きみが好き

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成人向,中編,原作軸,完結済み,カカサス小説エロ,シリアス,ほのぼの,モブサス描写有,平和IF,甘々

幸せの在り方

 「なあ、おっちゃん」
 注文したラーメンが出てくるのを待ちながら、店主に話しかける。
「先生と生徒が付き合うのってどう思う?」
 結局誰に相談したらいいのかわからなかったナルトは、夜遅くに一楽を訪れていた。
「そういうのも時々見かけるからなぁ、本人たちが納得してるなら外野がどうこう言う話でもねえと思うが。」
 麺の湯切りをしながら店主が答える。
「でもさ、男同士で、大人と子どもなんだぜ? 俺ってばそんなんぜってえ間違ってるって思う。」
 カウンターにできたてのラーメンが差し出された。
「騙されてるとかならまた話は違うが……そうじゃねえなら本人達の自由意志だから何とも言えねえな。」
「そうなのか? ……でも俺は納得いかねえってばよ。……いただきます。」
 店主はラーメンをすするナルトを見ながら腕を組む。
「何がそんなに納得いかねえんだ?」
「俺の……友達と、先生なんだ。キスとか……エッチまで、してて……。」
 ラーメンをすすりながらポロポロと涙がこぼれる。
「どうしたらいいのか……これからどんな顔して二人に会えばいいのかわかんねぇ……っ! 二人とも大事な仲間で、友達で、先生で、……っなのに付き合ってるとか、エッチしてるとか……っ! わけ、わっかんねぇよ……!!」
「……まあ、それでもその友達がお前さんの友達なのは変わらねえだろ。先生が先生なのも変わらねえだろ。」
「でもよ……」
「幸せの在り方は人それぞれだ、お前さんは複雑かもしれねえけどよ。ほら、煮卵付けてやるから俺のラーメンを泣きながら食うな。」
「おっちゃん~~!」
 ナルトは泣きながら煮卵を頬張った。
 
