こんなはずでは

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成人向,短編,僧侶パロ,カカサス小説エロ,やおい

 名門貴族のうちはの家系であるサスケは、跡取りになれない次男だったために七歳のときに所縁のある寺に上稚児としてやってきた。幼いながらもいつか自分も立派な僧侶にと勉強と修行の毎日を送り、早五年。サスケは十二歳になっていた。
 他にも稚児はいたが上稚児はサスケひとりしかおらず、サスケが勉学を学びたいと言えば僧侶たちは喜んで紙や書物を与え、その勤勉ぶりからいつかはこの寺を背負って立つ一人になるのだろうと周囲の期待も高かった。
 とは言え稚児の一人だ。僧侶の世話をしながらいつものように朝の掃除を終えたサスケは、午前の少しの休み時間に部屋に篭もって字を書く練習をしていた。貴重な紙を少しでも無駄にすまいと細い筆で小さくひたすら写経に勤しむ。
 半紙にびっしりと文字を書き終え、その字をまじまじと見つめて、まだこの字の形が悪い、ここはもっと、とひとり反省会をしていると、いつの間に昼食の時間が近づいていた。
 持っていた紙を机に置き、立ち上がると、サスケは食堂へ向かって駆けて行った。
 
「ああ、サスケ。ちょうどいいところに。」
 途中、よく勉学を教えてくれる僧侶に声を掛けられる。サスケはピシ、と姿勢を整えて「何でございましょうか」と尋ねる。その僧侶の隣には見たことのない背の高い僧侶がいて、その衣の色は紫色、相当位の高い人物のようだった。しかし、この寺でその姿を見るのははじめてだ。
「今日からサスケはこの方専属の世話係になってもらう。とても徳の高い方だ、きっといい勉強になる。」
 また、立派な僧侶への道が広がった。
 サスケは内心喜びながら「ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。」とその僧侶に深く頭を下げたが、かの人物はしゃがみ込んで頭を下げるサスケの顔を覗き込み、「君が噂の上稚児君、ねぇ。」と顎をくいっと持って顔を上げさせる。
 サスケと僧侶の目が合った。
 その左目には傷があって瞳は閉じられている。口元を覆う布で右目からしか感情を読み取れない。そして剃毛されていない銀色の髪。……この人がそんなに徳が高い方なのか? 不思議な人だった。
「名前は?」
「サスケと申します。」
 寺ではうちはの身分は関係ない。稚児達は皆下の名で呼ばれていた。
「そ、サスケね。俺は、……んー、カカシでいいよ。」
「カカシ様」
「様はいらない。カカシ。」
「え……?」
 位の高い僧侶様を稚児ごときが下の名で呼び捨てに?
 そんな無法なことができるわけがない。
 困惑していると、サスケを呼び止めた僧侶が助け舟を出す。
「サスケ、この方はとても立派だから、……何というか、ある程度自由が許されているんだ。この方のお世話をする限りは、この方の言うとおりにしても大丈夫だよ。世の中には色々な方がおられる。よく仕えて勉強しなさい。」
「承知いたしました。……カカ……シ、……よろしくお願い申し上げます。」
「いい、いい、鬱陶しい敬語もいらないよ。普通に喋ってくれる?」
「わかり……わかった。」
 とは言え、大人を相手に敬語以外で喋ったことがない。何と話せばいいんだろう。必然的に、サスケの言葉数が少なくなる。
「じゃ、さっそく食事の用意をしてくれる? 俺の部屋は向こうの奥から二番目だから。」
 スッと立ち上がると、カカシはその「向こう」に向けて歩き出した。立ち上がる姿も、歩く姿も、いちいちすべての所作が美しくて思わず見惚れてしまう。これが上位僧侶か……。
「サスケ、あの方はああ言っているが、失礼はないようにな。言葉遣いを崩しても、こころや態度まで崩してはならないよ。」
 サスケはまたピシ、と姿勢を整えて「承知しました」と告げると、「食事の用意をして参ります」と食堂へ向かった。
 
