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カカサス,全年齢,超短編,原作軸日常,シリアス

 予報では雲ひとつない晴れだったのに、夏の終わりには通り雨はつきものだ。土砂降りを荒屋の軒先で見つめているとバシャバシャと水溜りを走ってくる音。目を向けるとサスケで、軒先の俺を見つけるとその隣に入ってきてシャツをギュッと絞り始める。
「ずいぶん濡れちゃったねぇ。」
 サスケは前髪から垂れる水滴を手で拭いながら
「降りそうだなとは思ったけど、ここまで降るとはな。」
 と、こちらを見向きもせずポーチの中身を確かめている。そこには巻物が入っていて、取り出して広げて滲んだ文字を確認するとため息をついた。
「何の巻物?」
「火遁」
「もう使えるからいいじゃない。」
「……形見、みたいなもんだから。」
 そこで俺は失言に気づいてしまった。火遁といえばうちは一族のお家芸みたいなものだ。その巻物の元の持ち主は恐らく同じうちは一族の……きっとお父さんか、お母さん。
 初心を忘れないためなのか、きっとサスケはいつもこの巻物を持ち歩いて来たんだろう。
「それは残念……だね。」
 サスケは巻物を元に戻して再びポーチにしまった。
「中身は暗記してる、問題ない。」
 いや問題あるでしょ、代々受け継がれてきた大切な巻物じゃないの?サスケだって自分の次の世代にこれを託そうと思ってたんじゃ。
「形あるものはいずれ崩れる……この雨もそのうち止むだろ。」
 空が明るくなり始めていた。きっと10分後には陽が差すだろう。雨も止むはずだ。
「……サスケ、雨止んだらうち来る?同じくらいの大きさのさ、白紙の巻物があるから。……暗記してるなら、書けるでしょ。」
 サスケは俺をチラと見て、空に視線を移した。
「中身は重要じゃない。だからいい。……気を使わせて悪いな。」
 大粒の雨は勢いを失って、パラパラとした小雨に変わっていた。なんだかいたたまれない気持ちになりながら、黙って雨が止むのを待つ。何か気の利く一言でも言えたらいいのに、こんな時に限って思いつかない。
「……例えばだけど、俺からも秘伝の巻物サスケにあげたら、大切にしてくれたりする?」
『秘伝』という言葉を聞いてパッと俺の顔を見る。現金な奴め。
「……どんな内容だ。」
「内容がどうであれ大切にしてくれる……って言ってくれたらあげる。」
 サスケの頭に疑問符が浮かんでいる。意図が分からなかったらしい。分からなくてもいい。
 薄暗い空を見上げた。
「早く、雨止むといいね。」
 サスケもつられて見上げる。
「……そうだな。」

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