いつか

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成人向,長編,原作軸,完結済み,カカサス小説エロ,シリアス,モブサス描写有

俺たちの関係はside K)

 第七班のはじめての泊りがけの任務。俺たちに提供された客間は小さな部屋で布団も三組しかなかった。女の子のサクラがいるから全員で雑魚寝というわけにはいかない。必然的に誰かと誰かが一緒の布団に入ることになる。順当にいけばナルトとサスケが同じ布団になるのだろう。二人がひとつの布団で眠っているところを想像して吐き気がする。三人が話をしているのを聞いて、ナルトが俺は寝相悪いからなーと言い出した瞬間、俺はすかさず「ナルトと一緒は嫌だなぁ」と眉をひそめながら言った。サスケも同調してくれと祈っていると、「なら俺とカカシが一緒の布団でいい」と自ら言ってくれた。こんな絶好の機会が巡って来るなんて。俺は嬉しくてたまらなかった。
 夜になって三人が寝静まったとき、少し抱き寄せるだけなら寝ぼけてるとでも思ってくれるだろうと思ってそっとサスケの胸に腕を回して抱きしめる。眠りが浅かったのかサスケはすぐに目を覚ましてしまった。小声で「おい」と言われても寝ぼけたふりをしてサスケの髪の匂いを嗅ぐ。目の前にあるうなじに思わずしてしまったキス。一回だけじゃとても足りなくて何度もキスをしながらサスケのシャツをたくし上げた。静かに払いのけられる手。他の二人が寝ている今なら何をしてもサスケは大した抵抗は出来ないんじゃないか。俺はそのこころの声に従ってその手をサスケの口に挿し入れ、ズボンに手をかける。サスケの熱い口内をなぞっていると、サスケは静かに抵抗を始めた。
「おい、カカシ!」
 どんな意図であれサスケから名前を呼ばれるだけでも俺は嬉しかった。唾液で濡れた指を柔らかい尻に沿わせてその穴に少しずつ埋めていく。出し入れを繰り返しながら奥に奥にと指を進めるとぷっくりとしたところを探り当てた。ピク、と動いた小さな身体。何度も繰り返しなぞるとサスケは震えながらその抵抗をやめる。荒くなっていく息は静かなこの部屋ではよく耳に響いた。その荒い息遣いに俺はどんどん興奮して指の数を増やしていく。
「っカカシいい加減に……!」
 そんな声出したら聞かれちゃうよ。俺は強めにそこをぐりっとなぞった。ビク、と揺れる身体、吐息に混じるほんの小さな喘ぎ。ああ、もう駄目だ。我慢できない。指を抜いてズボンを少し下げ、俺のそれをあてがうと、サスケは緊張で身体を固くしながらまた俺の名前を呼ぶ。
「おいカカシまさか、」
 振り向こうとするサスケの耳がすぐ目の前に来て、俺はその耳に息を吹きかけながら囁いた。
「しー、二人とも寝てるから、静かに」
 そこはもう穴に照準を合わせている。サスケは何をしようとしているのか悟ったんだろう。でもサスケができる抵抗はせいぜい身をよじる程度だ。
「静かにしてられるかよっ……っぁ、」
 俺はゆっくりとそこに亀頭を埋めていった。サスケが身を固くする。でも大丈夫、しっかり慣らしたからきついのは最初だけ。最初の引っ掛かりを通り抜けるとゆっくりと奥まで入りきる。サスケの息が浅い。今何を考えているんだろう。俺ので、俺のことで頭がいっぱいだろうか。奥まで入りきったそれをゆっくりと動かし始める。もちろんぷっくりとふくれたあそこを強く擦ってゆっくりとゆっくりと抽送する。ああ、サスケの中が熱い。ガチガチに固まりながら俺のを締め付けてくるのがたまらない。
