愛とは何たるか

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創設期,成人向,中編,原作軸ギャグ,モブ,異種姦,エロ描写有,お付き合いしてるふたり,シリアス,ほのぼの

 執務室の戸を開けて脇に抱えた巻物を机の上にゴロゴロと置く。建設進捗、教師候補者の選定、学ばせる順序と試験、これらは全て子どもたちのための学舎関連のものだ。柱間はそれを見て目を輝かせた。
「順調なようだの、どんどん他の一族が加わっておってな。早くこの忍者学校を始動させたい。」
「6歳からだったか。一応組んでみたが……最初に心構えから。体術で身体の動かし方を学んだ後に忍具の扱いと手入れ……」
 巻物を広げて柱間に見せると、柱間は巻物ではなくオレの方に目を向けて笑う。あー……この顔は……。
 椅子が退けられて机に隠れるように手を引かれる。服をはだけられ下履きを下げられるとすぐに柱間のそれが尻の中に入ってきた。
「……っ、待て」
「マダラの顔を見るとどうも我慢が効かん……動くぞ」
 誰が部屋の前を通るかわからない中であられも無い声を出すわけにはいかない。声が出そうになるのを呼吸で逃して柱間が出すまで堪えるしかないがこいつは一度始めるとこの辺にしておくか、という考えがなくなるらしく何十分と励むのだから頭がおかしくなりそうになる。
 耳をはまれて舐め取られて背筋をぞくぞくとしたものが駆け上がる。服の上から転がされる胸の突起は甘い痺れをもたらし身体が熱くなっていくのがわかる。奥を突かれる度に走る快感は声を出してはいけないという状況を忘れそうになる程それ以外のことが考えられなくなりそうだ。
 しかしここは執務室の中、いつ誰が入ってくるかもわからない。
「〜〜っ!」
 迸りが床を汚す。ぎゅうと締め付ける柱間のそれはなおも動き、はっ、はっ、と短く息をしながら終わるのを待つ。最奥を突かれる度にまた頭を真っ白にする快感がじんじんと中で疼き始めていた。
「……っ出す、ぞ」
 ぐんと激しくなった動きにぎゅうと目を瞑る。荒い呼吸が響く室内。後ろから強く抱きしめられて、中にじわりと温かいものが広がる。

 そんな風に二人きりになる度に柱間は諸々そっちのけでまぐわうものだからマダラの尻はすっかりその大きさに慣らされていついかなる時でも受け入れられるようになってしまった。
 緩くなったそこは腹を下した時に一気に緊張感が高まる。役に立たなくなった活躍筋の代わりに強い意志で厠まで歩きほっと息を吐きながら用を足す。
 話し合おうにもふたりきりになったらすぐそれが始まるのだ、話し合う余地もない。
 一体どういうつもりなんだ、我慢できないというのは性欲なのか。そんなさなかにマダラに一週間の長期任務が下った。下したのは扉間だ。柱間なら恐らくマダラに行かせることはなかっただろうが里の中で任務の振り分けを仕切っているのは扉間だ。
 マダラは特に柱間に何かを告げる事もなく淡々と支度をしてその任務に赴いた。

 しかし柱間は扉間が決めたその任務にやはり不満を持っていた。マダラのいない生活など考えたくもない、と思っていたところ、その扉間から思いもよらぬ言葉が飛び出す。
「……兄者、言いたくはないがそこらじゅうでマダラと睦むのはやめろ。」
 執務室に一番出入りする可能性があるのは扉間である。ふたりが「真っ最中」だと気取り扉を開けるのをやめた回数は何回だろうか。マダラに長期任務を割り当てたのも柱間に冷静になって欲しかったからという事情があった。
「このままでは民にまで知れ渡る。火影として――」
「何故扉間の意見を聞かねばならん。俺は火影としての仕事はきちんと務めているつもりだ。文句を言われる筋合いはない。」
 一度こうなってしまっては柱間は止まらない。一族中で文句が上がろうがお構いなしだ。そのおかげでこの里の創設に至ったわけだが、マダラとの関係を続けたとて男同士だ、その先には何もない。
 マダラが柱間をたぶらかしているのであれば考えがあったがどうも逆らしく、扉間が取れる手立てはないに等しかった。

