惰性

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2026年8月6日カカサス,成人向,短編,原作軸,完結済み,小説エロ描写有,平和IF

どうしてこうなったかなぁ

「やめ、っあ」
 口ではやめろって言うけど、
「んっ、ぅ、」
 本気でそう言ってるようには思えないんだよね。

 サスケを眼下に組み敷きながら、後ろの孔にぬるついた液体を纏わせた指を挿れる。
 サスケは目をギュッと瞑って眉間に皺を作りながら、嫌だやめろ、と繰り返し言う。
 敏感なところを撫でるたびに出る声は、少しの戸惑いと共に快感の色を帯びていた。
 戸惑いと混乱で今何がどうなっているのかわからない、そんな顔をするだろうと思っていただけに、ひたすら耐える様子を見せるサスケの反応は意外だった。
「いや、っ、だ」
 小さく震えながらその口から出る言葉の色は、本気で嫌がっている風ではない。
 建前として嫌がっていることを表明している言葉にしか聞こえないのは俺の勘違いなんだろうか。
「挿れるよ」
「っや……!」
 じゅうぶんにほぐしたそこは大した抵抗もなく俺のものを受け入れる。まるで今のサスケのように、そう、大した抵抗もなくサスケはただ俺がする言葉に従って、そして俺がする行為に耐えて、言葉では嫌がっているけれどそれ以上の抵抗は見せない。ただ耐えて、受け入れるだけ。
「っあ、や、」
 奥まで突くと声が高くなる。まるで女が喘いでるみたいだなと、思いながらガンガン突いてやったら間断なく声が漏れる。眉間に寄っていた眉はそのまま、眉尻が垂れていく。
「ねぇ、気持ちいいの?」
「っちが……うっ!」
 はふ、はふ、と漏れる声の合間に息をする様子はこういう行為に慣れているようには見えない。
 まあいいや、と腰を打ちつけていたらサスケはピクンと震えて身体を緊張させた。
「っは……、あっ……」
 びゅる、びゅ、と腹に温かいものが飛び散って、見てみるとサスケは射精している。くたっと弛緩しながら中をきゅうきゅうと締め付けて、またサスケに言ってやった。
「やっぱ気持ちいいんじゃない。」
 力の抜けたその小さいものをピンと弾いてゆっくりとまた腰を動かす。イッて頭が馬鹿になったのかサスケはさっきまでよりもよく喘いだ。女のそれと同じように。
 屈辱感でも感じるのかと思ったら正反対の反応を見せて、俺の中にひとつの仮説が浮かぶ。それを言葉にしてやったら一体どんな反応が返ってくるだろう。
 考えているうちに面白くなってきて俺はサスケに聞いてみた。
「ねえ、もしかして俺のこと好きなの?」
 嫌だ駄目だと言いながら抵抗もせず受け入れて喘ぐサスケはその言葉を聞いて目を開き俺の顔を見た。その瞬間から顔が赤く染まり始める。
 ああ、当たってるんだ。
 抵抗しない理由がわかって俺は少しいい気分になった。好きな人からケツを掘られて、こいつ本心では喜んでるんだと思うとこんな筈じゃなかったんだけどな、と感じながらまだ時々きゅうと締まる中を往復する。
 サスケはまた目をぎゅっと瞑って喘ぎながらそれが終わるのを待っていた。……いや、待っていないのかもしれない。ずっとこうしていたい、なんて考えていたらちょっと笑える。さっさと出してその時の顔が見たくなった。好きな人である俺から一方的なセックスをされながら気持ちよくなってるこの子のがっかりする顔を見てみたい。
 奥までガンガン腰を振ってその際奥に中出しして終わらせてやってみた。サスケは腰が止まったのを感じたからか薄く片目を開ける。
「はい、お疲れ様。」
 ずるっとそれを抜いて俺はさっさと立ち上がりシャワーを浴びに浴室に向かった。
 お前のことなんてなんとも思ってないよと言外に示したつもりだったけど、シャワーを浴び終わって寝室に戻るとサスケは同じ体勢のまま呆然としていた。
 俺が戻ってきたことに気がついて、また顔を赤くして脱ぎ散らかした服を抱きしめて、ちょっと待ってよ、その中に俺の服もあるんだけどと思ったけど新しい服を出して着ることにした。
 ……そういえば、サスケ射精してたよな。今抱えてる服に着いたんじゃないの?
 服を着てサスケが抱きしめている服を奪って放り出すと、そこはちゃんとティッシュか何かで拭いていたらしい、服は汚れていなかった。
 安心したのも束の間、サスケが言葉を選びながら話しかけてくる。
「他の、奴にも、してるのか。こういう、」
 サスケの顔に目を向けて、クローゼットの扉を閉める。
 お前だけだよ、なんて言おうものなら調子づくかもしれない。
 そもそも女遊びをしようとしていたところに現れて俺の名を呼んだから夜の相手を変えた、それだけの動機でしたに過ぎないセックスに特別な感情を持たれても困る。
 ただサスケが俺のことを好きだというのなら豊満な胸も尻もないけどたまには相手をしてもいいかなとは思う。どうせサスケは嫌がらないし口も割らないだろうから都合がいいといえば都合がいい。
「別にヤレれば誰でもいいよ。」

