いつか
恋人
ふかふかの布団でまどろんでいた。どこだろうここ……でもこの匂いは知ってる。布団を被り直そうと身じろぐと隣に誰かが寝ている事に気がつく。……素肌? ……俺も?
パチッと目を開けると目の前にカカシの横顔。昨日馬鹿みたいにセックスをしまくった後どうやらそのままカカシのベッドで眠ってしまったらしい。今何時だ? ベッドボードにある時計は5時半を指していた。起きるにはまだ早いか。と思いながら視線を下げると、カカシのそれが朝勃ちしていて昨日のことを思い出してしまう。いつもカカシは1回しか出さないのに昨日は3回も連続で。出す度に愛撫はねちっこくなっていって思わずサスケは「もう無理……カカシ早く」と懇願したのにカカシはその後もスローセックスを楽しんだ。しかしサスケにはそんなスローセックスがもどかしくてついには「俺はあんたと激しくセックスして一緒にいきたいんだ!」とまで言ってようやくふたりで一緒に激しくいったのが最後の記憶。じらされにじらされた上での絶頂でどうやら意識が飛んでそのまま夢の中に行ってしまったようだ。
思い出してまたムラムラしてきたサスケはベッドボードに置きっぱなしのローションに手を伸ばすと左手に垂らしてその指を後ろの穴にぬるっと差し込む。中をかきわけてそこを刺激するとピクンと身体が反応した。カカシを起こさないように、声を出さないように指を出し入れしてそこをなぞる度に息を殺して、目を閉じながら二本、三本と指を増やしていく。息が荒くなっていって、でもカカシを起こさないように、静かに呼吸を整えながらぐちゅぐちゅとローションの音が寝室に響いた。カカシが欲しい、カカシのが……目を開けるとすぐそこにはカカシの顔があって、目が合って、サスケの心臓は跳ね上がった。
「なーに可愛いことしてくれちゃってんの……。」
「いつから起きて……」
「ローション取ったところから」
……最初からかよ!
「昨日あんなにしたのにまだ足りなかった?」
「昨日あんなにしたからムラついたんだよ悪いか!」
サスケが左手でカカシのそれを握ると固く芯を持っている。そのまま扱き始めるとカカシも熱い息を吐き始めた。その反応に満足気なサスケはカカシのそれを自分の穴に誘導する。
「……そこまでしといて後から文句言わないでよ。」
「いいから黙ってやらせろ。」
少しずつ中に沈めていたら身体がぐるんと仰向けになって、カカシが身を起こしサスケの股関節を曲げた。
「すご……中もうトロトロ。」
「っあぅ!」
奥まで一気に挿入すると、サスケは背を反らせてなんとも可愛い声を出す。それに気をよくしたカカシはずるるっと抜いてはぱちゅん! と奥まで貫くのを繰り返しながら、さてサスケをどうしてやろうかなぁと考えた。
時計のアラームが鳴ったところでカカシは腰を動かすのをしばし止める。目覚まし時計を手に取ってアラームを切っているとサスケは自分で腰を動かしながらうっとりとしていた。
「こら」
「……なんだよ。」
「勝手に気持ち良くなってんじゃないの。」
「なんであんたの許可がいるんだよ……あっ! あ、ぅあっ!」
「サスケを気持ちよくさせるのは俺の役目なの。でサスケは俺に気持ち良くさせられるの。」
「そんっ、あっ、あっ! きもち、いっ! あ、あっ! カカ、んぁっ! もっ、ひぁっ!」
サスケの好きな体位も早さも突くところも知り尽くしたカカシは、どうしたらすぐ隣に俺がいるのに目の前で自慰を始めたことを後悔させられるかなぁと考えながら、サスケの脇から腰にかけてフェザータッチでさわっと撫でる。サスケはビクビクッと反応して中がキュンキュンと締まった。うん、これでいこう。ゆっくりと抽送しながらカカシはサスケのあらゆる性感帯を撫でたり舐めたりして焦らし続けた。
結局サスケは一度もいかせてもらえないまま焦らされ続けてカカシだけ中に出して長い長い朝のセックスは終わった。
「~~~っ!!」
いけなかったサスケは荒い息のまま任務に出かける用意をしている。この調子だとふたりきりになった瞬間求めてくるだろうけど相手してやんない。と意地悪なことを考えながらカカシも服を着込んでいく。勃ちっぱなしのサスケがトイレに行くのを見送って、頃合いを見計らってトイレの扉を開けるとサスケはやはり自慰に耽っていた。
「今日はオナニー禁止」
「は? このまま行けって!?」
「せいぜいムラついてなさい。」
「そもそもあんたのせいで……!」
