サスケ誕生日おめでとう!2025

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七班,全年齢,超短編,原作軸ほのぼの,平和IF

 任務だと言われて指定された場所に行くと少し寂れた一軒家だった。呼び鈴を鳴らすと何故かカカシがガララ、と扉を開けて片手を上げる。
「……なんの任務だ?」
「まだナーイショ。」
 家に上がって丸いちゃぶ台がある畳敷の部屋で座って待っていたら、少ししてサクラとナルトもやってきた。玄関に見にいくと、2人とも何やら手提袋をぶら下げている。……あれ、今日荷物いるような任務だったか?でも手ぶらの俺を見てもカカシは何も言わなかったよな。まあいい、全員揃ったからようやく任務開始だ。
 再び丸いちゃぶ台の部屋に4人が集まって腰掛ける。
「さて、今日の任務は……」
 今日のカカシはやけに出し渋るな。一体なんだ?
「誕生日のお祝いだ。」
 一瞬言っている意味が理解できなかった。
 いや、色んな任務があることはわかっていたけど、忍に依頼してまで誕生日を祝って欲しい依頼者なんてよっぽど友達のいない寂しい……。
「で、お祝いの対象はサスケだ。というわけで!」
「誕生日おめでとうー!!」
 いきなりの2人の大声に唖然とする。サクラが近づいてきて手提袋から布に包まれた何かを取り出して俺の胸元に押し付けた。
「これね!私のおばあちゃんから教えてもらった秘伝の梅干し!」
 続いてナルトも紙袋を取り出して俺の方へに差し出す。
「俺ってばよくわかんねーからさ!これかなってやつ買ってきたってばよ!」
 紙袋の中を覗くと海苔の佃煮が入っている。
「俺からはこれね。」
 カカシも置いてあった紙袋からタッパーを取り出して俺に差し出した。これは、……おかか?
「はたけ家自慢の味だ。」
 梅干し、海苔の佃煮、おかか?これがプレゼント?
「待て、待てなんでごはんのお供ばっかりなんだ?」
「だってサスケくんお昼いつもおにぎりだから。」
「おにぎりの具になるものにしようって三人で相談したんだってばよ!」
 それでこのラインナップとは……。
 腕の中のみっつのごはんの共を見つめる。
 誕生日プレゼントがこれと言われるとなんとも言えない気持ちになるが、せっかく三人で考えてくれたのだからまあ、有り難く頂いておくか。
「よし、じゃあケーキ……と言いたいところだけどサスケは甘いのダメだから、今プレゼントしたものを使っておにぎりを握ろう。サクラ、ナルト台所行くぞー。」
 3人が立ち上がって廊下の向こうの部屋に入って行った。
 カカシとサクラはともかく、ナルトはおにぎりなんて作れるのだろうか。
 でもまあ、祝ってくれているわけで、具も変なものではないし、よっぽどおかしなものは多分出てこないだろう。と台所から聞こえてくる声を聞きながら忍術書を開いた。
「カカシ先生、手袋外せってばよ!」
「そういうナルトこそ手洗いなさいよ!」
「ご飯上手く炊けてるか?うん、いい感じだ」
「よっしゃ!よくわかんねーけど三角にすればいいんだろ?ってあっちぃーー!!」
「炊き立てのご飯が熱いのは当たり前でしょバカ!」
「んー、しばらく蓋開けてさましとくか?」
 ……駄目だ、とても聞いていられない。
 立ち上がって台所の扉を開けた。
「お前らどけ!俺が握る!」
 ナルトとサクラを台所から追い出して、炊飯器の様子を見る。3合くらいだろうか。どんだけ握るつもりだったんだか。……4人分と考えると……ナルトが結構食べそうだしこんなもんか。
 手を洗ってからしゃもじでふかす。手に水を浸して塩を取り出しひとつまみ手にまぶした。しゃもじで手にご飯をとって梅干しを乗せて成形していく。
 カカシは横からその様子をじっと見つめていた。
「いつもそうやって握ってるんだ?」
「ああ、毎朝な」
「ふーん、あ、3合で足りる?」
「4人分だろ……大きさ調整して多分ひとりあたり2個作れるかな。」
 ひとつめのおにぎりを皿に移して、また手を洗う。
「俺もやってみていい?」
「……あんたおにぎり握ったことあんのか?」
「写輪眼のカカシを舐めないでくれる?」
 カカシを振り返ると左目の写輪眼を開いている。 
 大人の本気を感じて背中を汗が伝うのは初夏の暑さのせいだろうか。
 
