本当に? 付き合いたいなんてのも顔見たいがためについた嘘じゃないの? 恋人になったのに顔見れた瞬間ハイ嘘でしたーなんて最悪だよ?」
「特別任務のこと気づいてたのか……。でも、あんたが好きなのは嘘じゃないからな。」
 待ってちょっと待って。
 カカシは頭を抱える。
「任務? どゆこと? 誰からの依頼?」
「ゲジ眉の上忍が持ちかけてきたんだ。カカシの顔を見れたら十万円って。」
(ガイの野郎……!! 
 下忍からしたら十万円は大金だ。どうりでみんな必死になって顔を見ようとするわけだ。
「……で? えーと? 俺が好きなのは嘘じゃないって言った?」
「言った」
 サスケは真面目な顔で答える。
 復讐のことで頭がいっぱいなサスケが、サクラをはじめ女子たちの好意をあしらってきたサスケが、俺のことを好きだって?
「だから、もちろんエッチなこととやらもするからな!」
 そう言って、ひとり洗面所に消えていった。
 カカシは頭を抱えるだけでは足りずかきむしる。
 どう収拾つければいいんだこれ。
 明日以降の関係を維持するためにも無下に扱うことはできないが、まだ精通も来てないような子ども相手にエッチなことなんて……。
(! そうだ、確かこの辺に……)
 クローゼットを開けると、中に入っている段ボールを漁った。
 お目当てのものが見つかると軽く埃を落とす。
 その手にあるのはエロビデオだった。
 それも至ってノーマルなプレイのもの。
 カカシにとっては陳腐な内容だが、サスケにはちょうどいいだろう。
 これをサスケに見せて、「な? 男のお前じゃ無理だろ?」と持っていけばきっと諦めてくれる。
 ……未成年にエロビデオを見せるのはちょっと気が引くが……これしかない。よし、これで行こう。
 
 カカシがビデオをセッティングしていると、廊下からペタペタ音がしてくる。
「カカシ、風呂場空いたぞ」
 ……などと言いながらタオルで髪を拭き歩いてくるサスケだ。洗面所にあった適当な服を着たんだろう、カカシのワイシャツを着ていて、もちろんだがブカブカだ。ワイシャツの下からはスラリとした生足が伸びており、つまりズボンもパンツも履いていないらしい。
 しかしそれよりカカシが気になったのは……
「……ドライヤーは?」
「……ドライヤー? 何だそれ」
 はぁ~と長いため息が出る。
 カカシはサスケを回れ右させて洗面所まで押していった。
 そして戸棚に置いてあるドライヤーのコードをコンセントに挿してスイッチを入れ、サスケの髪をわしゃわしゃとブローする。
 カカシは自分の髪にこだわりがある分、他人が無下に扱っているのが許せないのだ。
 轟音と熱風に驚いたサスケは後ろに立つカカシを見上げ
「カカシッ!? 何だこれ?」
 と戸惑うが、
「髪の毛は! きちんと乾かしなさい! ドライヤーは! そのための道具です!!」
 カカシがドライヤーの轟音に負けず声を張る。サスケは思わず気圧され、そのまま従うことにした。
 
