スペシャルニーズ

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成人向,中編,現代パロ,完結済み,カカサス小説エロ,やおい,甘々

選択肢

「あ、あっ、はぁっ、……っあ、」
 ぬぷ、と大した抵抗もなく入ってくるそれにサスケの中は歓喜しているかのようだった。バックからの律動はサスケのそこをなぞって奥に到達する。少しずつ早くなっていく腰の動きに、サスケは壁についた手に力を込めてただ喘ぐことしかできない。
「ぁっ、あ、あっ! ぅあ、あっ!」
「もういやとかやめては言わないんだ? ちんこ好きになっちゃった?」
「ちがっ……! あっ、はぁっ、あ、あっ! んっぁ……!」
 そんなわけない、男にちんこ突っ込まれて気持ちいいなんて、こんなの嘘だ。そう頭で思っても、身体は正直だ。カカシの腰の動きに翻弄されて、いいようにされて悔しくて恥ずかしいはずなのに、喉の奥から出てくるのはあられもない喘ぎ声ばかり。
「ねえ、前も自分でシコってよ。」
 カカシがサスケの左手を股間に誘導する。サスケのそこはもうガチガチに勃っていた。自分で握って、カカシの動きに合わせて扱くと、すぐに込み上げてくる射精感。
「だ、あっ、出るっ、あ、ぅあっ! はぁっ、あっ、あ、あ」
「出していいよ。ほら。気持ちいいんでしょ?」
「よごっれ、あっ、うああっ! だめっ、あ、んっ……あああっ!!」
 ビクン、とサスケの身体が痙攣する。その先から迸る白濁液が洗面所の壁を汚す。
「はぁっ、あ、……っ! は、あっ、あ、んぁっ!」
「はは、出ちゃったねえ、どんな気分っ?」
「よごっ、っん! よごれ、あっ、ぅあっ!」
「後で掃除してくれればいいよ? だから気にしないでもっと汚しなっ」
 律動が早くなる。あ、だめだ。サスケは本能で悟った。この快感にはあらがえない。そこをなぞられる度に、奥に突かれる度に、抜けていく度に、そのあらがえない感覚が幾重にも重なってサスケの脳を覆っていく。抵抗なんてできず、ただその律動に喘ぎながら震えることしかできない。
「あっ、ぅあっ! なんっ、っあ、なんでっ、こんな、あ、んんっ!」
「なんでって? 俺にとって都合がいいからだよ。それともお兄ちゃんに言えるの? バイト先でケツにちんこつっこまれて気持ち良くなっちゃいましたって。」
 言え、ない……。バイトのこともまだ伝えてないのに。突然契約内容が変わって何をされても受け入れるしかなくなったなんて。その相手が兄さんが俺のために探してくれたマンションのオーナーだなんて。
「よぉくわかるよ、連帯保証人つけられないってことはお兄ちゃんの他に頼れる親族もいないんでしょ? きっと兄弟二人で助け合いながら生活してきたんだろうねぇ。上京するってなった時はさぞかし心配されたでしょ? 何軒も俺のマンション内見してさ、きっと他にもたくさん見たんだろうけど。そんなお兄ちゃんがここなら安心だって決めたのが今のおうちだもんね?」
 そんな、ことまで、知られてるなんて。
「言えないでしょ? くくっ、大丈夫だよ、俺がお前のアナル開発してやるから。サスケは今まで通り毎日その制服に着替えて俺の家に掘られに来るの。そんでアンアン鳴いて声枯らして帰って今日はナニをされましたって上司に報告するの。……ああ、想像するだけで楽しいね。」
 カカシに言われて、サスケの顔に熱が集まる。そうだ、報告しなければいけないんだ。出来るだけ詳しく……どんなやり取りをしてカカシのニーズは何でどんなサービスをしたのか……猿飛さんの、目の前で。
「や、あっ! やめ、んぁっ! もうっ、やっめ、あ、あっ!」
 サスケは腰を引こうとするが、その腰はカカシの手でがっちり掴まれている。僅かな抵抗にしかならない。
「やめっ、やめて、くださ、ぅあっ! は、あっ、おねが、んっ!」
「ああ……いいね、もっと懇願してよ。俺のこころに響いたらやめてあげなくもないよ? ほら、もっと言いなよ。泣きべそかきながら勘弁してくださいって。」
「はぁっ、あっ! おねがっ、ぁあっ! おね、がいしますっ! っんぁ、もうっやめ、……っうあ!」
「ん~? 喘ぎ声でよく聞こえなかったなぁ……」
「っひ、あ、ぅあっ、あっ!」
 また涙で視界が潤んでいく。
 酷い、こんなの、酷すぎる。とても耐えられない。こんなことが、これから毎日続くなんて絶対に嫌だ。嫌なのに。嫌なのにゾクゾクと脳に駆け上がってくる快感に身体を震わせながら喘いでる俺がいる。一切の思考を捨て去ってこの感覚だけをただ拾っていたい俺がいる。もう、頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「……っもう、やめ、てっ、くだ、さいっ……! おねがい、しま、すっ……!!」
 絞り出した声を聞いて、奥に入ったままカカシの動きがピタッと止まった。
「……へぇ、ちゃんと言えたじゃない。偉いねぇ。」
 終わっ……た……?
 よしよし、と言わんばかりに頭をくしゃくしゃに撫でられた。
 中からゆっくりとそれが抜けていく。
「それで、……何だったっけ? お前の会社の理念。」
「お客……様の、こころに、寄り添った……サービスを……」
 あと少しで完全に抜ける、ところで動きが止まった。
「俺のこころって何だと思う?」
 考えろ、考えろ、考えろ。最適解はなんだ。カカシが求めていることはなんだ。
「……っ!」
 後ろの穴がヒクヒクと動いているのを感じる。
 もっとしてくれ、と言わんばっかりに。
 サスケは必死に頭を動かして答えを探す。今日、カカシから、言われた言葉。
「俺を、好きに、する……」
「お、さすがT大生。こんな状況でよく頭が回るねぇ?」
 ぬる、と抜けかけていたそれが、再び一気に奥まで貫いた。
「あああ゛っ!!」
「大正解。おめでとう。」
 パンッパンッパンッパンッ
 激しい律動が再開される。待っていましたとばかりにカカシのそれにまとわりつく内壁。そこをえぐられる度に、奥を突かれる度に駆け上がる快感。そこを中心に身体中が熱を帯びてくる。どんどん激しくなる腰の動きと共に経験したことの無い感覚が身体中を覆っていく。
「あ゛っ、ぅあっ! あああっ! はっ、あ゛っ! だ、やめっ! んあっ! おかっ、しく、な゛っあ!」
「今度は中イキしなっ!」
「やっ! あ、ああっ! んあっ! あっ、あああっ!!」
 サスケの身体がぶわっと熱くなりビクビクッと痙攣した。その中心から飛び出す白濁液。頭の中が真っ白になって多幸感が埋め尽くしていく。断続的にビク、ビク、と震える身体。気持ちいいなんてものじゃない、その感覚は……絶頂。
「っは、締め付けすご。俺も出そ。」
「あ゛っ! あ、や゛っ! あ、ああっ!!」
 数回の激しい抽送の後、サスケの奥にじわっと温かいものが広がる。
「っは、はぁっ、あっ、あ、はぁっ、……っ!」
 奥に入ったそれは何度かピク、ピク、と精を吐き出し、ぬるっと引き抜かれた。と同時に、サスケは立っていられなくなって床に膝をつき、荒い息を吐く。
 中はまだキュンキュンとうごめいていて、また身体を震わせる。
「はぁっ、はぁっ、あ……、はぁっ……」
「また汚しちゃったね? 壁。きれいにしといてよ。」
 カカシが背後から嬉しそうに話しかける。何がそんなに嬉しいんだ。楽しいんだ。……俺を好きにして、遊んだからか。
「で、はじめて中イキした感想は?」
 中イキ……いまのやつ、か……?
 サスケは荒い息を吐くばかりで何も答えられない。
「言葉にできないくらい気持ち良かった?」
 言われて、思わず頷いてしまった。
 中イキ……という表現に納得してしまった。ただの快感を通り越して、そう、何か別の次元にイッてしまった。その感覚が衝撃的すぎて、何も言葉が出て来ない。
「これからは毎日でも中イキさせてあげるよ? ……また、味わいたいでしょ?」
 震える身体を思わず腕で抱きしめた。
 これから毎日。
 毎日こんな感覚を味わう?
 まだ中イキの余韻に浸っているサスケにとってそれは、魅力的な話のように思えた。
「俺は愉しい、お前も気持ちいい、ほら、WIN-WIN。」
 肩に置かれたカカシの手を、サスケは振り払うことが出来なかった。
 
