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成人向,長編,吸血鬼パロ,完結済み,カカサス小説エロ,シリアス,甘々

コントロール

 書斎の椅子の上で、サスケの眼には布が巻きつけられ、手首も後ろで縛られていた。
「カカシ? カカシなんで腕まで?」
「……自分で触らないように、だよ。」
 カカシがしゃがんでサスケの身体を抱き締める。
「大丈夫、俺も一緒にいる。一緒に頑張ろう。ね?」
 サスケの触れたカカシの上半身は裸だった。すぐ口元にカカシの首筋がある。
「飲んで良いよ」
 言い終わる前に、サスケはカカシの首筋に牙を立てていた。
 とろりとした温かい甘美な液体が口いっぱいに広がり、それを味わいながら嚥下する。
 ゴクリ、ゴクリ、喉をカカシの血が落ちていくたびにサスケの身体はほてり、疼き、心臓が脈打ち、そして呼吸も荒くなっていく。
「はぁっ、は、」
 満足するまで血を飲み終えると、抱きしめていたカカシの腕が、身体が、離れていった。
「カカシッ? どこ行くんだ?」
「ちゃんと近くにいるよ」
「はぁっ……、身体中が、熱くて疼くんだ、カカシのが欲しい、触ってくれ、挿れてくれっ……!」
「だめだよサスケ、感情のコントロールの練習だ。我慢してごらん。」
「っは、はぁっ、コントロール、れい、せい……」
 深呼吸しようとするが、バクバクと拍動する心臓がその邪魔をする。
 したい、したい、挿れたい、奥まで、激しく、たくさん揺さぶられて感じるままに喘ぎたい。
 頭の中をぐるぐると巡る思考。
 ストップをかけようと思っても、脳の中枢まで催淫作用に侵されていて、全身が今すぐカカシと交わりたいと叫んでいる。
「カカシっ、したい、今すぐしたいっ、俺どうすればいい? どうしたらカカシは俺に触れてくれる?」
「その気持ちをコントロールするんだよ、サスケ。」
「……っぅ、はぁっ、お腹の奥が疼いてっ、コント、ロールなんて、できない、っ触って、触ってくれ、カカシっ」
 サスケが手首の拘束を外そうと身を捩るが、何の効果もない。
 サスケの先端からはカウパーが雫を作っており、触れようものならすぐに出てしまいそうだった。
『三分。我慢できないと懇願される。』
 カカシは日誌に綴りながらサスケの様子を伺う。
「返事してくれっカカシ! どこにいる? 俺のそばにいるのか?」
「大丈夫、ちゃんとここにいるよ」
 サスケの左耳にカカシの息がかかる。
「っぁ、あ、っ!」
 サスケはビクンと体を震わせると、その先端から白い液体が飛び出した。……サスケはカカシの吐息だけで、吐精した。しかし、それはまだ勃ったままだ。
『四分、耳元で囁くだけで精を放ったが、まだ勃起している。』
「……っ! はぁっ、あっ、はっ、はぁっ、カカシ、コント、ロール、っは、どうしたらっ、」
「落ち着くんだ、深呼吸して。したい気持ちを脳の隅に追いやれ。」
「あっ、はあっ……! は……っ、はっ、」
 やはり、息が上がって深呼吸もできない。したい、気持ち……、頭だけじゃない、前も、後ろも、お腹の中も、足も、手も、口も、身体の全てがカカシを求めている。それなのに。
 望んでいるものが手に入らないと、余計に欲しい気持ちは強くなっていく。カカシが欲しい。カカシに触れたい。触れて欲しい。挿れたい。抱きしめられたい。
「っ……は、ぁ、はっ、はっ……、はぁっ」
 コントロールするどころかカカシと肌を合わせたい気持ちがどんどん膨れ上がっていく。
『五分、呼吸が早く浅くなる。』
「だめ、っだ、カカシッ、はぁっ、したい、したいっ、カカシのが欲しいっ……! 落ち着け、ない……っ」
 昨日みたいに、激しく揺さぶって欲しい。ナカでカカシを感じたい。早く、早く。
「声、っはぁ、声だけでも、聞かせてくれ……っ、カカシっ……!」
 サスケの目元の布が濡れ始めた。
『七分、声を聴かせて欲しいと懇願する。涙で布が濡れ始めた。』
「カカシ? カカシっ? そばにいるんだよな? どこにいる? カカシッ、声っ、声を聞かせてくれっ……‼」
 カカシは敢えて何も喋らない。
 サスケは浅い息のまま、また身を捩る。
「ッカシ、はぁっ、カカシッ! いるんだよな? っは、俺のそばに、いるよな? なあっ、答えてくれ、何かっ、言ってくれっ……!」
 はっ、はっ、はっ、
 サスケがふらつきながら立ちあがろうとする。それを見て、カカシはサスケの足を押さえつけて、両足首も縛る。
「っあ、っぁ、はっぁ……!」
 足に感じたカカシの手の感触と体温に、サスケはビクッと身を震わせて、その先端からまた白濁液が飛び出た。