 任務に出たもののマダラはしょっちゅう柱間に挿れられていたせいか尻がむずむずして仕方がない。敵地に乗り込めばその緊張感と興奮でどうにかなるであろうがその途上ではこの感覚をどうにかする手段を持ち合わせていなかった。夜休む時にそっと尻に指を這わせてみるが柱間の大きさに慣れてしまったそこは指なんぞではとても満足することは出来ない。
 考えた末に柱間が持っていた口寄せの巻物の存在を思い出した。異国から持ち込まれたそれは植物でありながら動物のように動き、その花粉には催淫作用があるのだとか。試しに口寄せしてみよう、と印を組んだが柱間が辞めておけと止めたので結局どんなものが飛び出るのかわからないままの謎の生物である。
 名前は何だったか、確かティアカ……ナントカ。催淫作用を持つ花粉とやらが真実ならばそれは戦闘用ではなくいわゆる「それ」用の口寄せ生物の可能性が高い。という期待でマダラは印を組んだ。しかし現れたそのティアナントカは思いもよらず巨大でうねうねと茎らしきものをうねらせながら顔にあたる場所にある大きな花の中央から何かを飛ばしてくる。これが例の花粉か……?甘ったるい匂いに身体の力が抜けて中心に熱が集まり始める。
 くたっとしたマダラの四肢を茎がくるくると巻取りその本体に引き寄せられた。
 やはりこの口寄せ生物は、それ用の……。
 茎の先に花やら蕾がついたものが目に入る。身体の感覚が敏感になってきていて何が起きているのかわからないが恐らくは服の中にもうねる茎が入ってきている。弛緩した口元はだらしなく開いており、蕾がついた茎が伸びてマダラのその口の中に蕾が入り込んだ。
「……っ!」
 口の中で花弁を開きながらどろりとした甘いものが流し込まれ、弛緩した喉を通って食道へ落ちていく。
 花粉だけではない、この蜜も――。
 ドクンと心臓が跳ねる。跳ねる度に下半身に熱が集まる。自分では確認できないが多分ガチガチに勃っている。その下履きもいつの間にか脱がされていて口と同じく蕾が迫っていた。つぎはなんだ……。意識が朧げになっていく中花弁が少し開いた蕾はマダラのそれをパクッと咥えるように覆い尽くしてぬるぬるとしたあの蜜を擦り付けながら動き始めた。
「は、あっ、ああぁ……っ!」
 すぐに射精するがそれは止まらない。前に気を取られていたが胸の突起にも同じ蜜がかけられ細い茎がその突起をぬめぬめと刺激する。そして後ろの穴にはいつの間にか蕾付きの茎がゆっくりと侵入しながらあの蜜を垂れ流していた。
 蕾のついた茎の形はまるで摩羅のようで奥まで侵入すると抽送を始める。
「あっ、あ、あっ、っぅあ! あっ、そ、こっ、あっ!」
 ゆっくりだった抽送がどんどん早くなっていく。前の刺激と胸の刺激、口の中に入ってくる蕾の中のおしべがマダラの身体を蹂躙する。力の入らない口は柱間との秘め事とは違って刺激のままに声を出した。
 何度目かもわからない射精、しかし衰える気配はない。後ろに深く入っている蕾もまた止まる気配はない。
「っあ、あああああっ!!」
 絶頂してもすぐにまた強烈な快感が頭を占めていく。柱間が止めた理由もわかる気がする。こんなにも激しいものだと知っていれば。
 知っていれば口寄せをしなかっただろうか? 強制的ではあるがその尻には望み通り太くぽこっとした蕾がまるでかりのように中を抉っては奥を突きその度に走る堪らない快感が頭を真っ白にする。
 柱間との秘め事だって本当は思いきり声を出したいがそれを見透かしたようにこれはマダラの身体中に甘い蜜をどろりとかけて触手のようなおしべがちろちろと刺激するたびにビリビリとした快感が駆け巡り頭を蕩けさせていく。
 終わりの見えないその責めにマダラは途中から意識を手放してただ刺激に身体と喉を震わせるだけとなった。

 はたと目を覚ませばあのおばけのような植物は消えていてはだけられた服とカピカピに乾いた白いものが股間にくっついている。
 いつの間か口寄せが解けたのか、それとも陽の光に弱い性質でもあるのだろうか。服を整えるがまだあの蜜の効果は残っているようで、衣擦れの都度下半身が熱くなる。
 ――これでは任務に差し支える。
 口寄せはもう使わない事にした。たったの一週間だ、敵地を破壊して主の首を取ったらさっさと帰ろう。
 しかし帰ったところで待っているのは恐らく柱間の「歓迎」だ。抵抗しようと思えばできたものを今までしてこなかったのはマダラ自身だ。しかしティアナントカのおかげで柱間の異常性が見えたような気がした。
 気にしたことがなかったが柱間の執着はマダラにだけ向けられているのだろうか。それとも誰彼構わずあのようにすぐ欲情するのだろうか。
 考えれば考えるほど不快な思いが募っていく。
 (応じるのはもう、やめよう。)
 マダラは任務の目的地である敵の居城へ向け駆けた。