 カカシが納得するまでブローが終わると、ツヤツヤで輝くキューティクルにサスケは思わず「おぉ……」とこぼす。
「サスケの髪、乾かすと後ろ跳ねるのな。」
 ぽんぽん、とカカシがサスケの頭に手を乗せると、サスケの頬が少し赤くなった。
 こんなちょっとした触れ合いが嬉しい、なんて言ったらカカシは困るだろうか? 嬉しいと言ってくれるだろうか?
「ドライヤー、終わったんだろ。次はあんたが風呂入る番だ。」
 紅潮した頬を見られないように顔を伏せて、洗面所を出たサスケはリビングに向かった。
 リビングには忍術書が積まれたテーブルのある一角と、テレビにローテーブル、二人がけのソファがある空間がある。ローテーブルの上にはカカシの飲みかけと思われるレモンの絵が描かれた缶が置いてあった。
 とりあえず、ソファに座ってカカシを待つことにしたが、落ち着かない。それはそうだ、好きな人の家で、好きな人の服を着て、好きな人がいつも座っているソファにいるのだ。
 めんどくさがりに見えて変なところで世話焼きなところ。強くて、そして優しいところ。哀れみの目じゃなくて、仲間として見てくれるところ。ふざけてるようで真面目なところ。俺たちを信頼して背中を押してくれるところ。
(……、やっぱり、好きだ)
 チラと目に入った缶を見る。カカシの飲みかけだ。
 そっと手を伸ばし、逡巡したのち、口をつけ、ごくっごくっと飲み下す。
(ずいぶん不味いレモンソーダだな……)
 缶を元の場所に戻すと、またソワソワと辺りを見渡し始める。
 観葉植物があるわけでもなく、壁に絵が掛かっているわけでもない、飾りっ気のないリビングだ。
(飾りっ気がないのは俺も同じか)
 テーブルのある一角には忍術書や巻物がちょっとした山になっていて、しかしテーブルの上はきれいに整頓され、ペン立てには筆と万年筆が刺さっており、一冊の本のようなものがピタと置いてあった。
 そうして周りを見回しながら待っていると、だんだん顔が熱くなってきたのを自覚する。
(? なんか変だ)
 呼吸も浅くなり、身体がだるい。
 熱を出した時の倦怠感に似ている。
 まさかこのタイミングで風邪? それも急に? おかしい!
 カカシに伝えようと脚と腕に力を入れたところで、洗面所のドアが開く音がした。
 
 カカシがガウンを羽織ってリビングに戻ると、ソファにいたのは全身薄ピンク色で息も絶え絶えなサスケだった?
 え? え? 何? どうしちゃったの?
「サスケ!」カカシが駆け寄ると、その吐息からはほのかに酒の匂い。
 ばっとローテーブルの上の缶を見る。カカシが置いた時と向きが違う。
「サスケ! これ飲んだのか!?」
 缶を手にサスケの目の前に出すと、サスケはこくりと頷く。
 カカシは額に手を当て天を仰いだ。
 これはジュースではなくレモン酎ハイで、しかもストロングゼロ、アルコール度数九%。
 どれだけ飲んだかわからないが、サスケが酔っ払うのに十分な量だったのだろう。
 急いで台所に行き適当なコップに水を入れると、サスケに差し出した。
「とりあえず、お水飲みなさい」
 サスケはこくっこくっと少しずつ水を飲む、が、焼け石に水のようだった。
「もー、なんで飲んじゃったのーこれお酒だよ?」
「……不味いと思ったら、、酒だったのか……」
 サスケは風邪ではないことにひとまずほっとした。
 全身がぽかぽか温かくてぼーっとする。
 
 熱っぽい目で紅潮した顔にブカブカのワイシャツから伸びる太もも。
 カカシは反応してはいけないところが反応してしまいそうになった。
(平常心……平常心……)
 しかしこの様子なら、準備していたエロビデオが活躍することはないかもしれない。
 しゃがんでサスケの目線に合わせる。
「ダルいだろ? 気持ち悪くはない? ベッドで休むか?」
「…………だろ」
「ん?」
「えっちなことすんだろぉ」
 サスケがカカシの腕を掴む。
 口調は酔っぱらいのそれだ。
「そんな状態じゃできないよ?」
 ……というのは嘘だ。相手が女だったら迷いなくお姫様抱っこでベッドインするシチュエーション。
 しかしサスケはカカシの腕を離さない。
「かんけーねぇよ、教えてくれよ、えっちなことがなんらのかさぁ」
 ダメだ、呂律も怪しい。
「そんな酔っ払った状態じゃだーめ。また今度な。」
 掴まれてない方の手でぽん、と肩に手を置く。
 するとサスケは俯いて押し黙ってしまった。
「サスケくん?」
 ぽん、ぽん、と優しく肩を叩く。
「……それ、嫌いだ。」
「え? どれ?」
 また沈黙。
 サスケがはっきり嫌いだと言うのを聞いたのは甘いものくらいだったから、カカシは少し驚いた。
「何が嫌いだった?」
「……また今度なってやつ……」
「……そっか、ごめんね。もう言わない。」
「ならえっちなことしようぜ」
 ……なんでそうなる!
 仕方なく、当初のプランを実行することにした。
「わかった、わかったから。じゃ、いきなりエッチなことするんじゃなくて、まずビデオ見て勉強な?」
 サスケはフン、と鼻を鳴らして「最初からそーしろよ」と言いつつ、テレビに目を向ける。
「いいか? こど……じゃない、サスケにはちょっと刺激が強すぎるかもしれないが、勉強だと思って見るんだぞ。」
 カカシはリモコンをテレビに向けた。
 