「っはぁ、……っ、……んっ、……っぁ、……っ!」
 漏れ出るサスケの可愛い声。もっと聞きたい。もっと。……駄目だ、他の二人が起きてしまう。サスケの中に挿れているという事実だけで俺はもうイッてしまいそうだった。サスケの髪の匂いを嗅ぎながら、漏れ出る声を聞きながら、時折ピクンと震える身体を抱きしめながら、奥まで挿れる度に漏らす吐息にもう我慢の限界だった。少しだけ腰の動きを早めるとすぐに俺はサスケの中に精を放った。奥まで挿れたまま、このままずっと抱きしめていたい。けれどそんなことをしたらサスケは気づいてしまうかもしれない。抱きしめていた腕を緩めるとサスケは布団から出て行った。
「っカカシ、どういう……!!」
「しー……、起きちゃうよ、二人とも。」
 俺はずるい奴だと思う。無垢な二人を人質にとってサスケを黙らせる。サスケは舌打ちをして服を整えて部屋から出て行った。きっとトイレにでも行ったんだろう。俺は自分のズボンを上げると幸せで夢見心地の中目を閉じる。しばらくしてサスケが戻って来たときも寝たふりを決め込んだ。サスケは布団には入らずに窓辺に座って眠り始めた。そんなに俺と一緒に寝るのが嫌? そうだよね、今の今俺がしたのは合意なしの性行為。そんな奴とまた同じ布団になんて思えないのは当たり前だ。サスケの寝息が聞こえてきたところで俺は布団からそろッと抜け出してサスケを抱き上げて布団に寝かせた。また一緒の布団に入って抱き寄せたい衝動に駆られながら、サスケが座っていた窓辺に腰かけてぬくもりの跡を探している内に夜が明けて、俺は三人が目を覚ます前にそっと部屋から出て顔を洗った。
 
 サスケが起きて俺のところに来たとき内心嬉しかった。今のサスケは俺しか見ていない。俺のことしか考えていない。掴まれた腕から伝わるサスケの少し高めの体温を感じながら俺は人気のないところまで連れて来られた。さてどう言い逃れしたものか。性欲が強い、ということにしておこう。誰でもよかった、でもこの三人の中ならサスケがいいと思った。そう、伝えよう。
「あんた自分が何言ってんのかわかってんのか? やって良いことと悪いこともわかんねえのかよ!」
 うん、わかってる。悪いことだと思いながらしてる。ちゃんとわかってる。そしてサスケがしっかり感じていたのもわかってる。
「……でも気持ち良かったでしょ?」
 言葉に詰まったサスケに俺は満足した。否定しないということはサスケも気持ち良かったと感じていたんだ。抱きしめて繋がって気持ち良くなるなんて最高じゃないか。
「ま、深く考えずに楽しもうよ。大丈夫、満足させてやるから。」
 俺はあくまで軽い態度でサスケに接する。いつもの調子で頭に手を置くと暖簾に腕押しだとわかったのかサスケは黙ってその手を振り払ってナルトの方へ向かって行った。
 どんな形でもいい、サスケと繋がりを持ちたい。サスケと一緒にいたい。サスケと。
 眠る二人を人質にとって無理矢理結んだ関係、いつからかサスケは諦めたのか何なのか、黙って行為を受け入れるようになった。もっと抱きしめたい、キスをしたい、一緒にいたい、繋がったまま眠りたい。
 波の国から帰った後も俺はサスケの家に上がってセックスをし続けた。抱きしめたまま離したくない。唇を奪いたい。中に挿れたまま好きだよと囁きたい。けどだめだ。これ以上踏み込んだら俺はきっと戻れない。もっと一緒にいたい、その気持ちを振り切るように、行為後はすぐにサスケの元を去る。色んなはじめてを奪っておきながら、サスケのファーストキスだけは残しておいてやりたくて唇にだけはキスをしなかった。けれど本音ではその大切なはじめても俺のものにしたかった。そう、思うだけなら許されるだろう。