 須佐能乎で踏んづけて慌てる敵を斬りつけ主の首を刎ねる予定だった。須佐能乎で踏みつけぐちゃぐちゃにしてやったはいいがマダラの身体に異変が起こっていた。あのティアナントカの蕾のどろりとしたものを飲み下した時のように心臓が脈打ち身体は脱力して上手く動かせない。なんだ、これは。まるでチャクラに呼応しているかのような――。
 何とか耐えて首を飛ばしたものの、マダラはその場にうずくまった。
 欲しい……あの蕾が、また同じようにオレを蹂躙して……。
 敵地のど真ん中で何を考えている。己を奮い立たせて何とか立ち上がり、その場を立ち去るがマダラの身体は脚がガクガクと震え息も絶え絶えの状態で、顔は朱に染まっていた。
 ようやくある程度の距離を置いてマダラは木の幹に背を預けてズルズルとしゃがみ込んだ。限界に近かったそれは外気に触れるとピクンと動く。数回の往復で達するが衰えそうもない。
 後ろの穴もヒクヒクとあれを待ち望んでいる。しかしもう一度口寄せするには敵地から近すぎた。尻に指を這わせるがそんなものでは足りないとばかりに疼きが増すばかり。手も足も頭も力が入らなくなりがくりと首を垂れたところに話し声が近づいてくる。
「おい、いたぞ!」
「よくも貴様……!」
 先ほど荒らして回った奴らの生き残りが追って来ていたらしい。そんな気配にも気が付かないほどマダラの身体は疼きに支配されていた。
「……おい、様子がおかしい。」
「ちんこ出してるぞ、まさかこんな場所で。」
「……まあいい、縛り上げろ!」
 抵抗する力が残っていないマダラは、そいつらにされるがままに縛り上げられた。あの茎が手足を拘束した時のように――思い出せばまたあの感覚が蘇ってくる。後ろ手で固定された時、思わず漏れた「っぁ、」という言葉、真っ赤な顔に潤んだ目、何よりもガチガチに勃っている男性器。これはどう見ても「やられたがっている」と判断されてもやむを得なかった。
 前を嬲られればすぐに射精する。その白濁液が露出した臀部の中心に撫で付けられた。誰かはわからないが相手は敵で、しかも背後からそれを挿れようとしている。危機感よりも期待の方が優ったマダラは自ら尻を押し付けた。
「何だぁ? よっぽど好き物らしいな!」
 ぐちゅんっと奥まで侵入した誰のものかわからないそれは上壁をえぐりながら奥を突く。男色をよく理解している者の腰使いにマダラはあられも無い声を上げた。
「はああぁっ! あっ、あぁっ! はっ、あ゛っ!!」
「ははっ、こいつ捕虜にして遊んでやろうぜぇ!」
 だらしなく開いた口元に誰のものか分からない魔羅がある。頬を掴まれて咥えさせられたが麻痺した身体は咥えるだけで何もできなかった。その男は腰を振ってマダラの口の中を味わう。背後の男が動きを止めたかと思いきや、中にじわりと温かいものが広がった。抜けていくそれ、しかしすぐに別のものが中に入って来て抽送を始めた。快感の地獄、だが身体は反応してしまうし奥を突かれるたびにむずむずしていた奥がビリリと背筋を走る快感で埋め尽くされていく。突かれる度に情けない声を上げながらなぜこんなことに、とぼんやり考えていた。

 身体がふわふわと浮かんでいるかのような感覚に薄目を開けると柱間の腕の中にいた。歩く柱間の揺れに合わせてマダラの身体もまた揺れていた。
 なんでお前が
 そう言おうとしたがまだ麻痺が抜けきっていないらしい。
「なんれ……」
 柱間はマダラの声など聞かぬとばかりにひたすら歩を進める。そうしてどれだけの時間が経ったのか、マダラが降ろされたのは畳敷きの部屋だった。例の巻物を手に柱間が傍に座る。
「直接粘膜に注がれた蜜は二週間は催淫作用が抜けん。マダラ、お前口かどこかに蕾の蜜を直接挿れただろう。」
 口どころか魔羅からも尿道を伝って入り込んだだろうし尻にも直接入れられている。通りでいつまでも抜けない訳だ。
「俺がいながら何故こんなものに手を出した。挙句――」
 どうやら柱間は怒っているらしい。変なものを口寄せしたからか、それともその後の?
「……だれの、せいだと……」
 喋ってみて気づく。呂律が回る。このままこの調子で柱間との関係をきっぱりと断ろう。
「俺のせいだと言いたいのか。ならば罪滅ぼしが必要だ。……まだ中は疼いているのだろう。」
「……ちがう、もうお前とはやらねえ……」
「では誰と?」
「……誰とも、こんな事はもう……」
 うちはの長としても柱間とのこんな関係は知られるわけにはいかない。例え戦に負けた身であるとしてもその分の奉仕はしただろう。これ以上は付き合いきれなかった。
「……だが俺は続けるぞ。」
 玩具を取られたくないガキのようなことを。性欲の発散先ならいくらでも女がいるだろうに何故そんなに執着する。
 どくん、と心臓が跳ねる。
 ああ、くそ、また――。
 柱間に気取られぬように呼吸を制して起き上がる。
「……そのつもりならばお前とはもう金輪際関わらん」
「そんな身体でどこぞへ行こうと言うのだ。また嬲られるぞ。」
 ……こいつ、見通してやがる。あの場から助けたのは、柱間か。嬲り者にされたとて二週間が過ぎれば全員殺していただろう。柱間の助けなどなくても。
「お前が作った里の中は安全なのだろう。ゆるりと時間がすぎるのを待つまでだ。」
「俺が作った里の中にいる限り、お前を追い続ける。」
「……では里を出るしかないな。」
「……マダラ!」
 怒気を孕んだ声に柱間の顔を覗き見る。怒りながら泣きそうな目……なんて顔してんだ。
「何故俺から遠ざかる、何故、あんなにも俺たちはっ」
 まぐわいまくってはいたがそこまで言われる謂れはない。
「愛し合っていたではないか……!」
「……は?」
 愛、という言葉に、思わず変な声が出た。
 いやまぐわってはいたが愛し合ってはおらんだろ。何を言っているんだこいつは。まさかあれは愛のつもりだったのか。本気でそう言っているのだとしたら……阿呆なのか。
「お前のあれを愛などという崇高な言葉で語るな。あんなものは――ただの性欲処理だ。」