 画面の中では、可愛いお姉さんが腕だけ見える男性を引っ張って『ね、エッチなことしよ?』と誘っている。そのままベッドまで誘導して、二人で並んで座る。
 お互いに顔に手を添え、濃厚なキスシーンが始まった。
「俺の知ってるやつと違うな……」
 サスケがぼそりと呟く。
 お姉さんはキスをしながら男性の股間に手をそわせ、さわさわと手を動かす。
『……もう、こんなに硬くなっちゃったの?』
 お姉さんが嬉しそうに笑うと、男性の前にひざまずき、ズボンのチャックを口で下ろすと、傘が張ったパンツがあらわになる。
 お姉さんはその盛り上がりにキスをしてから、パンツを下ろすと、男性の勃起がぶるんと現れた。赤黒くて血管が浮かび、反り返った立派な男性器だ。
『……いけない子♡』
 お姉さんがそれを根元から先までれろぉっ……と舐めてから口に含み、口をすぼめて唾液の音を出しながら咥える。
「……ふむ」
 またサスケがぼそりと呟く。
 
 じゅぼじゅぼ音を出しながらフェラチオするお姉さん、次第に動きが早くなり、男性がたまらずお姉さんの頭を掴む。
 そして二人の動きがピタと止まり、お姉さんは男性器から口を離して、舌を出すとそこには白くてどろっとしたザーメンが。
 しかしまだバキバキに勃起している男性、女性を抱え上げてベッドに寝かし、服をまくりあげると、ぷるんとした形のいい乳房が姿を現す。
 男性が乳房にしゃぶりつき、お姉さんは少しずつ喘ぎ声を出し始めた。
「カカシぃ、この場合俺たちはどうするんだ?」
 急に飛んでくるパス。
「ないもんはできないよねぇ」
 適当にはぐらかす。
「一応、乳首はあるぞ」
 言いながら、ワイシャツのボタンを外し始めたので、カカシは慌てて止めた。
「見せなくていいから、な?」
「……」
 画面の方では、男性がお姉さんの股間に手を伸ばしているところだった。
『……濡れてる。エッチだね。』
 お姉さんの目の前で愛液を見せる男性。
「男でも濡れるのか?」
「いや、男にはそもそもまんこがないから。」
「まんこ?」
「女の人にしかないもの。尿道と肛門の間にある穴だよ」
「じゃあ、男同士の場合どうするんだ?」
「ないもんはできないよねぇ」
「じゃあどうすんだよ」
「えっ」
「えじゃなくて。なんかあるんらろ、やり方が」
 視線はクリトリスを愛撫しているテレビの画面のまま、サスケは俺のガウンの袖を引っ張る。早く答えろと急かしているように。
 言うつもりはなかったのに、思わずポロッとこぼしてしまった。
「なくはないけど……」
「あるんじゃねーか。言えよ。」
 酔ってるせいか、サスケは普段より尊大な態度だ。うざ絡み系の酔い方をするタイプなのかもしれない。
 カカシは言うかどうかかなり悩んだが、こぼしてしまった以上もう誤魔化しが効かない。
「……俺たちにもあるでしょ、穴。濡れないけど……」
 気持ち小さめな声で言ってみたが、しっかりと聴こえていたようで、一拍の間を置いて、サスケは答えに辿り着く。
「……尻か……」
 この後もサスケは「この場合は?」「これは男だとどうなる?」「これは何だ?」と何かにつけてカカシを質問攻めにしては、ふむ、とひとり納得していた。
 カカシは想定していた反応と違ったため変な汗が止まらない。どうしよう、この子ガチでやる気満々だ。
 いっそもっと酒を飲ませてサスケの記憶が残らないほど酔わせようかと思ったが、記憶を失うかどうか確実性がないし、急性アルコール中毒になる可能性も考えると現実的じゃない。
 
