異種属性愛はダメですか

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2026年7月27日カカサス,成人向,長編,ケモノパロ,原作軸,完結済み,小説獣人化,異種姦,エロ,オリジナル設定有,性癖強め

愛という言葉

 朝目が覚めてすぐに、朝食をとり終わった後に、昼食の前に、食べた後に、夕方になっても、当然寝る前も、ふたりは肌を重ねて交尾とはとても呼ばないそれを繰り返していた。サカリがまだ終わっていないのを言い訳にして。
 卵子が出る準備が整うまで早くとも二、三日はかかると知っていながら、カカシはサスケを求めて、サスケもまたカカシを求めた。
 肌を重ねる度にこの胸が温かくなる感覚は一体何だろう。ふたりはその感覚の名前を知らなかった。ただその感覚はひどく心地よく、気持ちが安らぎ、そして目の前の人を抱きしめたくて堪らなくなる。
 何度も繰り返す内に、挿れる前にあらかじめ中をほぐすことを覚えて、そして中のある一箇所を刺激するとサスケが甘い声を出すことも覚えて、卵子を出すためではなく、完全にお互いの快感を追い求めるために目的が変わっていった。
 のちに、カカシは宿場町の本屋で見かけた本で、あの何とも言えない胸のむず痒い感覚に「愛」という名がついていることを知った。

 サカリが終わって、本来の任務に戻ろうと街での情報収集に入った。旅人に扮したふたりは親子にしか見えない。でもその手は硬く握られていて、微笑ましい目が向けられた。
 耳に神経を研ぎ澄ませてゆっくりと大通りを歩きながら噂話を聞き集めるが、目ぼしい話はなさそうだ。
 時間を変えて夜、酒が入り人々の口が軽くなる酒場に入って親子のふりをしながら耳に意識を傾けていると、サスケはその単語を聴き取った。
「額当ての傷って抜け忍なんだろ?そんな奴らがあんなに堂々と歩いてやがるから本当に不気味だった……ん?」
 その話をしている男のテーブルの下から、サスケが覗き込む。
「不気味って、抜け忍だからか?それとも変な服でも着てたのか?凄いなあんた!そんな奴ら見ても怖くなかったのか?」
 あどけない子どもを装って酒で顔が真っ赤になった男に話しかける。凄い、という言葉に気をよくしたのか、男はサスケに語りはじめた。
「そりゃあお前、俺はこの街が長いからよ、色んな奴に遭遇してきたもんで、多少のことじゃ怖いなんて思わねえさ!」
「へええ!俺も兄ちゃんみたいに強くなりたい!」
 どう見ても30代半ばは過ぎているが、やはり兄ちゃん、と言われてまた機嫌が良くなる。
「ただな、坊主は気をつけたほうがいいぜ。あの時俺が見たあの抜け忍二人組は揃って赤い雲の描かれた真っ黒な外套を身につけていてな、ただならぬ雰囲気だったから、ありゃあ近づかねえに限る。」
 赤い雲の描かれた……イタチの着ていたものと同じ。
「えー、それは嫌だな、会いたくない。それっていつ頃の話なんだ?」
「ざっと2ヶ月くらい前だな、東の方へ向かっていったから、行く先が同じなら道中は気をつけな坊主。」
 東……砂隠れの方角だ。何をしに……二人組、ツーマンセルか、もしくは他にも仲間がいるのか。少なくとも、単独での行動はしていない。そして二人とも抜け忍だったという事は、里にとっては犯罪者。
「兄ちゃん、ありがとな!父ちゃんにも言ってくる!……あ、そうだ。そのふたりのうちどっちか、木の葉の額当てつけてなかったか?俺たち、木の葉隠れの方から来たんだ!」
「ああ、ひとりは木の葉の抜け忍だったぜ。指名手配か何かか?黒髪の……あれはネコだったな。」
 イタチ、の可能性が、高い……けどこれ以上詳しく容姿を聞くのは不自然だ。
「そうなんだ、あちこちに指名手配の紙があってさ!何の罪かはよく知らないけど、黒髪で、前髪を真ん中で分けていて、あんまりにも紙がたくさん貼ってあるからすっかり顔覚えたぜ!」
 男は目を丸くして、そしてサスケにこそっと耳打ちした。
「俺が見たのは、正にそいつだ。そこまで指名手配されるってのは、それだけ重罪を起こした奴だぞ。気をつけろ坊主。隣にいた霧隠れの大男も……肌が青くてでけえ武器を背負ってやがった。奴等只者じゃない。」
 男は泡盛をぐいっと飲んで口についた泡を手で拭い、その反対の手でサスケの頭をポンポンと叩いた。
「旅は楽しいが危険も多い、気をつけろよ、お前ら!」
 サスケは立ち上がって、にっと笑った。
「ああ!兄ちゃんサンキューな!」
 そしてカカシの隣に駆け寄って、カウンターの高い椅子に登る。
「……聞いてたよ。続きは宿で。」
「わかった。」