 扉を閉めたとき、階段を下りたとき、アパートが見えなくなるギリギリの場所まで来たとき、サスケは今どうしているだろうと振り返る。
 この想いは決して知られてはいけない。決して悟られてはいけない。ただこうして繋がり続けるだけでいい。想いを打ち明けて拒否されてしまったら、もうこうして逢瀬を重ねることはなくなってしまう。
 声が漏れないよう口を抑えるサスケも可愛かったけれど、サスケの可愛い声をもっと聴きたくなった俺は、その日の行為後いつもは無言で立ち去るところ、一言だけサスケに言葉を残した。
「次からは俺の家においで。」
 翌日パックンをサスケの家によこした。今までは俺が押しかけていたから受け入れざるを得なかっただろうけど、はたしてサスケは来てくれるんだろうか。ドキドキしながら待っていると、サスケは素直にパックンの後に続いて俺の家までやって来た。
 拒否をしなくなって、俺を受け入れるようになって、ついには自分の足で俺の元まで来てくれるようになったのが嬉しくて嬉しくて俺は毎日のようにパックンをサスケの家によこした。けれどサスケはセックスが終わると、かつて俺がサスケの家でしていたようにさっと服を整えて黙って玄関から出て行ってしまう。もっと抱きしめていたかった。もっと繋がっていたかった。でも駄目だ、そんなことをしたら俺の気持ちが悟られかねない。
 俺たちの関係はあくまでセフレ、そこまでだ。それ以上は望まない。サスケが来てくれる、それだけで嬉しいのだからこのままでいいんだ。
「カカシにとって俺はなんなんだよ。なんで俺なんだよ。」
 服を着込みながらそう言われたとき、俺は自分の気持ちがあふれ出そうになってしまった。
「俺はサスケとしたいの。サスケに挿れたいの。サスケの声を聞きたいの。」
 サスケを俺のものにしたいの、と喉まで出かかったのを何とか堪えた。
「だから強引にセックスしました? そんな理屈が通じると思ってんのか。」
 そんなことわかってる。わかってるけど今お前は自分の足で俺の家まで来てるんでしょ。俺とセックスするためだけに通ってくれてるんでしょ。
「でも今は合意じゃない。サスケも気持ちいいから毎回うちに来るんでしょ?」
 少し意地悪を言ってしまっただろうか。サスケは少しの間黙りこくって、服を着込み終わると
「……勝手にしろ」
 と俺に言葉を残して立ち去った。
 勝手にしてもいい? 本当にいいの? 嬉しくてたまらない。俺は家だけにとどまらず色んな場所でサスケとセックスをするようになった。トイレの中、森の中、朽ちかけた家屋の中、サスケも満更でもなさそうで、お互いを貪るようなセックスをしては、行為が終わるとどちらからともなくすっと離れていく。でもそれだけでよかった。今日はあの二人に隠れてセックスが出来るだろうか。そんな事ばかり考えていると自然とサスケに視線が向く。サスケからの視線もよく感じるようになった。今俺のこと考えてる? セックスのこと考えてる? 今日も気持ちよくなりたい? 大丈夫、その想いにはたっぷり応えてあげる。
 俺は幸せだった。でもそんな俺の耳に、同僚から不穏な噂を聞かされた。
「お前んとこのサスケ、父親くらいの年の男と並んで出会茶屋に入っていったらしいぞ。」
 頭が沸騰するかと思った。出会茶屋に? サスケが知らない男と一緒に? それはつまり、そいつとセックスをしたってこと?