 食堂の脇にある台所では給仕係たちが次々と料理を皿に盛りつけていた。その皿を他の稚児や若い僧侶達がお盆に載せていき食堂へ運んでいく。多くの僧侶はこうして食堂で食事をとるのだが、カカシは自室まで持って来いと言っていた。やはり位が高いと他の僧侶とは違うらしい。
 サスケもお盆に皿を取りきれいに並べて、冷めない内にとカカシの部屋に向かう。
 奥から二番目、と言っていたな……ちょっと待て、一番奥はこの寺の住職の部屋だ。その隣ということは、住職に次ぐほどの方なのか?
 部屋の襖の前で廊下に盆を置き正座する。
「サスケです。食事を持ってきま……持ってきた。」
 部屋の中から「入って」と言われ、襖を両手で開けると、四畳程の部屋で正座し書物を読んでいるカカシがいる。
 部屋に入り膝をついてその手前にあるお膳に盆を載せると、サスケは半歩引いて正座し、カカシが口布を下げて食べるのを見守った。やはり食べている姿も所作が美しく見惚れてしまう。
「……落ち着かないんだけど、それ何? ずっとこっち見てんの?」
「カカシの専属と伺い……聞いたから、食事が終わるまでここで待たせてもらう。」
「……ふぅん、じゃあ次からは自分の分も持ってきてよ。」
「どういう意味だ……?」
「一緒に食べようって言ってんの。サスケも俺と同じもの持ってきな。」
「稚児の俺がカカシと同じもの食べるなんて、出来るわけ……!」
「俺が言っとくから。次からはそうして。」
 ぽかんと開いた口が塞がらなかった。なんて型破りな方なんだ……。
 空になった器を確認し、カカシが箸を置いたのを見計らってサスケは盆に右手を伸ばす。と、その手首を掴まれ引き寄せられて思わずえ? と左手を畳についた。カカシと目が合う。どういうことだ? この状況。
「……うん、今日からサスケは俺と寝食を共にすること。盆を下げたら自分の持ち物をこの部屋に持ってきな。」
 寝食を……? つきっきりで世話をしろってことか?
 専属の世話係だから、そういうものなのかもしれない。
「わかった。」
 サスケがカカシの右目を見ながら答えると、手首は解放された。サスケは座り直して改めてお盆を持つと、カカシの部屋を出て台所に向かっていった。
 
 食堂にはちょうど、先程カカシを紹介した僧侶が座って食事をとっていた。まだ若いが、彼もまた稚児から僧侶になった人で、有体に言うとサスケの先輩にあたる。ここのことには詳しい。
「海野さん」
 食事中に声をかけるのは無作法だが、サスケはどうしても聞いておきたかった。
「どうした、サスケ。何かあったか?」
「カカシ様が、今後自分と寝食を共にするようにと……食事も同じものを食べなさいと仰ったのです。よいのですか? あの方は一体どのような方なのですか?」
「ああ、そういうことか。まあなんだ、とりあえずサスケも食事を持ってきなさい。」
 一緒に食事をとってくれるらしい。サスケは台所に行き自分の器に食事を取ると、海野さんの隣に腰を下ろす。
「あの方は五歳で仏門に入られ、当時から天才と呼ばれていた方だ。読み書きはもちろん、七歳にはほとんどの経典も暗記されていたらしい。剣術にも長けていて年長者に教えを乞われるくらいだったとか。」
 五歳だって? そんな馬鹿な……僧侶になるにはそれなりの知識と修行が必要なはずだ。一体どうやって?
「とても信心深く自分に厳しい方だったらしい。十二歳にはすでに僧侶として各地を回られて説法をされていたそうだ。でも、あるとき戦の痕に遭遇してからは、少しお考えが変わられたらしい。大名や貴族などの名の通った者ではなく、一般庶民との交流を多くとられるようになった。」
「十二歳で説法を? そんなにすごいお方なのですか。」
「ああ、すごい方だよ。あの方が庶民に説法をするようになってから、仏門に入る者や檀家さんが随分増えて、この寺も増築が必要なくらいになったほどだ。ここ数年は後身育成のため別の寺に赴かれていたが、今日戻られたというわけだ。」
 なるほど、僧侶になると基本的には剃毛をするものだが、あの方はきっと庶民に合わせて髪を伸ばしているのだろう。ぜひ説法のお供をさせて頂きたい。専属の稚児なら、その機会もきっとあるはずだ。
 サスケは胸が高まるのを抑えられなかった。
 
