傘を差し出したばっかりに

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成人向,中編,現代パロ,完結済み,カカサス小説エロ,やおい

抵抗もできず

サスケはソファから降り、脱がされたズボンとパンツ、そしてはだかれたシャツと肌着も脱いで洗濯機に入れた。
そのまま浴室に入ると、シャワーを出す。
カカシに舐められたところは重点的に洗い流して、全身を洗った。
(……あの男っ、絶対に追い出してやる……!! )
そう思うものの、簡単には出ていきそうにない。身体は細身のように見えるが力は強かった。力づくでは負ける。
キュッと蛇口を閉めて脱衣所にあるバスタオルを取り、身体を拭いていく。
あらかた拭き終わったところで脱衣所の鏡の前に立つと、耳の少し下に赤い痕が残っていた。
(……っキスマークつけやがった……!! )
髪を拭きながらふつふつと怒りが沸いてくる。
幸いそんなに目立つ場所ではないもの……セックスの痕跡を残されたことに腹が立った。
髪を拭き終わり、部屋着に着替えるとリビングに戻る。
カカシは冷蔵庫を勝手に開けて中を物色していた。
サスケは玄関に落ちていたコンビニの袋を拾い上げると、……ソファは避けてダイニングテーブルに腰を下ろし、おにぎりのパッケージを開ける。そこにカカシが寄ってきた。
「冷蔵庫、食材全然ないじゃない。これじゃ、何も作れないよ?」
「作らなくていいから出て行け。」
おにぎりを口にしながらカカシとは視線も合わせない。
「成長期なのにそんな食事じゃダメだって。俺何か買ってくるからさ、お金ちょうだい。」
(……買ってくる? 家から出るってことか!? )
サスケはカカシに千円札を一枚渡すと、「さっさと行け」とカカシを玄関まで押していった。
「そんなに俺の手料理食べたい? 大丈夫俺やりくり上手だから。千円でもとびきり美味しいの作れるよ!」
「いいから早く行け」
「ん、わかった。行ってくるね~」
カカシは傘を手に取ると玄関から出ていく。
サスケはすぐに鍵をかけてチェーンロックを取り付けた。
「……はは、易々と出ていって馬鹿め。帰ってきたらすぐ警察呼んでやる。」
ようやく落ち着いて、コンビニ袋をローテーブルに置き、ソファでくつろぎながらサラダを食べる。
……しばらくすると、カカシが帰ってきたらしく玄関の外から買い物袋の音が聞こえてきた。が、鍵はかかってる。もう入れまい。
……と思ったら、ガチャ、と音を立てて玄関が開く。
「……は?」
慌てて合鍵の入っていた引き出しを開ける。……合鍵が、ない……!
いや落ち着け、俺。まだチェーンロックがある。さすがに入ってこれないはずだ。
カカシは間抜けな声で「サスケ、開けて~」と呼びかけているが、無視だ無視。
スマホを取り出すと、110を押して耳に当てる。
三回コールが鳴った後、電話がつながった。
「事件ですか? 事故ですか?」
オペレーターの女性が話しかける。
「事件です! 知らない男が家に押し入ってきて、一旦追い出したんですが合鍵を盗まれていてまた家の中に入ろうとしてます。チェーンロックで何とかしているんですが……」
「今から警察官を向かわせます。十分以内に着くと思います。それまで扉を開けないようにしてください」
「わかりまし……」
サスケの手から、スマホが抜き取られた。
「……え?」
室内には、何故かカカシの姿がある。
なんで?
チェーンは?
玄関を見ると、チェーンロックは外されていた。
「あ~、すみません、ただの兄弟喧嘩なんで、警察は来なくて大丈夫です。はい。そういうことで。」
通話終了ボタンを押すと、カカシはサスケにスマホ差し出した。
「警察呼ぶなんてひどくない? エッチまでした仲なのにさぁ……」
「チェーン、は、」
「ああ、あれ? コツさえ知ってれば簡単にあくよ? ま、ヒモの生活の知恵ってやつだよね。」
カカシは買い物袋を手に冷蔵庫に次々と何かを入れていく。
「晩ご飯は……もう食べちゃったみたいね。明日の朝は期待しといてよね。とびきり美味しいの作るからさ。」
にこ、と笑うカカシに、サスケは背筋がぞわりとした。
「あ、シャワー使わせてもらうよ。外蒸し暑くって汗かいちゃった。」
我が物顔で洗面所に向かうカカシの後ろ姿を見送ると、サスケは寝室に入って内側から鍵をかけ、これは夢だ、明日になったらあいつは消えてる、そうだ、そうに違いない……と呟きながら布団をかぶる。
まだ夜の七時だ。寝る時間ではない。でも、カカシと顔を合わせるぐらいなら狸寝入りを決め込んだ方がマシだった。
寝室に鍵をかけたものの、チェーンロックをいとも簡単に外したカカシが寝室の鍵を開けられないわけがない。と、思いつつ鍵をかけずにはいられなかった。
しばらくして、シャワーを浴び終わったらしいカカシがサスケを探す声が聞こえてくる。
「サスケ、もう寝るの?」
案の定、カカシは鍵などかかっていなかったかのように寝室の扉を開ける。
サスケは寝たふりを決め込んでカカシを無視した。
ベッドの脇にぎし、とカカシが腰掛ける。
「おーい、寝ちゃった? ……それとも、寝たふり?」
カカシがサスケの耳元で囁く。
サスケは思わずゾクっとしそうになるのを堪えて、寝たふりを続ける。
「……寝てるのなら、悪戯しちゃおうかなぁ……早めにベッドに入ってくれてると、長く楽しめるから俺は大歓迎だよ……?」
カカシがベッドの中に潜り込み、反対を向いて寝たふりをしているサスケの身体を後ろから抱きしめる。
チュ、チュ、と首にキスを落とし、耳を舐め始めた。
同時に、部屋着のズボンとパンツをずらしてサスケのものを触りはじめる。
サスケは息を殺した。
耳をクチュ、と音を立てながら舐める。
まだ柔らかい前も優しく握って上下に動かし始めた。
「……いつまで我慢できるかな……?」
(っこいつ、寝たふりだってわかってる……! )
次第に下半身に血流が集まりはじめる。
カカシは愉しそうに耳から首に舌を移していく。
背中をスス……と撫でられると、サスケの肩がピクンと揺れた。
前はもう半勃ちになっていて、カカシの手はサスケの敏感なところを悪戯っぽく撫でる。
