アダルト用口寄せ触手生物に嬲られる話
任務で帰りが遅くなった日、サスケは出来合いのものを買って帰って食べようと商店が並ぶ大通りを歩いていた。しかし、流石に時間が遅すぎたらしくほとんどの店が閉まっていて、開いていてもお弁当類は売り切れの状態。
仕方ない、冷凍したご飯を温めて卵かけご飯にでもしようと思っていたところに、煌々と光る看板を見つけた。食べ物屋か……? ともかく行ってみると、近づくにつれその看板に書かれた文字が見えてくる。そこには『口寄せ屋』と書かれていた。食べ物ではなさそうだが、口寄せ屋という文字に興味を持って入り口に立つ。ガラス張りだが一面にピンク色のポスターが貼ってあって中の様子は伺えない。
そのポスターにも、「あなたにぴったりの口寄せ動物がここに!」と書いてあるだけで他の情報がない。
そっと入り口を覗いてみると、そこはさながらペットショップのようで壁一面にケージがあり、大型の犬やら蛇やら蛙やらが一斉に入り口から覗くサスケに注目する。
恐る恐る中に入ってみると、ケージの反対の壁には口寄せの契約書と思しき巻物がたくさん棚に入っており、看板の通り口寄せ動物を専門に扱うお店のようだった。
カウンターにいた店員が「いらっしゃいませ」とサスケに声をかける。
「いや、ちょっと看板が気になって見に来ただけで……買うつもりはない」と伝えると、店員はニコッと笑って「見るだけでも大歓迎ですよ」と中に入るよう勧める。
ケージの中にはいろんな種類の動物がいて、ほとんどが人と同じくらいの大型の獣ばかりだ。その全てがサスケを注目していて思わず後ずさった。
「こういうお店ははじめてですか?」
店員がニコニコしながらサスケの隣にやってくる。
「あ……ああ、口寄せ動物を売ってる店ははじめてだ……」
ケージの中にいる動物たちのねっとりとした視線を浴びながら答える。
「今は口寄せ契約はされているんです?」
「いや、俺は今はまだ何も契約してない」
「そうですか、そうですか、そんな方にもお勧めの動物がありますよ。」
「俺は買う気は……」
「一週間お試し頂けます。お気に召したら買って頂ければと。お気に召さなければお戻し頂いて結構ですから。」
「気に入ったらって言われても……いくらぐらいなんだ? それ。」
「安いものなら一万円から、高いもので百万円までとりそろえております、ええ。例えばこちら……」
店員がカウンターに絵巻物を広げる。これは……? ふさふさの毛が生えていて尾も長い……犬、に近い……いや、狼か……?
「百万円のものだとこのフェンリルのような幻獣もお取り扱いがございます。一万円のものですと……少し難がありますがこちらのような、ミノタウロスもお取り扱いがございます。」
……普通の犬や猫……の取り扱いは、ないらしい。幻獣と呼ばれるジャンルの生物ばかりが並んでいる。
興味深く絵巻物を見ていると、ひとつ明らかに異質な物が混じっていた。植物のようだが、大小様々な茎の一本一本がうねっておりその先に蕾や花がついている。その根本には大きな目と口? がひとつずつ。一応、生物らしい。
「ああ、お目が高い。これは当店でも人気の商品で五万円という安価ながら様々な用途にご利用いただけるものでございます。おひとりで楽しむもよし、敵に使うもよし、……ひとたび手懐ければ強力な口寄せ動物としてお使い頂けます!」
「楽しむ……?」
「はい、皆様にご満足いただいております。きっとお気に召すかと。」
「ふーん……」
この、見た目気持ち悪いのが? 人気?