 そもそもこんなことになったのは、バーで持ち帰った女とホテルに向かっているときにサスケが背後から話しかけてきたせいだ。
 いつもは先生なんてつけないくせに「カカシ先生」とか言いやがって女はその気が失せたのか立ち去ってしまった。
「何のつもり?」
 内心苛立ちながらつとめて穏やかにサスケに尋ねたがサスケは何も言わなかった。
「サスケのせいで逃げられちゃったんだけど」
 そこまで言ってサスケは口を開いた。
「あの女と何をするつもりだったんだ」
「何って……ナニ、でしょ。男なら察しな?」
 またバーに戻ろうとポケットに手を入れてサスケの横を通り過ぎたら、サスケは俺の後ろをついて歩いてきた。まさかバーまで来るつもりなのか。
 未成年は入れない……と言いたいところだけど下忍は一応一人前の大人として扱われるから入ることができてしまう。こんなコブ付きでは誘える女も誘えない。
 そこで俺はサスケを相手にしようと思いついて家に帰り、後ろをついてきたサスケをベッドに沈めて事に及んだわけだけど。

「俺はあんたに……他の奴とこういうことを、して欲しくない。」
「ごめんけど、俺特定の相手は作らない事にしてるから。」
「違う、ナルトやサクラに、という意味だ。」
「するわけないでしょ、あのふたりはうるさそうだし。」
 服を着終わってベッドにいるサスケを見下ろすと、顔を伏せたまま黙り込んでいた。
「もう寝るから、早く出てってくれる?」

 黙ったまま服を着て出ていったサスケを見送り、しまったなぁと頭を掻く。
 まさか下忍になりたての男の子が俺を好きだなんて思わないじゃない。
 するからにはお互い楽しむ、という主義が今夜の相手には相性が悪かった。
 そもそも後ろをついて歩いてきた時点で何かを察するべきだったのにめんどくさくなってサスケを相手にしたのもまずかった。
 その考えは当たっていて、女遊びをしようと外に出るたびにサスケが俺のマンションのすぐ前で待っている事が続いて、俺は黙ってまた家の中に入り頭を抱える事になった。