 報告書作成用のノートパソコンの前に腰を下ろす。
 訪問した時間、言葉のやりとり、……されたこと。
 冷静な頭に戻ってからそれを綴る作業は苦痛でしかなかった。なるべく客観的に、出来事をキーボードを叩いていく。その作業の途中で、猿飛さんが部屋に入ってきた。
「……まずは、お疲れさまでした。詳細は……報告書で、確認します。」
 猿飛さんはサスケの隣に立って、サスケの背中に手を添える。
「意思確認だけ、させてください。契約をこのまま続けますか。それとも……中途解除、しますか。」
 一刻の時を置いて、サスケが尋ねた。
「違約金が……二十万円、かかるんですよね。今日までの俺の稼ぎはいくらでしたっけ。」
「今日で八日間、基本料が八万円と、今日のオプション分、二万円。合わせて十万円です。」
「じゃあ、残り十万円は支払わないと、いけないんですね。」
「そう、なります。」
「……一晩、考える時間をください……。」
「そうですね……お金が関わる話なので。しっかり考えて、電話で良いのでどうするのか、教えてください。」
 猿飛さんは静かに部屋を出ていった。
 サスケはキーボードを叩きながら、目頭が熱くなってくる。
 言われたこと、した事、された事。客観的に見つめ直すと、なんて酷い目に遭ったんだと改めて感じる。
 契約を中途解除すれば十万円支払わないといけない上に、マンションを追い出される。当然兄さんは驚くだろう。何があったんだと。正直に話すのもつらい。かと言って、これからも同じ目に遭い続けるのもつらい。
 ……そういえば。最初の業務委託契約書にはオプションのことは書いてあっただろうか。記憶がおぼろげだ。一度確認しなおそう。あとはマンションの賃貸借契約書。契約期間は二年だったはずだ。それを一方的に追い出すなんてことが、本当にできるんだろうか。もしかしたら単なる脅しで、実際はオーナー都合の契約途中での解除はできないのかもしれない。
 報告書を書き上げたら、家に帰ってそれぞれの契約書を見直してみよう。
 ……その報告書を最後まで書ききるのに、だいぶ時間がかかりそうではあるけれど……。
 
