秘密の関係

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2024年7月6日成人向,長編,現代パロ,連載中,カカサス小説エロ,やおい,変態,玩具,自慰

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 科学室に入ると先生が待っていた。
「サスケ、おいで。」
 やはり女子ふたりには目もくれず、後ろの席にサスケを誘う。黙って先生についていくサスケを訝しげな眼で見ながら、サクラは昨日と同じ席に座ってプリントを出し、物理の参考書を机に広げる。ヒナタも同じ席に座って、プリントの横にノートを出して静かに何やら書き出し始めた。
 そんな二人とは裏腹に、サスケとカカシは視線はノートに向けたまま、二人に聞こえないようなヒソヒソ声で話を始める。
「昼の件、考えてくれた?」
「今その話かよ……!」
「で、どうなの。」
「……一日だ。24時間限定なら、……良い。」
「ん、じゃあ部活の後、さっそくやろう。」
「俺高校生だぞ……そういうのって、年齢……。」
「俺にデータ送っといて。俺のでやるから。」
「結局そうなるのかよ。」
「どっちみち世界に発信するんだから、変わらないって。」
「……わかった。」
 二人が集中して試験に取り組んでいるとは言え、この場でスマホを取り出すのはさすがに気が引けた。
「データは、部活、終わったらな。」
「ん、わかった。で、昨日立てた仮説だけど……」
 
 ヒナタは真剣にやり取りをしている二人に少しだけ目を向ける。
 昨日家に帰ってから、工学部のネジ兄さんにプリントのことを相談してみたら、これは高校生レベルの問題じゃないぞ……とプリントを見つめ、ノートに問題を書き写していった。そのネジ兄さんから、さっきメッセージが届いて、教授から解法を教えては貰えたという。ネジ兄さんに詳しく聞けば、きっと解けるんだろう。でも、そんなやり方で解いても良いものなのか。そもそも、高校生レベルでは解けない、つまり入部させる気がない試験なのに解いてしまっても良いものなのか。はたけ先生からの告白を受け入れたというサスケ君は今、本当に私たちが入部することを望んでいるんだろうか。必死で解こうとしているサクラちゃんには悪いけど、あの二人の邪魔をしちゃいけない気がするし、少なくともこの問題を出した先生はそう考えているんだと思う。
 シャープペンシルを持つ手が止まる。
 もし、サクラちゃんが解いちゃったら……どうしよう。二人のことを話すべき?……でも誰にも言わないって約束しちゃったし……。
 時折ちらっと後ろの二人を見ながら、ヒナタの悩みは深まっていった。

 部活の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
 サクラは机に突っ伏してため息をついた。ヒナタは机の上を片付けると、サクラの肩に手を置いて、「まだ、一日、あるから……」と声をかける。
 サスケと先生はまた連れ立って準備室に入って行ってしまった。
「ぜっったいに解いてやるんだから……!」
 ガバッと上半身を上げたサクラが、机の上の参考書とノート、プリントをカバンにしまって立ち上がる。
「お先に失礼しますっ!」
 準備室に向けて声をかけて、乱暴に扉を開いてガタンと閉めた。
「市立の図書館閉まる前に行きたいから、先行くねっ!また明日!」
 そう言って、階段を駆け下りていく。
 ヒナタは科学室の扉を振り返る。
 今頃、ふたりは……キス、とか、してるんだろうか……。
 その考えを振り払うように頭を振って、ヒナタも階段を降りていった。

「送ったぞ。40分あるから、ちょっと時間かかると思う。」
「ん、来てる来てる。ま、だいぶかかるだろうから、アップロードするのは帰ってからにするよ。」
「どんなサイトにアップするんだ?」
「海外にサーバーがある無法地帯アダルトサイト。ああ、大丈夫、有料会員限定公開にするから。」
「有料会員なのかあんた……。」
「大人の男ならアダルトサイトのひとつやふたつ登録してるっしょ。」
「そんなもんなのか……?」
 もしかして兄さんも、俺の知らないところでそういうのを見たりしているんだろうか。想像もつかないけど、兄さんも男だし、可能性はあるだろう、けど。さすがに無法地帯アダルトサイトはない、と思う。
「ちょっとそのサイト、見せてくれ。」
「サスケにはまだ早いよ?」
「少しだけ。中身までは見ない。」
 カカシがサスケにスマホの画面を見せる。カテゴリーを見ると普通の男性向けの、男女のセックス動画ばかりのサイトのように見えたが、一番下に「ゲイ」の文字がある。タップしてみると、一万件を超える動画があるらしかった。
「……これ以上は、いい。」
 スマホをカカシの方に押し戻す。この一万件以上の中に、俺の動画を……。
「アップしたら、URL送るね。会員じゃないから中身は見れないけど、動画を見た人の反応は見れるよ。」
「……わかった。」
 カカシがポケットにスマホをしまい、準備室の鍵を開ける。
「……楽しみ?」
「正直なところ、興味は……ある。」
「きっとすごいよ。」
 ニコッと笑いながら、カカシが準備室から出て行く。サスケはその後について歩く。ドキドキしてきた。自分のスマホの画面を見ると、まだ10%ほどしか送信できていない。この調子だと、アップロードされるのは夜になるだろう。
 昇降口でカカシと別れて、家に帰った。夕食を食べ終えてシャワーを浴び、部屋に戻ってからスマホを見ると送信は完了している。今頃アップロードしているんだろうか。URLはいつ届くだろうか。ドキドキしながら布団にもぐり、カカシからの通知が来るのを待った。