よくわかんねえ店だな……。
「やっぱ、いい。邪魔したな。」
「お待ちください、お試しだけでもいかがですか? どの動物でも一週間無料でお試し頂けますよ! 例えば、このフェンリルでも!」
「試したところで俺には買えねえし……買えたとしても、その難あり? のミノタウルスか、その気持ち悪い植物みたいなやつくらいだ。」
「ではぜひこのフィアカスプラントをお試しください! お試し頂くだけでも結構です!」
この気持ち悪いやつの名前はフィアカスプラントというらしい。聞いたことのない名前だ。
「いや……きもちわりいし……そんなの口寄せしても恥ずかしくて使えねえよ。」
「そう言わずに、まずはご自身で実物を見てからでも! さあ、さあ!」
店員に左手を引っ張られ、強引に親指に朱肉をつけられてその指を巻物に押しつけられる。
「っおい、勝手に……!!」
「これでお試し頂けます! ぜひ口寄せしてみてください、きっとお気に召します!」
……サスケはこんな気持ち悪い生き物を口寄せする気はさらさらなかったが、無料なんだし呼び出さなければいい話だ。
「わかったよ、わかったから手を離せ!」
店員が握る手を力ずくで外して、朱肉のついた親指をポケットティッシュで拭く。
「こちらの巻物が取扱説明書になります。ぜひお楽しみを!」
だから楽しむって何なんだよ……。
まあいい、一週間後に返品に来ればいいだけの話だ。
押し付けられた巻物を片手に、サスケは店の外に出た。
家に着くと、その巻物を机の上に放り投げて夕食の準備を始める。
しかしそれにしても強引な店だったな……勝手によくわからない生き物と契約させられて……。
だんだん腹が立ってきた。
絶対に口寄せしないと心に決めて布団に潜る。
任務で疲れた身体はすぐに眠りに落ちていった。
翌日、演習が終わった後サスケはカカシに話しかける。
「なあ、あんた『フィアカスプラント』って知ってるか?」
「フィア……何だって?」
「『フィアカスプラント』だ。」
「いや、聞いたこともないな。何なの? それ。」
「知らないなら、いい。気にしないでくれ。」
サスケはさっさと家に帰って行った。
カカシが首を捻る。
どっかで似たような名前を見たことがあるような……?
しかし、思い出せない。
わからない単語を聞くと調べてみたくなるものだ。
カカシは木の葉の図書館に足を向けた。
サスケが家に着くと、机の上にある巻物が目に入った。
……取扱説明書、って言ってたな。
何となしにそれを開いてみると、まずは口寄せするための印が紹介されていて、次に絵巻物で見たあの気持ち悪い姿が描かれている。
注意書きには、「最初は一人のときに口寄せしてまず手懐ける必要があります」と書かれている。
が、肝心の手懐け方は載っていない。
……馬鹿馬鹿しい。
巻物を放り投げてサスケは鍛錬の準備をし、また家を出た。
一九時過ぎに家に戻ったサスケは、食事の用意をしながら印を結ぶ練習をしていた。いかに早く印を結べるかは戦いにおいて重要だ。何度も、何度も、同じ印を繰り返して身体に覚えさせる。そこに、ふと使ったことのない印を思い出した。何の術だったか? 思い出せない。
確かー……チャクラを込めずにその印を結ぶ。やっぱり記憶にない術だ。部屋の中で見知らぬ術を使うのは躊躇われたため、コンロの火を消して外に出る。少し歩いたところにちょっとした森がある。そこで試してみよう。
森の奥の人気のない場所まで来て、改めて印を結び、チャクラを練った。
ぼぼん、と目の前に煙が立ち込める。
「けほっ、何っ……だ………………あ」
徐々に晴れていく煙の中に姿を現したのは、うねうねと動くさまざまな太さの茎をたたえた、ひとつ目の化け物。
「………っ!! !」
しまった、こいつを呼ぶ印だった……!
しかも取説全部読んでないから戻し方もわからねえ……!!