 昼食後、サスケは言われた通りに自分の荷物を風呂敷に入れて持ち、カカシの部屋の前にいた。
 荷物と言っても寝るときは他の稚児達と雑魚寝なので自分専用の布団はない。そのため風呂敷に入っているのは着替え四着と書物四つ、硯と筆くらいしかない。
(どう声をかけよう……)
 敬語は使ってはいけない。「です」も「ます」も駄目だ。
 ふぅ、と息を吐いて腹をくくった。
「カカシ、サスケだ。荷物を持ってきた。」
 しかし、中から返事は聞こえてこない。
「カカシ?」
 そこに、僧侶が一人通りかかった。
「はたけ様ならいないぞ、さっきお勤めに出られた。」
 はたけ……カカシという名前なのか。
 しかしそれでは、この荷物はどこに置こう。
 その僧侶は住職の部屋へ向かって行った。しばし後、住職が部屋から出てくると、カカシの部屋の前で正座するサスケを見つける。
「サスケではないか、こんな所でどうした。」
 温和な顔で微笑む住職がサスケに声をかけた。
「……カカシ様が今後飲食を共にするようにと仰ったので、自分の荷物を持ってきたのですが……ご不在のようで。」
「ふむ。荷物は一旦廊下の隅に置いてサスケも本堂に行ってきなさい。カカシには今後この寺で後進育成に入らせるつもりじゃ。今も恐らくそうじゃろう。……育成対象にはサスケも入っておる。よく励むんじゃぞ。」
「ありがとうございます。承知しました。」
 言われた通りに荷物を廊下の隅に置くと、住職たちも本堂に向かうようだった。立ち上がって三歩後ろを着いていくと、本堂に近づくにつれ落ち着いた綺麗な読経が聞こえてくる。静かにその中に入ると、ご本尊の前で読経するカカシと、その後ろに並んで正座している若い僧侶たちがいた。
 サスケもその末端に正座してカカシの読経を聞く。
 聞き取りやすい、声の高さも落ち着いていて、リズムも音もきれいだ。思わず聞き入ってしまう。
 カカシは読経を終えると、打って変わって低い声で僧侶たちと問答を始めた。
 カカシの問いに正確に答えられる者は少ないらしく、合間合間に
「お前ら何学んできたの?」
「暗記くらいしろ」
「その解釈どこの誰が教えた?」
 などと叱咤している。
 最後に大きくため息をついて立ち上がると、
「とりあえず次回は今の経典暗記してから来い。話にならん。」
 と言って本堂を出ていったので、サスケもその後を着いていった。
 カカシは後ろを歩くサスケに気がつくと、先程僧侶に向けて行ったものと同じように、問答を始める。
 五年間しっかりと勉強してきたサスケにとっては簡単な問答だった。すらすらと答えていく内に、二人はカカシの部屋の前までやってきていた。
 サスケは廊下の端に置いておいた荷物を手に取ると、カカシに次いで部屋の中に入って行った。
 
 夕食の後片付けをしてから寝るまでの間はいつもなら自由時間だ。カカシの部屋にいようとそれは変わらない。サスケが持参した書物を熱心に読み込んでいると、後ろからカカシがサスケの本を覗き込む。
「カカシ? 何か用か?」
「何の本?」
「歴史書だ、先輩僧侶から借りた。」
「ふぅん……」
 カカシは一旦立ち去って押し入れからごそごそと何かを取り出すと、サスケの机の右側にそれを置いた。本の山だ。
「サスケは将来僧侶になりたいんだろ? 歴史書なんかよりこっち読め。」
 見たところ、仏教の本ばかりだ。
「こんなに、いいのか?」
「サスケの指導をする代わりに専属でつけて貰ったからね。」
 そうだったのか。
 徳の高い方につかせていただけて、更に教えを乞うことが出来るだなんて。
 サスケは素直にありがたいと思った。
「それ一冊読み終えたら教えて。」
「わかった。」
 サスケは歴史書を机に置くと、本の山から一冊手に取って読み始めた。
 蝋燭の光がゆらゆらと揺れる中、カカシも何やら本を読んでいるらしい。サスケも集中して本を読み込む。読み終えたのは、もう月が高く昇っている時間だった。
 
