出会いのお話
欲望
落ち着くんだ、俺。
サスケが風呂場に入っていってから、カカシの一人反省会が始まった。
俺はボインなお姉さんが好きだったはずだ。
十二歳の男の子の射精見てムラついて理性飛ばすなんてことはあってはならないことだ。
たまたまサスケがクソ真面目だったから何でもなかった風になってるだけで、今後はこんなことがあってはならない。断じてならない。
サスケもサスケだ、これだけスケベな雑誌を前にピクリともしないなんてあいつはノーマルじゃないんじゃないのか?
俺のキスで「ヤラシイ気分がわかった」って、おかしいだろ、おかしいよな? いや一番おかしいのはサスケにキスしちゃった俺なんですけどね!
風呂場から聞こえていたシャワーの音が止まる。
中から出てきたサスケはまだ頬を紅潮させたままで、前髪からポタポタと水滴が垂れていて……いやいや、何を意識してるんだ俺は!
サスケは俺をチラと見た後、バスタオルを手に取り、顔を拭いた。
俺はおもむろにスケベな雑誌とローションを紙袋にしまい、イチャパラを開いて普段通りの俺を装う。
((あー……、どういう顔すればいいんだ……))
サスケの方をチラリと伺うと、偶然にも目が合って、慌ててイチャパラに視線を戻す。
ここは大人の男として動揺を見せてはいけない。なんでもない風を装うんだ俺。
サスケは黙々と体の水分を拭き取り、服を着ていった。
いつものサスケだ、そして俺もいつもの俺。
サスケは黙ったまま台所へ行き、コップに水を注ぐと、処方された薬を飲む。
「もう寝る?」
「ああ、少しでも寝る時間を増やさないとな。」
「そっか」
この調子、この調子だ。自然に。
「じゃあ俺も寝ようかなー」
立ち上がり、ゴソゴソと寝袋に入っていく。
サスケも布団の中に潜り込んだ。
しばらくすると、スウスウと寝息が聞こえてくる。
どっと疲れたカカシも、報告書は明日の午前中に書くことにして、寝袋の中で寝ることにした。
「ん……ぁん……はぁっ」
俺はボインなお姉さんの唇を貪るようなキスをしながら、おっぱいを揉みしだく。
「もぅ……ほしいの……お願い、頂戴……あん」
目を潤ませながら俺に懇願するお姉さんと俺との間につぅっと唾液の橋がかかる。
「それじゃ……いれるよ」
「早く……ん、ああっ……!」
ギンギンに勃起した息子をお姉さんのあそこにあてがうと、彼女は身体をくねらせ、俺のものを受け入れる。
「……っ! あぅっ……んっ」
奥まで突っ込み、抱きしめる……あれ? ボインな感触がない……?
「ぅあっ……カ、カシ……んっ……くるし……!」
そこには涙を浮かべながら、背筋をそらし、挿入に耐えるサスケの姿があった。
「えええええっ!?」
カカシがガバッと起きると、布団に横になっているサスケが「んぅ……」とモゾモゾ動く。が、目は覚めていないようだ。
(夢!? 何つー夢見てんの俺!? )
男の生理現象のひとつである朝勃ちが、今日は全く別の意味を持っているようで汗が出る。
後ろめたい気分でサスケを見ると、穏やかな顔でスヤスヤ眠っていた。
こんな子どもに、しかも男の子に、自分の生徒に、部下に、なんて事をする夢を見てしまったのか、罪悪感で頭がいっぱいだった。
俺も寝る前に一発抜いた方が良かったのかもしれない。サスケが起きないようにそろっと寝袋を抜け出すと、朝日の眩しい外に出て、屋根の上に登った。
「……しっかりしろよ、俺……」
春の日差しがあたたかくカカシを照らしていた。
昼過ぎからの演習は二日目だった。
短い時間でも濃密な訓練になるよう、三人のコンビネーションを高められる戦闘実践演習を行っていた。三人の相手はカカシだ。
サクラが戦闘を組み立ててフォローを入れ、サスケとナルトが近接攻撃を仕掛けるのがパターンになってきている。
俺も防戦一方ではなくポイントポイントで隙をついて反撃を仕掛ける。
「例えば――」
殴りかかるナルトの攻撃を避け、腕を掴み、関節を決めて首元にクナイを当てる。
