きみが好き

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成人向,中編,原作軸,完結済み,カカサス小説エロ,シリアス,ほのぼの,モブサス描写有,平和IF,甘々

感じていたい

  カカシの告白を受け入れて二週間、宣言通りにカカシは毎日サスケの家を訪れていた。
 一緒に夕ごはんを食べて、それぞれシャワーを浴びてからせまい布団で一緒に眠る。
 朝集合場所に向かうときも一緒だった。誰かに見られないように早めに行って、二人を待つ。でも、その日は珍しくナルトが先に来ていた。
「あれ? カカシ先生とサスケ一緒に来たのか?」
「ああ、ちょっとそこで会ったからね。」
 飄々と嘘をつくカカシは、どうやらサスケとの関係を知られたくないようだった。しかしナルトは鈍いようでいて、意外と勘が鋭い。
「そういやいっつも二人で先に待ってるよな。そんな毎日タイミング合うもんなのか?」
「いや? いつもはサスケが先に来てて、あとから俺が合流してるだけだよ。」
「でもここ最近……カカシ先生遅刻してねえよな……」
 サスケはナルトの方に歩いて行き、肩に手を置いた。
「まあそんな気にするな。……後で話す。」
 ナルトは小さな声で言われた「後で話す」という言葉に、「……わかったってばよ!」と頭の後ろで手を組んだ。
 
 サクラも合流してその日の任務が始まった。いつものランクの低いつまらない任務だ。さっさと終わらせて昼時になり、弁当を食べたら各自解散、という流れになったが、カカシは弁当箱も出さずにさっさと報告書を出しに行き、三人が残された。
「なんだか最近のサスケくん、ちょっと嬉しそうよね。何かあったの?」
「別に……」
「そういや朝のあれ、何だったんだってばよ。」
「ああ、弁当食い終わったらな。」
 黙々とおにぎりを口に運ぶサスケを見て、ナルトも弁当箱を箸でつつく。
「朝のあれって何のこと?」
 箸を止めたサクラがサスケを見つめるが、
「男同士の話だ。」
 ととりつく島もない。
「ごちそーさまっ!」
 弁当を食べ終えたナルトが手を合わせる。サスケも最後の一口を頬張って片付け始めた。
「んじゃ、サスケ」
「……奥で話す。」
「了解!」
 二人立ち上がり、森の奥に入っていく背中をサクラは複雑な気持ちで見送った。
「で、何がどうなんだってば。」
「花火大会の日……カカシが家に来た。」
「何だよ、カカシ先生と花火見たのか?」
「いや、見てない。そこで俺はカカシから告白された。俺もそれを受け入れた。」
「…………ちょっと、ちょっと待て、それってどういう……」
「今俺とカカシは夜一緒に過ごしてる。だから朝も一緒に来ている。」
「待てって! 告白ってその、いわゆる愛の告白ってことか!?」
「まあ、そうなるな。」
「で、受け入れた? なんで!? 先生だぞ、しかも大人で男だぞ!? 俺もイルカ先生のことは好きだけどさ、そういう好きじゃ……ないってことだよな?」
「そういうわけだ。サクラには秘密にしておいてくれ。」
「いやいやいや、会話終わらせようとすんなって! それ絶対ダメなやつだろ! ただの先生と生徒ならともかく、男同士だし歳の差もいくつあると思ってんだってば!」
「わかった上だ。」
「……キスとか、もうしてんのか。」
「布越しだが、した。」
「エッチなこともするつもりなのか?」
「それは……考えたことがなかったな。」
「あのなぁ、カカシ先生は大人だぞ? 恋人、……でいいんだよな? 恋人ができたらキスもエッチなこともするに決まってんじゃねえか。それも受け入れんのかお前。」
 サスケは一拍の時間をおいて、答える。
「さあな、カカシに聞いてみる。そういう事もしたいのかどうか。」
「受け入れる気満々じゃねえか。バカか、お前。」
「ナルトにバカとは言われたくねえな。」
「なら今からでも遅くないから断れよ! そんなのぜってーおかしいって!」
「おかしいとかそういう……理屈じゃねえんだよ。」
 サスケはナルトに背を向けた。
「話はこれだけだ。じゃあな。」
 一人残されたナルトはしゃがんで頭をかきむしった。
 確かにこれはサクラちゃんには言えねえ……サスケも本気っぽいし……でもそんなのぜってー間違ってる!! ……こういう場合どうするのが正解なんだってば……。
 