 いいぞ、もっと言え……!
 その隣の部屋、気配を殺しチャクラを鎮めそのやりとりを聞いていた男がいた。
 扉間である。
 兄者の滅茶苦茶ぶりに振り回され続けて十何年、ようやくその兄に意見できる存在が現れた。目の敵にしていたうちはマダラである。
 この任務でマダラの身に何があったのかはよく知らないが、柱間との関係を断つきっかけになったらしい事は伺えた。
 このまま兄者をガツンと言い負かして別れてしまえ!でなければ……扉間にも考えがあった。そして根回しもすでに終えていた。あとはタイミングを見計らうだけである。
 しかしマダラに里を去られるのは都合が悪かった。うちは一族を束ねる者が居なくなれば何かが起きかねない。何せあのうちはだ。
 息を殺しながら二人のやり取りの行く末を見守っていた扉間は、ついにマダラが柱間を置いて屋敷を去った時に小さく拳を握った。

 柱間は翌日も普通に執務室にやってきて仕事を始めた。変わりないように見えて少し肩を落としている。その違いに気がつくのは弟である扉間くらいだろう。
 マダラはどうやら休養が必要とかで元々うちはの集落があった場所の自身の屋敷に篭っているらしい。
 扉間にとっては好都合だ。
「兄者、いい加減マダラのことを諦めろ。」
 昨日の言い合いなど知らなかったかのように話しかけるが柱間からの返答はない。
 フラれて消沈しているのか、と思いきや筆を置いて真剣な眼差しで扉間に尋ねる。
「扉間、愛とは何ぞ。」
 想定外の問いかけに一瞬言葉が詰まったが、扉間は咳払いして柱間に真剣な眼差しを返した。
「相手のありのままを認め、尊重し、自分の一部のように大切に思いやることだ。」
 柱間が黙った。それをいいことに扉間は続ける。
「兄者がマダラにしてきた事はただのエゴだ、愛などではない。愛は相互性があるが兄者のそれは一方的だ。」
 柱間は手元の巻物に視線を落とした。
「相互性……。」
 
 マダラは休養を装ってある場所に出掛けていた。立派な屋敷のその中に入り事情を話す。
「どれが良いです?」
 魅せられたものは似顔絵だった。その隣に歳や背丈、得意なことなど羅列されている。
「黒髪で、飯炊と掃除が得意な者がいい。使用人として家に迎える。」
「なるほど、では……」
 しばらくして、その屋敷を出てきたマダラは旧自宅に帰ってきた。頼みに行ったのは男娼である。柱間に散々やられてきたが今後は柱間の指すら触れさせるつもりはない。しかしそのせいで疼く身体を慰めるための者が必要だった。
 ちょうど使用人もいない事だし家に誰ぞを迎え入れてもそんなに怪しまれる事はないだろう。相性もすでに試してきた。
 マダラはとことん柱間から離れるつもりだった。

 ようやくナントカカントカの催淫作用が抜けて、その者と連れ立って屋敷に帰った。多少噂には上ったがすぐに一族の者は納得した。今まで使用人がいなかったことがむしろ不自然だったのだ。
 ネコという名で呼ばれたその黒髪の男は炊事に洗濯に掃除とテキパキと働き庭木の剪定までもできる腕の立つ使用人であった。
 普通にそばに置いておくだけでもいいぐらいだが、わざわざこの男を買ったのはそのためだけではない。
 しかしいざ寝所に誘おうと思うと胸に引っ掛かりを感じて結局ひとりで過ごす日を重ねていった。
 この胸の引っ掛かり、これは一体なんだ。
 考えても考えても柱間の顔しか浮かばない。マダラを見るあの目、すぐに始まるまぐわい、あんなものは愛なんかじゃない。しかし柱間の執着があったのは確かだった。マダラとて柱間を受け入れていたのは少なからず好意があったからである。
 もうこんな関係は終わりだと捨て台詞を吐いて出てきたもののほんとうにこれでいいのかという疑問はマダラの頭から離れる事はなかった。
 そんな折、呼んでもいないのにネコの方から寝所にやってきた。
「ご自身でお誘いするのが不得手かと思い……今夜、いかがでしょうか。」
 胸が高鳴るのを感じた。いつぞやぶりかのそれに尻がきゅうと締まるのを感じる。
「……傍に来い。」
 好きだの愛だのが全くない金で繋がる関係。男娼の者らしく男色をよく心得ていた。漏れ出る声を堪えようとすると耳元で「……聞かせてください」と囁かれる。
 愛など存在しない行為なのに柱間よりも愛を感じるような気がするのは何故だろうか。しょっちゅう囁かれるからだろうか。何度もイカされて、終われば丁寧に寝衣を直されて「また来ますね」と立ち去っていった。
 柱間のそれとではこころの充足感が桁違いだった。それは男娼ならではの技術力なのかもしれない。しかしマダラが柱間のそれは愛ではなかったと思い直すのに充分だった。

 忍者学校――アカデミーがついに完成してその完成披露会が行われた。その場には火影である柱間と建設や人材の手配などの実務を担当したマダラが共に立った。
 柱間が中を視察してマダラが説明する、それを繰り返しながら演習場がある建物の影に入った瞬間、柱間はマダラを抱きしめていた。こいつ、何も反省してねえ――と思いきや、すぐにパッと離れて何食わぬ顔で視察に戻って行く。
 ……隙を見てこんなことをするようでは、やはり柱間とは共にいる訳にはいかないようだ。柱間はまだ諦めていない。こっちはもう柱間のことなんか――と言いたかったがマダラの本心はこうだった。
 柱間が普通に求愛してくれていたならば俺とて応えるつもりがあったのに、と。
 未練が残っているのはマダラも同じだった。ただ柱間のそれが愛でないからには応えたところで虚しいだけだ。柱間のそれは愛ではなくただの執着だとわかっている今、マダラは柱間から距離を置く以外の方法を思いつかなかった。

