異種属性愛はダメですか

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2026年7月27日カカサス,成人向,長編,ケモノパロ,原作軸,完結済み,小説獣人化,異種姦,エロ,オリジナル設定有,性癖強め

最後の二人

 サスケが口を挟む隙もなくカカシは地面に伏せている一人の髪を掴み頭を持ち上げてその目を覗き込む。
 誰の指示でどこに連れ帰りどう扱うつもりだったのか、指揮している者は、仲間の数は、何人の一族がいる、建物の構造は。
 幻術による誘導尋問は一人で十分だったらしい。
 いつの間にか地面で拘束している以外にも数人の忍が周囲に立っていた。そのうちの一人にカカシが目配せをすると、その人物は何らかの忍術を使ったらしく黒い影は5人とも脱力した。
「かかった、もういいわ。」
 それを合図に、拘束を解いてその場に5人を残し、全員が身を隠す。サスケもカカシに連れられて建物の上に登った。
「ここから先は俺たちの仕事だ。見ていてもいいけど気配は消せ、気取らないでよ。」
 唯一その場にそのまま残されたサスケの同族の彼女とウサギ。彼女はなにが起こるのかと、ウサギにピタとくっついている。
 サスケが見守っていると黒い影はゆらりと立ち上がり彼女の腕を掴んで連れて行く。ウサギはそれを見送った後、他の忍同様に姿を消した。
 サスケは黒い影たちの行く先を知りたいと思いつつ、カカシから言われたことを思い返して全員が見えなくなるまで見送るにとどめた。
 全部で9人ほどだっただろうか。それも、恐らく上忍。そんなチームが尾行しているのだろうから、彼らを信じてあとは報告を待つだけだ。
 サスケは気配を消したまま自分の家に向かった。

 翌日、カカシは任務に来なかった。まだ昨日のあれが終わっていないんだろう。ただ、それを知らないナルトとサクラは終始カカシの文句を言いながら午前中を過ごした。
 サスケは頭の中で里の歴史を思い返していた。
 戦争でいがみ合っていたふたつの種族が手を組んだことから始まった木の葉隠れの里。様々な種族が里に合流し、婚姻という制度が導入され、やがて異種族同士の婚姻も認められるようになり、しかし当初は同種族同士で集まる傾向が強かった。ここまでが初代火影。
 二代目火影は異種族間で生まれた混血の新種族の子どもの特徴について研究をした結果、両親の種族の良い部分が遺伝して単一種族の子よりも知力・体格・能力が優れている者が多いことがわかった。それからは異種族との婚姻が積極的に推奨されるようになって、婚外子を産むことも許容された。ただし、その施策には交配を強要した場合に厳罰が下る施策もセットだった。
 三代目火影もその方針を受け継いだ。四代目はすぐに亡くなったからどんな考えだったのかわからない。ただまた三代目が火影になって、今に至る。
 婚外子として産まれた子に対しては、里が預かるか、母親が育てる場合手厚い手当が出るようになった。
 その甲斐があってか、サスケの世代にはルーツがよくわからない奴らを結構見かける。
 第七班のように、純粋なキツネ、ウサギ、ネコ、そしてイヌという組み合わせは珍しい。
 でも婚外子が許容されるようになってから、里の人口はどんどん増えている。
 優秀な個体が産まれる事を期待して、その個体を忍として育てることで戦力の増強を図ろうとしているのは明らかで、二代目や三代目火影が婚外子を許容、推奨してきた事は、忍の隠れ里としては有益なのかもしれない。
 ただ平和なように見えるこの里で、あのメスネコのような悲劇が起きている結果だとしたら許容はできない。強要した者には厳罰が下るとはいえ、すぐに逃げられてしまったらそれも出来ないのだから。
 カカシなら、その実態を少しは見知っているだろうか。
 サスケは空を見上げた。
 カカシは結局1週間、姿を見せなかった。

