先頭車両

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自分でしてみな?

 ベッドの上でくったりとしているサスケを横目にカカシはゴムを外してウェットティッシュでそこをきれいに拭いていく。お腹に付いているサスケの精液も拭き終えると、玩具とローションを手に取りサスケに向けて放り投げる。
「それ、今入れてみ?」
 サスケは上半身を起こすとそれを手に取り、まだ荒い息のまままじまじと見つめた。
 今なら慣らさずに入るだろう。
 まだセックスの余韻でぼんやりした頭のまま、ローションを手に垂らして玩具を濡らしていき、カカシに言われた通りに後ろの穴に添わせて力を込めると、それは簡単にサスケの中に吸い込まれていく。
「……んっ……、入っ、た」
 ナカが奥まで満たされる感覚に恍惚とした表情を浮かべるが、さっきまで入っていたカカシのものと比べると物足りない。
「……カカシのが良い、カカシのが、欲しい……」
「まあまあ、そう言わずに。」
 カカシはサスケの中に入っているバイブの端を持つと、少し引き抜いてから内側に当たるようぐりっと中に入れた。
「っぅあ! あ、あっ」
「……ね? ほら気持ちいい。次は自分でしてみな?」
 カカシがサスケの手をバイブに誘導する。
 抜いて、内側に……押し込む。
「っあ、あ、」
 気持いいところを擦って、奥に。
「はっ、あ、あっ、っ! カカシっ、カカシこれっ、俺っ、……っ!」
 何度も何度も繰り返す。
 そこが抉られる度に走る快感にサスケはとりつかれていた。
「はい、これも使ってみな。」
 サスケの目の前にリモコンをぶら下げる。サスケはそれをもう片方の手で受け取ると、弱にダイヤルを回す。
「……っあ! あ、あっ! はぁっ、あ、あっ!」
 うごめくバイブに身体を震わせながら、それでも出し入れする手は止めない。
 気持ちいい、もっと、もっと激しく。
 リモコンのダイヤルを中まで回す。
 さらに激しく動くバイブ。思わずサスケの手が止まった。
「っぁ、んっ! あっ、あっ! だめ、だめ、んぅっ! っあ、ぅあっ!」
 ポロ、と落ちたリモコンをカカシが拾い、動きを止める。
「はぁっ、あ……」
「ね? これでわかったでしょ、玩具の使い方。家でもできるね?」
 はぁ、はぁ、と肩で息をするサスケの中から、一気にバイブを引き抜いた。
「ぅああっ!」
 ビクンと身体が揺れる。バイブの入っていたそこには、再びカカシのものがあてがわれる。
 期待に胸が高鳴った。また、またカカシのが、入ってくる。
「はい、第二ラウンド。……玩具よりもっと気持ち良くしてあげる。」
 激しい抽送が始まった。
 