うねる茎が一斉にサスケの方に向かってくる。
思わず火遁の印を結び業火球を浴びせるが全く効いている様子がない。
しゅるる、と左足にその茎が巻きつき、右腕も取られ、グンと本体に引き寄せられた。
「っちょ、俺はてめぇを呼んだ主人だぞ! 言うこと聞け!! 離せ!!」
ヒトの言葉が通じるのかどうかわからないが、思わず口に出る。しかしそうしている間にも、右足にも、左腕にも茎が巻きつき、完全に動きを封じられてしまった。
そのサスケの上に、先に花がついた茎が次々と伸びてきて、その花の中央で蠢くおしべから蜜のような物が垂れてくる。
「言うこと聞けって言ってんだろ!! やめろ!!」
その開いた口の中にも花がついた茎が入ってきた。そして口内に直接流し込まれる甘い蜜。
「んっぐ、んんっ、むぐ、っんん!」
口の中に入ってきたそれをごくりと嚥下すると、身体の中が急激に熱くなっていく。
いくつもの花から蜜を垂らされ、身体がドロリと濡れていった。甘い香りのするそれは鼻腔を通って脳の神経に届き、サスケの身体に異変を起こし始める。
「っな、」
心臓がバクバクと鼓動する。それに合わせて、呼吸も荒くなる。つつ……と肌を滑り落ちていく蜜の感触に、痺れるような甘い刺激を感じた。
「う、あ、あっ、なっ、」
自分に何が起きているのかわからなかった。
そうしている間にも蕾をつけた茎が次々と伸びてきてサスケの服の下に潜り込んでいく。
身体中がゾクゾクする。呼吸がどんどん早くなっていく。これは、まさか、「催淫、効果っ!?」
気付いた時には手遅れだった。うねる茎がサスケのズボンを器用に下ろし、服をはだけていく。
「待てっ待て待てっ! っ俺はてめぇを口寄せした主人だぞっ……!! っあ」
パンツも下ろされ、サスケの局部が露わになる。
そこに花が近づき、サスケのそれを花弁で包み込んだ。
「っあ、あっ! や、ぁあっ!」
ドロリとした蜜に包まれ、触手のようなめしべだかおしべだかが中でうねうねと巻きつく。
「やっめ、あっ、はぁっ、っあ! あ、っぅあ!」
溢れ出た蜜は重力に従って垂れていき、後ろの穴に到達すると、サスケの身体がビクンと跳ねた。
「あっあ、あ、っあ! や、あ、あっ!」
むず痒いような痺れる快感が脊髄を駆け抜けて脳に響く。
「ぁあっ! あっ、やめ、あっ! はっ、っあ!」
そうしている間にも別の蕾が後ろの穴にぬぷぷっと侵入していた。
「ぅあああっ! はあっ、あっ! んあっ! あ、ああっ!」
穴の中で蠢く蕾がサスケの敏感なところをグチュ、グチュ、と押し付けながら奥へ奥へと入っていく。
あがないきれない快感になす術もなくサスケはただ喘ぐことしかできない。
蕾と花は身体中にまとわりつきその触手のようなおしべとめしべで舐め回すように全身に刺激を与え続ける。
「あ゛っ! あああっ! あ、ぅああっ! はっあ、あっん!!」
穴の中に身を潜めた蕾が最奥に到達すると、それはグチュッ、グチュッと卑猥な音を立てながら律動し始めた。
前立腺の裏をなぞり、最奥をノックされるたびにサスケはビクンッビクンッと身体を跳ねさせ、悲鳴のような喘ぎ声を出す。
「あ゛あ゛っ!! あっ、あ゛あ゛あっ!!」
もう完全に正気を失っていた。サスケは揺すぶられるままに喘ぎ叫び身体を跳ねさせる。
精通していないサスケのそこはただただ快感を拾うだけだ。
ここは夜の森の奥、その声は往来には届かない。
フィアカスプラントがその茎の動きを止める気配もない。
意識を手放したくても強烈な快感が脳を刺激し続けてそれすら許さない。
「んぁ、あ゛あ゛っ!! あっ、あうっ! あっ! あ゛っ!!」
そこに駆け寄る、四本の足音。
「カカシ! 鼻を塞げ!! この臭いは危険だ!!」
続いて駆けつける人影。
「サスケ!!」
「っぁん! あっ! あ゛ああっ! あっ! あ゛あ゛あ゛っ!!」
サスケの耳にカカシの声は届いていなかった。
カカシは鼻をつまんだが、口腔は鼻腔と繋がっている……口から入ってくるその甘ったるい臭気が、口内から鼻腔に、鼻腔から脳に伝わっていた。
まずい、息を止めなければ……!!
