傘を差し出したばっかりに
コンビニの男
しとしとと雨の降る日だった。学校が終わってコンビニで晩飯を調達し、家に帰ろうとするとコンビニの軒先でひとりの男が傘もささずにぼーっと座り込んでいる。
(……なんだこいつ)
サスケは一旦無視して通り過ぎようとしたが、チラッとその男を見たとき、目が合ってしまった。
男は笑顔でサスケに向かって手を振る。
(……なんだこいつ)
サスケはコンビニに戻って傘を一本買うと、その男にずいと差し出した。
「いい年した大人が、傘もささずに何やってんだよ」
男はにっこりと笑うと、「いや、お金なくてさ。助かるよ。」と傘を受け取った。
(……なんだこいつ)
男が立ち上がって傘をさすと、案外身長が高く、サスケが見上げる形になる。
「俺、はたけカカシ。よろしくね。」
「あんたの名前なんか興味ねえよ。さっさと帰れ。」
サスケは家に帰ろうと歩き始めるが、カカシはなぜか後ろをついてくる。家の方向が同じなのか?
わざと遠回りをしてみるが、やはりカカシはついてくる。
「……おい」
「何?」
「ついてくんな」
「いや~、俺、帰る家ないんだよね。」
「は?」
「だから言ったでしょ、よろしくねって。」
「……は? いい年した大人の男が、金もなくて、帰る家もない? 冗談も程々にしろ。」
「だって捨てられちゃったんだもん。」
…またわけのわからないことを言う。
「とにかく、俺についてくんな。消えろ。」
サスケは早足で家路を急ぐ。
着いてくる気配がなくなったのでちらっと振り向いてみたら、もうカカシは姿を消していた。ほっと胸を撫で下ろし、マンションのエントランスに入る。と、そこにはカカシの姿。
「は? なんであんたがここに?」
カカシはニコニコしながらサスケに歩み寄る。
「いやさ、途中からわざわざ回り道してるみたいだったから、この辺りのマンションかな~と思ってあたりをつけてみたの。結果大当り! もうこれって運命的だよね。そういうわけだから、よろしく。」
「よろしくじゃねえよ帰れ!」
「だから帰る家ないんだってば。」
「知るか! 消えろ!」
傘についた水滴を落とすと、足早にエレベーターに乗り込み、カカシが乗り込む前に閉ボタンを押す。
一応、カモフラージュのために別の階まで上がった後、自分の部屋のある階まで階段で降りて、部屋の前までたどり着いた。周りを見渡し、カカシがいないのを確認すると、鍵穴に鍵を差し込み玄関の扉を開ける。
やっと家に着いた……。
玄関に入り扉を閉め、背後手でサムターンを回そうとするが、扉までの距離が妙に長い。
嫌な予感がして振り向くと、カカシが扉を開けて部屋に入ってくるところだった。
「ひっ」
「俺と目が合った時から、こうなる運命だったのよ。諦めなって。」
バタン。
無常にも扉は閉められ、サムターンを回し、ご丁寧にチェーンロックまでかけるカカシに、サスケは恐怖を抱かずにはいられなかった。
カカシはサスケの左胸の名札を読み上げる。
「うちは……サスケくん、ね。」
こいつ、やばい。
サスケはスマホを取り出すと、震える手で110を押す。
「あ、こーら。だめでしょ。」
カカシはサスケが握りしめるスマホをいとも簡単にひょいと取り上げると、ちょうど繋がった警察に「すみません、間違えました」とだけ伝えて通話ボタンを切った。
「……っ!」
カカシは部屋を見渡すと、広々とした2LDK、システムキッチンに、テレビの前には三人掛けのソファ。
「うん、なかなかいいね。今日から俺、サスケの家にお世話になるから、よろしく。」
そう言ってにっこりと微笑みかけるカカシの顔は、サスケにとって恐怖でしかなかった。
「じゃ、さっそく……」