 もう、抜け出せない……。
 激しい絶頂を繰り返して、その度に脳を埋め尽くす快感と多幸感を覚えてしまったサスケは、荒い息を吐きながらぐったりと横たわっていた。
 オナニーを覚えた猿は延々とオナニーをし続けるらしい。
 いつか聞いた話を、その時はふうんと思いながら聞き流していたが、今のサスケには猿の気持ちがわかる気がする。
 脳内にはもう「セックスは気持ちいい」と刻み込まれてしまっていた。
 気持ち良くしてくれるなら誰でもいい。痴漢でも、カカシでも、玩具でも、何だっていい。
「起きれる?」
 あんなに激しいセックスをした後なのに、カカシは飄々としながらウェットティッシュでそこを拭いている。
「……無理……」
 サスケはセックスの余韻に浸りながら、多幸感に酔いしれていた。
「じゃ、俺先にシャワー浴びてくるから。」
 カカシはベッドから降りて浴室に向かって行く。
 スマホのタイマーが鳴り始めた。もう二時間経ったのか。
 ベッドの上に転がる玩具を見つけて手に取り、迷わず自分のそこに奥まで押し込む。
「……っ!」
 ああ、満たされる。じんわりと中で存在を主張するそれ。このままシャワーを浴びて、服を着て、家に帰って、それからまた。
 心臓が高鳴る。期待で胸がいっぱいになる。無意識に、輪に指を入れて出し入れし始めていた。
「あ、あっ、っは、んっ……!」
 止められない。止めたくない。もっと早く。もっと激しく。
 シャワーから上がったカカシが玩具に夢中になっているサスケを見つけて、ククッと笑った。
「やっぱお前、淫乱の変態だよ。」
 サスケはその声が聞こえないくらい、玩具がもたらす快感に取りつかれていた。
 そのサスケの手から玩具を奪ってサスケのそれを握る。
「抜いたらちょっとは落ち着くでしょ。」
 手を上下に動かし少し扱くと、それは呆気なく精液を放った。
「っあ……」
「ハマりすぎるのも考え物だね。でもま……面白いから、いいか。」
 カカシに腕を引っ張られて立ち上がり、浴室まで押されて放り込まれる。
 熱いシャワーを浴びていると、熱に浮かされていた頭が少しずつ冷静になっていくのを感じて、さっきまでの醜態が急に恥ずかしくなってきた。あわよくば中に入れたまま家に帰ろうとしていたなんて。家でもしようとしていたなんて。俺は一体何を考えて……。
 シャワーを身体で受け止めながら茫然と考える。
 カカシのせいだ。全部。全部。カカシのせいで自分がどんどんおかしくなっていく。あんな玩具、コンビニのごみ箱にでも捨ててやる。手元になければおかしなことを考えることもないだろう。
 あと一回だ。あと一回、あと一時間をしのげば、カカシとこうしてセックスすることもなくなる。痴漢にさえ遭わなければ。トイレに連れ込まれなければ。二人きりにならなければ。……俺のこころがかき乱されることもなくなるはずだ。
 小さな決意を胸に、シャワーを止めた。
 浴室を出ると、着替えをすませたカカシがベッドに腰かけて何か本を読んでいる。
 サスケもさっと水分をタオルで拭き取ると、服を着込んでいった。
 
 銀色のベンツはサスケの家の前で止まった。
「なんで俺の家知ってんだよ。」
「警察で聴取されてたでしょ。」
 ……そうだった。この男は、俺の家も、学校も、最寄り駅も、乗る電車も知っている。そんな奴から、逃げ切れるのだろうか。……いや、やるしかない。カカシの思い通りになるくらいなら、痴漢に遭った方がまだマシだ。
 シートベルトを外して扉に手をかけると、肩に手を置かれる。
「忘れ物。」
 差し出されたのはあの玩具とローションが入った袋。
「いらねえ。」
 車から降りようとすると、今度は腕を掴まれた。
「プレゼントだって言ったでしょ。持って帰りな。」
「いらねえって言ってんだろ。」
「ハハ、……あんなに夢中になってたのに? 正直になりなよ、もっと気持ちよくなりたいって。」
「っ! んな事思ってねえ……っ!」
 カカシは勝手にリュックを開けて中に玩具とローションを放り込む。
「はい、バイバイ。また明日。」
「……また明日、とか言ってまた何か仕込むつもりだろ。もうあんたには頼らねえぞ。」
「サスケが本当に嫌がってたらちゃんと止めてあげてたよ? でも今朝はよがってたろ。腰まで振ってさ。」
「あんたが変なもん入れるから……!!」
「入れてなきゃ、嫌がってた? ハハ、ほんとかなぁ。」
「とにかく明日からはもういい! あんたは信用できねえ。」
「もう悪ふざけはしないって、ちゃんと守ってやるから。それとも、また囲まれたいの?」
「そんなわけっ……!」
「だったら大人しく俺を頼んなさい。じゃないとどうなっても知らないよ。」
 まるで脅しているかのような口ぶりだった。
 痴漢に囲まれるなんて、そんな事二度目が起きるわけがない。……昨日にしてもそうだ。何かあいつらが集まる場所というか、繋がっているところがあるはずだ。じゃないと七人も集まって男である俺を狙った集団痴漢なんてできないはずだ。
 