「文句言わないでよって言ったでしょ。」
「う……。」
サスケは観念したのかそれを下着の中に押し込んだ。ズボンを履きながら朱に染まった顔でカカシを見上げる。
「……いつまでだよ。」
チュ、と唇を合わせてからカカシは顎に手を添える。
「ま、少なくとも三日後の夜までだな。」
「は? ……三日!?」
抗議の声を上げるサスケにカカシはにこっと微笑みかける。
「俺たちの関係は?」
「……恋人だろ。」
「その恋人が隣で寝てるのにケツでオナってたの誰?」
「それがそんなにいけないことなのかよ。」
それを聞いてカカシははぁぁ、と深いため息をついた。
「ダメだね、全然ダメ。サスケは分かってない。恋人ならなんでも話し合わなきゃダメ。」
「だからって三日って! しょうがねえだろ俺恋人なんてはじめてなんだから!」
そうこうしている間に時計の針は集合時間の5分前を指していた。
「任務遅刻しちゃうよ? あ、そうそう、サスケこれ」
カカシがサスケに鍵を手渡す。
「うちの合鍵。」
「……ウスラトンカチ。」
サスケはその鍵をポケットに入れて玄関から出て行った。
なんとか冷静に任務を終わらせて、すぐに家に帰ったはいいが股間が落ち着かない。今すぐにでもセックスしたい。ガンガン突かれて思いっきりいきたい。朝のムラムラをまだ引きずっていた。オナッたところでこのムラムラはカカシがしてくれないと納まらないだろう。せっかく想いが通じ合って恋人同士になったのになんて仕打ちだ。
『恋人ならなんでも話し合わなきゃダメ。』
……話し合いに持ち込めば、三日というペナルティは少しは緩和されるんだろうか? ポケットの中に鍵があるのを確認してからカカシの家に向かったがカカシは留守だった。鍵を開けて中に入るとカカシの匂いがする。そのまま寝室に行ってベッドにダイブする。カカシの枕の匂いを嗅ぎながら深呼吸するとまたムラムラしてくる。ズボンの上からそこに触れるとガチガチに勃っていた。早く帰ってこい、カカシ。もう頭の中はカカシとのセックスでいっぱいだった。ズボンに手をかけようとして思いとどまるのを何度も繰り返しながらカカシを待っていると、玄関の扉が開く音がする。バッと身を起こしてリビングに向かうと忍服姿のカカシが玄関で靴を脱いでいて、サスケは何も考えずカカシに抱き着いた。
「ちょ……いきなり熱烈な歓迎?」
「……話し合い、させてくれ。」
カカシの胸に顔を埋めながら切実に訴えるサスケの話を聞かない理由はなかった。
「いいけど、テーブルでね。」
サスケの頭をよしよしと撫でながらダイニングテーブルに向かい、相対するなりサスケが声を上げる。
「今すぐカカシとセックスがしたい。」
「いきなりだねぇ。でもいかせてあげないよ。」
「いつもみたいにいかせて欲しい。」
「三日は我慢しなさい。」
「我慢できない。お願いだ、カカシ。」
「……じゃあ妥協して二日にしようか。」
「今日してくれないのなら俺はあんたを襲うぞ。」
「襲ったところで俺が動かないとサスケいけないでしょ?」
「もうあんたの隣でオナニーしないから。頼む。これからは何でも相談するから。」
「たったの一日も我慢できないの?」
「俺をこんな風にしたのは、あんただ。だから責任取れ。」
そう言われてしまうと、確かにそうだ。サスケが俺から離れないようにするために、俺は散々サスケがよがるようにしてきたし沢山いかせてきた。その味を覚えさせたのは俺だ。
「……わかった、それなら、サスケが今どれだけムラムラしてるのか俺に見せてよ。よっぽどだなぁと思ったらちゃんとセックスしていかせてあげる。」
立ち上がってサスケに手を差し出すと、サスケはその手を取って口元に運び指を一本ずつ舐め始める。思わずぞくっとした。サスケは指をしゃぶりながら俺の顔を見上げる。
「……この指を今すぐ入れて欲しい。」
ごくりと喉が鳴る。エロすぎるだろ。
「まず、ベッドに行こうね。」
寝室に入ってベッドに腰かけると、後から着いてきたサスケがカカシの前に立ち止まる。
「ん? ベッドに上がらないの?」
サスケはカカシの服を脱がし始めた。まずベスト。そしてインナー。ズボンに手をかける。さっき指を舐められた刺激でカカシのはもう芯を持っていた。ファスナーが下ろされて下着がずらされるとそれがあらわになる。サスケは迷わずそれを口で咥えた。
「ちょ、」
そんなこと教えたっけ? いや教えてないよな?