 画面の中では繋がった二人が嬌声をあげながらクライマックスに向かっている。
「なぁ、カカシぃ、この女の方、何でこんな声出してんだ?」
 ひっきりなしにアンアンと甲高い声が響く中、サスケはいよいよもってセックスの核心をつく問いを投げかける。
 答えにくい。
 答えるのが躊躇われる。
「おぃ、聞いてなかったのか?」
 また袖を引っ張られる。
 恐る恐るサスケを見ると、もう画面から目を離し、半開きの目でカカシを睨んでいた。
 いろんな言い訳が頭を駆け巡るがサスケを納得させられそうな答えには至らない。
「……き、」
「き?」
「……もち、いい、からだよ……」
「気持ちいい? エッチなことって気持ちいいのか?」
 ああ、もうだめだ。
 こんなことを知ってしまったらやりたがるに決まってる。
 
『あんっ! あっぁっイクッイクッイっちゃう!!』
 嬌声が一段と大きくなっていく。
「なぁカカシ」
「ごめんもう勘弁して」
 カカシはサスケに手のひらを向け、顔を背けた。
(イクって何って聞きたいんでしょどーせ)
 サスケが汗かいて真っ赤になる予定が、カカシの方が汗をかいて顔を真っ赤にしている。
 どうしてこうなった。
 これからどうなってしまうんだ。
 一刻も早くサスケのそばを離れたくて、カカシは立ち上がる。が、くん、とガウンの裾を引っ張られる。
「ろこいくんだ、カカシぃ」
「……っ、トイレ!」
 果たしてあの空間から脱出できたカカシは、どっと汗をかいていた。
 やばいやばいやばい、諦めるどころか普通に勉強してるし! 道端に落ちてるエロ本のおっぱい見てギャーギャー騒ぐ年頃なんじゃないの? 真面目なの? バカなの?
 と、ここでサスケがアカデミーを主席で卒業しているのを思い出す。そんなサスケが勉強だと言われたら、真面目に覚えようと取り組むに決まっていたのだ。
 エッチなことは気持ちいいんだと学んでしまったサスケが次に言い出すことはわかりきっている。
 それを断るマジックアイテムはもうひとつしかない。
(俺たちはまだ恋人でも何でもないでしょ。うん、これだ。)
 
 カカシとてサスケのことが嫌いなわけじゃない。大切な仲間だし、教え子だ。それ以上の関係なんて考えたこともなかったけれど、サスケがカカシのことを好きだと言ってからは少しだけ意識してしまっている。ましてやブカブカのワイシャツ一枚で無防備にくつろいでいるのだ。正直言ってその姿は端的にエロい。男の子相手に何を考えてるんだと思うものの、端正な顔立ちでスカしてるサスケが普段見せない顔を、姿を、惜しげもなく垂れ流すのは俺の前だけであってほしいとも思ってしまう。
 ……いやいやいや、え? 何? 俺今何考えた?
 モヤモヤする胸の中、理性の糸を必死にたぐりよせる。
 ああ、サスケをからかおうとなんてしなければよかった。勉強なんて言わなければよかった。あの子はど真面目に、俺のことを好きなんだ。
 後悔と罪悪感が胸をよぎる。
 そんなサスケの好意を今から冷たく断らなければいけない。胸がずきりと痛んだ。これは真面目なサスケの思いを好奇心で弄んだ俺の罪だ。
 
