耐薬訓練

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成人向,短編,原作軸,連載中,カカサス小説エロ,お付き合いしてるふたり,自慰

訓練開始

 その日、サスケはカカシにとある建物に呼び出されていた。連れられるがままに入ったその部屋は壁も床も天井も白く、天井の四隅にカメラが仕掛けてある他は何もない。
「カカシ、一体何を……」
 サスケが振り返ると、カカシは真面目な顔で答える。
「今から、耐薬訓練をする。最初の薬はこれだ。」
 10錠の薬が1シートにまとめられているそれを取り出し、サスケの手のひらに1錠落とす。
「まずは、一錠から。でもサスケはまだ何の耐性もない。よく効くはずだ。けど、耐えろ。耐えられたと判断できたら、明日はもう1錠増やす。最 終目標は5錠までの耐性を作ることだ。」
 手のひらに落とされた錠剤を見つめる。
「概要はわかったが、何の薬なんだ。毒か?」
「……飲めば、わかる。飲んだ後のお前の様子は俺がモニターで見ている。……俺以外は見ないし録画もされない。最初は戸惑ったり……するだろう が、訓練だと思って真剣に取り組むんだ。いいな?」
 真剣なカカシの言葉に、サスケも頷く。ともかくどんな効果が出ても耐える、それだけだ。心頭滅却すれば……やれるはず。
 カカシが水の入ったコップを手渡し、サスケはそれを受け取って薬を口に放り込み、水を一口飲む。飲んだのを見届けて、カカシは部屋から出て行き、そして扉が閉まった後、ガチャリと音がした。鍵がかけられたんだろう。

 サスケは部屋の中心で座禅を組み、効果が現れるのを待つ。その薬は徐々にサスケの体内を巡り始めた。……心臓の脈動が早くなる。それに伴う体温の上昇。呼吸も浅く早くなっていく。何よりもわかりやすいのはその局部の勃起。
 ……この薬は、催淫剤か。
 呼吸を整える。鼻から深く吸い込んで、ゆっくりと口から息を吐く。ドキドキと拍打つ心臓を落ち着かせるようにゆっくりとした呼吸を繰り返すが、薬の効果はまだ現れ始めたばかりだった。
 呼吸のコントロールが少しずつ効かなくなっていく。はぁ、はぁ、と口で呼吸し、バクバクと拍動し続ける心臓は局部に血流を集め続けた。ズボンが擦れるだけで強烈な刺激を感じてサスケはズボンとパンツを脱ぎ去る。そのまま、前に手をついて四つん這いの体勢で熱のこもる身体を少しでも空気に晒して冷まそうとするが焼け石に水だ。
 そこに触りたい、扱きたい、そうすれば少しは楽になるんじゃないのか。……いや、耐えなければならない。これは耐薬訓練だ。
 はっはっと浅い呼吸はもう制御できない。心臓の脈動も、身体の熱も、制御できない。出来るのは、「身体を動かさない」というシンプルなことだけだ。けれどそれもまた難しい。気がついたらそこに手を伸ばそうとする手を、もう一方の手で掴んで床に押さえつけた。
 しかし薬の血中濃度はまだ上がりきっていなかった。それまで保てていた意識が朦朧とし始める。意識が朦朧とすると身体を動かさないという簡単なことすら難しくなっていく。ぼんやりとしていく頭に喝を入れるために頭を殴ろうとするが、その腕に力が入らない。
 ポタ、と何か落ちた音がしたと思ったら、ガチガチに勃起したそれから滴り落ちた先走り液だった、糸を引きながらゆっくりポタ、ポタ、と落ちていく。このぬるぬるする液体を塗り広げて扱いたときの快感をこの身体はもう知っている。その勃起だけでなく後ろに指を沿わせて長い指が入ってきたときの快感をこの身体は知っている。
「ッ……」
 だめだ、そこから意識を外さないとたかが外れる。
 はぁっ、はぁっ、と荒く呼吸をして意識を逸らす。訓練。訓練だ。耐えろ、呼吸、することだけ、……考えろ。かんがえ……
 左手が動く。
 ……だめだ……止め……とめ……? ……?