「っ……」
寝たふりがバレているのならもう隠す必要はない。
「……っおい」
サスケは後ろを向いた体勢のまま口を開く。
「……やっぱり起きてるじゃない」
手の動きは止めない。
「ベッドに入ってくんな床で寝ろ触んな出て行け」
股間を弄る手を払いのける。が、再び手が伸びてきて今度はそこをぎゅっと握る。
「やめろって言って……っ!」
その手が上下にそれを扱きはじめると、どんどん快感と硬さが増していく。
「~~っ!!」
サスケはバッと起き上がると、再度手を払いのけてベッドから降りようとする。
しかし、その右腕をカカシの大きな手が掴んだ。
「触んなっ……!!」
「せっかく一緒にベッドに入ったのに、ハイ終わり、ってのはナシでしょ……?」
腕をぐいと引っ張られると、再びサスケはベッドに沈む。カカシは掛け布団を脇に避け、片腕は握ったまま、サスケの上にのしかかった。
「言わなかったっけ? ベッドの方がもっと気持ちいいよって」
カカシは部屋着のズボンとパンツを取り払うと、またそこを握りしめる。
「勃ってきたらさ、強めの方が気持ちいいでしょ。」
上下に手が動きはじめると、思わず息が漏れた。手を口で抑えるが、それでも時折はぁっと吐息が漏れ出てしまう。
「サスケ」
名前を呼ばれ、サスケがカカシの顔を見上げると、その顔は眼前に迫っていて唇同士が重なった。しかしそれだけで終わるはずがない。カカシの舌がサスケの唇を割って入ってきて、歯茎、上顎……口内全体を蹂躙する。
「……っん、」
キスが気持ちいい、なんて、死んでも口に出せない。
でも、サスケはカカシのキスに頭がぼうっとして夢中になっていた。
完全に勃ち上がったそれをカカシは強めに握りながら扱いている。その快感も拾ってしまい、サスケは抵抗することを忘れてしまう。
いつの間にか握られていた手は開放されていて、カカシはキスを続けながら空いた手でサスケの乳首を弄り始めていた。
「んっ、ん……、っ」
サスケの身体が小さく悶える。
カカシはキスをしながら何か言いたげにサスケを見つめるが、サスケのトロンとした目を見て満足して、扱く手を早くする。
「っん、んんっ! っあ、はぁっ、んっ、っ、ふ、んっ!」
ビクン、とサスケの身体が揺れて、先端から白濁液が数回に分けて飛び出す。
唇を解放すると、サスケは紅潮した顔ではぁっと息を吐いた。
「キス、好きなんだ……?」
カカシがまた耳元で囁き、ふっと耳に息を吐きかける。
ゾクゾク、と身体が震えて、それが返事になった。
「っぁ」
カカシが乳首に舌を這わせる。
ぐりぐりと押しつぶされると脳に甘い刺激が走った。
すっかりされるがままになっているサスケにカカシは満足気だ。
「もっと気持ちよくなろうね」
ちゅ、と胸元にキスマークをつけると、カカシはベッドサイドに置いてあったプロペトを指に塗り、サスケの足を開く。
射精したばかりのそれはまだ半勃ちで、刺激されるのを待っていた。
カカシが後ろの穴に中指をそわせると、サスケはピクンと動いて身じろぎ、「ゃ、め」と小さく声を出す。
「大丈夫。さっきちゃんと気持ちよかったでしょ?」
ぬぷ
中指が中に埋まっていく。
内側にある前立腺の裏をグリっと押すと、サスケは「っあ!」と声を上げた。
「……やっぱり声、かわいい。」
カカシは指を抜き差しするたびにそこをマッサージする。
「あ、あっ、はぁっ、あぁっ、あ、あっ、」
サスケがベッドのシーツをぎゅっと掴んだ。それを見て、カカシはその手を自分の首の後ろに回させる。
指が二本に増えた。
サスケはカカシにしがみつきながら、後ろからの刺激に時折ビクンと身体を震わせて声を上げる。
「はぁっ、ぁっ、あ、っ……!」
さっきしたばかりだ。二本で十分だろう。
カカシは指をゆっくりと引き抜き、自分のそれにプロペトを塗ってサスケを抱え上げた。
「っ、え、」
対面座位で浮いた腰が少しずつ降りていき、サスケの中にカカシのものが埋まっていく。
「……っあ、あ、」
奥まで届いたところで、カカシはそのまま下からサスケを突き上げた。
「~っ! や、あっ、あ、あっ!」
腰を動かしながら、サスケにチュ、チュ、とキスをする。
「んんっ、はっ、あっ、んぁっ! っあ、」
サスケはカカシにしがみつきながら、その肩に顔を埋めた。
「サスケ、俺の声聞こえる? 気持ちいい?」
喘ぎ声を聞けばわかることなのに、わざわざ聞くのはカカシの趣味だ。
「んっ、っ……! きもち、っい、あぅっ! はぁっ、」
「もっと深く入れていい?」
「ぅあ、は、あっ、やっ、だ、んぁっ! あ、っあ、」
「ふぅん……」
カカシはサスケの頭を支えると、ベッドに横たえ正常位になる。
「膝、持って」
サスケの手を膝を抱えるように誘導すると、サスケの顔の横に両手をついて、奥まで腰を進める。
「っあぁあ! あっ、あ、あっ!」
「ここがね、サスケの奥。もっと奥、入れてもいい?」
答えないのを肯定と捉えて、角度を調整し、また腰を奥に進める。
「っ……あ、あ、あぅ、はぁっ、あ……っ!」
「はぁっ、奥、入れるよ?」
ぐぐ……ぬるっ
「っあ゛」
「入った」
「あ゛、あ゛っ、ああ、あっ、あっ!」
クチュ、グチュ、グチュ、
淫猥なら音を立てながらカカシが腰を大きくグラウンドさせる。
「ああ、奥もいいけど、俺こっちの方が好きかも。」
サスケの腰に手を添えて、前立腺の裏にあたるよう位置を調節し、ぐっと押し込む。
「っあ! あ、あっ、やっ、あ、あっ! あ!」
パンッパンッパンッパン
そのまま、高速で腰をピストンさせる。
「っはぁっ、気持ちい……っ!」
「あっ、あ! っあ、は、あっ、あっ!」
パンッパンッパンッパン
「あー、っ、出そう、いい? っ、もっとしたい?」
サスケは揺さぶられながらブンブン首を振る。
「いいっ? 出すよ、サスケもいこっ……!」
ぐりっ!
高速ピストンしながらそこを集中的になぞる。
「っ……あ、あっ、ああっ、だ、だめ、でっ、あぅっ! 出るっ、あっ、あっ! あ、ああ、っあ!」
サスケの中心から勢いよく白濁液が飛び出すと同時に、きゅうう、と中が締まる。
カカシは奥にそれを打ち付け、ビュウ、ビュウ、と精を放った。