 カカシがトイレから出ると、ビデオはもう止まっていて、サスケはソファにクタッと身を預けて目を閉じていた。
(寝たか……? 
 カカシが静かに近づき、サスケの前髪にサラ、と触れると、サスケがゆっくり目を開ける。
「……カカシ?」
「サスケ、今日はもう寝るよ?」
 サスケを立ち上がらせようと手を差し出すと、サスケは両手でその腕を掴んだ。
「しないのか? えっちなこと。俺勉強したぜ?」
 サスケの酔いは少し覚めてきたようだった。まっすぐな瞳がカカシの目を射止める。
(言うんだ、言うなら今だ)
 カカシはごくりと唾を飲む。
「それはね、本物の恋人になってから。俺たちは恋人じゃないだろ?」
 言いながら、カカシは胸がモヤモヤし始める。
 サスケは目を見開いた後、カカシのガウンの胸元を掴む。
「さっき"まずは"勉強だって言った! なら次は本番じゃねーのか!?」
 ……言ってしまった気がする。でも、折れるわけにはいかない。
「エッチはね、恋人同士がするものなの。だから今はだーめ。な?」
 言い聞かせれば、サスケは察して諦める子だった。少なくとも今までは。でも今は違った。
「……あんたは、……わざと思わせぶりなこと言ったのか? それとも気まぐれか? ……俺を、おちょくってるのか?」
 どこまでもまっすぐな瞳にまた胸がずきりと痛む。
「結果的にそうなっちゃったことは謝るよ、ごめんね。本当に俺のことを好いてくれてるって気がつくのが遅かったんだ。だからサスケを試すようなこと言っちゃった。それは本当にすまないと思ってる。」
 カカシのガウンを掴む手の力が弱くなり、するっと下に落ちる。
「俺じゃ、だめなのか、カカシ」
 さっきから胸がもやもやして、ズキズキ痛い。
「……ごめんね?」
 かろうじて言葉に出せたのは、謝罪だった。
 謝罪は、拒絶の意思表示だ。
 サスケは今、失恋した。
 カカシの家に来て、カカシの服を着て、エッチの勉強して、今からカカシとするんだなんて浮き足立ってたのがバカみたいだ。
 思わせぶりなことを言われて、喜んで、もしかしたらカカシも、なんて思ってた自分を殴りたい。
 いっそカカシにとって都合のいい関係でも構わない。
 それなら、もしかしたら、振り向いてくれる時が来るかもしれない。
 
 サスケは顔を上げ、再びカカシを見る。
「せっかく勉強したんだ。……アンタだけでも気持ち良くなってくれ」
 そう言ってカカシの腕をぐいと引っ張り、ソファに座らせた。股間に手をそわせガウンをはだけてパンツを下ろすと、サスケは躊躇いもせずカカシのそれを口に咥える。
 
 流れるような動きに抵抗することを忘れてしまっていたカカシは、そこを咥えられ、舌で亀頭を刺激されると、いやでも反応せざるを得なかった。徐々に血流が集まってくるのを感じ、少しずつ硬くなるそれに気をよくしたサスケはビデオのお姉さんのように下から上へそれを舐め上げる。
 そして唾液をたっぷりそれに絡ませて、口をすぼめて頭を上下に動かし始めた。
「っサスケ、やめなさい、……っ」
 カカシはサスケの頭を掴むが、サスケはチラとカカシの顔を見るだけで、フェラチオはやめない。
(初めてのはずなのに、なんでこんな上手いのっ……!? 
 咥えながら、サスケは器用に舌を動かし、上下に裏筋を舐めたり、カリの周りを刺激する。
(やばっ、出そう……! 
 カウパーが溢れ出るのを舌ですくい取り、亀頭に撫でつける。その間も頭を上下に動かし扱くのをやめない。
「サスケっもういいから……っ!」
 しかしそれを合図に、サスケは唾液でじゅぼじゅぼと音を立てながら動きを早める。
「っ……も、出る……!」
 カカシが言うのと同時に、サスケの喉の奥にビューッビューッと勢いよくカカシの精液がほとばしった。
 