 カカシはもう寝衣に着替えていた。サスケは布団を一式敷き詰め、押し入れの中にもう一式布団があるのを見つけて、それも少し離した隣に敷いていく。あとは寝るだけだ。
 カカシが立ち上がり布団の上に移動する。と、その隣の布団の上で正座するサスケの後頭部を手で引き寄せ、口布を下ろして、唇を重ねた。
 ……え? ……え!?
 口内に差し込まれる舌に困惑していると、その舌はサスケの口の中をゆっくりとはわせ舌を絡める。
「んっ! んんぅ!」
 サスケは抵抗しなければと思いカカシの肩を押すが、びくともしない。大人と子どもだ、体格差も大きい。かなうわけがない。
 接吻から解放されると、サスケは手を後ろについて後退った。
「カカシ、俺は上稚児だ、そういうことは俺の役目じゃないっ!」
「上でも中でも下でも変わんないよ。お前は俺の稚児。大人しく言う事聞いてればいいんだよ。」
 カカシが紙に包まれた粉をサラサラ、と口に入れるが、嚥下する様子はない。口に含んだままだ。
 逃げようとするサスケの足を掴み、引きずって自分の布団の上まで運ぶと、口からぬるりとしたものを出して手の上に垂らす。サスケの着物は抵抗して暴れた分乱れていて、帯をシュルッと外すとすぐに肌が露になった。
「やめ、や、」
 カカシは迷いなくサスケの臀部に指を添わせると、ぬる、とゆっくり指を挿入する。
「ひ、あっ……!」
 ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら出し入れされる指。圧迫感、抵抗感、異物感にサスケの顔が歪む。
 二本目の指が入ってきたときには足をバタつかせて抵抗したが、組み敷かれて完全に動けないようになってしまった。
「痛いのは嫌だろ? 大人しくしとけって。」
「そん、な……! やめ、や……っ!」
 二本の指がグチュグチュと後ろの穴を掻き回す。あのぬるりとしたもののおかげか痛くはないのだけは幸いだった。だけど、それだけだ。無理矢理直腸を押し広げられて苦しくないわけがない。
 ついには指が三本に増えた。せっかく慣れてきたのにまた増える圧迫感と異物感。
 もう嫌だ、早く終わってくれ。苦しい。
 くぐもった声を出しながらこの行為の終わりはどこなんだと考える。
 稚児仲間が「昨夜は流石にしんどかった」と話していたのを聞いたことがある。何がしんどかったと言ったんだ? 思い出せ。
『一回射精して、ああ、終わったかと思ったら、二回目、三回目とお相手させられて。腰がどうにかなるかと思った。』
 ……射精、射精? ということは、カカシは今から俺に肉棒を挿れる、のか? 指なんかより、もっと太くて長い……そんなもの、挿れられたら、……一体どれだけ苦しいんだ。
 恐ろしさにぶるっと身体が震える。その緊張はサスケの中にあるカカシの指にも伝わってきた。
「あのさぁ……力、抜いてよ。そんなんじゃ入らないでしょ?」
「もう、やめてくれ、頼むから、やめ」
 サスケが懇願すると、ぐり、と中を擦られる。
「っあ! ……え? ぅあっ!」
「上稚児だからって調子こいてるガキの泣き声聞きながらヤりたかったけど、ここまでガチガチに緊張されるとさすがにきついわ。」
 ぐり、ぐり、ぐり
 指を動かすたびにそこを擦り付けるとサスケの身体がピクンと反応する。
 何なんだ、何なんだこの感覚!?
「はぁっ、……あっ、なにっ……、ぅあっ!」
 抵抗しようとしていた足から力が抜けていく。中の締め付けも緩んでいった。
「ん……もういいね。」
 カカシが着物をくつろげてそこを出すと、手に残っていた通和散を付けて数回扱いてから、サスケの後ろの穴にピタと当てて中に沈めていく。
「や、やめっ! あ、あ……う、はぁっ、ぁ、っあ、」
 接待プレイは終わりだ。中が裂けないようにゆっくりと出したり挿れたりして慣らしながら奥まで挿れ、抽送を始める。
「うぁっ! はぁっ、うっく、ぅあ、んんっ!」
 またサスケの顔が歪んだ。もう「あの感覚」もない。指なんかとは比べ物にならない圧迫感と異物感でひたすら苦しいばかり。
 じわりと額に汗が浮かび、徐々に早くなっていく腰の動きに耐え切れず涙がこぼれる。
 カカシはその様子を見て満足気に笑みをたたえながらサスケの奥に腰を打ち付けた。
 