 サスケが家で料理をしていると、ドアがノックされて、少ししてから開く。
 その向こうから入ってきたカカシは、いつもと変わらない笑顔で右手を挙げた。
 サスケはコンロの火を消して玄関に駆け寄る。
「話、してくれるんだよな?」
「一応は、そのつもり。」
 机の横に二人向かい合って座り、カカシが口を開くのを待つ。
「結論から……親玉を突き止める事はできなかった。全員口を割ると自害する仕掛けが施されていた。ただ、恐らくこの里の陰にはその親玉を筆頭とする組織があって暗躍している。それも、かなり腕の立つ者の集団だ。でもそいつらは全員、住民登録も忍登録もない、「名前を持たない」奴らだった。火影様は関与を否定したが、どうやら心当たりがある様子だった。」
「……そんな組織が……この里に?」
「もうひとつ結論、囚われていた人達は全員保護された。ただ女性は無理な出産を繰り返したせいで衰弱していた。だからもう子どもを産むことがないよう避妊手術されることになった。男性も自ら去勢手術を受けると申し出ている人がいる。里が責任を持って希望者にきちんとした処置をする予定だ。」
 保護された、という言葉にほっとする反面、衰弱、避妊、去勢という単語が重くのしかかる。そんな事になるで、きっと酷い目に遭い続けた、という事だろう。
「子どもたち……赤ちゃんも含め、彼らも全員保護されて里の施設に身を移している。
 なにとなにが交配した子どもなのか、記録が残っていて種族はわかっている状態。ただ、その子らを新しいその組織の駒として育てていたようだった。」
 結論だけで、サスケの胸は気持ち悪くなっていた。吐き気がする。仲間がそんな目に遭っていて、その子たちも利用するつもりだったそんな計画を実行していた、里の陰。
「元の集落にみんなが戻ってくる事は……」
「それはないと思う。また攫われるのを恐れているようで、今後は生まれを隠して穏やかに一住民として過ごしたい……という人がほとんどだ。」
 それは、サスケがこれからも希少種として生きなければいけないという意味だった。
 消えてしまったイタチとサスケしか、表舞台に立てる一族の者はいない。女性が皆避妊手術を受けるのだとしたら、もうこの血を後世に残すこともできない。
「次、情報開示について。保護された人たちがそういう意思だから、この件についての詳細は一部の忍以外には公表されない。サスケの一族だった事は伏せられた状態で、非人道的な実験が組織的に行われてきた事と、詳細は里が調査中、くらいしかニュースには流れないと思う。」
 それについては、サスケも納得して頷いた。仲間の名誉は守られる、そんな事件の被害者だなんて知られたら、サスケたちは憐憫の目を向けられるだろう。
「で、詳細の方に移ろうか。名前を持たない奴ら、と言ったね。そしてその施設の老朽化具合。ずっと前から同じような実験が行われていて、彼らも恐らくはそういう出自の者たちだ。着実にただ任務を遂行する優秀な者の集団……忍として理想的、とも言える。即ち、もし各地で同じような事が行われていて、そいつらが敵として現れたら大きな脅威だ。それについては、すでに調査団が編成されていて今後他里も含め密かに調査が入る。」
 ……二代目火影の発見、政策化は他里にも知れ渡っている。ひとつ見つかった以上他にもあってもおかしくはない。同じ組織が他にも同じような施設を抱えている可能性だってある。あるいは完全に里が主導してそれをしている隠れ里だってあるかもしれない。
「次に囚われていた人たちの境遇……あの彼女が語った事と概ね一致していた。オスに関しては発情期を引き起こす薬を飲まされて交配を強要されていた。相手の種族間に関係なく、監視下の元で。子どもたちは親の愛を知る事がないまま戦闘員にするための教育がされていた。……その子たちのケアをどうするのか、木の葉病院と医療班が検討を重ねているところだ。……何しろ、物心ついたくらいの年頃から既に、何を尋ねても"自分はあの方の指示しか聞かない"と何も受け入れようとしない。」
 ゾッとする話だった。組織の駒として育てられる、というのはそんなにも……徹底された恐ろしいものだなんて。そして聞いている限りでは、その組織の一員として動いている者は皆そういう出自……何らかの実験で産まれた存在。一体いつからそんな事が。
 でも、それよりも気に掛かっていた事がサスケにはあった。
「カカシ、俺の父さんと、母さんも……そう、だったのか。」
 カカシの眉が、少しだけ中央に寄る。
「サスケの両親は、保護されていない……というより、出産の適齢期が過ぎている者は誰も……言いにくいけど、記録しか残されていなかった。日付と……"処分"、とだけしか……。」
 目を見開く。処分……という、ことは。普通に考えたら、殺されて……。
 サスケは立ち上がりトイレに駆け込んだ。胃から逆流して喉から溢れ出る胃液を吐いて、えずき、涙が滲む。
 殺された。
 処分、された。
 父さんと母さんが。
「ウエッ、ゲホッ、ゲホッ」
 一族皆、モノのように扱われ、殺され、そんな事。
 吐きながら、イタチの言葉が脳裏に浮かんだ。
 兄さんはまさか、もしかして、知っていた?
 だとしたら放っておく筈がない。兄さんは組織のこともきっと何かを知っている。でないと、皆がどうなったのか知りようがない。……俺は、兄さんに会わなければいけない。話を聞かなければいけない。
「は……、はぁ、っは……」
 サスケの背に大きな手が添えられる。ゆっくりと背中を撫でながら、心配そうな声が降ってくる。
「大丈夫か、サスケ……。」
「っ兄さん、イタチは、皆が攫われた直後、俺に言った。"皆産むための道具にさせられた"と。……何か知ってる筈だ、探さないと……!」