 はぁ、はぁ……
 荒く息をするカカシに、サスケは舌を出して今出たばかりの精液を見せつけ、そして口を閉じてゴクリと飲み下した。
「……あんまり美味くはないな……」
 その一連の流れを、カカシは呆然と見ていたが、サスケはカカシの顔の前にずい、と近付くと、カカシの目をまっすぐ見て「気持ちよかったか?」と聞いてくる。
「……うん、……よかった、よ。」
 思わず本音が出てしまった。が、それを聞いた、まだ頬がピンク色のサスケが目を細めて満足気な顔をしたから、ああ、本音を出してよかったんだとカカシは思った。
 
 ……本音? 俺の本音って?
 サスケの格好がエロい。太ももに触れてシャツを捲り上げ、エロいこといっぱいしたい。
 でもそんな姿他の奴には絶対に見せてほしくない。
 俺の前だけで見せてほしい。
 サスケが普段見せない全てを独り占めしたい。
 これって、もしかして。もしかしたら。
 
 本音でぶつかってくるサスケに絆されたのかもしれない。
 だって俺はサスケの上司で、先生で、サスケはまだ子どもで、男の子で……そんなものは建前だ。
 本音を曝け出したら。
 曝け出したら俺は、もう元に戻れないような気がして怖かった。
 俺の目をまっすぐ見るサスケの思いに本音で応えるのが怖かった。
「……俺も、サスケのこと気持ち良くさせたい。」
 建前がガラガラと音を立てて崩れると同時に、胸のもやもやが晴れていく。
 サスケは戸惑った顔で、カカシから離れようとした。
「それってどういう……」
 最後まで言わせる前に、カカシはサスケの言葉を遮って顎をつかみ、口布を下ろし、キスをする。
 歯列をなぞり、舌を絡めると、サスケもそれに応えて舌を絡めた。
 事前にビデオで勉強したからなのか、さすが優等生、飲み込みが早い。
 カカシが唇を離すと、もっと、と言わんばっかりにその後を追ったサスケだが、カカシの素顔が目の前にあることに気がついて、目を見開いた。
「あんた、顔……」
 言いかけたサスケの唇に、カカシは人差し指をあてる。
「みんなには、このことは内緒。いいね?」
 黙ってこくりと頷くサスケ。
 その間に、カカシの手はサスケの太ももをさわさわと撫で始めていた。
 そしてススッとワイシャツを捲り上げ、その奥にあるサスケの小さなそれにたどり着く。
 それは小さいながらもしっかりと勃ち上がっていて、カカシが軽く握るとサスケは息を呑んだ。
「っ、なぁ、ハッキリ言え。何でこんなことするんだ。俺は本当の恋人になれないんだろ。まだ俺をからかってるのか?」
 ゆるゆるとサスケのものを扱きながら、カカシは照れたように目を伏せる。
「俺も……本音出そうかなって思ってさ」
「……は?」
「お前の上司だから、先生だから、男同士だから、年の差があるから、ダメだって思ってたんだけど。」
「……っ、喋りながらっ、そこ触んな……!」
「本音ではね、今すっごくサスケのこと抱きたい。ダメな大人だよね。先生のくせにさ。」
「抱きたい……?」
「エッチなことしたいってコト」
 カカシと目が合う。
 サスケは口を開けたままぼーっとして、そして顔がカーッと赤くなった。
「だからね、サスケにも気持ち良くなって欲しい」
 サスケのそれを握る力が僅かに強くなる。リズミカルに上下する手は大きくて、サスケが自分でするときよりも大きな快感を運んでくる。
「っ、はぁっ、は、」
「気持ちいい? いきそう? いっていいよ。出してごらん。」
 その声色はいつになく優しい。
「っきもち、いい、だめだっ、もうっ……!」
 ピクンとサスケの身体が跳ねる。
 同時に、カカシの手の中にサスケの精液が迸った。
 はぁっはぁっと頬が紅潮したサスケが大きく息をする。
「ちゃんと出せたね。」
 カカシはウェットティッシュでその手を拭くと、まだ息の荒いサスケを抱き上げた。