 ――終わるまで、耐えるしか、ない。
 眉間に皺を寄せたままチラリとカカシを伺うと、愉しそうに口角を上げている。……こいつ、苦しんでる俺を見て、面白がってるのか?
 そう思うと、思い通りにはさせたくないと思い反骨心で声を我慢し始める。
 はぁっ、はぁっ、はぁっ、
 声の代わりに荒い息を吐いて、早く射精しろと願うばかりだったが、カカシはそれが面白くなかったのか、さっきのところをえぐるような角度に変えて腰を動かした。
「あっ!? やめ、あ、あっ! っな、ぁあっ! それやめっ、っあ!」
「お前はガンガン突かれて鳴いてりゃ良いんだよ。それがお前の役目だろ。もっと俺を楽しませてみな?」
 中がじんじんと疼く。この感覚は何なんだ。なんでこんな声が――。
 ……ぐんと、抽送が早くなった。そこが拾う感覚も大きくなる。
「あっ! はぁっ、あ、あっ、っあ! っぁ、ぅあ! ぁあっ!」
 わけも分からず打ち付けられる腰の動きに翻弄される。後ろに大人のでかい肉棒挿れられてるのに、苦しいどころかこれはまるで……快感? を、感じているのか、俺は?
 中がじんじんする感覚がどんどん大きくなっていく。……気持ちいい? まさか、そんなこと。
 強制的に高められていくその感覚に、もうどうにでもなれ、と思い始めたところで、腰の動きは最初と同じようにただ出し入れするだけに戻った。でも、一度感じた快感を中は忘れてはくれない。そこを擦られなくても抽送されるだけで気持ちいいと感じるようになってしまった。
「はぁっ、あっ、あ、っあ、あっ、はぁっ、」
 ……また声を我慢したらあそこを突いてくれるのだろうか?
 そんな期待を持ってしまった自分を殴りたくなった。声を出していればカカシは満足するんだ。声を出し続けなければ。
「あっ、んぁっ! はぁっ、あっ、ぅあっ!」
 意識して声を出してみるが、恥ずかしくてこんな声を出し続けるのは難しかった。そこに更に追い打ちがかかる。
「タイミング合ってないじゃん。下手くそ。」
 顔がカーっと熱くなった。下手くそなんてついぞ言われたことがない。とてつもなく恥ずかしかった。
「でも、頑張ろうとしたご褒美はあげる。」
 カカシはまた腰の角度を変えてそこをえぐるように突き始める。
「っあ! あ、あっ、っぅあ! はぁっ、あっ、あ! あっ、あああっ!」
 身体中がぶわっと熱くなってくる。何だこれ。どうなってるんだ。どうなってしまうんだ。――こわい。
「カカッ! んぁっ、なんっ、か、来る、あっ! こわいっ……! カカシッ」
「はは、イキそう? いいよ、イキなっ。」
 腰の動きが一層早くなった。サスケの喘ぎ声が高くなる。
「あっ! だめっ、っあ、あ、あっ! だ、あ、あっ、あああっ!!」
 ビクン! とサスケの身体が跳ねた。中がキュウキュウに締まり、数秒痙攣したように背を弓なりに反らせる。
「あ、きっつ……出すよ。」
 カカシはパンパンパンパン! と腰を打ち付け、奥にぐぐっと押し込むと、その先端からビューッビューッと精液を流し込んだ。
「はぁっ、はぁっ、あ、……っ」
 中でカカシのものがピクッと動く度に多幸感が脳内を占めていく。
 ぬるっとそれが抜かれると、カカシは濡れた手ぬぐいで自分のそれと手をきれいに拭いていき、サスケのお尻の下にはまた別の手ぬぐいを敷いた。
「……?」
 何をするのかと思ったら、またサスケの中に指を二本挿れる。
「んっ……!」