カカシがサスケの靴を脱がし、自分も靴を脱いで、サスケを抱き抱えて運び、ソファにゆっくりと下ろす。
「っな、なななに、を……」
「タダでお世話になるわけにはいかないでしょ?」
そう言いながら、カカシは制服のボタンを手際よく外していき、ベルトの金具を外す。
「!? ちょっ……!」
サスケがソファの上でカカシを押し除けようと暴れるが、その抵抗は腕一本で封じられ、膝にはカカシの足がのしかかった。
「大丈夫、俺上手いから。すぐ気持ち良くしてあげる。」
サスケの顔にカカシが迫ったかと思うと、その口内に舌が差し込まれ、ねっとりとしゃぶりつき、口内を蹂躙する。
「んっ! んんーっ‼ やっめ、んんん‼」
長い長いキスから解放されると、サスケの顔は真っ赤に染まっていて、明らかな戸惑いの色を見せていた。
キスをしている間にはだけられた制服。サスケの両腕を封じたまま器用にズボンを脱がすと、カカシはサスケの局部をつつ、と触る。
「っひ」
「サスケは高校生? 自分でシたことある?」
下着を下げ、その大きな手で扱き始めると、若いそこは嫌でも反応して勃ち上がりはじめる。
「や、めろっ……!」
サスケが顔を背け、ソファの背もたれに押しつけると、そこがぬるりとしたあたたかい感覚に包まれた。
「っあ」
見なくてもわかる。俺のを口に入れやがった。
手淫しかしたことのなかったサスケは、そのぬるりとした舌が先端をチロチロと舐め、裏筋を刺激し、グポ、グポ、と淫猥な音を立てながら上下に出し入れするたびにかり首に快感が走り、あまりの刺激の強さに頭がおかしくなりそうになる。
「や、っめ、っあ、くそっ、やめ、ろっ……っ!」
真っ赤な顔で、ハァッ、ハァッ、と荒い息を漏らしながら言っても、カカシには逆効果だ。
さらに動きが早くなり、サスケを追い詰める。
「はっ、あ、出るっ、出るからっ! やめっ、あっ!」
ビクン、とサスケの身体が揺れた。先端からカカシの口内に勢いよく白濁液が、数回に分けてビューッ、ビューッと飛び出す。
サスケが抵抗を忘れ、射精の余韻に浸りながらぐったりしていると、カカシはサスケのズボンとパンツを取り払い、口の中にあるサスケの精液を指に塗りたくると、サスケの足を持ち上げて身体をくの字に曲げた。
「っあ゛!?」
「大丈夫、すぐ気持ち良くなるから……」
ソファの背に顔を伏せるサスケの耳元でカカシが囁き、そのまま耳を口に含んでちゅ、ちゅ、と音を立ててキスをする。サスケの精液がついた左手が肛門にクニクニと触れたかと思うと、その中にぬるりと潜入し始めた。
「いっ! ……っ!? はっ、あ、あっ、え、?」
すぐにすっぽりと指がおさまったかと思うと、カカシの指が中でうごめきだし、サスケの中にむず痒い快感が疼き始める。
「ほら、気持ちいい」
「っな、あっ、やめっ、あ、あっ、な、」
――なんだ、なんなんだ、これっ!
「ああ……、いい声。かわいい。」
指の本数が増える。圧迫感が苦しいはずなのに、そこは快感ばかり拾っていく。
「あ、あっ、やっ、ぁっ、んんっ、だ、あっ!」
ハッ、ハッ、ハッ、
呼吸が浅くなっていき、もうすっかり抵抗はなくなっていた。サスケの両腕を解放すると、カカシはその手でまたゆるゆるとサスケの中心を扱き始める。
「っ! ちょっ、あっ、はぁっ、あ、んんんっ!」
前後からの刺激が強すぎて、サスケはもうやめてくれと首をブンブン振ったが、意味のない抵抗だった。
「はじめてでしょ、ちゃんと優しくするよ」
また指が増える
中を刺激しながら、そこを拡げるように蠢く。
「っあ、や、あ、あぅっ、あ、ああっ、やめっ、……っ!」
サスケがまたいきそうになったところで、指は引き抜かれた。
……おわっ……た…?