「っちょ……! 何すんだ!」
「ビデオで見たでしょ、次はどこに行くんだっけ?」
「………ベッドの上」
「正解」
 西側の窓に面したカカシの寝室。
 枕元にある写真立てをそっと伏せて、サスケをベッドの中央に寝かせる。
「優しくするけど、最初は痛かったり苦しかったりするかも。ごめんね?」
 そう言いながら、カカシはガウンと下着と口布を脱ぎ去る。
 その股間はギンギンに勃起していて、ついさっき射精したばかりとは思えない。
 さわっ
 カカシの手が、サスケの太ももを撫でる。
 触れるか触れないかという絶妙な手触りにサスケはゾクゾクする。
 膝小僧を撫でたかと思うと、太ももの内側に行ったり、その手は止まらない。
(……こんな、ことで……っ)
 サスケは確かに快感を感じていた。
 もう片方の手は、器用にサスケのワイシャツのボタンを外していく。
 あらわになった小さな突起を認めると、カカシはそれに口づけ、舌でコロコロ転がしたり、チロチロと舐めたりする。
「……なんか、くすぐったい……」
 カカシが口を離すと、そこはツンと隆起していた。
「……そう?」
 摘んで軽く引っ張ると「っん!」と声を漏らす。
 その声に気を良くしたカカシは、もう片方の突起も丹念に舐め始めた。
「……は、……ぁっ」
 太ももを撫でていた手は、今はサスケの腰にある。その手が腸骨の上を撫でた途端、サスケの身体がビクンと跳ねた。
「んっ……‼」
「……ここ?」
 カカシの手がその一点に集中する。
「っあ、だめ、そこっ……!」乳首から唇を離し、手とバトンタッチ。
 軽いキスの後、れろぉっと舐められると、サスケの身体がビクビク跳ねる。
「待てっ、そこは、んっ、やめっ……!」
「……性感帯かな? そういう時はイイ、モットって言うんだよ。」
 言いながら、寝台の引き出しからローションを取り出し、手にとろっと垂らす。
「後ろ、入れるね」
 サスケの膝を折って見やすくなった後ろの穴に、ローションでコーティングされた中指がぬるっと入る。
「……っぁ」
 異物感にサスケは顔をしかめた。
 ググッと中に入ってくる指を身体はキュウキュウと締め付け拒もうとする。
「サスケ、力抜いて……」
 中指を入れたまま、カカシがサスケの唇を塞ぐ。舌を絡ませ、歯茎をなぞると、サスケの緊張が解けてくる。
 カカシは何かを探るような動きで指を出し入れし、じゅうぶん慣れたところで指を一本増やし、また出し入れを繰り返す。
「っ、ん、んっ、……んんんっ!!」
 果たしてカカシが探していたところが見つかった。
 唇を離し、サスケが感じたところを重点的にマッサージすると、サスケは敏感に反応する。
「あっ、っ、あぁっ、は、カカ、シ、そこっ、そこっ……!」
「わかってるよ、ここ、イイんだよね?」
「だめっ、やっぁ! あっぁっ、やめっ……!」
「指、増やすよ……」
 異物感がいつの間にか快感に変わっていた。
 指が増えるたびにその波が大きくなっていく。
「あっぅ、は、んんっ……! あっ、あっ、あっ!」
 ぐぽっぐぽっとローションの音が響く。
 カカシは自身にゴムとローションをつけて、指を引き抜いた。
 ぽっかり空いた穴に、サスケは寂しさを覚える。
 しかし目下カカシがそそり立つそれを股間にあてがっているのを見て、ごくりと唾を飲んだ。
(………入れるんだ、アレを……)
 カカシはヒクヒクと収縮する穴にそれを押し付ける。
「入れるよ……?」
 グッと力を入れて入ったのは亀頭の先っぽだけだ。
 すぐに腰を引いてぬるんとそれが抜ける。
 またググッと入れると、今度は亀頭全体が入る。
 そしてまた腰を引く。
「痛くない? 大丈夫?」
 サスケの前髪にサラッと触れると、ハァハァと荒い息を繰り返すサスケが「痛く、ないっ……」と答える。
 