 それからしばらく経って、火影が柱間から扉間に変わった。重役会議の中で柱間は創設者としては適しているが政治は扉間の方が向いていると判断されたらしい。
 確かに柱間は少し感情的なところがある。里の運営に関しては扉間の方が適任だろう。その働きぶりを知っている者は誰もが納得した。
 マダラにとっての問題はそれによって柱間の暇が増えたことだった。柱間が何かとマダラの屋敷を訪れるようになったのである。
 あの使用人に託けて「柱間と会う気はない」と言わせても柱間はめげずにやってくる。最初は手ぶらだったが何かしら持ってきてマダラに渡してくれと言うようになった。それはちょっとした花束であったり甘味であったりマダラの好きな稲荷寿司だったりする。
 そして更には手紙も一緒に添えられるようになった。しかしマダラはそれらを視界に入れることなく「捨てておけ」とネコに指示した。ただ柱間の執念は簡単には消えない事も理解していた。このまま門前払いを続けたところで柱間は訪れるのをやめないだろう。かといって今やもう直接顔を見たくない。
 マダラは柱間に手紙を認める事にした。もう家に来るな、何を持ってきても受け取るつもりはないし今までの手紙も読まずに捨てている、迷惑だと。

 柱間は扉間に「どうしたら俺の愛が伝わる」「どうしたら愛を証明できる」「マダラを諦めるなんて出来ない」と懇願しては「無理だ諦めろ」と諌められていた。
 方法がわからないならば行動で示すしかない、もうまぐわいを求めるだけではなくちゃんとマダラを愛すると。
 会えない日が重なっていくばかりで日々マダラの顔を見たい、声が聞きたいという想いばかりが募っていく。身体が繋がっていれば思いも通じていると思っていたが現実は違った。
 巻物の異変に気がつき口寄せされたと知った時点から柱間は全てを放り出してマダラを追いかけていた。催淫作用のある花粉の話までしかしておらず他の作用に関して話題にも上げなかったのはこんなゲテモノを口寄せするとは思っていなかったからだ。そもそも前提としてマダラが日を跨ぐような任務に行く事は想定していなかった。マダラでないと出来ない任務などほぼないに等しかったからだ。
 あれを口寄せしたのであればマダラの身体はまともに任務を続ける事も難しいはずだ。という想像は柱間にとって最悪な形で見せつけられた。頭が沸騰する思いで皆殺しにして力無く倒れたマダラに服を着せながら、マダラがあれを口寄せしてしまったのは自分のせいに違いない、この結果を招いたのは俺自身だと怒り、苦しみ、そして後悔と懺悔の念でマダラを抱き上げて帰路についた。
 マダラは意識を取り戻したが、しかし柱間を拒絶した。

 好きで、好きで、好きで、やっと手に入れたものが指の間からするりと抜け出て去ってゆく。俺のせいなのか。悪いことをしてしまったのか。ただ愛しただけなのに。
 気持ちは項垂れながら表には出すまいといつものように執務室に入り書面を確認するが頭に入ってこない。そんな折にやって来た扉間に思わず「愛とは何ぞ」と尋ねていた。
 相手のありのままを認め、尊重し、自分の一部のように大切に思い……俺は、俺がしていたのは尊重ではなかった。大切に思っていたつもりだった。でもそれは扉間の言う通り、俺の一方的なエゴだった。

 ……マダラは俺のことをどう思っているのだろうか。こんな疑問さえも先日までは浮かぶ事はなかった。マダラを良くさせれば喜ぶはずだと思ってマダラの考えなど聞こうとした事もなかった。
 それが今の断絶につながったのであればきちんと話をしたい。マダラの思いを、考えを知りたい。
 しかしいつの間にか雇われていた使用人に門前払いされる日々。もう、会う事も叶わないのか。俺が愚かだったばかりに尊重するどころかマダラの尊厳を疎かにしてきた報いが今なのか。
 会いたいと認めた文をマダラは読んでくれているだろうか。反省していると書いた文を。話がしたいと書いた文を。読みもせず捨てられていると知ってもなお書き続けた。
 しかし一週間の任務でティアカスプラントを口寄せしたマダラがこの長期間動きがないのも気になった。もしかしたら身体すら俺を忘れてしまったのだろうか。それとも一人で慰めているのだろうか。
 いけないと思いながら柱間は夜マダラの屋敷に忍び込んでいた。どうやらあの使用人は炊事もしているらしい。しかし会話らしい会話はない。じっと息を殺して気配を探っていると寝支度をしたと思われるマダラのいる部屋にその使用人が入っていく。
 その部屋で耳を塞ぎたくなるような事が行われていた。それもマダラは柱間が聞いたことのないような甘い声を出している。俺以外の者と、マダラが。……あの、使用人と……!
 許さない、しかし今の俺はそんな立場ではない、でも看過できない、いや……。
 ショックだった。ただ、ただ、ショックだった。
 ひとり慰めているならまだ入り込む余地があるかもしれないと思っていた。
 でもその席はもう俺ではない者が座っている。あの様子だとマダラもそれを望んでいる……胸が、苦しい。マダラは、本当に、もう俺のことなど……。