「ヒッ……!」
「こうなった場合、どうする?」
サスケとサクラの動きが止まる。
ジタバタ暴れようとするナルトの関節をきつく締める。
「いででででて!」
「くそッ」
背後で爆発が起きる、サクラの起爆布だ。煙に紛れてクナイを手に上空に現れるサクラ。そちらに気を取られているとサスケがすでに足元近くまで接近しており、地面に片手をついてナルトを捕まえている俺の手めがけて蹴りを繰り出す。
はい、交代。
サクラの攻撃は空振りにおわる。ナルトを解放すると、今度はサスケの足を取って地面に投げつけ、背中を踏みつけた。
「なろー!」
ナルトが影分身で俺を取り囲み、一斉に手裏剣を投げる。
「そんなんじゃ……」
飛んでくる手裏剣をくぐって避け、ついでにサスケの腕を取って関節を固める。
「ぐっ……!」
「実戦だとここでサスケの腕が折られる。」
「サスケくん!」
「サスケェ!」
サスケは身体をくるっと反転させ、俺の腕を捻じ上げた。うん、良いね。
すかさずナルトのパンチが飛んでくる。
それに合わせてサスケが手を離して遠ざかり、その口から豪火球を繰り出した。
演習場に、衝撃音とともに煙が上がる。
「うん、良くなってきたね。今日はここまで」
手をパンパンと鳴らすと、三人の緊張がほどけ、「サスケくん! ごめんね」とサクラがサスケに駆け寄った。
「いや、俺もまだまだだ。」
「カカシ先生~関節技ってどう抜ければいいんだってばよ!」
「味方が捕まった時は相手と味方の力量を見極める。サスケは自力で抜け出せたね。簡単に言えば、見捨てるか助けるかの判断。それをするためにはお互いの力をよく知っておくこと、信頼すること。何でもかんでも臆していたらダメだな。」
「ナルトはサスケをちょっとは見習え、サスケはどうやって関節技から抜けた? 力で抵抗しても無駄。テクニックが必要だ。」
「む――??」
「んじゃっ明日も第三演習場で昼の一時からね。解散!」
解散、と言いつつ近くの木の上から三人を見守る。
演習はいつも通りにできた。そこはさすがに上忍として普通にできなければ情けない。
問題はこのあとサスケの家に行く時だ。
いや、悩みすぎるからおかしくなるんだ、普段通りに行けばいい。
と、思いつつ脳裏に今朝の夢がチラリとよぎる。
「~~~!!」
カカシは頭をぐしゃぐしゃとかきむしった。
なが乃にはあれからも毎日通っていた。
ただ、まかないのために皿洗いをするのではなく、一人暮らしに向けた料理の勉強をさせてもらいにだ。
板長からは「見て盗め」と言われており、忍術と似たところがあるなと感じながら包丁さばきや調味料を入れるタイミング、食材ごとの下ごしらえなんかを参考にしている。
問題は、自宅で同じことをしようと思うとかなりの量の調理器具を揃えなければならないという点だ。
下忍としての給料が出るとはいえ、末締めの翌一五日払いなので下忍になってまだ半月も経っていない今、先立つものがなかった。
正確には、里から孤児育成金という名前の手当が今まで出ており、まかないで浮いた分のお金をそれなりに貯金していたけれど、一度もその貯金に手を出したことがないので使いづらいのだ。
「サスケくん、おにぎり上手になったわねー、その調子よ!」
なが乃のひとり娘、つまり次期女将のお姉さんがサスケの頭をポンポンとなでる。
形を三角にすることはできるのだが、まだ塩加減の調節がうまくいかなかった。
おにぎりだけは板長ではなく女将が握ってくれたのだが、あの美味しいおにぎりは単にご飯を成形するだけでなく絶妙な塩加減と具のバランスで成り立っていたのだ。
「今日もありがとうございました」
「遠慮することないから、おにぎり以外も練習したかったら言ってよね。明日も待ってるわよ~」
手を振るお姉さんに応えて右手を控えめに上げる。お土産に自分で握ったおにぎりを持って。
喧騒から徐々に遠ざかり、アパートがある住宅街に入る。