 サスケがアパートに帰ると、報告書を出しに行ったカカシがすでに玄関前で待っていた。
「遅かったじゃない。」
「ちょっと野暮用でな。」
 サスケが鍵を開けると、二人で室内に入る。まだ昼だし、サスケは弁当を食べたばかりだ。
「……夜まで、時間があるな。」
「そうだね。どうしよっか。修行でもする?」
 サスケはカカシのもとに歩み寄る。そして口布をずらして、露わになった口元に触れるだけのキスをした。
 はじめての、直接のキス。
「えっと……サスケ?」
 サスケの行動を図りかねたカカシが戸惑いながら尋ねると、サスケの真剣な眼差しが返ってくる。
「……俺たちは、『恋人』なのか?」
「俺は、そう思ってるよ。」
「なら聞くが……エッチなことをしたいとも思うのか?」
「えっ……?」
 野暮用ってまさか、誰かに何か吹き込まれたのか……? じゃないとサスケからこんな話が出てくるわけがない。
 答えに詰まりながらも、この真剣なサスケを前に嘘をつくことはできない。
「いずれは……したいと、思ってた。」
「いずれっていつだ。」
「ええと……難しいな。」
 サスケがカカシのジャケットのチャックを開けていく。
「カカシがしたいなら」
 前がはだかれ、肩からするっとジャケットが脱がされる。
「俺は受け入れる。」
 サスケはそのジャケットをハンガーラックにかけた。
 カカシの心臓はドキドキしていた。
 これって今、今してもいいっていう、流れ、だよな?
 振り返ってカカシの方を見ようとしたサスケを、後ろから抱きしめる。その腕を、サスケがそっと握った。
「…………サスケと、したい。」
「俺は何をしたらいい?」
「俺がリードするから大丈夫だよ。もう一度キスしてもいい?」
「……いい。」
 抱きしめていた腕が緩んで、サスケは後ろを振り向く。口布を下げられたままのカカシが、サスケの頬を優しく包んで触れるだけのキスをした後、もう一度くちづけてその口内に舌を差し込んだ。
 口内を優しくなぞって舌を絡ませると、サスケも戸惑いながら応える。何十秒もかけて深いキスをした後、カカシはそっと唇を離してサスケの様子を伺った。その頬はほんのり赤く染まっている。
「……大丈夫? 嫌じゃない?」
「大丈夫……。」
 サスケは口元をアームウォーマーで拭った。
 そんなサスケの手を引いて布団の前まで移動すると、カカシはインナーを脱いで布団の横に置く。均整の取れた上半身。サスケも同じように上のシャツを脱いだ。
「……本当に、いいの?」
「受け入れるって言っただろ。」
「……優しく、するね。」
 カカシはズボンにも、手をかけた。
 