もう三回、吸い込んでしまっている。そのたった三回で、カカシのそれはギンギンに勃起していた。
カカシに向けて伸びてくる茎をクナイで切り落としながら本体に近付こうとするが、茎の数が多すぎる。
カカシは四体の影分身を作り、連携して茎に捕まらないよう避けて切り落としながらとうとう本体の目に届く位置まで接近し、手に持っていた液体入りの袋をその目に向けて投げつけた。
「ギギギギギ!! !」
茎の動きがピタと止まる。息を止めるのも限界だった。「っはぁっ、はぁっ、はっ、はっ……」
しかし周囲にはまだ濃密な臭気が漂っている。それを思いきり吸い込んでしまったカカシは全身の血が沸騰しそうなくらいの熱さを感じ、激しく脈打つ心臓に思わず膝を地面についた。
「っくそ」
サスケは茎に拘束されドロリとした液体に包まれながら「あ、あ、あっ、」と蕩けきった顔でまだその快感に震えている。
カカシは上がる息をもう一度堪えてクナイでバサッバサッと茎を切り落とし、サスケに絡みついている花や蕾をもぎ取っていった。その度にサスケの身体はビクンと跳ねて「ぅあっ、あっ、あっ!」と喘ぐ。
後ろの穴に入っている蕾も一気に引き抜くと、悲鳴のような声を上げた。
茎は残らず取り除いたが、カカシが触れただけでサスケはピクンと反応して「っあぅ!」と喘ぎ声を出す。息を止めたまま素早く印を結び、水遁でサスケの身体についた液体を押し流し、風遁で臭気を吹き飛ばす。カカシはようやくまた息をするが、さっき吸い込んでしまった臭気が多すぎた。股間に血流がどんどん集まり、浅い息を繰り返しながら裸で横たわるサスケを目前にしているといつの間にか手を伸ばしている自分に気がつく。
ドクン、ドクンと心臓の拍動が耳の奥に響く。欲しいものはすぐ目の前にある。
カカシはぐっとこぶしに力を入れると、サスケの肩を揺さぶった。
「っは、サスケッ、大丈夫か! はぁっ、サスケッ!」
その肩に触れた刺激で、またサスケの身体がぴくんと反応する。
「っああ! はぁっ、あっ……!」
サスケの喘ぎ声がカカシの脳内にこだました。
今、猛っている自らのそれで中にぐちゃぐちゃに突っ込むとどれだけの快感が得られるだろうか。
今サスケは正気を失っている。何をしたってどうせ記憶には残らない。絶好の機会だ。
「っああもう、しっかりしろ俺っ……!!」
そうだ、サスケの中にはまだあの蜜が残っている。搔き出してやらないと催淫効果は消えない。掻き出すだけだ。サスケのために、掻き出すだけ……。
右手の手袋を外す。
サスケの膝に触れてその足を開くとサスケはやはりピクッと反応して喘いだ。
その奥に指を深く差し込む。
「あ゛っ! あ、ああっ、あっ!」
ビクッ、ビクッ、と跳ねる身体。
ドロリとした液体を掻き出す度にサスケは震えながらとろとろに蕩けた顔で喘ぎ、カカシの神経を撫でていく。
指、だけじゃ奥まで届かない。
サスケのため、サスケのためだ、それなら、仕方ないだろ。許されるだろ。
カカシが前をくつろげガチガチに勃ち上がったそれをサスケの後ろの穴に添えると、一気に奥まで押し込んだ。
「はっ、ああああっ! ああっ! あっ、ああっ!!」
中がビクビクと痙攣する。蜜でドロドロになっている中、その蜜はカカシのそれにもまとわりつき、更に感覚が過敏になっていく。
「っ、はぁっ、くっ、サスケ、っ!」
自然と激しくなる抽送、すぐにカカシは精を放つが一回や二回で終わるほどの冷静さはもう残っていない。
組み敷かれたサスケはひたすらビクンビクンと身体を跳ねさせ痙攣しながら喘ぎ続ける。
「あ゛あ゛っ!! あっ! ああっ! ひ、あっ!」
「はあっ、っは、はっ、っく、はっ……」
十数回も出すとさすがに中はカカシの出した白濁液で溢れ始める。その流れに押されて、蜜も外に溢れ出てきていた。