 ネコは挿れるまで随分と時間をかける男だった。舐めたり口付けをしながら次第に期待が膨らんでいくような。若いように見えるがそっちの面ではしっかりとした腕の持ち主らしい。満足させる技量に長けているし、実際満足はしている。なのにどこか足りないように感じてしまうのはなぜだろうか。……答えはわかっている。俺をこんな身体にしたあいつ。挿れられる瞬間にいつも脳裏をちらつく熱い吐息と俺の名を呼ぶ声。この男にこれから蹂躙される予告のようなそれはネコにどう言わせても再現する事ができない。
 ……俺はまだあいつとのまぐわいに未練があるのか……。
 それでも元のあの生活に戻るよりは今の生活のほうがマシだった。こころが揺り動かされることもなく、身体的に充足していて、食事も美味いし屋敷も清潔が保たれている。
 この状況で「足りない」と感じるのはわがままというやつだろう。
 日中は一族の者に稽古をつけて夜はネコが待つ家に帰る。平穏な、平和な日々。いずれあいつはそれを壊しに来るだろう、と思いながら、マダラは束の間の平穏を過ごしていた。
 その束の間が、こんなにも短くなろうとは。……想像はしていた。黙っていないだろうとも思っていた。いつやって来るのか、と待っていた面すらある。
 その日ネコの代わりに障子を開けたのは、暗い顔をした柱間だった。
 マダラは大して驚いた風もなく目を細める。柱間は黙ったまま布団に入り肩肘を立てて頭を支えるマダラの傍らに腰を落ち着かせた。
 やめてくれ、とでも言うのだろうか。それともまた強引にまぐわおうとするのだろうか。しかし柱間は黙って俯いたまま、なかなか喋らない。
 重い沈黙に仕方なしにマダラから声をかけた。
「用がないなら帰れ。ネコはどうした。」
「マダラは」
 喋り始めたのなら聞こうと思ったが、また次の言葉が出てこない。
 苛立ちに眉を歪める。
「オレがどうした。」
「…………俺のことはもう……嫌いなのか」
 ああ嫌いだとも、ときっぱり言えたならどんなに楽だっただろうか。柱間の頭がおかしくない限りはマダラも柱間が好きだったのだからその胸中は複雑だった。
「……お前に常識が通用するなら迷わず答えることも出来ただろうな。」
 しかし柱間に常識を当てはめる事がそもそも非常識なのはマダラも重々承知している。常識が通用する柱間などもはや柱間とは呼べないくらいにこの者は破天荒だった。
 だからこそマダラは柱間の手を取ったし、共に里を作る事ができた。その結果に関しては素直に賞賛している。こいつ本当にやりやがった、と心底驚いたのをマダラは忘れていない。
 そんな柱間から非常識を削げ落としたら一体何が残る。自分で言っておきながら、そんな柱間はもう柱間ではない別の人間だ。そんな男をまだ好きだと言えるのだろうか。
「……俺は世間の常識から外れておるのか……。」
 自覚なかったのかよ。
 いや自覚があれば少なくとも自制するなり出来ただろう。ここまで来るともはや柱間の破天荒はそのまま柱間の自我同一性だ。しかしだからと言って何でも許されるわけではない。
「少しは理解したのならさっさと帰れ。」
「……帰ったらあのネコとやらと……するのだろう……。」
「てめえには関係ねえ。」
「……しないでくれ、頼む、頼むから……俺が同じようにすれば、それなら……」
「……無理だな。帰れ。」
 ……求めている。身体が。こころが。柱間のことを。柱間がネコと同じように本当にできるのであれば、それほど望んでいたことはない。
 いつも気持ちは柱間の方を向いていた。満たされないのは相手が柱間じゃないからだ。
 しかし柱間が変わらない限りマダラが身体を許すことはない。そして柱間は変わらない。そういう奴だと間近で見て来た。
 その柱間がもしマダラのために変わってみせると言ってくれたなら、チャンスをくれてやろうとは思っていた。
 ただ他人の模倣で間に合わせるだけのつもりであれば話は別だ。やり方さえ変えれば良いという浅はかさであればこいつが変わることはない。
「……教えてくれ、マダラはどうしたいんぞ……。」
 マダラの顔の筋肉が、ピクと動いた。

 自分の気持ちばかりぶつけたくなってしまう。しかしそれでは半ば強引に睦み続けていた時と根底は変わっていないまま。そんな俺とマダラが一緒に過ごしてくれるはずがない。
 マダラの話を真摯に聞かなければ俺たちに未来はない。
「てめぇは俺とのまぐわいを愛だとほざいたな、今もそう考えてんのか。」
「……俺のやり方は間違っていたと、今では思う……。」
「なら今のてめぇは愛を何だと考える。」
 扉間に言い聞かせられたことをそのまま答えることもできる。しかしそれで良いのだろうか。正直なところ柱間は愛とは何なのか自信を持ってこれが答えだという事ができなかった。
「すまぬが……わからない。情けないが、どうすれば愛するという事が出来るのか……。しかしマダラが俺以外と身体が触れ合うなどと考えただけでつらい。胸が張り裂けそうだ。ただそれは俺が愛し方を間違えた結果だ……受け入れたくないが、受け入れる、しか……。」
「ほう、……受け入れるのか……。」
 マダラのこの反応にも何か意味があるはずだ。なのに何でこの台詞が出て来たのかわからない。
「マダラのことをもっと教えてくれ、今のはどういう意味で、……マダラは今何を考えておる……?」
 マダラの細い目が、より細まった。