 ピロン
 音が鳴ったのは、21時すぎのことだった。
 ウトウトしかけていたサスケはスマホのロックを解除して、カカシからのメッセージを確認する。URLが……3つ?
『ちょっと編集してたら遅くなっちゃった、悪いね。』
『編集?』
『まあいいから、開いてみてよ。』
 念のため音量をミュートにしてから、ひとつめのURLをタップする。
『【本物】現役日本人DKの変態アナニ―【玩具】』
「うわ、まるでエロサイトじゃねえか……」
 いや、まぎれもないエロサイトだ。エロサイトらしいタイトルではある。
 ただ、そのひとつめの動画は5分程度しかなかった。キャプションに24時間限定公開の文字と残り時間のカウントダウン、そして続きはこっちと課金コンテンツへの誘導URLがついている。
 有料会員しか見れない上に、さわりだけ見せて続きを見たい奴には更に課金させてんのかあいつ……!いや、その方が見る人は少なくなる、んだろうけど……。
 モザイクがかかったサスケの下半身のサムネイルの下に、親指を上に向けるマークと、下に向けるマークが表示されている。これで動画の良し悪しを見た人が評価するんだろう。まだひとつも評価はついていなかった。何気なしにそのページを更新してみると、123の「良い」評価が表示される。目を疑った。アップロードされたのは……6分前。この6分の間に?この5分の動画が?
 ふたつめのURLを新しいタブで開くと、時間的に一回イッたあたりまでの動画らしかった。『【本物】現役日本人DKが極太ディルドアナニ―で絶頂【玩具】』
 ……自分がした事なのに、文字で事実を見せつけられるとなんでこう……思わず顔を手で覆う。ていうかあれ、やっぱ太いやつだったのか。……ん?ってことはカカシのも太い?確かに自分と比べるとずいぶん大きいなとは思っていたけど、大人だからだろうと気にしていなかったがどうやら違うらしい。
 20分のその動画のキャプションには、更に続きはこっちと課金コンテンツへの誘導URLがついている。……あいつ、俺で稼ぐ気なのか……?
 多分、まだ動画を全部視聴した人がいないんだろう。評価はまだついていなかった。
 新しいタブで、みっつめのURLを開く。もうタイトルは見ないことにした。画面をスクロールしてサムネイル画像と評価マークのところだけ表示する。これもまだ評価はない。……これからの24時間の間に、いったい何人が課金して、どんな評価をつけるんだろうか。画面をスクロールすると、コメント欄があることに気がついた。……評価だけでなく、コメントまで……?どんな、コメントが、つくんだろう。ドキドキしていた胸がバクバクし始める。
 ひとつめの動画に戻って、ページを更新する。487の「良い」評価。コメントが39件。恐る恐るスクロールしていく。
『これはガチ』
『課金の価値有』
『声がマジDK』
『誰だよこのDKに仕込んだ奴』
『本当に素人?』
『いきなり自撮りでアナニーはないだろ、よっぽど慣らされてんぞ』
『課金した』
 ……具体的な表現がないことにまず安堵する。そりゃあ5分だけの動画だから、そんなに内容に触れるようなコメントはないだろう。
 メッセージアプリを開いてカカシにメッセージを送る。
『これ、何人が課金したとか、わかるのか?』
『俺はわかるよ?……ま、人数は明日までのお楽しみ、ってことで。』
『一人あたりいくらあんたに入るんだ。』
『微々たるもんだよ、一人100円くらい。』
 ……いや、いやいや、この10分くらいの間に500人近い「良い」評価がついていて、仮にその半分が課金したとして250人、ってことは25,000円!?たったの10分だぞ!?
 なんだかとんでもないことになってしまうんじゃないか、怖くなってきた。ふたつめの動画のタブを更新すると、10件の「良い」評価がついている。もうこれを全部見た人がいる。コメントは……まだない。まだないけど見るのがこわい、ような、見てみたい、ような。
 ピロン
『気になるだろうけど、眠れなくなりそうだから今日はもう寝なさい?結果は明日のお楽しみに、ね。』
『眠れる気がしねえよ……』
『はいはい、おやすみ。』
「……この状況で、寝ろって……」
 手に持っているスマホの、ブラウザの動画ページを開こうとして、思いとどまった。スマホを布団に伏せて背を向ける。明日には一体どうなってるんだ。心臓がバクバクして落ち着かない。落ち着けるわけがない。これからあの動画を、もしかしたら何百人以上の人が見るのかもしれないのだから。
 いつまでも心臓は落ち着かず、ようやくウトウトし始めたのが2時過ぎで、6時半のアラームに叩き起こされてサスケは真っ先にスマホを手に取った。画面はカカシとのメッセージアプリのまま。ブラウザを開くのがこわい。いっそ開かずに昼カカシと一緒に見るべきか。そうだ、そうしよう。でないと、朝食も、通学も、授業も、平静でいられる自信がない。
 眠い目をこすりながら洗面所に行って顔を洗う。目が半開きだ。眠れていないんだから当然か。
 パジャマを洗濯機に入れて部屋に戻って制服を着込む。このままリビングに行けば兄さんが心配するだろう。なるべくしゃきっとした顔を作ってカバンを持ってリビングに行くと、台所に立つ兄さんが「おはよう」といつものように笑顔を見せる。
「おはよう、兄さん。」
 あくびをしながら食パンをトーストに入れていると、顔を覗き込まれた。
「眠れなかったのか?」
「……なかなか、寝付けなくて。」
「……あー、こういう話を朝するのも、何だが……寝付けない時は、すっきりすることをするといいぞ。」
 兄さんはすぐに背を向けて冷蔵庫を開ける。
「すっきり……?……っ!!」
 サスケはその兄さんなりの配慮が含まれた言葉の意味を理解して、思わず顔を逸らした。まさか兄さんからそんな話が飛び出すとは。しかしその言葉の選び方に思わず笑ってしまう。
「兄さん……男同士、兄弟なんだから、そんな回りくどい言い方しなくていいって……。」
「いや……サスケとそういう話をするのも、初めてで、俺もどう言うべきかと……。」
 トースターからパンを皿に移して、ダイニングテーブルに座る。
「兄さんもすることあるのか?」
「それを聞くか?……まあ、俺も男だ、……たまにはする。」
「え、ろ、どうが、とか、見たり、するのか?」
「……たまに、な。……もうこの話は終わり!朝食、食べるぞ。頭切り替えろ。」
「あ、ああ。いただきます。」
 サスケは差し出された牛乳を、ゴク、と飲み下した。