「カカシ!」
誰かが呼んでいる。でもどうでもいい。もっと中を、もっと奥に、ぐちゃぐちゃにして、掻き回して……
「カカシいい加減にしとけ!」
腕に激痛が走った。目を向けると、パックンが噛み付いている。
ハッと目の前を見ると、ビクンと身体を震わせるサスケに深く挿入している自分のそれ。
「はっ、くっ……!」
「っは、あ、あああっ!」
サスケの中からぬるりとそれを抜くが、まだそこは勃起したまま刺激を待っていた。サスケの尻からは甘い芳香の蜜とカカシが出した大量の白濁液がごぽ、と音を出して流れ出てくる。
刺激が途切れたからか、サスケは完全に意識を手放していた。
「悪い、助かったパックン」
カカシはそれを無理やりパンツに押し込むと、ズボンのチャックを上げる。
パンツの布と擦れる度に、快感が脳に突き抜けた。俺ですらこんな状態で、直接蜜を浴び続けたサスケの身体は一体どれだけの快感を拾っているのだろう。
カカシが図書館で調べたのは、普通の植物図鑑ではなく幻想植物図鑑だった。五冊に分かれた分厚いその本のページを素早くめくりフィアカスプラントの名前を探す。
ようやく見つけた時には、もう夜更けになっていた。
『最初に見つけた人間をその蜜と茎で快楽漬けにし、体液という体液を啜り取る。その後は従順な僕としてその人間の命令に従うようになる。』
「……まさか、まさか、ね……。いや、念のため確かめた方がいいな。」
急いでサスケの家に向かい扉を叩くが、中に気配はない。
忍犬を口寄せしてサスケの痕跡を辿った先にあったのが、正に快楽漬けにされているサスケだった。
本に書かれていたフィアカスプラントの弱点は、酢だ。その大きな目に多量の酢をかけると、活動を停止する。
果たして、サスケの救出には成功したが……
水遁で蜜を綺麗に洗い流すもサスケはすでに正気ではなく、カカシが無我夢中で抽送を繰り返した時も、ビクンと跳ねて中を痙攣させ、大きく喘いでいた。
一体なぜサスケがこんな植物を?
抱き上げたサスケを部屋の布団に寝かせた後、ぐるりと見渡すと机に放り出された巻物が目に入った。フィアカスプラントを口寄せするための説明書……口寄せした後どうなるのかは、一切書かれていない。……悪質な、手口だ。
催淫効果が完全に消えるのは十二時間後。それまで、カカシは落ち着かない股間の昂りを抑えながらサスケの横について見守ることにした。
サスケが目を覚ましたのは八時間後。うっすらと開いた目を、カカシが覗き込む。
「……? カカシ……?」
起きようとして服が擦れた瞬間、サスケは
「っあ!」と身を震わせる。
「サスケ、あと四時間はそのまま横になってろ。」
十二時間経たないと、どんな些細な刺激にも反応してしまう。
「……悪い夢を、見た気がする……。」
言われた通り横になったまま、サスケがカカシを見つめた。カカシは気まずくなり視線を逸らす。……覚えていないのは、幸か、不幸か。
机の上にあった巻物をサスケに見せて、サスケに問いかけた。
「これはどこで手に入れた?」
「………あ、」
悪い夢、じゃ、なかった。
俺は、あの気味の悪い植物に…………。
「っ口寄せを、解かないと……!」
起きあがろうとして、またビクンと身体を震わせる。
「っはぁ、あっ、……っ!」
「今はもうあれは動いてない。人に危害を加えることもない。とにかく今は催淫効果が切れるまで時間が来るのを待て。話はそれからだ。」
カカシは額当てを上げて写輪眼でサスケの目を見た。
幻術にかかったサスケは静かに目を閉じていく。
カカシが改めて巻物を開いていくと、最後に口寄せを解く印と、『口寄せ屋』の判が押されているのを見つけた。
……口寄せ屋?