『十分、声をかけてやらなかったためか立ちあがろうとしたので足も拘束するが、その刺激で吐精する。』
「カカシっ、はぁっ、カカシなんで、っなんで声を、聞かせて、っくれないんだ……っ! 一緒に、頑張ろうって……!」
「サスケ、俺の言ったこと思い出して。やってみてごらん。」
 サスケの肩に手を触れる。
「っぅあ! はぁっ、ぁあっ、カカッ、」
 サスケは肩にカカシの手が触れた途端、ビクンと体を震わせて喘ぎ声を漏らす。……まるで性感帯に触れた時のように。
『十二分、声をかけて肩に触れるただけで敏感に反応する。』
「はぁっ、もっと、もっと触って、っは、声っ、聞かせて、もっと……!」
 ナカがじんじんと疼く。挿れたい、挿れたい、挿れて欲しい、昨日みたいに、激しく、昨日みたいに……。
 思い出して、また中心が勃ち上がっていく。浅い呼吸を繰り返し、腰を動かし始める。
「っく、うっ、はっ、あっ、はぁっ、」
 頭の中で昨日のセックスを再現していく。
 腰を掴まれ、激しくピストンされた昨日のセックス。
「っあ、……ぁっ、もっと、はぁっ、カカシッ、あっ、ぁあっ!」
 カカシは椅子の上で腰を振りながら喘ぐサスケを黙って観察する。
「はぁっ、あ、あっ、カカシっ、あ、ふっ、う、ああっ、あっ」
『十四分、妄想でセックスをしながら腰を振りはじめる。』
「っく、ひっく、う……っ、挿れて、カカシ、挿れて、くれ……」
 妄想のセックスが虚しく感じたのか、今度は腰の動きを止めて泣きながらカカシに訴え始めた。
『十七分、泣きながら挿れてと懇願』
「っぅ、カカ、っふ、カカシがっ、欲しい、カカシ、カカシッ、身体中がっ、ナカが、ムズムズして、じんじんするんだっ……! カカシっ、俺、どうしたらっ、カカシっ……頭がっ、おかしくなりそうだ……っ!」
 カカシはサスケの頭をくしゃっと撫でる。
「っあ! 、はっぁ、……ぁっ」
 頭を撫でただけなのにサスケはやはり震えながら感じている。まるで全身が性感帯のようだ。
「自分を俯瞰して見てみろ、幽体離脱したと思って。頭の中に冷静な部分は残ってるか? それを引き離して、自分の姿や考え、言動を冷静に見てごらん。」
「っはぁ、は、冷……静…」
 目隠しをされて手首と足首を縛られた自分。
 挿れてと懇願する自分。
 なぜこうなった?
 ああ、頭がうまく回らない。早くカカシと繋がりたい、挿れて欲しい。
 はぁっ、はぁっ、と相変わらずサスケの息は荒い。
 どうして、こうなった……昨日、カカシに眼の力を使ったからだ。
 だから感情のコントロールができないといけない。
 本能の赴くまま挿れてくれと言う俺は、何もコントロールできていない。
 でも、この気持ちを抑えるなんてできない。カカシとしたい、挿れて欲しい、もっと声を聞きたい、触れて欲しい。
 どうしたら冷静になれる? 落ち着ける? この身体のほてりがなくなる? じんじんと刺激を求めるナカを抑えられる?
 ……カカシとセックスする以外に、何も考えられない。
「……ッカカシ、俺カカシとセックスしたい。カカシと繋がりたい……っナカに、挿れて欲しい。激しくして欲しい。じゃないと、身体が疼いてどうにかなりそうなんだ、頭が変になりそうなんだ……それでもだめか、カカシ……我慢しなきゃ、だめなのか?」
「……ちょっと落ち着いてきた、みたいだね」
『二十分、少し冷静になったように見える。』
 カカシは日誌を引き出しにしまうと、サスケの腕と足の拘束を解いた。紐を全て取り払うと、サスケが「ぅあっ、……!」と声を漏らして、三度目の白濁液が迸る。
「カカシ……?」
 目隠しをされたサスケの手が、カカシを求めて彷徨う。その手を取ると、サスケは「っあ、」と声を漏らす。やっぱり全身が性感帯のようになっているらしい。
 カカシは昨日と同じように机の上に枕を置いて、その上にサスケの上半身を預けさせた。
「慣らさずに入れるよ、いいね?」
 サスケはこくこくと頷く。
 ローションを手に垂らしてカカシのものに擦りつけると、サスケの後ろの穴にあてがい、ゆっくりと沈めていく。
「っあ、あ、あっ、はぁっ、あっあ、あああっ!」
 待ち望んでいたそれにサスケは全身を震わせて受け止めた。その刺激の強さに、またサスケのものから白濁液が飛び散る。
 奥まで入ると、カカシが後ろからサスケの身体を抱きしめた。その手の温かさに、涙が出そうになる。
 ずっとこうしたかった。
 ずっとこうしていたかった。
 やっと、やっと叶った。
「動くよ、いい?」
「激しく、してくれ……」
「ん……わかった」