 モニターの中でずっと四つん這いになって動かなかったサスケが左手を動かし自慰を始めたのを確認すると、やっぱり最初はこうだよなぁ、と自分の時のことを思い出す。誰にでも最初はある、それが成功する可能性は誰だって低い。ただでさえそうなのに、サスケはもうセックスを知ってしまっている。今の何の耐性もない状態のサスケがこういう薬を使われたら間違いなく自慰だけではなく男のそれを求めるだろう。だからこそサスケに早く耐性をつけさせたかった。
 モニターは画像だけで音声までは伝えてこない。けれど数回の往復で呆気なく射精して、まだなおうつろな目で扱き続けるサスケの姿はカカシにとっても刺激が強かった。今のサスケとしたらあの子はどれだけ求めるだろう、喘ぐだろう、イクだろう。そんなことを考えてしまう俺も、まだまだ訓練が必要だなと思う。
 たとえ恋人が目の前で催淫剤を盛られて前後不覚の状態になっていても、そして俺を求めてきたとしても、冷静に対処しなければならない立場だというのに。

 何度目かの射精で床に精液溜まりができていた。何度射精しても満足できない。身体がもっとと求めている。サスケが精液溜まりに手を伸ばすと、それはぬるりと指にまとわりつき、その感触に心臓の拍動が一層激しくなる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、ッ……」
 中指に精液をくぐらせるとサスケはその指を後ろの穴に沿わせて、ぬぷ、と挿れ始めた。
 きゅうきゅうと指を締め付けるその中は溶けてしまわないかというくらいに熱い。出し入れを繰り返しながら少しずつ深く差し込んでいく。
「ッあ、はぁっ、はぁっ、っは、」
 第二関節が埋まったところでサスケはビクンッと震えた。
「は、あ、あっ、あっ、……っ!」
 そこを探り当てた指は何度も何度もそこを刺激してまた射精する。
 指を2本に増やしてまたサスケはそこに指を埋める。
「っあ! あ、あっ! んっぁ、ぁあっ!」
 指を止めれない、止めたくない、もっと、もっと欲しい、カカシが欲しい。カカシ……カカ、シ、は?
「……っは、はっ、はぁっ、はぁっ、」
 夢中になって弄っていた指を抜いた。
「ッくそ……訓、練……!」
 耐えろ、耐えろ耐えろ耐えろ、穴の奥が疼く。前も刺激を待ち望んでいる。……敵前でこんな情けない姿を晒す気か。耐えろ、耐えろ、耐えろ。サスケは左の前腕に噛みついた。鋭い痛みが走る。痛みで気を逸らせろ。
「フーッ、フーッ、フーッ」
 息を吐け、深く吸え、思考力を失うな。
 ああ、カカシがこの場にいなくてよかった。
 いたら我を忘れてカカシのそれにしゃぶりつき後ろの穴にそれを挿れようとしていただろう。
 考えただけで――……っ考えるな!!
 ぎち、と腕を噛む顎に力を込める。
 まだ頭は朦朧としている。今のこの意識を手放してはいけない。
耐えろ。耐えろ。耐えろ。

 ……血中濃度が上がりきるまで1時間。1時間経った今、サスケは己の腕に噛みついて性欲を制御しようとしている。血中濃度が下がり効果がなくなるまで、更にあと1時間。この1時間をこのまま耐えきれば合格を出せる。
 果たして1時間ずっと腕に噛みつきながらその衝動に耐えきることが出来るだろうか。
 カカシはモニターの中のサスケを見守り続けた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、」
 ……今どのくらい時間が経ってる。あとどのくらい耐えればいい。部屋の中には時計もない。しかし呼吸は少しずつ制御できるようになっていた。ピークは過ぎたのだろうか。それでも下半身は刺激を求めて疼いている。扱きたい、指を入れたい。刺激したい。それがどれだけ気持ち いいことなのかつい先程味わったばかりだ。しかしサスケは、我を忘れてその快楽に身を投じた己を恥じた。
 意識を歯が食い込んだ前腕に集中させる。この調子だ。この調子でいけば。
 朦朧としていた意識がはっきりしてくる。効果が弱まり始めている。腕から口を離した。あとはこの疼きを耐えるだけだ。深呼吸を続ける。バクバクと脈打っていた拍動も少しずつ落ち着いてきた。このまま、このまま……。