 宿に帰ってからテーブルの前に隣り合って座る。
カカシは地図を広げてメモ帳を取り出した。
「うちはの武具屋での目撃が4年は前、今回の目撃は2ヶ月前。今もその衣装を着ている組織に身を潜めている。が、どうも潜めているだけではなさそうだ。」
「この街から東、少し距離があるが砂隠れの方角だ。それ以外の目的地で東に向かうとしたら……その方角にアジトがある可能性もある。」
「ただ一緒にいたという男、おそらくこいつだ。干柿鬼鮫……仲間殺しの罪で抜け忍になった。忍刀七人衆の一人、鮫肌という大刀を使うS級犯罪者……イタチにしてもそうだが簡単に倒せる相手じゃない。」
 ビンゴブックのページをめくりサスケに渡す。サスケはそのページを読み込んで頭に入れた。
「……ただ、俺たちの任務は情報収集までだ。情報は集めるが接触は避ける。ともかく次の目的地は東。2ヶ月前なら目撃者が他にも見つかる可能性は高い。焦って追いかけるんじゃなく、まずは情報だ、いいね?」
 サスケはカカシの言葉に頷いた。
 イタチに聞かなければいけない事はたくさんある。けどそれは今やる事じゃない。
 そう思っていたら、サスケはカカシの胸に抱き寄せられた。何で今?と思ったら、自分の尻尾が激しく横に揺れているのがわかった。
「……落ち着いて。必ず辿り着く。そして必ず話をしよう。大丈夫だ。俺も一緒だから。」
 気がつかないうちに気が荒くなっていた。イタチは何を知っていて何故里を去り、そして何故額当てに抜け忍の印をつけたのか。あんなにも里を、平和を愛していた兄さんが何故犯罪者と行動を共にしているのか。わからない事だらけだ。俺に何も言わずに去ったのは何故……。
 ……悔しい、違う。……悲しい、違う。何故、そう、わからない。一緒に育ってきた兄弟なのにイタチがわからない。
 兄さんは敵なのか、それとも違うのか。
 ……静かに、深呼吸を繰り返す。カカシの匂い……温かい手と身体。
 カカシと一緒なら、この任務を務め上げられる。
「……ありがとう、カカシ。……ただ、その……。」
 抱きしめられながら感じていたそれの変化。
「……ごめん、サスケが近くにいるだけで……ごめんね、真面目な話してたのに。」
「……本能なら、仕方ないんじゃ……?」
「いや、本能じゃないんだよね。だって、サスケのサカリは終わってる。だから俺も発情はしてない。……本で読んだんだけど、"愛"っていう本能とは別のものがあるらしくて。」
「……あい?なんだ、それ。」
「それが俺にもよく、理解できてない。ただ、隠れ里の外ではそれは当たり前で自然なことらしい。本能でも理性でもない……感情、の一種のような、そんな感じ。」
 里でだけ知られていない"愛"……知られたらまずい事なのだろうか。だとしたらそれを知ってしまったカカシはどうなる?
「里に戻ったら、二人だけの胸にとどめておこう。……それでなんだけど……」
 照れなのか、恥ずかしいのか、それとも"愛"のせいなのか、カカシの頬はうっすらと色づいていた。
 カカシの首に手を回してそのお腹に腰を下ろす。
「……断ったりなんてしない……」
 カカシが手に取った本は小説だった。作者は自来也とある。あの伝説の三忍の一人と同じ名前……三忍は里を出てそれぞれ何をしているのかよくわかっていないが、自来也に関しては旅をしていると聞いた事がある。
 もしこの旅の中で巡り合う事ができたなら、この本に書かれていることについて聞いてみたい。
 “愛"とはどういうものなのか。"好き"とはどんな時に口にする言葉なのか。"愛している"とはどんな感情なのか。
 口布を下げて指を舐める。唾液がたっぷりついたそれを、サスケの下履きを下ろしてその穴にゆっくりと埋めた。向かい合いながら交尾をするなんて聞いた事がない。だけど俺たちはお互いの顔がよく見えるその体制が一番好きだった。いつものところをぐ、と押すとサスケがピクンと反応する。激しく横に振れていた尻尾はすっかりピンと立っていた。
 中を押し広げながらそこを突いてピク、と震えるその様に胸が熱くなってくる。
 ……この感覚のことだろうか、"愛"というものは。
 言葉に出して言ってみた。
「サスケ……、好きだ、愛してる。」
 果たしてこの使い方で合っているのだろうか。小説のように言ってみたものの、自分で言った言葉の意味が合っているのかよくわからない。
「っ、カカシ、もう、挿れっ……!」