 うちはイタチ……事件当時、俺と同様に暗部にいた。しかし、火影様の直属とは違う動きもしていた。
 火影様の心当たりとイタチが従っていた相手が同じだとすれば、その組織は里の中枢にまで入り込んでいるという事になる。
 ……火影様がどの程度把握をしているのか、うちはイタチは何故あのタイミングで姿を消したのか。
 ……確かに、何かあるな。
 カカシはサスケの背をさすりながら、サスケが一人暴走する可能性も危惧していた。それを防ぐには。
「サスケ、俺も協力して動く。イタチを探そう。ただ、それには下忍のままじゃダメだ。少なくとも中忍まで上がれ。下忍は基本スリーマンセルでしか行動できない。けど中忍になれば、上忍とのツーマンセル行動ができる。」
 サスケは幾分か落ち着いた様子だった。水を流して立ち上がり、洗面台で口をゆすぐ。
「悪い……取り乱した。……根が深い、以上はすぐに何かがわかるわけでも、何かが変わるわけでもない……そうだな?」
「まあ、そうだね。」
「あんたの言う通りにする。最短で中忍を目指す。その為の協力も、」
「当然、するよ。」
「……頼む。」
 鏡越しに見たサスケのその眼は赤く、黒い巴がひとつ浮かんでいた。
 両親の喪失で開眼……したか。
「もうひとつ、確認すべきことを思い出した。」
 サスケは赤い瞳のまま、カカシを振り返った。
「あんたの左眼は、何故写輪眼なんだ。」

 戦争の中で起きた悲劇、移植により使えるようになった写輪眼、その話を聞いて処分された仲間の眼も、もしかしたら奪われたのではないか、という仮説が浮かぶ。
 だとしたら、相手の中には写輪眼を持つ同胞ではない敵が混じっている可能性がある。もしそうであれば敵の組織はかなりの強敵が揃っている事になる。
 あるいは産まれた子の眼も、もしかしたら……。
 一体、どれだけ俺たちを踏みにじれば気が済むんだ、指導者は誰なんだ。この手で殺さないと気が済まない。絶対に許さない……!
 サスケの眼の巴がまたひとつ増えた。
 復讐に染まった眼は険しく細められている。
 カカシは戦争中の自分を思い起こして、サスケのその思いを邪魔する事は出来ない、と思った。
 ただ、サスケの上司として、先生としてできる事は早く中忍になれるよう導くことだけ。
「……明日から、厳しい修行を課すけど、いいね。」
「当然、そのつもりだ。」
 
 この日から、任務後にマンツーマンの指導が始まった。他の二人には秘密の特別授業。
 持ち前の優秀さでどんどん吸収して力をつけていったサスケは、その年の中忍選抜試験で合格を勝ち取った。
 
 初夏……ネコにとって発情期が来る季節。カカシの当初の予定では、サスケを検査入院させて卵巣摘出手術を受けさせる……筈だった。
 でもサスケは長期入院を拒み、約束通りツーマンセルでイタチを探す事を優先したいと告げた。
 カカシはそのサスケの気持ちを尊重して三代目火影に事情を訴え、二人での長期任務の許可が降りた。
 長い旅になるだろうか。
 カカシはサスケに任務について説明をして、荷造りをするように指示を出し、そして二人の旅が始まった。