固く閉じていた眼をうっすら開けると、そこには前をくつろげるカカシがいる。
「……っ‼」
再び暴れ始めたサスケをソファに縫い付けると、カカシは淫猥に笑いながらさっきまで指が入っていたそこに、それを押し付けた。
「っひ」
「大丈夫、怖くないよ」
ぬる、
指とは比べ物にならない質量が、サスケの中にゆっくりと入っては出ていくのを繰り返しながら、徐々に奥まで押し入ってくる。
「はぁっ、はぁっ、はっぁ、あ、あ、あっ」
「全部は入らないね、残念」
奥まで入って動きが止まったかと思ったら、ゆっくりとした抽送が始まった。
「っあ、はぁっ、ぁあっ、あっ!」
「ここがさ、気持ちいいでしょ」
ぐい、と前立腺の裏を擦ると、サスケの身体がビクビクと震える。
「なんっ、あっ、ぅあ! あっ、はっぁ、あぁっ!」
中で感じるわけのわからない快感。身体を揺すぶられると、まともに喋ることもできない。
「サスケのここ……元気だね。ナカでいきたい? それとも触って欲しい?」
なか、で、いく……!?
またわけのわからないことを言われてサスケはブンブンと頭を振る。
「そっかぁ、ナカがいっか。ふふ、はじめてなのに淫乱だね。そういう子、好きだよ。」
ずるる、と抜かれたそれが、前立腺の裏をなぞって一気に奥まで押し込まれる。
「っあああ!」
「ああ、このまま奥に入っちゃいそう。」
ぐぐぐ、とそのまま更に奥に腰を進められ、ぐぽ、と中におさまる。
「あ゛っ!?」
「ほら、入った。」
長いストロークでの出し入れが始まる。
今までよりも更に深い快感にサスケは顔を歪めた。
「あ゛っ、あ、あっ、ああ゛っ! あ、ぅあっ!」
ナカで感じる快感に、身体全体が熱くなっていく。
強制的に高められていくのに、あがなうこともできない。
「あっ、や、や、めっ、あ゛っ! あ……っ、で、るっ、あっ、あああっ!」
サスケの中がきゅうう、と締まり、二回目の白濁液が迸る。それを合図に、カカシはキュウキュウに締まったサスケの最奥にそれを突きつけ、ビューッビューッと吐精した。
はっ、はっ、はぁっ、はぁっ、は……
呆然とするサスケの中から、カカシがずる、と自身を引き抜く。
「っぁ……」
いつの間につけたのか、コンドームの先端にはカカシが放った精液が溜まっていた。
「……どう? 気持ちよかったでしょ?」
カカシがまたサスケの耳元で囁き、キスをする。
息が上がってまともに喋れないサスケは、ぐったりしたままカカシの顔を目で追った。
「お世話になる代わりに、これから毎日気持ち良くしてあげるからね。」
まい、にち。こん、な……
「っ出て、け……!」
「うんうん、次はベッドでしようね。きっともっと気持ち良いいよ」
こいつ、気でも触れてんのかっ……!?
飄々と立ち上がってキッチンに向かうカカシを見届けながら、力の入らない腕でなんとか身体を支え、上半身を起こす。
「なんっなんだ、あんたはっ……‼」
「俺? 今日からサスケのヒモ。」
ヒモ!? 何だそれ?
とにかく居座るつもりらしいのは見てとれた。
だが易々とそれを認めるわけにもいかない。
「俺は認めねえぞ! 出ていけ!」
「はは……、あんなに気持ちよさそうに喘いでたのに?」
カカシはズボンの後ろのポケットからスマホを取り出すと、動画の再生ボタンを押す。
『あ゛っ、あ、あっ、ああ゛っ! あ、ぅあっ!』
いつの間に撮ったのか、それは俺とカカシが繋がっている時の喘ぎ声。
「サスケの学校に、持っていっちゃおうかな~」
「てっめ……‼」
「はい、決まりね。ご飯と家事は任せて。サスケはいつも通りに学校行って、俺の手料理食べて、俺が洗濯した服を着て、俺が綺麗にしたお風呂に入って、気持ちいいことする。いいことづくめじゃない? だからその代わり、俺のこと養ってね。」
にっこり笑いながらウインクするカカシ。
サスケはフルフルと怒りで震えながら、受け入れるしかなかった。
「そういうわけで、これからよろしく!」
握手を求めるカカシの手を、サスケは平手で思いっきり叩いた。