唾液をたっぷりとつけながら裏すじ、カリ、亀頭を丁寧に舐めていき、じゅぼ、じゅぼ、と音を立てながらその頭を上下に揺する。あ、やばい、このままだと出る。
カカシはサスケの肩を掴んで「もういい」とその口内からガチガチに勃ったそれを出させる。サスケはズボンと下着を脱ぎ捨ててカカシの肩を押しベッドに沈めると、ローションを手に取って両手に垂らす。そして左指は後ろの穴に沈めていき、右手はカカシのそれを扱き始めた。
はーっ、はーっ、とサスケは完全に興奮していた。自慰ではなく慣らすために左指を出し入れしている。二本、三本と指を増やしていき、十分に慣れたのか俺の上に跨って唇を重ねながら俺のそれを中にゆっくりと沈めていった。口内で絡み合う舌、サスケの中の熱さと締め付けに、カカシもいやでも興奮する。
「はぁ……、あ……、……んっ、あ……」
挿入しながらサスケはふるっと震えた。待ち望んでいたものがようやく、とでも言わんばっかりに。奥まで挿入しきると、キスをしながらサスケは騎乗位のまま腰を動かす。色んな動きを試してみて、一番いい腰の動かし方がわかったらしい。唇を離してカカシの腹の上に手を置くと、サスケは激しく腰を動かし始めた。
「あ、あ、あっんっ! んぁっ! あっ! はぅ、あぁっ!」
ぐ……気持ちいい……。そして何よりカカシの上で乱れるサスケの姿が扇情的すぎて、カカシは無意識のうちに腰を動かしてしまいそうになる。我慢だ、我慢……でもその我慢はすぐに限界が来た。
「あっ! カカ、んっ! カカシっ! あぅっ、カカシ好き、好きだっ! カカシ、カカ、あっ!」
気がついたらカカシはサスケの腰を掴んで思いっきり腰を動かしていた。名前を呼ぶのは、好きだと言うのは反則だ、そんなの、応えないわけにはいかない。
「ああっ! あっ、あっ! あ、ああっ! カカ、あっ! 気持ち、んっ! きもちい、あんっ! 好き、好きっ! あ、あああっ! カカ、ああっ!!」
サスケの腰のリズムに合わせて突き上げると、ビクンと震えながら喘ぐ声のトーンが上がる。突き上げる腰の激しさにサスケは震えながらカカシにしがみつく。
「あっ、ああっ! いっ、あああっ!!」
ビクン、ビクンと震えながら中がキュウウと締め付けられて、散々サスケに刺激されていたそれは簡単に精を放った。パタンとカカシの上に倒れ込んだサスケを抱きしめて体制を入れ替える。
「サスケ、俺も好きだっ」
いったばかりのサスケの奥にガンガン突きあげるとサスケはカカシの名を呼びながら何度も小さくビクンと跳ねた。まるで小さい絶頂を何度も繰り返しているかのように中がキュウキュウ締まる。ペナルティなんかもうどうでもよかった。サスケと深く愛し合って何度でもいかせたかった。ずっとずっと、そんなセックスができる日を夢見ていたふたりは、夢中になって愛し合った。
思う存分にセックスをしてふたりはベッドの上で荒い息を吐きながら重なり合っていた。
「……てゆうかさ」
「……? なに……」
「どこで……覚えたの……フェラ」
はぁ、はぁ、と息を吐く合間にお互いに話す。
「フェラ……? なんだそれ……」
「俺のを咥えて舐めたじゃない」
「カカシが……欲しくてたまらなかったから……」
「……そんなにムラムラしてたの……」
「伝わったんだろ、だから……」
「……うん、伝わった。……サスケが俺を好きだっていうのが。」
「……ああ、好きだ。カカシが、好きだ。」
「俺も好きだ……ずっとサスケからその言葉を聞きたかった。……好きだ。」
「これからはいくらでも言ってやる。カカシが好きだ。好きだ。カカシ、好きだ。」
「ああ、……幸せすぎて、どうにかなっちゃいそう。」
「……なっちまえばいいじゃねえか。」
くすっと笑ったその唇にキスをする。
ずっとこうしたかったのに、こわくて、出来なくて、セックスだけが俺たちを繋いできた。
心が通い合ったかと思えば離れていって、ついには俺たちを繋いできたセックスすらしなくなって。でも俺たちはお互いの気持ちを確認できて、一歩踏み出して、ようやくこころから繋がることが出来た。
サスケが俺から離れていく、そんな"いつか"は来ないと思っていた。
ふたりとも両想いで恋人として愛し合う、そんな"いつか"は来ないと思っていた。
でもそんなことは今はもうどうだっていい。
俺たちはこれからも求め合うだろう。けれどそこには確かな繋がりがある。想い合っているという繋がりが。好きだという繋がりが。だからもう"いつか"なんて考える必要はない。今までできなかった分、たくさん愛し合おう、繋がり続けよう、恋人であり続けよう。
カカシ。
サスケ。
大好きだ。