 ガチャリと音がした。続いてゆっくり開く扉、その向こうにいるカカシ。
 ……終わった、のか。
「よく頑張ったね。1錠は合格だ。」
「でも途中で俺……」
「ちゃんとその後耐えることが出来てたから大丈夫。明日は2錠に増やすよ。……その前に。」
 カカシはサスケに近づくと、精液溜まりを指ですくう。
「……カカシ?」
 そのままサスケの後ろの穴にその指を2本挿れた。
「……っあ! あ、あっ! カカッ、んっ! ぅああっ!」
 まだ敏感なそこは指が出入りするたびに強烈な快感を拾い、サスケはまたビク、と震えながら射精する。指を増やすまでもなくそこは弛緩しきっていた。カカシは指を抜いて自身のそれをあてがう。
「待っ、まだ2本しか……!」
「……ごめ、我慢できない……」
 ずぷぷ! と一気に奥まで入れられてサスケは目がチカチカした。待ち望んでいたその太さ、奥まで届く大きさ、ああ、ずっとこれが欲しかった。
「――あああっ!! っカカ、シ、あ、っ……!」
 その腰が抽送を始める。いつものようにゆっくりではなく、いきなり激しく。
「あっ! あ、あっ! ッカカ、ッんぁ! は、あっ! あっ、あぅっ!」
 ズンッズンッと奥を突かれる度に堪らない快感が走り抜ける。薬の効果はもう消えているはずなのに、その衝動に耐え続けたせいなのかいつもより何倍も気持ちいい。
「だ、やめっ! 出ちゃっ、あっ! あ、あっ! カカッ! あっ、あ、あああっ!!」
 ビク、とまたサスケが震えて精を放つ。しかしカカシは動きを止めない。
「っあ、あっ! んっ、はぁっ、あ、あっ! あっ! っあぁ!!」
 射精して真っ白になった頭がカカシのもたらす快感で埋めつくされていく。快感が多幸感に変わっていく。
「すぐ出すから……っ」
「え? あっ、あ! あっ、あ、あっ! あ! あ、ああっ! あっ、あ、ぅあっ!」
 パンッパンッパンっと皮膚がぶつかる乾いた音と結合部のグチュグチュと湿った音、そして荒い息と喘ぎ声がサスケの耳に入ってきて、頭の中に響く。そのどれもがサスケの興奮を誘い中がキュンと疼いた。
「は、んっ! あっ、あっ! あ、うぁっ! あ、あっ! あっ!!」
「っもう、出るっ……!」
 激しい抽送の後、カカシはサスケの最奥にそれを突きつけた。
「うああっ……!! ……っあ、……はぁっ、」
 奥で広がるじわっと温かいものを感じて、サスケはまたきゅうきゅうとカカシのものを締め付けながら、目を閉じる。数分の間そうして過ごして、カカシはサスケの中からそれを抜いた。

 はぁっ、はぁっ、と息をしながら、サスケはぺたんと床に座った。
「……今のも、訓練の内、なのか……?」
 背後のカカシを振り向くと、カカシはズボンを上げながら視線を逸らす。
「いや……関係ない。サスケのオナニー見てたら俺も興奮しただけ。」
「……それ、訓練した意味あるのかよ……終わったらカカシとできると思ったら、明日以降の訓練……」
 期待しちまうじゃねえか。耐えればセックスできると思ったら。
「う……。明日からは俺もちゃんと我慢する……。」
「家帰った瞬間するのもなしだぞ。5錠の合格が出るまでは、あんたも禁欲しろ。"カカシ先生"。」
 脱いだズボンと下着を履き始める。勃起はすっかりおさまっていた。あれだけ出せば、そうもなるだろう。とどめのセックスでも2回達している。
 精液とカウパーで汚れた床を確認すると、サスケは呟いた。
「……部屋、掃除しねえと……」

 午前中、いつものようにカカシの家で夜を過ごした後、任務もないのでサスケはそのままカカシの家にいた。カカシは冷蔵庫の扉を開けながらサスケに話しかけた。
「……ある場所への、潜入任務が入った。でも一人では行きたくないから、サスケも連れていく。」
 リビングのソファでくつろいでいたサスケが、読んでいた忍術書から目線を上げてカカシを見る。
「……なんで俺?」
 カカシはコップに麦茶を注いで、それをローテーブルに置き、サスケの隣に座った。
「任務とはいえ、そんなところに一人で行ってサスケを嫌な気持ちにさせたくないから。」
「どんな場所だよ……花街か?」
 サスケは興味なさそうに麦茶のコップを手に取ると一口飲む。
「いや、……詳細はまだ伏せておく。ただそれにあたって、サスケにしておいて欲しいことがある。身につければ、この先も役立つと思う。」
「……身につける……? 何を?」
「やればわかる……今日の午後、14時にここに来てくれる?」
 ポケットからクシャクシャのメモ書きを出してサスケに渡す。住所が書かれていた。里の郊外だ。
「……行けばいいんだな、わかった。」
 サスケはその紙を4つに折ってポケットに入れ、また忍術書に目を落とした。

 そうして耐薬訓練が始まったわけだが、こんな訓練をしないと行けない場所とはどんなところなんだろうか。
 大体、俺たちの関係は誰にも悟られてはいけないという話だったのに、一緒に任務に入って怪しまれないのだろうか。
 疑問は持ちつつ、カカシが言い出したのだから大丈夫なんだろうと思いながら、2錠飲む明日に備えてサスケは早めに布団に入った。