蛇足の蛇足集

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小話集,超短編,カカサス小説

こたえ(成人向)

「んっ、あ、あっ、っあ!カカ、シっ、キスっ……」
 腰の動きを一旦止めて、サスケの唇を喰むように舌を差し込むと中がきゅううっと締まる。ぐっと奥まで押し込んでやるとピク、と震えてはぁっと息を吐いた。
「最近随分甘えん坊じゃない?」
 抽送を再開する。顔を真っ赤にしながら、それでも否定はしない。ただ腰の動きに合わせてこの年にしては高めの喘ぎ声を漏らす。それが可愛くて仕方がなくて、たくさんサービスをしてあげる。
 奥にぐりぐり、と押し付けたり、感じるそこばかり集中的に攻めたり、ぎゅっと抱きしめながらゆっくりとそこをなぞりながら奥までぐっと押し込んで一気に引き抜くいてやると、震えながら俺を抱き寄せる手に力がこもる。そうしていると時折サスケは俺の首にしがみつきながら「好き」だと漏らす。
 セックスをしていない時には「それはあんたとのセックスが好きだって意味だからな」と言っていたけれど、俺にはどうしてもこの「好き」が俺のことを好きだと言っているようにしか聞こえない。だから「俺も好き」と返してキスをすると、サスケの方から求めているように舌を絡めてくる。
「気持ちいい?」
「あっ、あ……っ、きもち、い……っ!んっ、ぁ、カカ、シ……っあ、好き……っ」
 ぎゅ、と力がこもるサスケの腕。ほら、こんな風に言われたら俺のことが好きなんだと勘違いしても自惚れじゃないでしょ?
「……俺も好きだよ、サスケ」
 キスをするとやっぱり、もっとと言わんばかりに舌を絡めてくる。こういうときは大体サスケは中イキする。
 一緒にイって繋がりながら抱きしめ合ってキスをして過ごして、そして浴室に場所を移して2回戦目がいつものパターンだ。

「ねえ、サスケさ、本当は俺のこと好きなんじゃないの?」
 脱衣所で服を着込みながらサスケに話しかけてみると、いつものように目も合わせず「セックスだけだ」と短く答える。部屋着を着終わったサスケのほっぺを両手で包み込んでその目を覗き込んでみると、みるみるうちに頬が色づいていく。
「本当にセックスだけ?」
「っ……それ以外に何があんだよ!」
 視線を左下にそらして、ほっぺを包んでいる俺の手を剥がすと、サスケはさっさと寝室に入って行ってしまった。
「……図星?……誤魔化し?……それとも本当にセックスだけ?」
 腕を組んで頭をかしげながら、あの反応を見るとやっぱり俺のことが好きなんじゃないか、と思ってしまう。
 好きなんだとして、どうやって認めさせようか。それともこのままサスケの言い分を聞いておいてサスケから言い出してくれるのを待ってみようか。
 なにしろサスケが俺を好きだと言ってくれたら俺はヒモから恋人に昇格する。そうなればずっとこの家に住み続けることもできるし寝室にも入れてくれるだろう。
 サスケと寝室で一緒に眠りたいという密かな目標だって叶うはずだ。
 リビングに布団を広げて寝そべりながら今後のプランを練っているうちに、いつの間にやら俺は寝てしまっていたらしい。
 次に気がついたのはサスケの蹴りが背中にヒットしたときだった。
「え?俺寝坊した?今何時?」
「……朝の5時。二度寝しようと思ったけど寝付けねぇから起こした。」
「俺まで巻き込まないでよ……ま、いいけど。」
 上半身を起こして軽く伸びをしてからサスケの方を見るが、室内はまだ薄暗く表情まで読み取れない。
 サスケはソファにどかっと腰を下ろして隣をポンポンと手で軽く叩いた。こっちへ来いということらしい。
 珍しいこともあるもんだ。と思いつつ布団から出てサスケの隣に座ると、今度は尋問が始まった。
 いつから今のヒモ生活をしてるんだ、何でそんなにセックスがうまいのか、何人の家に上がり込んできたのか、何であの日コンビニにいたのか、何で料理がうまいのか、そして……
「あんたは俺のことが好きなのか?なんで?どこが?」
 俺はどんな答えを望んでいるのかな、と思いつつ正直に話すことにした。
 まず目が合った時点でいい感じの子だなと思ったこと。顔も声もかっこいいのにセックスの時にはすごく可愛いくなること、美味しそうにご飯を食べてくれること、俺とのセックスを好きだと言ってくれたこと、……。
「俺はね、ずっとサスケと一緒にこの家に住みたいと思ってるよ。ヒモだからじゃなくて、サスケが好きだから。」
 にこ、と笑ってサスケの顔を覗き込んでみたら、ずっと黙り込んでいたサスケがぽつりと「俺も……」と呟いた。
「ん?……それは何に対する同意?」
「……いや、何でもねえ。聞かなかったことにしろ。」
「え、無理なんだけど。一緒に住みたい?好きだから?両方?」
「うるせぇな、答えねえぞ。」
「答えないと両方ってことにするよ?」
 サスケは覗き込む俺の頭を両手で押しのけて立ち上がり、洗面所に向かって行った。
 向かって行きながら、小さく「……勝手にしろ」と言ったのを俺は聞き逃さなかった。……ということは。……ということはだ。サスケも俺と同じように思ってくれている?サスケも俺のことが好きだってこと?
 後ろ姿を見送って、サスケらしい答えに微笑ましいと思いつつ嬉しさが込み上げてくる。
 なんだ、やっぱり毎晩のあの「好き」は、俺のことが……。そう思うと、もうだめだ。嬉しさが天元突破して洗面所に向かったサスケを追いかける。
 顔を洗っているサスケを後ろから抱きしめて鼻腔に届くシャンプーの香りを感じながらそのお尻に俺の股間を押し付ける。今すぐ抱きたい。今すぐに。
 サスケは顔の水分をタオルで拭き取ると俯いた。鏡越しに見えるその顔は戸惑いの色を見せながら朱に染まっていてもう我慢も限界だ。
 抱きしめていた腕を背中と太ももに移してくるっと抱き上げて寝室に向かう。
「っおい、何を……!」
「セックスに決まってんじゃん。嫌?」
「……嫌、じゃ、……ない、けど……」
 肘で寝室の扉を開けて中に入るとそっとサスケをベッドに下ろす。サスケはすぐに腕で顔を隠して「顔、見んな」と言ったけどもう遅い。鏡でもうその顔は見てしまったから。
「サスケ、大好きだよ。」
 おでこに触れるだけのキスをして、俺もベッドに上がり、サスケに覆い被さった。

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