 一方のサスケはカカシの家にいた。
 カカシが作った食事を一緒に食べて、一緒に風呂に入り、持ってきたパジャマに着替えてベッドに入る。どちらからともなく始まるキス。お互いにそこを触れるともう半勃ちで、顔を見合わせて笑い合った。
「ちょっと待って」
 カカシが買ってきたばかりのローションの蓋を開けてサスケの手にとろりと落とす。自分の手のひらにも落としてお互いを触ると、サスケは未知の感覚に熱い吐息を漏らす。
「っこれ、やばい……っ」
「この方が気持ちいいでしょ?」
「んっ、きもち、い……」
「サスケ、キス……」
 キスをしながらお互いにそれを扱く。荒くなっていく呼吸。
「カカッんっ……ぁ、もう、っあ、出るっ、で、」
 サスケがいく寸前でカカシは手を止めた。ぎゅっと根元を握り、呼吸が落ち着くのを待ってから手を離してサスケの上に覆いかぶさり、後ろの穴に指を添わせる。
 くにくにと優しくマッサージしてからローションで濡れた指をゆっくりと中に沈めていく。サスケの眉間に力がこもるが、中のそこをなぞられるとピクンと小さく反応した。
「っは、……あっ」
 カカシはそこを入念にマッサージしながら中を押し拡げて指を増やしていく。
「あ、……っん、……はぁっ、……っあ」
 サスケは震えながら小さく喘ぎ始めた。
 カカシはゆっくり、ゆっくりと指で中を慣らしていく。
「ッカカシ、んっ……カカシ、と、ひとつになりたい……」
「もう少し……ちゃんと慣らさないと……」
 そう言いながらも、カカシも早く挿れたくてたまらなかった。中に入っている三本の指でぐっとそこを押す。
「っあ、んっ……!」
 サスケは思わずカカシの首にしがみついた。
「っもう、いいっ……! っ、挿れて、カカシの……っ」
「本当にいいの……? まだつらいかも……」
「これ以上っ焦らされたら……っ」
「……ん、わかった……。」
 ぬるりと指を引き抜く代わりに、ゴムを着けて、しっかりとローションで濡らしたそれをあてがう。その感覚に、サスケはしがみつく腕に力を込めた。
 ゆっくりと入ってくる熱い塊。カカシの熱、カカシの興奮、カカシの想いが一緒に入ってくる。
 そこをなぞられると走る快感に、サスケはまたピクンと震える。刺激されながらゆっくりと出入りする熱に頭が蕩けそうになる。
「サスケ……サスケとひとつになれて、……今すごく幸せだ。」
「おれ、も……っ」
「奥まで、入れるね」
 ゆっくりとそれがサスケの奥に入ってくる。サスケの中がカカシで満たされていく。
「はぁっ……好き、好きだ……どう言ったら俺のこの気持ちが伝わる?」
 奥まで挿れて、首にしがみつくサスケを抱きしめる。
「サスケ、好きだ。ずっとこうしていたい、繋がっていたい、キスしていたい、肌を合わせていたい、見つめ合いたい。ねえサスケ、伝わる? 伝わってる? どうにかなりそうなくらい、俺、サスケのことが好きだっ……。」
 はぁっ、とカカシの熱い吐息が耳元にかかる。
「……伝わってるかとか、よくわかんねえけど、……っ、俺も同じだ、ずっと繋がっていたい。俺の中のあんたを感じていたい。肌を合わせていたいしたくさんキスもしたい……ずっと、一緒に居たい。俺も同じだ、……あんたが、好きだ。」
 しがみつく腕を緩めてお互いに目を合わせ、キスをする。舌を絡め合いながら、カカシがゆっくりと動き始めた。
「っん、は、んんっ!」
 奥に届く度に胸が熱くなる。何かがこみあげてくる。この感覚、この感じ、これは……幸せ、だ。
「ッカカシ、早くても、大丈夫……っ!」
「……俺がいっちゃいそうなの……もっとサスケを感じたいの」
「ウスラ、トンカチ……んっ」
 はぁっ、はぁっ、
 漏れ出る吐息はどちらのものだろうか。
 ゆっくりとした抽送にじれったくも甘い快感を味わいながら、サスケはまた首にしがみついて目を閉じる。
「サスケ、気持ちいい……?」
「きもち、いいっ……たくさん、あんたを感じる……」
「俺も……っ今こうしてるのが、嬉しくて、幸せで、どうにかなっちゃいそう……」
「……なっちまえば、っいいじゃねえか……」
「それ、煽ってる……?」
「あお……?」
「……すぐいっても、笑わないでね」
 腰の動きがぐんと早くなった。
「っあ! んっ、あ、あっ! ぅあ、はぁっ、っあ!」
 首にしがみつきながら喘ぐサスケは、じらされていた分、強烈な快感を感じていた。
「あっ! だ、だめ、出るっ、んあっ! あぁっ!」
「俺、もっ……ねえ、一緒にいこ」
 奥にガンガン突きつける、サスケの声がどんどん高くなっていく。
「んっあ、あっ、あああっ!!」
 ビクン、とサスケの身体が揺れて、中がキュウウ、と締まる。その最奥に突きつけて、カカシはビュルル、ビュルル! と吐精した。
 はぁっ、はぁっ、はぁっ
 離さない、と言わんばかりに首にしがみつくサスケをぎゅっと抱きしめる。お腹はサスケの精液で濡れていた。でも、そんなの関係ない。
 最奥に入ったままお互いに強く抱きしめ合って。荒い息を吐いて。中を感じて。
「もう少し、もう少しこのまま……」
「そんなこと、言われなくたって離さない」
 サスケとひとつになっている喜びが、幸せが、このままずっと続いたらどんなにいいだろう。
 噛み締めていると、再びそれが芯を持ち始める。
「……また勃ってきた……いい?」
「言わ、せんな……んっ、あ、はぁっ、あ、あっ、んっ!」
 再び、激しい抽送が始まった
 
 鷹の鳴く声で目が覚める。裸で抱きしめ合いながら眠っていたカカシは目を擦った。
 今すぐ……?
 する、とベッドから抜け出して、シャワーを浴びてから忍服を着込み、リビングの引き出しの中にある合鍵を取り出して寝室に向かうと、まだ眠っているサスケの肩を揺らした。
「サスケ、ごめんね、起きて。」
「ん……、カカシ……?」
「これ、俺の家の合鍵。持っておいて。今日は任務中止で、各自演習ってナルトとサクラに伝えておいてくれる?」
「何かあったのか?」
「緊急で招集。……行ってくる。」
 額にチュッとキスをして、カカシは立ち上がり寝室から出ていく。
 渡された合鍵を握り締めながら、サスケはその背中を見送った。
 