 薄い布団の上で、生まれたままの姿になった二人が折り重なる。
 さっきと同じように深いキスをしながら、カカシはサスケのものを扱いていた。
「んっ……カカ、」
 キスの合間に漏れる吐息がサスケの余裕のなさを伝えている。カカシは唇を離して手の動きを早めた。
「出してもいいよ。……気持ちいい?」
「っは……、気持ち、いい……っ、もうっ、……っ!」
 ピクンと小さく身体が跳ね、カカシの手のひらに勢いよく白濁液が飛び出す。
 弛緩した身体の膝を折って後ろの穴に指をそわせ、くにくにと優しく押した。
 乱れた息のまま、サスケはカカシの顔を見上げる。
「痛かったら、言ってね。」
 サスケの精液がついた中指をその穴に少しずつ埋めていく。弛緩していた身体が緊張して、中の指を締め付けた。しかし、きつく締まったその中を指はどんどん奥に進んでいく。内壁をなぞるように挿入していた指が、ぷっくりと膨れたそこを撫でた。
「っぁ、んっ……!」
 サスケの身体が再び弛緩する。指はそこをなぞりながらゆっくりと抽送を始める。
「はぁっ、あっ、……っ!」
「大丈夫? 嫌じゃない?」
「だい、じょうぶっ、んっ……!」
 指は中をマッサージしながら押し広げていく。スムーズに指が動くようになって、カカシは人差し指を増やした。二本の指に緊張で中が締まるが、すぐにまた弛緩する。
「っあ、……っ、はぁっ、あっ……」
 ゆっくりと時間をかけて、壊れ物を扱うように中を慣らしていく。
「っは、……っぁ、んっ!」
 サスケは潤んだ目を細めながらカカシの様子を見ていた。時折目を閉じて中の感覚を拾いながら荒い息を吐く。
 二本の指もスムーズに挿入できるようになった。薬指が増えて三本になる。一瞬サスケの眉間に皺が寄ったが、そこを撫でるとすぐにその顔は蕩け始めた。
「あっ、はぁっ……、あ、んっ! ……ぁっ、」
 優しく、優しく中を押し広げながらじっくりと抽送を繰り返す。
 俺だけ気持ちよくなって終わりにはしたくない。はじめてでもサスケに少しでも気持ちよくなってほしい。だから念入りに中をほぐして内壁を柔らかくしていき、そしてその間サスケが快感を得るところを刺激するのも忘れない。
 しっかりと慣らしてスムーズに指が出入りするようになり、カカシはゆっくりと指を抜いた。そして手についているサスケの精液を自身に擦りつけて、後ろの穴に沿わせる。
「ッ……サスケ、本当に、いい……?」
 すぐにでも入れたかった。でもサスケの意思に反することはしたくない。
 サスケは潤んだ目を開いてそこを確認すると、控えめに頷いた。
 カカシはゆっくりと腰を進める。亀頭が入ったところで数回出し入れを繰り返し、スムーズに入ることを確認して少しずつそれを中に埋めていく。
「はあっ、……っぁ、……っ、」
 しっかりとほぐしたそこは引き攣れることなくカカシのものを迎え入れた。サスケは眉間に力を入れて、浅く息をしている。
 もう少し奥……腰を進めたところで、その場所を抉った。
「っぅあ! は、はぁっ、あ、……ぁ、っ!」
 そこを刺激しながら奥まで腰を進める。……全部、入った。まだ眉間に力を込めているサスケの前髪をさらっと撫でる。
「痛くない? ……大丈夫?」
「いた、くは、ないっ……大丈夫……っ」
 カカシはほっと胸を撫で下ろして、ゆっくりと腰を動かし始めた。まずはサスケの感じるところに先端が当たるよう浅い抽送を繰り返す。
「あっ、あ、あっ! は、んっ! ぅあっ、あっ!」
 サスケの眉間に入っていた力が抜けた。サスケが感じて喘いでいる。それが嬉しかったし、興奮する。ガンガン奥まで突きたいのを我慢して、サスケの中がカカシの大きさに慣れるまでは浅く小さい動きにとどめる。
「んっ……奥っ、まで、いいっから……!」
 サスケが潤んだ目でカカシを見つめる。カカシはまたゆっくりと奥まで腰を進めた。
「奥、で、止まって……」
 言いながら、両手をカカシに向けて伸ばす。カカシは奥まで入れたままサスケを抱きしめた。その背中にサスケの腕が回る。
「苦しくない……?」
「大丈夫……このままもう少し、カカシを感じていたい……」
 重なる肌が温かい。バクバク拍動するこの心音を聞かれないだろうか。
「サスケ、キス……」
 サスケが顔を上げると、その唇にカカシがしゃぶりつく。さっきまでの優しいキスとは違う、荒々しく激しいキス。中がヒクヒクと動いてカカシのものを刺激する。
「っはぁ、あ、っぁ……」
「動いていい……? もう我慢できない……」
 サスケは朱に染まった顔で頷いた。
 抱きしめたまま、腰を再び動かし始める。ゆっくりゆっくりと抽送しながら、少しずつその動きを早くしていく。
「っあ、っん! はぁっ、あっ! あ、あっ、ぅあっ!」
 腰の動きに合わせるようにサスケの声が高くなっていく。大丈夫、サスケも感じてる。カカシは腰をどんどん早くしていく。はぁっ、はぁっ、と荒い息を吐きながら、耳に入ってくるそれはもはやサスケのものなのかカカシのものなのかわからない。
「はぁっ、サスケ、サスケ好きだっ……!」
 抱きしめながら、律動しながらその耳元に言葉をかけると、
「……れもっ、俺もっ……!」
 とサスケの声が耳から脳内に入ってきてさらにボルテージが上がっていく。たまらない気持ちになってガンガン腰を打ちつける。サスケは揺さぶられながらただただ喘いだ。
 その声を間近に聞きながら、射精感が駆け上がる。
「中っ、出していい? っはぁ、ごめ、出る……っ!」
 カカシは一際奥に突いて、ビューッビューッとサスケの中に精液を吐き出した。
「っあ、あ、……っあ、」
 ビク、ビクと震えながらすべて出しきると、サスケの上にくたっと倒れ込む。
「はぁっ……、サスケ、は、大丈夫……?」
 サスケはまだ奥まで入っているカカシを感じていた。
「っこの、まま、もっとあんたを、感じていたい……」
 サスケの腕に力がこもる。
 カカシもサスケを強く抱きしめて、二人で荒い息を吐いた。
 