はあっ、はぁっ、はぁっ、
サスケは膝を抱えていた腕をベッドに放り出して、放心状態だった。
カカシはサスケの額にチュ、とキスをして、ゴムを外す。
「ローションもいいけど、ワセリンも悪くないな。ね、サスケ。そう思わない?」
「……」
サスケは答えない。
カカシは自分のをティッシュで拭くと、サスケのお腹に着いた精液も拭き取った。
「喋れないくらい気持ちよかった?」
「………」
サスケは答えない。
ただ荒い息を吐きながら、天井を見つめ、大した抵抗もせずカカシを受け入れた自分にショックを受けていた。
……キスだ。カカシがキスをすると、何も考えられなくなってしまう。――それが悔しかった。自分が、情けない。ただ揺さぶられて喘ぐことしかできなかったことも、悔しくてたまらない。こんな、得体の知れない奴に。
「サスケ? おーい、聞こえてる?」
サスケはふい、とカカシから顔を背けた。
気持ちよかったなんて、そんなの認めたくない。
こんな奴の思い通りにされただなんて。
悔しい。悔しい。悔しい。
「……聞こえてるんでしょ? 気持ちよかったんでしょ? 認めちゃいなよ。サスケがセックスしながら気持ちいいって言ったの、俺ちゃんと覚えてるからね。」
息が落ち着いてきたサスケの顔が、悔しそうに歪む。
カカシがサスケの顔を覗き込む。
「強情っ張りって、よく言われない?」
「……るせえよ、出ていけよ……! 俺の目の前から消えろ……!!」
カカシは肩をすくめると、ゴムとティッシュのごみを持って寝室から出ていった。

いつか認めてしまいそうで嫌だった。
毎日こんなことが続くのかと思うと吐き気がした。
俺は絶対に認めない。
認めてしまったら、………きっともう、元の生活には戻れない。
「くそ、くっそ、くそっ……!!」
サスケは、拳を強く握りしめた。

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