 カカシは抱きしめる手を離し、うなじにキスをすると、サスケの腰を掴んでピストンを始める。
「あっ、あ、ぅあっ、あっぁ、あ、ぁあっ! はっ……あっ!」
 徐々に激しくなっていく動き、カカシの荒い呼吸が荒くなる。カカシが俺のナカで、感じてる。それがたまらなく嬉しかった。
「あ! はっ、あっ、っあ! あ、ぁあっ、カシ、んぁっ! もっと、あっ、もっと、……っ!」
「っ、サスケは激しくされるのが、好きなの?」
「っあ、好きっ、あっ! はっぁ、す、きっ、あっ、あ!」
 パンッパンッパンッパンッパンッ
 肌と肌がぶつかる音が防音の部屋に響く。
「あっ! あ、はぁっ! あっ、あぁっ! あ、ぅあっ、あああっ!」
「……一回目っ」
 カカシがサスケの奥に押し付け、ナカにビューッ、ビューッと精液を放った。
 四回の迸りの後、また腰が動き始める。
「はっぁ、あ、あっ、あ゛っ‼ ああっ! 出るっ、カカ、出る、出っ……‼ あ、あああっ‼」
 今度はサスケのナカがきゅうう、と締まり、白濁液が飛び散った。
 カカシはサスケの頭を撫でた後、再び腰を掴み激しい抽送を始めた。
 パンッパンッパンッパンッパンッ
「はぁっ! あっ、あ゛っ‼ あ、あっ! はっあ、あ、あっ‼」
「サスケ」
「あっ、んぁっ! カカ……ッ? あっ、ああっ! はあっ、あ、あっ‼」
「サスケ気持ちいい?」
「き、もち、あぅっ! あっ、きもち、いっ! は、あっ、あ゛あっ‼」
 ナカがキュウキュウ締まる。
「……二回目ッ」
 奥の奥にググッと押し込む。ビューッとナカで迸るカカシの精液。ピクンとそれが動くたびに、サスケはぶる、と身を震わせた。
 カカシは奥の奥に入れたまま、またサスケを抱き締める。
「っは、わかる? 結腸まで届いてる……っ」
「は……っ、あっ……、あ、わか、る……っ」
「俺たち今、一番深いところで繋がってるんだよ。」
 幸せ、幸せ、だ。
 俺今、幸せだ。
 本当は目隠しを外してカカシの顔が見たい。
 でも、取らない。自分の眼が暴走するのが怖い。
 こうして、体温を感じているだけで、それだけでいい。
「……三回目、いけそう?」
「時間ッ……大丈夫、か…?」
 カカシは時計を見た。十一時四十五分、午後は家庭教師が来る。
「今日はここまで、だな。」
 抱きしめる腕を離し、ゆっくりとサスケのナカからそれを抜き出す。
「っん」
 カカシは脱いだ服をひと通り拾い上げて、サスケの目を解放し、手を差し出した。
「シャワー、行こっか。」
 サスケはその手を取る。
 あんなに疼いていた身体が、嘘みたいに治っていた。
たくさん射精したから? それともカカシとセックスしたから? カカシに聞いたらわかるだろうか。
 
 シャワーから出て、二人で服を着込むと、サスケが尋ねる。
「どんな奴が来ると思う?」
 ……家庭教師の話か。
「まずうちは一族の大人の人だろうね。もしかしたら知り合いが来るかもしれないよ。その前に、昼食な。」
 ダイニングテーブルに並べられたのは、ロールパン、ハンバーグ、冷製かぼちゃスープ。
 いつの間に下ごしらえしていたんだろう?
 見たところハンバーグも手作りのようで、少しだけ形が歪だけれど丸々としていて美味しそうだった。
 食べ終わって食器を片付けた後、お茶を飲んでいると、ちょうど十三時に玄関のチャイムが鳴り、二人は玄関を見つめる。
「来た、ね」
 カカシが鍵を開け、扉を開けると……そこにはサスケの父、うちはフガクの姿があった。
「父さん……? なんでここに!?」
 サスケが駆け寄ろうとするのを、カカシが手で制する。
「まず身分証を見せてもらえますか?」
 フガクはスーツの内ポケットから公安のマークが入った手帳を取り出すと、一ページ目を開いてカカシに見せる。
 そこには確かにフガク自身の写真と、公安の印鑑が押してあるれっきとした正規の身分証。
 兄だけでなく、父親も公安か……情に、訴えるつもりか。
 カカシはにこ、と笑顔を作ってフガクを玄関に招き入れる。
「お待ちしてました、上がってください。」
 フガクは「お邪魔します」と言って玄関から上がると、サスケの方を見る。
「この子と二人きりになれる部屋はありますか。」
「それなら、二階のはサスケの部屋がいいと思います。後で飲み物を持っていきますね。」
「案内してくれ、サスケ」
「……はい。」
 カカシは二人で階段を上がっていくのを見届けてから、二つのコップに麦茶を注ぐ。
 家庭教師としては、おそらくもってこいの人物だ。
 しかし、必ずサスケを説得しにかかるだろう。
「……参ったな、これは」
 カカシはお盆に麦茶とお茶菓子を載せると、サスケの部屋に向かった。