 すぐにパックンをサスケの元に向かわせた。
 サスケが扉を開けた瞬間俺はサスケに食い気味に尋ねる。
「他の人とやったらしいね?」
 サスケは悪びれもなく認めた。
「俺の勝手だろ」
 そう、俺はサスケのすべてを手に入れることは出来ない。俺にサスケを止める権利はない。恋人でも何でもない。ただセックスするだけの関係なんだから。
「止める権利はないけど、なんかむかつく。」
 どうしたらサスケを止めることが出来る? どうしたら俺だけを見てくれるようになる? どんなに大切に抱いても、激しく抱いても、何度もいかせても、サスケのこころは俺の方を見てはくれない。
 そんな俺の耳にまた嫌な噂が舞い込んでくる。
「サスケの奴、しょっちゅう出会茶屋に行ってるみたいだぞ。」
 すぐにサスケを呼んだ。いつものように玄関に入ってくるサスケに詰め寄った。
「なんで他の人とするわけ?」
 出来る限り普通に話そうと思っていたのに、苛立ちを隠しきれなかった。
「あんたには関係ねえだろ。」
 サスケは靴を脱ぎながら少し不機嫌そうに俺の目を見つめる。サスケにとっては関係ないかもしれない。でも俺にとってサスケは、サスケは……。
 俺の横を通り過ぎて寝室に向かおうとするサスケの腕を掴んでいた。
「前にむかつくって言ったよね。嫌がらせのつもり?」
「さあな。なんにしろあんたが文句言う権利はねえよ。俺たちは恋人でもなんでもねえだろ。」
 そう、俺たちはただのセフレ。それ以上でもそれ以下でもない。セックスに耽るだけの関係。でも俺は俺以外の奴とそんな関係になんかなってほしくなかった。俺以上にサスケのことを知ってる奴はいない。俺以上にサスケを気持ちよくさせられる奴なんかいない。俺以上にサスケをいかせられる奴なんていない。俺以上にサスケのことを好きな奴なんていない。
「……それで俺より上手い奴はいたの。」
「いねえよ。」
「ならなんで。」
「俺の時間をどう使おうと俺の自由だ。」
 サスケはあくまで譲ろうとしない。また行くつもりなのか、また知らない男とセックスするつもりなのか。なんで。どうして。思わず眉間に皺が寄る。反面、サスケはそんな俺を見てふっと口角を上げた。……俺に対する当てつけなのか。
 サスケの腕を掴んだまま寝室に向かう。引っ張られながらサスケも素直についてくる。なのに何で。俺だけじゃ満足できないってこと? 俺以外の男を知りたいってこと? それとも本当に単なる俺への嫌がらせ? ……そんな必要はないと思い知るくらい、抱き潰してやる。
 何時間もかけてサスケの声が枯れるまでセックスをした。ほらこんなにお前を気持ちよくさせられる奴は他にいないだろ。こんなにも満足させられる奴は他にいないだろ。何度も抱いて何度もいかせた。俺にはこうする他サスケを止める方法が思いつかなかった。 
「もう、やめてよ。他の男とやるの。俺とするのが一番良いでしょ?」
 お願いだからもうやめてくれ。もう他の男とセックスなんてしないでくれ。
「……珍しいな、やった後に話しかけてくるなんて。」
 そうだよ、自分で決めてたタブーを破るくらい俺はそれが嫌なんだ。
「返事は?」
 だからお願い、わかったと言ってくれ。
「あんたはいつもやったらすぐにさよならだからな。」
 だってこれ以上踏み込んだらお前は来てくれなくなるだろ。
「だから、返事は。」
 サスケ、頼むから、お願いだから。
「俺がいつどこで何をしようと、俺の勝手だ。」
 まだそんなことを言うの? 俺じゃ満足できなかったの?
「……まだ他の男とするってこと?」
 駄目だそんなの耐えられない。否定してくれ、サスケ。
「あんたには関係ない。」
 俺にとっては重要なことなんだ。そんな風に俺を遠ざけるのはやめてくれ。
「どうしたらやめてくれるの。」
 なりふり構っていられない。サスケがそれをやめるなら俺は何だってする。
「さぁな。」
 いっそお前に俺の気持ちをぶつけたら、お前は俺のことを見てくれる?
 サスケはいつものようにさっさと服を着て俺の寝室から出ようとする。思わずその手首を掴んでいた。
「サスケ」
 俺がどんなにお前のことを好きか知ったら、言ったらお前は俺を見てくれる?
 掴んだ手は振り払われた。そのままサスケは黙って寝室を出ていく。追いかけるべきだろうか。追いかけて抱き寄せてお前が好きだと言いたかった。でも言ってしまうと拒絶されたときにもうこうしてサスケと会うことが出来なくなるかもしれない。俺はそれが怖かった。ただセックスに耽るだけ。サスケにとって俺はそういう存在、そういう関係。これ以上踏み込むのは駄目だ。このまま繋がり続けるだけでいい。想いを伝える必要なんかない。こうなったらサスケが他の男と会おうとする度に邪魔に入ってやる。俺にはそれしかもう残されていなかった。

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