木の葉隠れの里に住んで長いが、初めて見る名前だった。
巻物の臭いを忍犬に嗅がせて部屋から出すと、忍犬はまっすぐに臭いを追って走っていく。
四時間後、再び目を覚ましたサスケに触れて反応がないのを確かめてから、起き上がるように指示した。
「で、この巻物だけど……これを売っていた店は、いわゆるアダルト用の口寄せ動物専門店だ。成人向けで深夜にしか営業していない。普通ならサスケみたいな子どもが入ってもすぐに追い出されるはずだけど……」
「追い出すどころか無理矢理指に朱肉つけられて、契約させられたぞ」
「しかもこんなゲテモノを……サスケもサスケだ、何でこんなのを口寄せしちゃったの。」
「アレを口寄せする印だと忘れてたんだ……完全に、俺のミスだ。」
「ともかく、あの店は今日の営業を開始したらすぐに摘発される予定だ。サスケがアレの口寄せを解いたら、この巻物は没収する。」
「そう、してくれ。………。」
うっすらと残る記憶の中で、フィアカスプラントだけではなく、俺はカカシ、にも、挿れられて喘いでいた。
あれは夢だったのか? それとも現実?
「なあ、カカシ……」
「………何?」
「アレから助けてくれた後……俺、カカシに……」
覚えて、いた。記憶に……残って、いる。
「……俺も、臭気にあてられて正気じゃなかった。……忘れてくれ。」
「……忘れられるわけ、ねえだろ。あんな……」
言っているうちに、サスケの頬が紅潮してくる。それを隠すように俯いて、顔を手で覆った。
顔を覆いたいのはカカシも同じだ。
いくら臭気に当てられたからと言って……上忍のくせにまんまとその罠に引っかかり、あまつさえ教え子とセックス、……しただなんて恥ずかしくて誰にも言えない。
それに正気ではなかったとは言え受け入れたサスケのメンタルも心配だった。おかしな植物もどきに良いようにされただけではなく、上司であり先生でもある俺に……されたわけで……。
どちらにしても俺の信用失墜は確実だろう。
「っ不可抗力だ! 不可抗力っ!」
サスケが大声を出す。自分を納得させようとしているかのように。
「だからあんたも忘れろ! 俺も忘れる! 二度とこのことは口にしない! それでいいな? それでいいだろ!」
「あ、ああ。」
……忘れる? サスケのあの嬌声を? トロトロの穴の中を? 蕩けきった顔を? ……無理難題だ。
だがカカシは表面だけは取り繕った。
「この話は、もう終わりだ。何があっても蒸し返さない。それで――それで良い、な?」
「そうしてくれ、……口寄せ、解きに行く。」
「念のため、二人で行こう。」
二人で森の奥へと歩を進める。
その場所には、枯れかけたソレが未だ臭気を撒き散らしてその場に佇んでいた。
あまり近くには寄らずに口寄せを解くと、ぼんっという音と共にその姿が無くなる。残ったのは甘い臭気と地面を滑らせるドロリとした液体。
「これも……始末しておかないとな」
カカシが風遁で臭気を散らし、土遁で液体が落ちる地面を陥没させ、新しい土をその上に載せる。
「これで、一安心だ。約束通り、この巻物は俺が没収する。その後は禁書扱いだ。」
「でもその店員……いちばん売れてるとか、そんなようなこと言ってたぞ……」
「一旦ああなれば、他の人が口寄せしてもあの状態だから大丈夫だよ。……サスケ、その、悪かった……。」
「元はと言えば、俺の責任だ。あんたが謝る必要はない……。あとその話はもう終わりだ。帰るぞ。」
「……そうだったな、帰るか。」
そうは言ってもカカシには震えながら喘いでビクビクと身体を揺らすサスケが脳に焼きついて離れない。
(……バカか、俺は)
カカシは悶々としながら先に家に向かうサスケを追いかけた。