 だがそこを刺激するのではなく、中に入っている精液を掻き出しているようだった。
 それでも、その刺激にサスケは快感を拾ってしまう。
「あ……、んぅ、……はぁっ、……あっ」
 あらかた掻き出し終わっても、まだ頭がふわふわしていて、なかなかカカシの布団から起き上がれなかった。
「予定とは違ったけど……まあ、いいや。
 ……ねぇ、明日うちはさんちで説法するんだけど、フガクさんにサスケのこと話していい?」
 ぼんやりしていた頭が急に現実に引き戻される。
「おたくの次男君は俺とまぐわってアンアン鳴いてましたよってさ。」
「だ、駄目だっ! やめてくれ!」
「ククッ、冗談だよ。そんな事言ったら俺の徳が下がる。」
 本当にこの人は徳が高いのか? 凄い人なのか?
 俺が苦しんでるのを見て笑うような男が?
 皆騙されてるんじゃないのか?
 思わず、そんな考えが頭に浮かんでしまう。
 サスケはゆっくり起き上がると、掻き出しきれていなかった精液がコポ、と後ろの穴から溢れ出た。
「稚児達の洗い場があるだろ、専用の。そこ行ってきれいにしてきな。」
 そういうところがあるというのは聞いた事がある。でも上稚児たる自分が、そこに行って他の稚児と顔を合わせたくなかった。ずっと俺はお前らとは違うんだとある種優越感を感じながら過ごしてきたのだから、こころの抵抗は大きい。
「嫌なの? 自尊心たっか。でもお前も所詮稚児だからね? 俺の世話は何でもやってもらうよ。」
 ……何でも? これ以上に屈辱的なことがまだあるとでも言いたいのか?
「……今日は、股に手ぬぐい挟んで寝る。」
 そう言って、隣の布団に移ろうとしたら左腕を掴まれた。
「寝食を共にすると言ったろ。寝るのも一緒の布団だ。だからまあ……寝てるときにムラついてきたらまたヤるから、今洗いに行っても無駄になるかもな。」
 ……最悪だ。最低だ。
 こんな煩悩にまみれてる奴が「徳が高い」なんてやっぱり信じられない。
 サスケは自分の寝衣を整えて、カカシのいる布団の端に正座し、カカシが布団を被って手招きするのを確認した後、布団の空いている方に入り込み、カカシとは反対側を向いた。すると、背後からカカシがサスケの小さな身体を抱きしめる。その臀部には、固いものが当たっていて――。
「……ちょっと待て、カカシ」
「今度は後ろから挿れるよ?」
「待て、待て待て、今から? また?」
 抱きしめていた手がサスケの股間をまさぐる。
「今度はちゃんと気持ち良くしてあげるから。」
 サスケはまたあの言葉を思い出していた。
『一回射精して、ああ、終わったかと思ったら、二回目、三回目とお相手させられて。腰がどうにかなるかと思った。』
 仕方がない。抵抗しても無駄に終わるだけだし、受け入れるしかない。それに、気持ち良くするとも言っている……。気持ちよく? 俺は大人の男の肉棒を突っ込まれて、気持ち良くなってたのか? ……何だよ、それ……。
 深いため息をつくと、首筋に唇が這わされる。前はシチュシチュと扱かれて既に半勃ちだ。一度されたんだからもう二度目も三度目も関係ない。ああ、ほんとうにもう、どうにでもなれ。
 サスケは股間に当たる熱くて硬いものを後ろの穴に誘導して、またそれが入ってくるのを息を呑みながら待った。

 

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