 昼休みが近づくにつれ、また心臓がドキドキしてくる。考えないようにしてきたけれど、やっぱり気になる。弁当を持って科学室に入って鍵を閉め、準備室の扉を開けると奥のデスクにカカシが座っていた。その手にはスマホ。
「ああ、サスケ来たか。起きてから見た?」
「……見てない。」
 適当な椅子に腰かけて、弁当を広げる。
「じゃあ結果だけ伝えていこうか。まず朝の時点ではゲイカテゴリで2本目の動画が本日の閲覧数トップでした!」
 スマホをデスクに置いて、手をパチパチと叩くカカシ。飲み込んだ弁当がむせそうになるサスケ。
「はぁ!?」
「いやー結構な臨時収入だな、これは。」
「ちょっと待てよ!」
「あ、もちろんサスケと折半だよ?」
「そうじゃなくて!一体何回再生されたんだ!?」
 弁当を置いてカカシのいるデスクに駆け寄る。スマホの画面を見ると、6894回再生。購入者数は1896人。ふたつ目の動画だけで。
「嘘だろ……2000人弱?で7000回弱再生?」
「いやこの動画はエロいよ。うん。しかもゲイカテゴリでは珍しい若くて線の細い男の子。そりゃ皆見るって。」
「そういうことは先に言えよ!」
「ちなみにみっつめの動画の方はー」
「いい!いい言わなくてもいい!!」
 ただの興味と好奇心だったのに、まさかそんなことになるなんて。
 サスケはひざを折って床に手を着いた。
「じゃあコメント特選集いこうか。」
「それもいいちょっと今は聞きたくない。」
『気持ち良くて止まらなくなっちゃうの可愛すぎるし仰ぎ声もエロすぎる。これは何回でも抜ける。24時間で消えるなんて冗談だよな?続編も当然あるよな?』
「聞きたくないって言ってんだろ!」
「色んな人から続き期待されてるよ?」
「続きなんてねえよ!」
 カカシを見上げると、カカシはしゃがみ込んでサスケの肩に手を添え、耳元で話しかける。
「想像してみてよ、2000人の男がサスケのオナニー見てシコってんだよ?サスケに挿れたいって思ってんだよ?それだけサスケがエロいってことだよ?興奮しない?」
 2000人の男が俺に挿れたいって……
 カカシの言葉が頭で反芻する。思わず中が疼く自分の身体が呪わしい。
「ねえ、……俺ともっとエロくて興奮することしようよ。」
「……っエロいことならもう十分やってきたじゃねえか……!」
「……もっとエロくて、スリルがあって、興奮すること……興味ない?ずっと中が疼いてるんでしょ?エロいことしたいって。」
「それは……」
「サスケが嫌がったらすぐやめる、約束するから。ね?」
 今までよりもっとエロくて、スリルがあって、興奮すること……。
 ごくりと唾を飲み込む。
「……約束、本当に守るなら……。」
「ん、決まり!週末、予定空けといてね。」
「……わかった。」

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