痕跡

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成人向,超短編,原作軸,カカサス小説エロ,お付き合いしてるふたり,やおい

「ねぇ、舐めてよ」
 にっこり笑った右目、左手で下ろすズボンのジッパー。
 こいつは時々突拍子もなくこういうことをする。
「嫌だ。帰る。ひとりでシコッてろ。」
 読みかけの巻物をバックパックに押し込んで立ち上がった。そのままストストと歩いてまっすぐ玄関に向かうと、肩に置かれる手。
「やだ。帰さない。舐めて。」
 はぁー、と長めのため息をつく。こういうときは振り返ったら負けだ。頭掴まれて無理矢理口に押し込まれるのがオチだ。
 別に舐める事自体は……嫌い、なわけじゃ、ない。
 けど何の前振りもなく突然そんなことを言われても知るかとしか思わない。
「手ぇ、離せ。俺は帰る。」
 玄関の扉に手を伸ばすと今度は後ろから抱きしめられる。
「ごめん、帰んないで……。」
 出たよ、甘えモード。こういう風に出られると俺も強く言えないとわかっててこいつは平気で嘘をつく。だからって振り返ったら頭掴まれて口に押し込まれるのは変わらないのを知っているから俺は抱きしめる腕を振りほどく。
「嫌だ、帰る。」
「ねえ、お願いだから。」
「嫌だってんだろ。」
「サスケに舐められてガチガチに勃ったちんこでサスケのナカをぐちゃぐちゃに掻きまわして可愛い声聞きたいの無理強いしないからお願いだから舐めて。」
 想像して思わず顔が熱くなる。欲情されているという事実に俺は弱い。弱いからといってカカシの要求は変わらないわけだからここは冷たくあしらって帰るべきだ。
 でもカカシはいつもそんな俺の些細な迷いを敏感に察知する。厄介なことにこいつは俺が何に弱いのか熟知している。
「大丈夫いきなり突っ込んだりなんかしないから舐めてもらってる間にしっかりサスケのナカ指で広げていいところもたくさんマッサージして気持ち良くさせてから俺のぶっといの挿れるから最高に気持ち良くさせてあげるいつもみたいに。」
 すっかり赤くなった俺の耳元で低い声が囁く。
「だから、舐めてよサスケ。」

「んっ、ふ、ん、っ!」
 口におさまりきらないカカシのちんこを咥えながら、宣言通りにカカシは俺のケツの穴に指を挿れてぐちゅぐちゅとある一点をしつこく押してくる。
 そんなことされながらまともにしゃぶれるわけねえだろ、と思っても口はふさがっているしそんな舐め方でもカカシは満足らしい。
 時折頭を掴まれて喉の奥まで押し込まれてはえずき涙がにじむ。おい無理強いしないって言ったよなと言いたくてもやっぱり口はふさがっている。そうこうしている内に3本の指が入ったまま身体をひっくり返されて俺は仰向けにベッドに沈んだ。
 ローションでぐちゃぐちゃになった穴のナカでカカシは相変わらずそこばかり突いてくる。口が解放された今喉から出てくるのはその刺激に合わせて出てくる高い声ばかり。
「あぅ、あ、あっ!あっ、だ、だめっ、あっ!きもち、いっ、あっ、んぁっ!」
「気持ちいい?俺のちんこ挿れたらもっと気持ちいいよ?欲しい?ねえ、挿れて欲しい?」
 ……悪趣味。
 あとから振り返ればいくらでも悪態をつけられる。
 でもカカシの指で頭がおかしくなった俺はやすやすとカカシの意のままに言ってしまう。
「挿れ、早くっ、んっ!カカシのっ、欲しい、っからぁ!」
「ん、素直でよろしい。」
 くちゅ、と指が引き抜かれたかと思ったら、すぐにカカシのでかいそれがナカを押し拡げながら奥まで一気に入ってきて、思わず背を反らす。
「~~~っ!!」
 そこから先は気持ち良くてもう何が何だかわからなくなる。
 あそこを抉るように奥まで突かれてガンガン揺さぶられてひたすら声を上げるばかり。何かを考える余裕もなくただただナカの感覚を拾っては快感が脳を埋め尽くしていく。
 気がついたときには俺はカカシにしがみついていて、カカシも俺を抱きしめていて、そして奥に注がれた精液がじわっと温かく広がっていくのを感じている。
 多幸感でふわふわする頭をカカシの大きな手が髪をかき分けて撫でて、そしてはじめてキスをする。
 普通、キスは最初にするもんじゃねえのかよ。
「好きだよ、サスケ。」
 それも、最初に言うセリフじゃねえのかよ。
 ……まあ、いい、か……。
 多幸感にまどろみながら、こうしてようやく甘い恋人タイムがはじまる。
 俺は抱きしめられながらバカみたいにキスをして、ささやかれる甘い言葉に酔いしれる。
 
 なああんた、本当に俺のこと、好きなのかよ。
 だって、セックスの後にしか、キスしねえじゃねえか。
 好きだとも、言わねえじゃねえか。
 ……そんなの、ずるいだろ。
 せめてもの抵抗に、しがみつく背中に爪を立てた。
 カカシはフッと笑って、
「そういうのは最中にすることじゃない?」
 と全く意に返さない。
 俺のつけたひっかき傷で赤くなってるあんたの背中を見て、俺はやっと留飲を下げる。
 俺の残した痕跡が、消える前に新しい傷をまたつけて、そうしてひっかき傷だらけになってるその背中を見て、俺は満足する。
 ずっと傷だらけなままでいろ、ウスラトンカチ。
 ひっきりなしに降ってくるキスに応えながら、爪を立てている指に力を込めた。

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