 ……もしかして、いや、でも……。
 ……カカシが、今朝の痴漢みたいに、あのおっさん達を集めて俺をハメた可能性も、あるんじゃないのか……? もし、そうだとしたら……。
 一度生まれた猜疑心はサスケの頭を覆っていく。
「……あんたを信用するかどうかは、明日判断する。」
 サスケは車から降りて玄関に向かった。鍵を開けて中に入るとすぐにスマホを取り出して検索する。
 男……ゲイ……痴漢……電車……集団……。
 色んなワードを打ち込んでそれらしきものがないか探す。
「……ゲイ専用痴漢募集掲示板……」
 見つけたそのサイトは、パスワードがないと中を見られなかった。
 痴漢の集まる掲示板……パスワード……考えろ、何か共通するキーワードがあるはずだ。
 思いついた単語を片っ端から打ち込んでいく。そして答えはすぐに見つかった。
「nakadashi」
 その中身は、色々なスレッドが集まる掲示板群だった。
 サスケが乗っている路線の名前が目に入り、息を呑む。
 タップしてスレッドを開くと、男子高校生と思われる写真が目に飛び込んできた。
『こいつOKネコだった』
『乗車位置は?』
『八番、C駅からG駅まで。左側のドアにいることが多い。』
『狙うわthx』
『tnkまではいけた。尻は場所的に厳しい。』
 ……おぞましいやり取りが連なっている。
 サスケは自分が痴漢された日の書き込みがないか探した。
『いつも先頭車両に乗ってるDK狙うわ』
 ……先頭車両。これか……?
『挿入成功。邪魔が入ったけど間違いなくOKネコ。A~B駅間』
 胸がバクバクする。初めて痴漢に遭ったあの日の日付。
 スクロールすると、サスケの横顔の写真が現れる。
『こいつだろ?』
『それそれ』
『先頭車両なら囲めるんじゃない?』
『いける奴いる?』
『ノシ』
『俺も』
『いける』
『混ぜろ』
『行くわ』
『俺も合わせて七人か?』
『七人なら囲めるな』
『よしやるか』
『じゃB駅直前で助けに入るふりして時間稼ぐから適当に逃げとけ』
 ドクン、と心臓が鳴る。
 手が震える。
 これは、この書き込みは。
 何度見ても、あの日のカカシの行動そのもの。……間違い、ない。
「カカ、シ……」
 膝から崩れ落ちて玄関にしゃがみ込む。
 狙われていた。
 仕組まれていた。
 全て、カカシの手のひらの上だったなんて。
 
 昨日聴取をした警察官二人が机の向かいに座っていた。
 サスケはカカシとの出会いのいきさつ、されたこと、やり取り、そして掲示板に書かれているすべてを洗いざらいぶちまけた。
 恥ずかしいなんて言っていられなかった。
 話しながら、涙が出そうになる。
 助けてくれたと思っていたのに。
 守ると言ったのも全部方便で。
 裏で糸を引いていた。
 ……悔しい。
「君が見つけてくれたこの証拠で、一連の人物を特定します。つらいかもしれないけれど、警察が動き始めたことははたけさんに悟られないようにしてください。証拠が揃ったら、必ず検挙しますから。」
「それとは別件で、君がはたけさんから受けたレイプについて捜査します。証拠を残していない……と言っていたとは言え、君の証言が何よりの証拠になる。はたけさんから受けた行為が合意でなかったことを裏付けるやりとりがあれば、更に強い証拠になる。駅のトイレのごみ箱からも、もしかしたら証拠が見つかるかもしれない。……最後に確認するけど、本当にはたけさんを罪に訴える気持ちに、変わりはないね?」
 サスケは力強く頷いた。
「……はい。変わりません。」
 
 長い長い聴取がようやく終わった後、サスケは兄イタチのいる部屋に案内された。
 イタチは部屋に入ってきたサスケを見ると、何も言わず、サスケを抱きしめた。
「俺はな、サスケ。昨日の……集団暴行のときも警察で話を聞いて……お前から話してくれるのを待っていたんだ。また、こんな形で警察に来ることになるとは思わなかったが……。……俺は、俺じゃ頼りないか? サスケ。……それとも、ただ言い出せなかっただけか……?」
 兄さんの声は、震えていた。
 兄弟二人三脚で生活してきた。なんでも兄さんに話してきた。兄さんは俺を大切にしてくれた。……そんな兄さんにはとても、言えなかった。
「……つらかったな、サスケ。つらければ無理に話そうとしてくれなくていい。明日からは俺が学校まで車で送る。もう電車は……はたけカカシとやらに会うのは嫌だろ……?」
 サスケの目頭が熱くなる。泣かない、こぼれそうになる涙を、ぐっとこらえた。
「兄さん、ごめん、……ごめん……」
 イタチの手が一層強くサスケを抱きしめる。
「もう、大丈夫だからな。俺がいる、俺がお前を守る。だから……どんな些細なことでもいい、これからは兄さんに教えてくれ、話してくれ……俺が、何とかするから。」
「言う、これからは兄さんにちゃんと言う……ごめん、兄さん……」
 