サスケのアパートは住宅街を通り過ぎた先の、しなびた場所にある。
トントン、と外階段を上って二〇三号室の扉を開けると、パチンと電気をつけた。
すると、いつもはないものが目に入る。布団の傍らに置かれた紙袋だった。
(そういえば)
夢精しないためには、毎日抜いたほうがいいんだろうか。
そもそも昨日はだいぶカカシに手伝ってもらったから、自分一人でできるようになるために練習したほうがよさそうだ。
おにぎりを台所に置いて、雑誌のひとつを手に取る。
ズボンとパンツを脱いで、昨日のことを思い出しながらサスケのそれを弄った。
(あのヌルヌルしたやつ……がないと難しいな)
相変わらず雑誌の中であられもない格好をするお姉さんを見ても何も感じない。
雑誌を見るのを諦めて、「やらしい感じ」を思い出す。
熱い吐息とともにカカシが口布を下げ――唇と舌で口内が蹂躙される。「あの感じ」。
気がついたら、サスケのそれが勃っていた。この調子で、上下に扱いて……。
しかしなかなか射精にはいたらない。
コンコン
来訪者を告げるノックが鳴った。
サスケは慌ててパンツとズボンを履いて、玄関の扉を開ける。
「よっ。晩ごはんちゃんと食べた?」
口布の下でカカシの口が動く。ドキッと胸が高鳴るのを感じた。何しろさっきまでこの男とのキスを思い返していたのだ。
「ああ、なが乃で……おにぎりも作ってきた。」
「んー、いいね。じゃ、お邪魔するよ。……ん」
カカシが部屋の中を見て、ピタッと止まる。
その視線の先には、放り出されたスケベな雑誌とティッシュがあった。
(あ……! )
慌てていてそこまで気が回らなかった。
これじゃまるで抜いてる最中でしたと言わんばかりだ。
「あー、えーと。もしかしてホントに邪魔しちゃった?」
サスケの顔がカーッと赤くなる。
「いやその……良いんだ、うまくいかなかったし……」
カカシから顔を背け、雑誌を片付けた。
言いそうで、言えなかった。
(もう一度あのキスをしてほしい、なんて)
今日もしてたんだ……でもうまくいかなかったって、やっぱりお姉さんじゃサスケのは勃たなかったのか?
ここにいちゃいけないような気分になりながら、所在なさげに頭をぽりぽりかく。
脳裏に夢の中のサスケが浮かんできて、慌てて首を振った。
「なかなかやらしい気分ってやつにになれないんだ。」
耳まで真っ赤にしながら、聞いてもいないことを言うサスケ。
「んー、どうしたもんかねえ」
と言いながら、カカシはドキドキしていた。
この流れ、どうにかして変えたい……!
「ところでなが乃ではどうだ、料理の勉強は順調?」
「料理は順調……だけど」
コッチは順調じゃない、と言いたげな中途半端な回答だった。
「……どうしたらいいんだ? 俺ひとりじゃ、抜けねぇ。」
振り返ったサスケは、頬を染めて、うるんだ視線を泳がせながら、そっとカカシの服の裾を握る。
カカシの理性の糸が、はじける音がした。
「俺がいないと、うまくいかないの?」
どう言えばいいのかわからない。
「……やらしい感じが、思い出せないんだ」
「もう一度キスしてほしいってコト? それとも俺にしてほしい?」
「……っ!」
ドクンと胸が高鳴った。
カカシが手袋と額当てを外す。
(ほしい……)
あの甘いキスが、もう一度欲しい。
言えずに黙っていると、顎をクイとあげられ、カカシの顔がすぐ目の前に。
「言ってごらん、何が欲しいの?」
もう逃げられない。
「キ……ス……んっ」
カカシの唇がサスケのそれをふさぐ。ゆっくりと舌を絡めて、上顎をなぞる。サスケもそのキスに応えるように、舌を動かす。
「カカ……んぅ……」
心臓がはちきれそうだった。
パンツの中におとなしく収まっていたサスケのものが、ドクンドクンと血流を集め、苦しいほど勃起している。
カカシがサスケの股間に触れると、それはピクンと反応した。
「ちゃんと勃ってるじゃん」
「それはっあんたの……んんっ」
唇をふさぐ。舌を絡ませ合うと、つーっと唾液がサスケの顎を伝う。