 嘘だ。
 いくらローション使ってるからって、痛くないわけがない。女の子でさえそうなんだから、サスケも我慢してるだけだろう。
 カカシは亀頭だけのピストンを繰り返す。少し奥に入れてみたり、浅く入れたり。
 ぬぷっぬぷっとローションが泡立ってくる。
「はぁっ、あ……、んんっ、っあ……」
 サスケも亀頭の出し入れには慣れてきたようだった。
 本番はここからだ。
「次、もう少し入れるよ」
 そう宣言してから首すじにチュッとキスをして、それをぐぐぐっと奥に入れる。
「っあ、あ、あ、」
 これで半分くらい。
 サスケのいいところに当たるよう角度を調整して、今までよりも早めのピストンをするが、まだ奥まで入れない。
「あっ、あぅっ、そこっ、あ、あっ、ぁっ」
 サスケは、喘ぎながらビデオの女性を思い出していた。ひっきりなしに響く嬌声。まるで今の俺じゃないか。
「カカ、シ、あぁっ、あ、はぁっ、あっ、…っ!!」
「っは、きつ、サスケ、奥までいい?」
 言われて見たカカシの顔は、余裕無さげに浅く息をして、情欲を隠しきれていない色気で溢れていた。
 俺に、興奮してる? 俺のために、我慢してる?
「っカカシ、あんたはっ、あんたもっ、気持ち、いいか?」
「……うん、すっごく。もっと気持ち良くなりたい。いい?」
 視線が交差する。
 カカシはサスケの腰を掴んだ。
「入れるよ……っ」
 ずぷぷぷぷっ!
「っ……あ……うあ……!!」
 じわりと汗が滲むサスケの額にキスをする。
「大丈夫?」
 浅い呼吸を繰り返しながら、こくりと頷くサスケ。
 カカシもそろそろ我慢の限界だった。
「ちょっと激しくするよ」
 かつてない速さのピストン。もちろんサスケの感じるところを擦りながら。
「っひ、あっ、あっ、ぁあっ! あ! っあ! ぁっ!」
 サスケがシーツを握りしめ、シワができる。
 その質量とピストンに翻弄され、馬鹿みたいに喘いだ。
 気持ちいい、苦しい、気持ちいい、気持ちいい。
 カカシが、カカシのが、俺ん中に。
「あぅっ、あ、はっ、あっ! んぁっ、ああっ! だめっ、だめっ! 出る、もう……!!」
「出していいよ、っ」
「っあああ! あ、あっ! ああっ!」
 サスケのそれがピクンと動きピュッピュッと白濁液が出る。
 だがカカシは律動をやめない。
「あっ! ああっ、ンッ! っふ、あっ! あっ、あっ、あっ、…っ‼」
「はぁっ、きもちい……っ」
「えっあ――、あっ、ぁ、あっ! あっ、‼」
「サスケっ、俺もいくっ……!」
 一層激しいピストンになったかと思うと、カカシはサスケの最奥で動きを止め、ゴムの中に精を放った。
(あ……ピクピク動いてる……)
 そして、サスケの上にどさっと倒れ込んだ。
 
 ハァッハァッハァッ
 肩で息をする二人。
 まるでひとつになったみたいに、同じ早さで、同じ深さで呼吸している。
 サスケはそれが心地よかった。
「カカシ……俺、あんたのこと、好き」
「……ん、俺も。サスケのこと好き」
 額を合わせ、ふふっと笑って、触れるだけのキスをすると、カカシは起き上がってサスケの中に入ったままだったそれを引き抜いた。
「シャワー、一緒に浴びる?」
「聞かなくても、わかるだろ」
 また二人で笑って、寝室を後にする。
 
「おーい、サスケェ!」
 ナルトがサスケに向かって大きく手を振る。
 何か用があるらしい。
「どうした?」
「いやさ、ゲジ眉先生が極秘任務中止とか言い始めたんだってば」
「中止?」
「顔が腫れてたからあれ多分、カカシ先生にバレてぶん殴られたんだと思うぜ。」
 ナルトの後ろからサクラが顔を出す。
「ちょっと残念よね、見たかったな~カカシ先生の顔」
『みんなには、このことは内緒。いいね?』
 
 サスケは顔が熱くなるのを感じて、二人から顔をそらした。

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