 はたけカカシは完璧だけど女癖は悪い、と囁かれるようになって何年も経つ。嫌な気分の時、滅入ってる時、疲れている時、女を抱くとそれなりに落ち着ける。
 気分転換のひとつとして宿が立ち並ぶ近くのバーに赴いては一夜限りの相手を探すのが習慣になっていった。
 その気分転換のひとつを邪魔されるようになって、苛立ちが募っていく。
 特定の相手は作らない、と自分で言っておいて、こうなったら邪魔をする張本人に発散させる事にした。
 サスケは徐々に慣れていったのか喘ぎ声以外の言葉を話さなくなった。
 そうなってからは事あるごとにサスケをそういう処理の相手として扱うようになった。
 完璧な大人が一方で男の子供をしょっちゅう抱いているなんて知られたら引かれるだろうなぁ、と思いながらサスケが待っている限りその時の相手はサスケになった。そもそも大人の男である俺を好きだなんて他の奴に言わないだろうし、その相手と何をしているなんてことも話さないだろう、と思うと豊満な脂肪の塊はないけど相手としては都合が良かった。
 女に対してはやらせてもらってると思ってある意味敬意を払ってお互いに気持ちよく、と思っていたけどサスケに対してはそうは思わなかった。
 サスケも好きな俺にやられんのは多分嬉しいだろうと思うからそれでイーヴン。と思って抱き続けた。

 しばらくそんなことが続いたある日、珍しく夜じゃないときにサスケから声をかけられて仕方なく話を聞いてやることにした。
 二人きりの演習場、ナルトとサクラはもう帰った。
 サスケは夜とは違って真っ直ぐに俺の目を見る。
「あんたが、好きだ。」
「知ってるけど。」
「付き合うとか、そういうのは……。」
「まあ、別に構わないよ。」
 サスケが目を見開く。
「あんたは、その、俺のことは……どう思って」
「どうとも思ってない。」
 またサスケが目を見開く。
「……なのに、付き合う……?」
「付き合うの定義は知らない。前も言ったけど俺特定の相手は作らないから、誰と付き合ってようが他の女抱くし遊びにも行く。サスケはそれでも"付き合ってる"っていう建前が欲しいんでしょ。別にいいよ。」
 小さな喉仏が動く。
「あんたの家に一緒に住みたい。これも、構わないか。」
 そこまで言い寄られたのははじめてだった。はじめてだっただけに、試してみてもいいか、と思った。
「別にいいよ。」

 家に常に誰かがいる、というのはきっと落ち着かないだろうからすぐに追い出すことになる。という想像は外れた。
 サスケは好きで付き合って欲しくて更には同棲したいと積極性を見せたものの家ではひとりおとなしく本を読んで過ごしたりストレッチをしたり、つまり俺の邪魔になるような事はしない。
 夜出かけるときもついてくる事はなくなった。
 ただ俺の方はバーに出向いても女を持ち帰る気分になれずにひとりで帰る日が続いた。
 持ち帰ってもサスケがいる、のは関係なくやるつもりではいたしサスケもその邪魔をしないだろうと思っていただけに自分の変化に内心驚いている。
 そしてひとりで帰って寝ずに待っていたサスケが「おかえり」と一声かけるのを聞くとどうにも抱きたくなって寝室に直行する。
 あの日以来サスケは俺に好きだとかそういう意思表示をしていない。抱くことに関して抵抗も何もしないのはいつもと変わらない。でも時々サスケの口から俺を好きだと言わせたいと考えてしまう自分がいる。聞いたところで何をするわけでもない。それもまた意外な変化といえば変化なのかもしれない。