 次の日、サスケは駅に姿を現さなかった。
 ……どうやらサスケは、俺を信用しないことにしたらしい。
 手懐けたと思ったんだけどなあ。でもま、昨日の様子だとまた我慢できなくなって俺を求めに来るだろう。「お礼」もあと一回分残っている。無視はできないはずだ。
 カカシはホームに降りて、電車に乗り込んだ。
 
 早朝、ノックの音に玄関を開けると、カカシの前に広がるのはいかつい警察官の面々。
 ……さて、何の件かな。
「早朝から申し訳ないですが、任意で事情を聴きたいことがあります。」
「任意ですか……ならお断りします。」
「あなたに今複数の嫌疑がかけられています。それでも拒否しますか。」
「ええ、任意ならお断りします。」
 仕方がない、という風に別の私服警察官が手帳を見せてから一枚の紙を手にカカシの前に立つ。
「七月十二日七時三十二分、あなたを暴行の容疑で逮捕します。」
 それからは有無を言わさずだった。ガチャリと手首にかけられる手錠。そのままの服でパトカーの後部座席の中央に乗せられる。
「……誰に対する暴行の容疑です?」
「署でお話します。」
 取り付く島もない。
 暴行、暴行ねえ……。
 思い当たるのはひとりしか出てこない。
 しかし、あのサスケが俺を訴えたというのも考えにくい。誰かの入れ知恵だろうか?
 
 狭くて薄暗い部屋に警察官が三人。二人は座って対面している。一人は入り口近くにあるテーブルでパソコンに何やら打ち込んでいた。
「で、証拠はあるんですか。まさか被害者の証言だけってことはないでしょうね?」
「駅の汚物入れから使用済みのコンドームが見つかっています。DNA鑑定をしたら被害者の体液が出てきました。はたけさん、あなたのDNA鑑定もさせてもらいます。」
 内心、舌打ちをした。まずったな。サスケの体液がついているなら、間違いなく俺が捨てたものだろう。
 カカシは両手を挙げた。
「わかりましたよ、認めます。駅のトイレで合意なしのセックスをしました。ですが」
「集団暴行の証拠提出の際もあなたのクリニックで暴行しましたね?」
 そっちは証拠はないはずだ。
「それは否認します。一回だけですよ、合意なしでしたのは。」
 
 カカシの集団暴行の証拠は結局出てこなかった。
 カカシのものと思われる書き込みは公衆無線LANからのもので、その無線LANスポットのあるエリアの監視カメラにカカシの姿は映っていなかったらしい。
 カカシのスマホからも、証拠になりそうなものは何も出て来ず、状況証拠だけでは決め手に欠け、検挙できるのは最初の多目的トイレでの暴行だけとなった。
 イタチが警察暑で話を聞き終わると、車の中で待っていたサスケにそのまま話す。
 ……最初のレイプしか罪に問えないなんて。
 落ち込むサスケを、イタチは優しく撫でた。
 