 複合機から吐き出された報告書は三枚に及んだ。
 念のためコピーを取って自分のカバンに入れてから、猿飛さんのデスクの上に三枚の報告書を置いて事務所を後にする。
 家に帰って一番に確認したのは業務委託契約書だった。
 文面を読んでいくが、サービス提供に関しては時間と場所の指定しかなく、何をするのかまでは書かれていない。つまり、何をさせられてもこの契約書上では何も訴えることは出来ないようになっていた。
 次に賃貸借契約書を引っ張り出して一言一句読み進めていく。
 ……第八条(契約解除)
 乙が次のいずれかの事由に該当したときは、甲は催告をしないで、ただちに本契約を解除することができる。……(五)甲乙間の信頼関係を破壊したとき……
 追い出す口実を作るとするなら、この信頼関係を破壊、という文面以外にない。
 でも契約者はあくまで兄さんだ。契約は管理会社としているから兄さんがカカシと直接関わったことはない。兄さんのことだから家賃も滞納なく支払っているだろう。つまり、信頼関係を破壊しようがない。
 ただ、最後に書いてあることも気にかかる。
 ……第一四条(協議事項)
 本契約に定めがない事項が生じたときや、本契約条項の解釈に疑義が生じたときは、相互に誠意をもって協議・解決する。……
 カカシが言っているのは正にこの『本契約に定めがない事項』だ。でも、相互に誠意をもって協議・解決するとある。一方的に出ていけ、という話にはできない……はずだ。多分……。
 ……ああ、くそ。結局よくわからねえ。
 今日はもう時間も遅いし、明日も朝から講義があるし、一旦寝てからまた考えよう。
 サスケは帰ってきた服のままベッドに転がり、布団を被って目を閉じた。
 
『っあ、あ、……っ!』
『ほら、全部入った。』
 大きく開いた股の間に、カカシのそれがずっぷりと入っている。カカシは俺の顔の横に手を置くと、ゆっくりと腰を動かし始めた。そこをなぞって奥まで突かれる度に俺はあられもない声を上げる。徐々に早くなっていく抽送。
『あ、あっ! だ、めっ、んっ! あっ、あ、ああっ!』
『何がだめって?』
『もっと、もっと激しくっ、して、あぅっ! イか、せてっ、くれ……!』
 ピピピピッピピピピッピピピピッ
 いやだ……このままもっと……気持ちよく……
 ピピピピッピピピピッピピピピッ
 なんだこのうるさい音……とけい……?
 
「うわっ!!」
 サスケは飛び起きた。
「……夢……?」
 荒い息を吐きながら、枕元で鳴っている時計のアラームを切る。
 夢だ。
 夢。
 夢だ。
 ……なんて、夢だ。
 昨日カカシに挿れられて、激しい快感が走ったあそこが疼く。
 中イキしたときのあの感覚が、脳裏から離れない。
 思わず頭を抱えた。
「馬鹿か、俺は。馬鹿か……。」
 布団をまくり、ベッドから降りると、カバンから昨日書いた報告書がはみ出ているのを見つけて、手に取る。その三枚の紙は、まるでエロ本みたいな内容で……昨日の出来事が鮮明によみがえってきた。
 違約金、十万円……とても、払えない。そもそもお金が足りなくて始めたバイトだ。払えるわけがない。
 家を追い出される可能性は、多分低い。けど、カカシの家に通うのをやめたら、恐らく契約者の兄さんには何らかの形で連絡が行くだろう。
 ……いっそ、兄さんに全てを打ち明けて……違約金も兄さんに立て替えてもらって、カカシと関係ない物件を改めて探して……いや、となると、初期費用に引っ越しに……一体いくらかかるんだ? どれだけ兄さんに迷惑をかけてしまうんだ?
 また頭を抱える。
 ……こうなったら、自分で、何とかしよう。昨日オプション分は二万だと言っていた。つまり一日三万円。十日我慢すれば三十万円。昨日までに稼いだ分と合わせて四十万円。それだけあれば、違約金を払って、新しい物件を探して、引っ越しすることは多分できる。
 十日だけ、十日間だけの我慢だ。少なくとも、一ヶ月通い続けるよりはよっぽどマシだ。
 サスケはスマホを手に取り、事務所に電話をかけた。