 どうしてそうなってしまったのか、ぼーっとソファでザッピングしながら考えた。サスケが家にいることでポジティブな感情を覚えることがある、それは些細ではあるけれど感じていた。
 だけど、だからと言ってサスケを好きになる事は多分ない。たくさんいるうちの一人に過ぎないしサスケだけに特別な何かを感じた事はない。
 なら何が……と記憶を辿りながら考えてみたら、帰ったときの「おかえり」という一言に、嬉しい、という感情が芽生えていることを確認した。
 なんで、なんて、心当たりが多すぎる。母を早くに亡くして、父も自害で失って、それからも闘いばかりの日々で、仲間も師も失いおかえりと迎え入れてくれる人なんて父が亡くなってから今まで誰もいなかった。
 待っていてくれる人、なんていらないと思っていた。特別なひとりを作るつもりもなかった。作ったところで死ぬかもしれないと思うと一晩だけの相手を見繕う方がマシだった。
 だけど「おかえり」の一言があるだけで、何でかはよくわからないけど安心感、嬉しさを感じる。今まで俺は強がっていただけで、誰かが待っている帰る場所をずっと求めていたのだろうか?
 その発見だけでも少なくとも、サスケとの生活にメリットがあることがわかった。
 ……いや、サスケも……俺と同じ、全て失ってる。だからこそ帰ったときにかならず「おかえり」と言っているのだろうか。サスケにとっても、「おかえり」と言う相手は一族滅亡の事件以降いなかったはずだ。
 ……ひとりぼっち同士の傷の舐め合い、って事か。サスケは俺のことは何も知らないだろうけど。
 納得感と共に、これからどうしていけばいいのか思い巡らせることになった。
 はじめてサスケのことを考える。
 今の生活を、サスケはどう思っているんだろう。

 と、最中に聞いてみた。
「……え、あっ、あ、……っ!」
「サスケ的にはさ、現状で満足なの?」
 混乱しているかのような戸惑いの顔を隠しもせず視線があちこちに移る。何で答えればいいのかそれなりに必死に考えているらしい。
 ピストンを早くして奥をぐりっぐりっと押すと震えながら背中をそらせた。
「ねえ、どうなの」
「まっ……!っあ゛、ぁあっ!!」
 サスケはあまり本音を語らないタイプだろうと思って本音が飛び出しそうなこのタイミングで聞いてみたのは失敗だったかもしれない。
「してっ、してるっ……!っあ、あっ!まんぞくっ、ぅあ!」
「……それってセックスに、って意味に聞こえるんだけどっ」
「っあ、あっ、ちが、っあ、でる、あっ!かかっ、カカシがすきでっあああっ!!も、で、っ……!」
 ぎゅん、と締まってサスケが震える。元気に飛び出す精液に若さを感じながら、締まったままの中で奥をぐりぐりと刺激するとその度に声が漏れる。
 そういうとこは女とそう変わらないんだなぁ、と感慨に耽りながら荒く息をするサスケにキスをする。
 あれ、何で俺キスしてんだろ。まいっか。
 小さい歯列はもう全部大人の歯なんだろうか。唾液の量が多いのはまだ子どもだから?
 じっとりと舐めて舌を絡めながら男の子の口の中を味わった。
 唇を離すとぽやっとした顔で俺に視線を向けている。そういうところも女とそう変わんないね。
 長いキスで弛緩した中を再び荒らしていくとサスケは高い声を上げた。
 なんだろう、なにか大事なことが浮かんだような気がしたけど思い出せない。
 まあ、そのうち思い出すだろう。
 その夜は、サスケはそれ以上のことは言わなかった。
 
 サスケが口を開いたのは夕食を食べ終わったときだった。
「俺は今の……生活は、満足、してる……。」
 一緒に住みながら会話らしい会話をしてこなかった分、サスケの喘ぎ声じゃない声を聞くのが久しぶりのように感じる。
「なんで?」
「カカシと、一緒にいられる……から。」
「……一緒にいられるだけで満足できるもんなの?俺はお前のこと何とも思ってないけど、そこはノーカンなんだ?」
「……少なくとも……」
「なに?」
「一緒に生活をしてくれてる、だから。それだけでいい。」
 ひとりぼっち同士の傷の舐め合い……。
「言っとくけど俺はお前の家族の代わりにはなれないよ。」
 サスケが驚いたような顔で俺を見た。
「そんなこと思ってない」
「俺はお前の帰る場所にもなれないよ。」
「わかってる……俺の帰る場所は……。」
 あの荒廃したうちはの集落?
 それともあのボロアパート?
 もしくは復讐の深淵の底?
「別に俺はサスケと住むのを嫌だとは思ってないから、気が済むまで居たらいいよ。」
 何でこんなこと言っちゃったのかなぁ。
 まあ、いいか。

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