 火影の執務室に呼ばれたのは上忍九名。
 岩隠れの過激派の残党が木の葉に潜入した痕跡が発見されたという。
 対象を見つけ次第拘束、または排除の命。
 大戦の遺恨である過激派の存在は火影・土影の頭を悩ませる存在だった。近年はあまり活発的な活動は見せていなかったが、どうやら再び動き始めたらしい。
「すでに暗部が動いておる。痕跡を発見次第蟲で知らせる。カカシ班は攻撃特化型として拘束、または排除するように。」
 動いている暗部は油女一族の者らしい。カカシの右肩に小さい蟲が止まる。カカシ班とされた紅、アスマ、カカシのスリーマンセルはひとまず里を一望できる火影岩の上に移動した。
「痕跡が発見されたのは南西の岩山。目的がわからない以上はどこに向かったのかもわからない、が。」
 カカシはリンのことを思い出していた。人柱力にされ自死も出来ないようにされた状態で送り込まれてきたリンを、カカシは千鳥で貫くしかなかった。記憶に残り続ける忌々しい出来事。そういう汚い手段を使うのが奴らだ。今度はどんな手を使ってくるのか想像もつかない。
「必ず、殺す。」
「カカシ、落ち着きな。拘束、または排除よ。拘束が優先。」
 アスマもカカシの肩に手を置く。
「まずは紅の幻術だ。次に腕と足を切り落とす。千鳥は最後だ。」
 蟲が動いたのは二時間後だった。急いで蟲が示す方角へ向かう。辿り着いたそこはサスケが修行に使っている森だったが、木にふたつ手裏剣が刺さっているだけでサスケの姿はない。
 ……嫌な予感がする。
 更に先を示す蟲に従って急ぐが、対象を見つける前に蟲の動きが止まった。そしてそこにいた猿の面を着けた暗部が告げる。
「ここで完全に途切れている。」
 そこは断崖絶壁で、飛び降りたとしか思えない。
「下は確認したのか。」
「ここから下に降りたとしか思えないが、……この場で痕跡は完全に消えている。この先はわからない。」
 思わず舌打ちをしてこぶしを握り締めた。
「サスケ……!」
 崖を見下ろすカカシに、アスマが声をかける。
「少し頭を冷やせ。感情的になりすぎだ。」
「サスケは俺のっ!! ……大切な、……部下だ。そのサスケが奴らに攫われたかもしれないのに……っ!」
「落ち着きなさい馬鹿。今打てる最善の手は?」
 紅からも諫められて、カカシは深く息を吐いた。そして忍犬を口寄せする。
「……合鍵の臭いを探せ」
 忍犬たちは一斉に崖の下に飛び降りた。
「ちょっとカカシ、それってどういう……」
「猿の面、お前も引き続き探せ。」
「もうやっている」
 いつにない形相のカカシに、アスマと紅はサスケがカカシにとってどんな存在なのかを察した。その上で、更に声をかける。
「冷静になれ。恐らく殺されてはいない。」
「……ああ、必ず助ける。」
 猿の面の暗部はいつの間にか姿を消していた。恐らく崖の下に広がる森へ向かったのだろう。
 蟲がカカシの肩に止まる。今は待つしかない。
 無事で、いてくれ……。
 そう、祈る以外に、出来ることはなかった。
 
 固い地面に横たわっているのに気がついた。
 目には布が巻かれていて何も見えず、ここがどこなのか、誰が自分をここに連れてきたのかも分からない。
 ただ身体は鉛のように重たくて、指一本動かすことさえ困難だった。
 記憶をたどり寄せようとするが、頭もうまくはたらかない。
 確かいつもの森で修業をしていて……背後に何者かの気配を感じた、……そこからの記憶がない。
 耳から聞こえてくるのは、数人の男が話し合う声。しかしその声も、ぼんやりとしていてうまく聞き取れない。
 ただ、少なくともここは敵地で、自分は何者かに薬か何かで身動きが取れなくされているのであろうことは推測できた。
 ……であれば、昏睡しているふりをして、耳から拾える情報を整理しながら、薬の効果が落ちるのを待つのが得策だ。目を塞がれている、ということは、単に情報を遮断する目的以外にも、写輪眼の持主だとバレている可能性も高いだろう。なにせ、背中にはうちはの家紋を背負っているのだから。
 耳に神経を研ぎ澄ませる。少なくとも、四人はいる。全員大人の男だ。話し合いは終わったらしい。一人の声が近づいてくるが、気配は感じない……忍か。
「で、こいつはそれまでどうする?」
「見え…………に傷さえつけ…………ばいい、…………」
 だめだ、近くに来た男の声しかうまく聞き取れない。
 聞き取ることに集中していたら、突然、髪を掴まれて頭を引っ張り上げられた。痛みで思わず顔が歪む。……しまった。
「おい、こいつ起きてるぜ。」
「見せてみろ。」
 もう一人、声が近づいてくる。
 身体がガクッと揺れて仰向けに倒れた。腹部に感じる鈍い痛み。どうやら蹴られたらしい。
「あー、意識があるだけで動けねえようだからほっとけ。何も出来やしねえよ。」
 髪を掴んでいた手が離されて、頭がゴン、と地面に落ちる。その衝撃で頭がグラついて、眩暈が起きている時のように感覚が狂い、唯一はたらいていた耳もうまく音を拾えなくなった。同時に、意識が遠くなっていく。
 今、ここで、意識を手放したら、だめだ。
 どうにかして意識を失わないよう頭をはたらかせるが、サスケはまともに考えることも困難になっていった。

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