 変わろうとしている。自分本位ではなく、マダラのことも知りたいと柱間は言った。その心意気だけでも買ってやってもいいんじゃないのか。いや、口先では何とでも言える。
 簡単にこころを許せばまた元の柱間に戻るだろう。最大限勿体つけて、仕方なく許す形に持っていかなければ真に反省する事はおそらくない。
 しかしオレが柱間以外とまぐわう事を、柱間が受け入れるしかないと答えた事は癪に触った。違うだろう、お前はもっと俺に執着していたはずだ。他人とだなんて受け入れ難いはずだ。それなのに、何故受け入れる。
 苛立つ気持ちと先程までの考えが矛盾しているのが自分でもわかる。マダラもまた柱間に執着しているのだ。でなければこんなに悩み迷う事はない、バッサリと切り捨てて終わりだ。
 それが出来ないのはいかに破天荒であろうとそんな柱間が好きだったからだ。例え性欲処理であろうと最中の柱間はマダラを熱い視線で見続けた。あの柱間の目を感じているだけで良かった。そんな関係は間違っていると心に決めたときも迷いがあった。顔を見れば決意なんてどこかへ行ってしまうだろうと柱間に会うのを避け続けて、柱間の代わりを作って、避け続けたのに頭から柱間の存在が離れない。柱間は今にも泣きべそをかきそうな暗い顔をしているが泣きたいのはこっちだ。全部何もかも捨てて柱間の胸元に飛び込みたいのにそれは間違っていると理性が制する。
「……チィッ!」
 思わず出てしまったそれは自分に対する憤りだった。素直になりたいのに素直になるわけにはいかない自己矛盾に対する。しかし柱間はそれを別の意味と受け止めた。
「やはり、俺は、マダラの隣に……いる、には……。」
「違うっ!」
 突然の大声に、柱間は目を見開く。今にも涙が溢れそうな潤んだ目が恐る恐るマダラを見る。
 思わず大声を出してしまったマダラの方はしまったと口元に手を当てた。
「……違う、とは……何が……? 教えてくれ……!」
 柱間が変わろうとするならばやり直す覚悟でいた。いざ変わろうとする柱間を見て怒りを感じた。矛盾してる。自分に腹が立つ。一体オレは何がしたい!
「……今日は帰れ。」
「何が違うのか教えてくれ、でなければ帰らんぞ!」
「言うつもりはない帰れ。」
「あれは本音だったのだろう! 何が違ったのだ!」
「今日はもうこれ以上テメェの面なぞ見たくない、帰らんと言うのならオレが出て行く。」
「待ってくれ! 今日は、と言ったな? 明日も会いに来てもいいと」
「そんな事は言ってねぇ!!」
 普通の者ならこの気迫だけで尻をついてこの場から逃げ出したくなるだろう、しかし柱間にとってそれは戦場で見慣れている。少しも物怖じすることなく、しかし絞り出すように柱間は言った。
「……わかった、今日は帰る。だがほんの少しでいい……接吻を、……させてくれ。」
 顔を寄せる柱間を拒否できなかった。頭の後ろにまわった手のひらはネコと違って大きい。近づいてくる唇にマダラは思わず目を瞑った。
 柔らかい唇が触れる、触れるだけでなく押し付けられる。その唇の隙間から舌がマダラの口に差し込まれ、ゆっくりと歯列をなぞって舌を絡める。
 こんな接吻なんて一度もした事がない。ネコとすることはしてきたが口だけは譲らなかった。甘く蕩けるような舌にマダラも自らのそれを動かして応えていた。これが答えだと告げているかのように。
 接吻だけと言いながら柱間は胸の突起に手を伸ばし始めている。なのにそれを止める事ができない。ピクンと反応したそこを、寝衣の隙間から手を差し込み直に転がす。
「……んっ、は……、っぁ、……っ!」
 まずいこのままだと、柱間の――
 舌を絡めながら布団を退かして大きな手がマダラの中心に触れる。しっかりと勃ち上がったそれを布の上からさすり爪でカリ、と優しく引っ掻く。
 唇が離れていき唾液が橋を作った。紅潮した頬に潤んだ目が互いの視界の中心にある。
 しかし柱間は目を伏せてマダラから遠ざかった。
「……すまぬ、接吻だけの……つもりが……」
 その遠ざかる柱間の腕を、マダラは掴んでいた。
「……ここまでやって帰るつもりかよ……」
 柱間の喉がごくりと動く。
「でもマダラは……もう俺とは」
「お前以外にオレが満足すると思ってんのか……!」
 それはどういう意味なんだ、と考える間も無く柱間は押し倒されていた。
「……マダラ、教えてくれ、どう、いう……」
「……チィッ!」
 今度はマダラが柱間の唇を奪いその股間に手を這わせた。ゆっくりと上下にさすりじわりと先端にかかる布が濡れたところでそれを露出させて直に撫でる。柱間は必死に理性を保とうとしていたがマダラがそれを口に含んだ瞬間に理性など吹き飛んだ。じゅぼ、じゅぼ、と音を立てて往復するその口内で裏筋とかりを舌で刺激する。柱間はマダラを引き剥がして布団に仰向けにさせた。
「マダラ……」
 唾液で十分に濡れたそれを尻に当てるとマダラは熱い息を吐く。ひとかけらだけ残っていた理性が挿れる前にマダラに尋ねた。
「いい、のか……」
「早く、しろっ……!」
 涙の滲むその目の端を舐めて、柱間はゆっくりと腰を進めた。
 熱い……こんなにもマダラの中は熱かったか……?
「……あ、……はぁっ、はし、らま……」
 ずぷぶ、と中に挿れていくとマダラは震えながらそれを見ている。もう、限界だ――。
 ぐちゅんっ、と奥を突くとその背が浮いた。その勢いのまま抽送を始める。
「あっ、あ! はし、っぁあ!」
 ずっとこれを求めていた、柱間のこの熱い塊を、マダラを見つめる熱い視線を、これは俺のものだと言わんばかりの激しさを。いかにネコが上手いとてこの執着と情熱は感じられなかった。ずっと求めていたものはこれだった。
「っは、マダラ……、マダラ……っ!」
 陶酔したような声で名前を呼ばれて背筋がぞくぞくする。ああ……好きだ、柱間が好きだ、それだけあれば何もいらないくらいに。
「あ、あ゛っ!!」
 最奥にごり、と当たったまま、柱間はマダラを抱きしめる。
「……どうすれば伝わる……俺の愛は……どうしたら……っ!」
 はーっ、はーっ、と息をしながら、そのきつい抱擁から柱間の気持ちが流れ込んでくるかのようだった。
「つた、わっ、んあ゛っ!!」
 激しい動きに言葉もままならない。
 結局柱間の示す愛の形はこうでしかない。しかしマダラもそれが柱間の愛なのだと理解した。変えようがない柱間の愚直な執着と愛を、今のマダラは受け止める事ができた。
「ぅあっ、あっ! はし、あっ、あいっ、……っ!」
「後で聞く、すまぬ止まってやれん……!」
「あっ、あ、いっ! あ、ぁあああっ!!」
 ドクン、ドクン、と奥ではぜている……柱間のものが、マダラの奥で。キツく抱きしめあったまま、柱間は小さく「すまぬ」と呟いた。