 それなのに夜、サスケがひとりでベッドに横になっていると思い出すのはカカシとのセックスばかりだった。
 一度脳に刻まれた記憶はなかなか消えない。あの頭がおかしくなりそうなほどの快感を、また……。
 そう思ってしまう自分が嫌だった。嫌なはずなのに、考えるたびに中が疼く。
 その日、残業で帰りが遅くなるというイタチからのLINEを見て、サスケはデスクの奥にしまったままにしてあった玩具を取り出していた。
 袋に入ったそれには一緒にあのお湯を入れる小さい風船のようなものもいくつか一緒に入っている。
 サスケはその内のひとつを手に取り洗面所に向かった。カカシに教えられた通りに直腸洗浄をすると、ローションをとろりと手に垂らす。
 どんどん心臓が高鳴っていくのを感じた。
 少なくとも、指三本。
 ローションで濡れた一本目の指は少しの抵抗を感じながらもぬるりと入っていった。内側を擦るがあのポイントにはサスケの指では届かないらしい。穴をほぐして広げることに集中して、ベッドに横向きに寝転がりながら背中を丸めてそこに二本の指を挿れる。
 抵抗は感じるが、入る。
 なるべく奥まで入れて、出して、繰り返しながら少しずつ中を押し広げていく。
 三本目、きついけど何とか入った。また押し広げるように指を出し入れする。どんどん中が馴染んでいく。スムーズに動かせるようになって、指を抜いた。
 玩具にローションをたっぷりつけてゆっくりと後ろの穴に埋めていく。
「っ、は、……んっ、」
 奥まで入れると、内側を擦りながら抽送を始める。
「あっ、はぁっ、んっ! っは、あ、あっ!」
 リモコンのダイヤルを弱にすると、サスケは背を丸くして震えた。
「あ、あぁっ、っあ! っく、はぁっ、っ!」
 出し入れする手は止めない。そこを抉りながら奥まで挿れて一気に抜く。もっと。もっと。どんどんその動きを早くしていく。
「んぁっ! あ、あっ! っあ、はっ、ぅあ、あっ!」
 ダイヤルを中まで回した。玩具の動きが激しくなる。
「っあ! あ、うああっ! はぁっ、あっ! あ、あっ、あ、っ! カカッ、……っ!!」
 無意識だった。カカシの名を呼んでいた。あの激しいセックスを思い出していた。
 もっと早く、もっと激しく、もっと。
 全身が熱くなってくる。そこをぐりっと強くこすり奥まで入れる。
 気持ちいい、中が満たされる感覚、そこを抉るように動かすと背筋を駆け上がる快感。
「あっ、あああっ! はっ、あっ! んぁっ! あ、あああっ!!」
 ビクン、と身体が跳ねた。中イキしていた。奥に入れたままビク、ビク、と何度も震える。震える手でダイヤルを戻す。
 はぁっ、はぁっ……
 ……こんなんじゃ足りない。セックスがしたい、でもカカシはもういない……。誰でもいい。こんなことで快感を得ても、虚しいだけだった。
「カカシ……」
 挿れて欲しい。めちゃくちゃにされたい。奥までガンガン突かれたい。またあの快感が欲しい。
 でももう、カカシは警察だ。
 俺が、訴えたから。
 本当に、それで良かったんだろうか。
 もうカカシにいいようにはされないと思ったのに、カカシにいいようにされたい自分がいる。
 いいように……。
 
 サスケはスマホであの痴漢募集掲示板を開いていた。
『痴漢してください。D駅から七時二分発の先頭車両に乗ります。奥まで届く人がいいです。』
『ktkr』
『特徴は?』
『俺がやる。詳しくはフリメに→hfyjアットマークnku.net』
 フリメ……フリーメールか。
 サスケも適当なところでアカウントを取って書かれているメールアドレスにメールを送る。
 数回のやり取りをした後、スマホを置いた。
 D駅はサスケが乗る駅のふたつ前の駅だ。
 まだ荒い息のまま、玩具をゆっくり出して、サスケは浴室に向かった。
 
「兄さん、明日は電車で学校に行くよ」
 帰ってきたイタチに告げると、イタチは驚きながら心配そうな顔をする。
「大丈夫なのか、サスケ。」
「いつもより早い電車に乗るし、カカシももう警察だから大丈夫だ。六時半に家を出る。」
「そうか……そうだな、奴はもう捕まっているしな。わかった。」
 チクリと胸が痛む。
 兄さんはこんなに心配してくれているのに、俺が明日しようとしていることは……言えない。兄さんにはとても言えない。
 