服の上からギンギンに勃っているサスケのものをさすり、ズボンのファスナーを開けた。
「……っふ」
パンツを下げると、ぶるんっと元気なものが顔を出す。亀頭には透明の雫がパンツとの間に糸を引いていた。
その雫をヌルヌルと指で伸ばしながら亀頭を刺激する。
「……っぁ」
サスケの唇を解放すると、サスケはハァッと息をしながらうつむいた。
「自分でやってみてよ」
身体が熱い。キスで蕩けた頭。サスケはおずおずと自分の股間に手を伸ばし、上下に動かした。
「昨日の感じ、忘れちゃったの?」
耳まで真っ赤にしたサスケが、うつむきながらこくりと頷く。
「じゃあ、もう忘れられないようにしてあげる」
カカシはベストを脱いだ。
快楽をむさぼるようにサスケは手を動かす。その手に、カカシが自らの手を添える。
「ただ動かすだけじゃなくて、自分の気持ちいいところを探してみてごらん」
カリを集中的に扱くよう誘導する。
「っぁ、はぁっ、く……、んっ」
サスケの表情がエロくなっていく。カカシもまた、自身のそれが熱く硬くなっているのを感じていた。
「出るっ、カカシ、もう、はぁっ ……、っ……!」
最初のほとばしりはサスケのお腹の上に散った。
荒い息でくたっと座り込むサスケを見て、カカシは唇を舐める。
紙袋の中のローションを手のひらに垂らすと、カカシはサスケの後ろの穴に手を伸ばした。
穴の位置を確かめるようにくにくにと周囲を触り、その長い中指をヌルッと挿入する。
「な、に、うぁっ、やめ……!」
穴がキュウキュウ締まる。
「言ったろ、忘れられないようにしてあげるって。力、抜いて。」
指を二本に増やし、腸壁をつつつ、となぞっていく。
「ゃめっ、カカシっ……!」
サスケがカカシにしがみついて懇願するが、カカシはやめるつもりはなかった。
「っあ! あぅっ、あっ、そこ、なんかっ、あっ、んぅっ」
サスケの声色が高くなる。身体をビクつかせて、カカシの胸に顔をうずめる。
「ここ? ここが気持ちいい?」
サスケの反応したところをぐりぐりと撫でると、悲鳴のような喘ぎ声を出して首を振った。
カカシは指を抜いて、自らのズボンに手をかける。その中には、はちきれんばかりの怒号が収まっていた。カカシにしがみついていたサスケがその存在を認めると、「大き……い」と呆然と呟いた。
カカシはサスケを抱き上げると、薄っぺらい布団に運び、そっと下ろす。
手にはさらにローションをつけて、自身のそれになすりつけ、にゅぷにゅぷと音を出しながらしごいた。
「サスケ、いい?」
なにが――
返事をする前に、カカシはサスケのお尻の穴にそれをあてがう。
「待っ、それは……!」
ヌルン、と先端が入ると、サスケは背をのけぞらせた。
「あぅっ……!!」
先端を出したり入れたりするカカシは、再び勃起しているサスケのものをローションのついた手でシチュシチュと扱く。
「あっ、やめっ、カカッ、カカシ……! っぁ、……っ!」
色っぽい声が聞こえてきたところで、出し入れを繰り返しながら少しずつ奥へと腰を進めた。
「カカッシ、苦しっ、もうっ」
奥まで到達すると、ゆっくりと腰をグラインドさせてサスケが感じる場所を探る。
「っあ、あぅっ、そこ、あっ、」
苦しそうだった喘ぎ声が甘くなり、恍惚とした表情になった。
「ここ、ね……?」
カカシはぐっと力を入れ、サスケが甘い声を出すところを激しく突く。
「はぁっ! あっ、そこ、だめっ、んんっ、おれっ、へんになっ、あぅっ、カカ、シッ……! や、めっ……!」
サスケの額に汗がにじむ。荒い息がシンクロする。
「っ……、サスケ、サスケっ……!」
「っあ、カカシ、カカシ、っ……!」
腰の動きが早くなる。部屋にはパンパンと肌がぶつかり合う音が響いていた。
「サスケ、いくよ、いくっ……!」
「うぁっ、な、なに、んんっ! カカシっ、なにっ」
カカシがひときわ奥に突き上げると、サスケもまたひときわ大きな声をあげて、二人とも果てた。