甘くないけど、甘い

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全年齢,超短編,原作軸,カカサス小説お付き合いしてるふたり,ほのぼの,平和IF,甘々

 その日の夕方任務や演習を終えた七班、十班、八班の九人が第三演習場に集まっていた。
 話しあっている内容はハロウィンで何の仮装をするかだ。
 九人でそれぞれの先生三人の家に突撃してお菓子を貰おう、と言い出したのはナルトだった。キバがそれに乗り、イノとサクラも乗り気で、結果ルーキーズ九人が集まった。
「私は魔法使い! イノは?」
「サキュバスとか良いわよねー!」
「俺は九尾だってばよ!」
「それは洒落にならんのじゃねえのか?」
「俺は狼男かな。」
 盛り上がる面々を少し離れたところから見て、ため息をついているのはサスケとシカマルだ。
「ガキじゃあるまいし、バカバカしい。」
「なんでそんなめんどくせぇこと……」
 そんな二人のもとにサクラとイノが駆け寄ってくる。
「サスケ君とシカマルは仮装どうする?」
 サスケは踵を返した。
「お前らだけでやってろよ、俺は帰る。」
 そしてさっさと演習場を出て、自分のアパートに向けて歩き出した。

「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
 紅の家に仮装をした下忍の子どもたちが集まった。紅はあらあら、といった顔で「お菓子ね、ちょっと待ってて」と家の中に入って行くと、小包装されたお菓子の袋をひとりずつ渡していく。あらかじめ準備をしてくれていたらしい。
 手元に残った一つのお菓子を見て、子どもたちの数を数えると、八人。シカマルもイノの押しに負けてしぶしぶ一つ目小僧の仮装で参加していた。
「誰がいないのかしら? 皆仮装してるからわからないわね。」
 頬に手を置き、首をかしげる。
「いねえ奴のことなんていーんだってばよ! サンキュー紅先生!」
 大きくぶんぶんと手を振って、一行は次のアスマの家に向かった。
 
 カカシの家のチャイムが鳴ったのは十八時過ぎだった。
「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
 急に訪れた下忍の子どもたちに驚きつつ、
「ナルトのいたずらは洒落にならないな……」
 と言いながら家の中に入っていく。
 お菓子、といってもカカシ自身甘いものが好きじゃないから子どもに渡せるようなものは家にない。
「……みかんとかでも良い?」
「何でもいい……何故なら突然押しかけたからだ。」
 なんだかんだ乗り気なお化けの仮装をしたシノがそう言ったので、カカシはかごに入っているみかんをひとりずつ手渡しするが、八人しかいない事に気がつく。
「ん? サスケはいないの?」
「あいつは帰っちまったぜ。ノリの悪ぃ奴だからよ!」
 カカシはふうん、と言いながらみかんを渡し終えると、
「はい、ハッピーハロウィン。もう暗いから早く帰りなさい。」
 と玄関の扉を閉めた。
 
 夜半、コン、コンとノック音が聞こえて、寝る準備を始めていたサスケは玄関に向かう。
 こんな時間に誰だ、と扉を開けると、そこにはカカシがいた。
「お菓子を貰ってくれないといたずらするよ?」
「なんだそれ」
「ほら」
 ずい、と胸元に押し付けられたのは買ってきたままの酢昆布の袋。
「これ……お菓子なのか?」
「だってサスケ甘いのだめでしょ?」
 どいつもこいつもハロウィンか、浮かれやがって。
「わかった受け取ってやるからさっさと帰れ」
 サスケが酢昆布を手に取ろうとすると、スッと避けられる。
「仮装してよ何でもいいから。そしたらあげる。」
「じゃあいらねえ。帰れ。」
「ならいたずらする」
「どうしてそうなる」
 いたずらするのは子どもの方じゃなかったか?
 そうこうしている内にカカシは玄関で靴を脱いでサスケの部屋に上がってきた。
「ねえ仮装」
「やらねえよ」
「ならいたずら」
 サスケは大きくため息をつく。カカシは仮装かいたずらをしないと帰らないつもりらしい。
「……いたずらって何するつもりだ?」
 カカシはサスケに歩み寄って、耳元で囁く。
「言わなくても大体わかるでしょ……?」
 そのまま口布を下ろして、首筋にチュッとキスマークを残した。
「っ……! 見えるとこにつけんな!」
「仮装してくれなかったらもっといっぱいつける。」
「ああもうわかったよ何かに化ければ良いんだろ!」
 しぶしぶサスケが印を組むと、変化の術で頭の上に黒い耳、お尻に3本の尻尾が生えた猫又の姿になる。
「ほらよこせよ酢昆布。」
 差し出された手に、カカシが酢昆布を載せる。
「はい、酢昆布。」
 サスケが受け取った酢昆布をちゃぶ台の上に置くと、カカシは猫又姿のままのサスケを抱き上げて布団に降ろした。
「おい、仮装したらいたずらはしないって話だろ!」
「うん、ハロウィンごっこは終わり。こっからは俺とサスケの時間。」
「は?」
「今のサスケとしたい……だめ?」
 言いながらカカシはサスケの下半身をさする。
「俺の部屋だぞ、声が外に……」
「うん、だから声我慢してね」
「ちょ……んっ」
 カカシはサスケの唇を奪い、そのままその小さな身体の上に覆いかぶさった。

 

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