 ぬる、とカカシのものが抜けていく。
 カカシはティッシュでサスケのそこを拭き、自分のものも拭き取り始めた。
「サスケ、聞いてもいい?」
「……なんだよ……」
 サスケはまだ布団の上でぐったりとしている。
「エッチ、……どうだった?」
 布団の脇に腰を下ろしてサスケの顔を伺った。
「……あんたをたくさん感じられた。それが……」
 幸せだと思った、そう言おうとして、サスケは言葉に詰まる。そんなこと、言ってもいいんだろうか。俺に幸せを感じる資格なんてあるんだろうか。
「……よかった。」
 サスケの言葉を聞いて、カカシはサスケの髪をさらっと撫でる。
「俺は……サスケとエッチできて幸せだよ。サスケは……その、気持ちよくなれた? ……一緒に気持ちよくなれたなら、いいなって。」
「……気持ちよかった。……また、したい。」
 こんな時間が、ずっと続けばいいのに。やるべきことも成すべきことも忘れて、ひたすらカカシを感じ続けることができる時間が。
 カカシはサスケの額にキスをして、サスケの目を優しく見つめた。
「安心した。……また、しようね。」
 サスケはゆっくりと起き上がり、カカシの唇に触れるだけのキスをする。
「ただ、声が……俺んち、ボロいから。……聞かれちまう。」
「じゃ、次からは俺んちでしよう。」
 サスケはこくりと頷いた。
 
 サスケのアパートの外には、まさにその声を聞いていたナルトがいた。
 おいおいおい、まさかと思って来てみたらこれってば、本当に……本当にやっちまってるし……!!
 どうすりゃいいんだ!? 明日からカカシ先生とサスケの顔まともに見れねえってばよ……!!
 とにかく誰かに相談……誰に!?
 いいや、とにかくこの場から離れる、話はそれからだってば!!
 ナルトは気配と足音を殺して、そっとサスケのアパートから遠ざかって行った。

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