 翌朝、サスケはA駅から学校とは逆方向の電車に乗ってD駅まで来ていた。
 反対方向のホームに移動して、先頭車両に並ぶ列に混じる。後ろは朝指で慣らしてきた。ベルトもせずカバンにしまってある。いつものようにリュックを前に持ち替えて、七時二分発の電車をドキドキしながら待った。
 間もなく、ホームに電車が滑り込んでくる。ホームドアが開くと人波が電車から出て改札に向かっていく。その流れが落ち着いたところで、先頭車両の列が動いた。サスケは車両の隅に位置取り、リュックを抱きながら車掌室側を向く。
 電車が動き出すと、背後から耳元に話しかけられた。
「掲示板の子で合ってる?」
 サスケが頷くと、さっそくズボンのチャックが下ろされて、下着とズボンも下げられる。その手は前を扱き始めたが、サスケのそれはもう期待で勃っていた。
「っ、……、は、」
 扱く手が早くなり、サスケはあっという間に達してしまう。
 その精液で濡れた指が後ろの穴に添わされた。ぬるっと入ってきた二本の指はサスケの中を確かめるように動いて、あそこをぐに、と押す。
「っあ、……っ!」
「ちゃんと準備してきたんだ、偉いね? 大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。」
 指が抜かれて、代わりに熱くて硬いものがあてがわれた。それはゆっくりと中に入ってきて、奥までおさまる。
 この人なら、腰を動かさなくても、奥まで届く……。
 ゆっくりとした抽送が始まった。そこを抉られ、奥に届くたびに漏れそうになる声を必死にこらえる。
「はぁっ、っあ、……っ! っう、くっ、」
 気持ちいい、でもじれったい。もっと欲しい。もっと激しくしてほしい。でもラッシュアワーの電車内では激しく突いてもらうことはできない。
 ただ電車の中で挿れられているスリルと興奮で、サスケの感度はいつも以上に上がっていた。
「あ、あっ、っ……! んっ……!」
 耳元には痴漢の興奮した息遣いが聞こえてくる。それすらサスケには興奮する材料にしかならない。
「はぁっ、あっ、はっ……! っあ」
 電車が駅に止まり周りの人波が動き始めるが、隅にいるサスケには関係ない。痴漢はググッと奥まで押し込んだまま、ホームドアが閉まるのを待った。
「っあ、……お、く……っ!」
「……奥が好きなんだ?」
 電車が動き出し、抽送が再開される。
 あそこをなぞり奥に押し込まれる度にサスケは壁に額を押し付けながら荒い息と共に声を漏らした。
 気持ちいい、もっとガンガン打ち付けられながら思いきり喘ぎたい。……カカシのときのように。
「はぁっ、あ、もうっ、無理……っ! んっ、もっと、もっと激しく……」
「……ん? じゃあ、次の駅で降りる?」
 次の駅は……サスケの最寄駅。
「あっ、っ……、トイレで……っ」
「我慢できなくなっちゃった? かわいいね。」
 痴漢のものが抜けて、下着とズボンが上げられる。サスケは自分でボタンを閉めて、息を整えた。
 まもなく電車がホームに滑り込む。外に出る人波に混ざって電車から降り、多目的トイレに向かう。
 しかし、多目的トイレは使用中だった。
「個室に行こう」
 背後から声がかかる。
 サスケが男子トイレの個室に入ると、後から四十代くらいの男が入ってきて鍵を閉めた。
 サスケはリュックを床に置き、ズボンと下着を下げる。
「片方はもう脱いじゃって。顔見ながらしたいから。」
 言われた通りに、左足の靴を脱いでズボンと下着も脱ぎ去ると、トイレに座らされて足を上げられた。
 勃起したそれがゆっくりサスケの中に入ってくる。
「っあ、あ……、」
「激しく、だったっけ?」
 サスケが俯くと、男は激しく腰を動かし始めた。
「っあ! あっ、あ、あっ! んぁっ!」
「顔上げて、よがってる顔見せてよ。」
 真っ赤な顔を上げると、視線が交差する。
「はぁっ、あっ、ぅあっ! あ、あっ! イくっ、あっ、も、だめ、あぅっ! い、あ、あっ! あああっ!!」
 ビクンと身体が硬直した。
 きゅうきゅうと締まる中で絶頂の余韻に浸ることすら許さず男はなおも激しくサスケを揺さぶる。
「ああ……、たまんねえっ。」
「ぁあっ! あっ、あっ! ぅあっ! あ、あっ、……っ!」
 気持ちいい。気持ちいい。
 見ず知らずのおっさんに、電車の中で挿れられて、我慢できなくなってトイレに入って、中イキして、それでもまだまだ足りないと思ってしまう。
 
『淫乱の変態』
 
 カカシの言葉を思い出していた。
 もっと感じたい、快感で頭をぐゃぐちゃにして欲しい。気がつくとサスケは腰を動かしていた。男の動きに合わせて、もっと奥に、もっと激しくなるように。
「っはは、そんなに淫乱だと、電車じゃ物足りないよねぇっ?」
 望んでいたものが今手に入っている。
 なのにこの満たされなさは何故なんだろう。
 気持ちいいのに、求めた通りに激しいセックスをしているのに。もっと。何かが足りない。何かが違う。
 何が違う?
 俺は何を求めてる?
「もう出すよっ……!」
 最奥に突きつけられたそれがドクン、ドクンと迸るのを感じながら、サスケの脳裏にはカカシの姿があった。
 違う。
 違う。
 カカシはもっと俺を、ぐちゃぐちゃにしてくれた。
 カカシは……。

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