 サカリは終わったはずなのに、サスケの様子はまるでサカリのときのようにオスを求め……オスを、ではなくて、俺を、なんだろうか?
 床に置いてあるローションに手を伸ばして、自分のそれを濡らすと、カカシはサスケに尋ねた。
「サスケは、どうしたいの?」
「はやく、挿れて欲しい……っ」
「オスなら誰でもいい?」
「カカシ、以外、……嫌だ」
 サスケの腰を掴んで浮かせ、それの上にゆっくりと下ろす。重力に従って中に入っていくそれに、サスケは震えながらカカシの首に回した手に力を込めた。
 ただ座ったまま、というのはどうにも慣れなかった。カカシもそう感じたのかすぐに抱き上げられてサスケは布団の上に背をつける。そしてそのまま向かい合ったまま、生殖が目的でない、交尾の真似事をしながら快感を求め合う。
 胸に込み上げるこの思いをどんな言葉で表現するべきなのか知らなかった。ただ名前を呼び合うことで二人はその思いを表現してきた。
 カカシは本を読んでその思いは"好き"や"愛"なのではないかと知った。一冊の本の記述だけを信じるにはサンプルが少ない、鵜呑みにはできない。そう思いながらもその本で書かれていた内容にカカシは共感し、サスケに対して抱いているものと同じなのではないかと思わせるには十分だった。
「っサスケ、好きだ、……好きだ、愛してる」
「え?っあ、んぅっ!な、にっ、あっ!」
 じわりと胸が熱くなる度にその言葉を使った。その度にサスケは意味がわからなくて戸惑った。けれど繰り返されるうちに、サスケももしかしたらその言葉はこの胸に込み上げる気持ちのことなのか、とその言葉を口にしてみた。カカシはそれを聞いて少し目を見開き、そして幸せそうに目を細めた。確認は、それだけで十分だった。
 ひたすらお互いの名前を呼び合うばかりだったその行為が、愛の言葉をかけ合う行為に変わった。
 聞きなれないその言葉は口にする度に馴染んでいく。
 里ではこんな言葉を聞いたことも見たこともなかった。けど、里の外では当たり前に囁かれていて、そしてこの生産性のない無意味としか思えないお互いを求め合う行為が"愛の営み"としてきちんと意義があるものだと知った今、カカシはもう里に戻っても原始的な交尾なんてする事はないだろうと思う。
 ただその言葉も、その行為も住民に知らされていないのはそれなりの理由があるはずだ。だからこの二人旅が終わって里に帰ったら、それを知った事が誰にも知られないよう黙さなければならない。
 こんなにも尊く幸せな体験を里の住民は誰も知らない。そして本能に任せた交尾ばかりが行われて、次世代を産み育てることばかりが推奨されて、……木の葉だけなのかもしれないが、忍の隠れ里はあまりに野蛮だとさえ思う。そんな里に忠誠を誓い続ける事が、自分は果たして出来るのだろうか。
「サスケ、もう……っ、出す……っ!」
「ぁ、あ゙あっ!!」
 ぐぽ、と中に入った先端から、着床することのない精子が溢れ出る。着床なんてしなくてもいい。こうして身体を合わせて繋がっている事自体が大切で、尊い時間なのだから。
 サスケの中に注ぎ込まれたカカシの種が漏れ出ないようにする数十分。イヌの交尾にとって重要なこの時間さえ、愛の営みだと思うと全く別のものに感じる。
「サスケ、……愛してる。キスを……」
「カカシ俺も、愛してる……」
 唇を合わせるとザリ、とするサスケの舌が待っていて、そのザラリとした感覚さえも愛おしい。
 夢中になってキスをしながら、また胸が熱くなる。
 ああ、俺はサスケが好きで、愛しているんだ。この想いはきっと消える事はない。それほどまでに強く思う。
 サスケは幼き日に見たネコの交尾について教えてくれた母の言葉を思い出していた。あの言葉には、当時はよく理解できなかった続きがあった。
「……だけどね、サスケ。私たちの一族は本能のままに交尾をすることよりもっと尊い事も大切にしているの。それは愛情よ。ネコとしての本能でも、理性でもない、一番大切なもの。でもこの事は一族以外の人には内密にね?」
 尊い事である愛情……あのときわからなかったあの言葉は、カカシが言う、……愛、と、同じものなんだろうか。
 母さんはもういない……処分、されてしまった。知っているとしたら兄さんだけ。……会わなければいけない理由がまた増えた。
 兄さんは何故里を離れ、明確に里と対立している立場である証をその額当てに刻んだのか。
 事件の真相も、一族のことも、里のことも、兄さんが全てを知っているとしか思えなかった。