「……して、最中にマダラは何を言おうとしたのだ。」
 服を着直して正座する柱間に、マダラは呆然とした。
「はあぁぁあ!?」
 普通わかるだろう!? どれだけ阿呆なんだ!? あれだけ情熱的なまぐわいをした直後にそれを聞くのか!?
「……お前……とことん常識が通じねえ……」
 接吻に応じた時点で察するだろ、オレから接吻をした時点で理解するだろ、もっと言えば「いいのか」の答えでわかるだろう!!
「う……すまぬ、常識とは難しいものだな……?」
 はぁー頭が痛い……なんでオレはこんなのを好きになってしまったんだ……。
「やはりお前とは相容れん……。」
 思わず頭を抱えた。改めて言わなければ伝わらんらしい。……が、冷静になった今それを口にするのは恥ずかしさが勝って言葉にならない。
 ちょうどいいところに、襖が開いた。桶に湯と、手拭いを用意したネコが穏やかに笑っている。
「必要かと思いまして……、では。」
 桶と手拭いを残して、また襖が閉まる。
 マダラはまた頭を抱えた。
「くそ……くそ……オレは絶対に言わないからな……。」
「……やはりマダラは……まぐわいではなく……」
 しゅんとする柱間に、思わず声を張った。
「お前はしばらく黙っていろ!」

 今や火影ではない柱間だ、今後はそこら中で盛ることはないだろう。というか、外で盛り始めたら何としてでも止める。……それで良いのではないだろうか。
 互いに執着し合い、愛し合えたなら。今の柱間ならマダラの言うことを聞こうともせず、ということにはならないはずだ。多分。
 であれば、この不器用な愛を受け止めてやらないといけない。
 何だか色々あった気がするが、物事は単純に考えるべきだ。
 柱間はマダラを愛していて、マダラもまた同じ気持ちでいる。それが確認できただけで、上等だ。
「しかしなぁ、マダラ。いかに長期任務とは言えティアカスプラントを口寄せするのはもう辞めてくれ。俺の身が持たん……。」
「そのティアナントカとの契約に立ち会ったのはお前じゃないか。」
「まさか口寄せするとは思わなくてだな……。」
「……遠回しに俺を変態だと言いたいのか。」
「……そうさせたのは俺だと言いたいのだろう。……一応反省しておる。マダラが好き過ぎて見境無しに手を出してきたことは……良くなかった。」
「そうかよ……。」
 雨降って地固まる……少し激しめの、長い雨だったが。また大雨が降っても、何だかんだでうまくやっていくだろう。
「マダラ様、良かったですね。」
 洗濯物を干しながら、ネコがマダラに話しかける。
「何の話だ?」
 ネコはふふっと笑った。
「愛する人に抱かれて、です。」
「……ああ、……そうだな。」