 まもなくたくさんのおにぎりが並んだ大皿がテーブルに置かれた。どれがどの具かは食べてからのお楽しみだ。
「俺真ん中ー!!」
「ちょっといただきますが先でしょ!」
「はいはい全員手を合わせてー」
「いただきまーす!」
 綺麗な三角のおにぎりが並ぶど真ん中のひとつを手に取って、小皿の海苔を巻いたナルトが一口頬張って目を見開いたかと思うとバクバクと平らげる。
「なんだこれめちゃくちゃうめーってば!!」
「……完璧な塩加減だ、さすが毎日作ってるだけのことはある。」
「おにぎりをこんなに美味しいと思ったのはじめてかも!」
 そんなに喜ばれるとは思っていなくて、少し嬉しく思いながら手に取ったおにぎりに海苔を巻いて頬張る。
 ……あ、梅干し。
「結構甘いんだな、サクラの家の梅干しは。」
「えへへ、うちのははちみつも入れてるの!」
「おにぎりには向かないけど、うまいよ。」
「え……そんなぁ……」
 残念ながら、汗を垂らして任務や修行をする時はしょっぱい方が身体に染みるんだ。
 でもこうして食べる分には、普通に美味いと思う。
 手作りだと思うと、尚美味しく感じる。
 既に2つ目を手に取ったナルトはまた頬張りながら「うめぇ!」と大声で言う。
「具は何だったんだ?」
「カカシ先生のやつ!めっちゃうめぇ!」
 カカシは自分が持ってきた具は自分で握っていたから、カカシのおにぎりだ。俺のと同じように味わえるということは、本当にコピーしたのか、俺のおにぎり作りを……。
「でもさっきのやつの方がうめぇ!何が違うかよくわかんねーけど、米のうまさが違うってば!」
 ……完璧にコピーしたわけではなさそうだ。そりゃそうだろう。大人と子どもじゃ指の大きさが違う。そのままコピーしても同じ味にはならない。
「どれ……」
 カカシが握ったおにぎりを食べてみたくて、ナルトがとった隣のおにぎりに手を伸ばした。
 形は完璧だ、気持ち大きいかな、ぐらいで綺麗なフォルムだし、硬すぎずボロボロにもならずいい塩梅で握られている。
 ひと口頬張ると、確かに少し塩味が強めな感じだ。それでもまあおいしいとは思う。1回握るのを見ただけでこれを作れたのなら合格点だ。具のおかかもおにぎりにちょうど良い味の濃さでおいしい。
「カカシのおかか、うまいな。」
 海苔の佃煮だったらしい食べかけのおにぎりを持ちながら「でしょ?」と笑うその口元はいつもの口布で覆われている?
 ……え?食べてる、んだよな?なのに口が隠れている?いつもの事と言えばいつもの事なんだけど、普段は俺たちが弁当を広げる後ろから見守りながら食べているからあまり気にしたことがなかったけど、カカシは一体どうやっておにぎりを食べているんだ?
 じっと見つめながらおにぎりを頬張っていると、ナルトとサクラが次のおにぎりを物色した瞬間に口布を一瞬下げて素早く頬張りまた口布を上げた。
 ……あまりの早技に口元はよく見えなかった。
 そうまでして隠したいのか、顔。となると尚更見たくなってしまう。
 どうにか隙を見せないものだろうか、カカシはまだ1個目のはずだ。まだチャンスはある。
 ゆっくりとおかかおにぎりを味わいながらじっと見つめていたら、ナルトとサクラが何やら言い合いをした瞬間に人差し指を一本口元に立てて、口布を下げてまたおにぎりを頬張った。1秒だけ口元をそのままにしてまた口布を戻す。……見てしまった。いや、全然普通、というか整っている方だと思う。なんで頑なに隠しているのか分からないくらい。
「ちゃんと数数えなさいよ、1人4つもないでしょ!」
「だってうめぇんだからしょうが……いでっ!」
 もう3つ食べたらしいナルトが4つ目を取ろうとしたらしい。サクラからゲンコツを食らって頭に手を当てている。
「あー、俺1個でいいから俺の分も食べていいよ、ナルト。」
「やった!」
「カカシ先生はナルトに甘すぎ!サスケくんの誕生日祝いなのに!」
 そういえばそうだった。おにぎりを握ってるうちに忘れていた。この場は俺の誕生日を祝うために多分カカシが儲けた場だった。
 ……ぐだぐだになった感は否めないが。
「ケーキとかあればそんな雰囲気に出来たんだけどなぁ。」
「……悪かったな、甘いもん嫌いで。でもまあ、……プレゼントは、嬉しい。……ありがとう。」
 明日から毎朝、これはナルトの、これはサクラの、と思いながらおにぎりを作ることを思うと、やっぱり少し違う。嬉しい、と思う。
「いーってばよ!サスケの照れた顔なんて滅多に拝めねーし!」
「照れ……?俺はそんな顔してねえ。」
「ちょっと嬉しそうに見えるけど。」
「サスケくんはどんな顔でも素敵……!」
 ……そんなに言われるほど顔に出ていたのか?
「いい顔してると思うよ?」
 カカシから言われて、誕生日をこうして祝われるのも悪くはないか、と素直に喜ぶ事にした。
「まあ、いい。3人とも、ありがとう。」

 家の冷蔵庫に並んだ3つの入れ物を見て、ふっと笑う。
 誕生日……祝われるなんていつぶりだろうか。
 たまには悪くないもんだな。
 冷蔵庫の扉を閉めて、布団に向かった。

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