攻略対象の難易度がSSS+でした

50,342文字約101分51 View

柱マダ,成人向,長編,原作軸,完結済みラブコメ,ギャグ,エロ描写有,オリジナル設定有,ほのぼの,平和IF

再挑戦

 酒を手にマダラの屋敷の敷地に入ると、扉を叩くまでもなくマダラが出てきて迎え入れてくれた。
「よくきたな、柱間。まあ入れ。」
 いつもと逆の立場だが、オレもマダラの屋敷はよく見知っている。
「疲れておるだろうからどうかと思ったが、一区切りついた事だしお疲れ様会、どうだ?」
「ああ、確かに疲れてはいるが……満足している。あとは成果が出たという報告が扉間から飛んでくるのを待つだけだな。」
 語りながらマダラの部屋に入ると、寝るつもりだったのかもう布団が敷いてあった。
「もう休むところだったか、すまなんだ。」
「いや、柱間なら歓迎だ。柱間と語るならば少しくらいの睡眠はどうだっていい。」
 嬉しそうに笑うその笑顔に胸がキュンとする。いつもいつもマダラは他の者に見せない笑顔をオレの前でだけは惜しげもなく見せてくれる。それが嬉しくてたまらない。
 ……そしてこの笑顔は、オレに好意がある証拠ぞ。
「酒まで悪いな、いつもの盃で良かったか。」
「夜に語るなら酒は必需品ぞ?」
「ちげぇねえ」
 あの若き日と同じ笑顔を見せるマダラは縁側に腰をかけて盃を傍らに二つ置いた。
「俺は今回の一連の研究で思った事がある。」
 ま、まさかのマダラからの告白とかそういうのがあったりする!?
「それはぜひ聞きたいな。」
 盃にとくとくと酒を注ぐ手が動揺で震えないように腹に力を入れた。
「俺とお前は……共に何かをする事で二人だけじゃない、何百人分もの力になる……とな。病気で死ぬ者を一人でも減らす事ができたならば俺たちがした事はでかい。誰かの人生をひとつ変えた事になる。……和睦をした時も、そうだったな。そういえば。」
 もしもを考えてしまった自分を恥じたくなるほどにマダラは澄んだ目でオレを見て笑う。オレはマダラとどうこうしたいというだけだったがマダラは里の者を、どこの誰かも分からぬ者をも考えて……。
「……そんなマダラも大好きぞ、俺と共にと考えてくれているのも嬉しいものだな!」
 しかしマダラの中ではあの研究における扉間の存在はどこかに消し飛んでいるらしい。まあ、確かにオレとマダラで考えたり案を出す時間は長かったが。
「柱間と共にならどんなとんでもない夢でも叶えてしまいそうだ。いつかは争い合っていたが、お前とはやはり手を取り合った方が良い。」
 ちょい待ち……! この文脈ならば、まぐわいなどは最たるふたりの共同作業という風に持って行けるのではないか……!?
「そうだな、共に何かを……というと一番に浮かぶのは子作りだが」
「そうだ、柱間。それだ。俺たちは夫婦じゃあないが、俺たちが残した平和や死ぬはずだった命を救った事は、これ以上ない俺たちの子と言えると思わんか?」
 そこまできているならばこれは……ついに虹色の未来来る……!?
「ああ、里は特にデカい子だ、もっと大きくなるぞ、きっと。」
「そうだな、産みっぱなしじゃなく育てねえとな。……明日から溜まっていた執務が待ってるぞ?」
 う、急に現実持ち出さんでくれ……。
「今日はそんな事は考えずに呑みたいところだが……」
「ああ、悪い、お疲れ様会だったな。だがこうして二人で協力した成果が一定の実を成したのはやはり感慨深い。……もうただ友と呼ぶには俺にとって柱間の存在はでかすぎるな。」
 やはり扉間の存在は吹き飛んどるようだが好都合。それにマダラがこんなにもオレについて話してくれるなんてこれはもう……!
「友でなければ何ぞ? ……まさかこい」
「相棒ってやつだよな、こういうのは」
 言うの止めて良かったァーー! いかんいかん、マダラの思いを全部吐き出してもらってその上でオレは、という流れにした方が良い危なかったァーー!
「大層な言葉が出てくるかと思ったら、相棒か。確かにただの友と呼ぶにはオレ達はもっと……親密だ。」
「柱間も何か言おうとしてなかったか?」
「何のことぞ?」
「……まあ、いい。お前との共同作業は楽しいしやりがいもある、色々本を貸してくれたおかげだ。」
 セーーーフ! しかしもしやこれは流れ来てるか?
「身体のふれあいに関する本は興味深かったろう、接吻に関する見方も変わったのではないか?」
「そうだな、単に不潔な行為と思っていたが、接吻がもたらす身体的作用には唸った。その後読ませてもらったエロ本だったか、あれの中で頻繁に接吻が出てくる理由も納得した。身体的心理的作用があれほどあるのであれば、雑菌による危険性よりも作用の方が勝ると判断出来る。作用と副作用を検討した結果作用を取る……薬と同じ論理だな。」
 そこで薬が出てくるのは置いといて、接吻を理屈で克服した!! これは大きいぞ……!
「はは、そうか。何なら今実際に接吻の作用を体験してみるか?」
 知的好奇心勝れ……!
「柱間と接吻? はは、面白い冗談だな。それは恋仲の者がすることだろう。」
 あ〜〜ここで押すか一旦引くか悩むっ!!
 が、夜はまだまだこれからぞ、焦ってはダメだ柱間、機会をよく見極めろ柱間!
「だがマダラにその冗談が通じるようになった事は、オレは嬉しいぞ!」
「そうだなぁ、柱間から色々本を借りてみるまでの俺は確かに無知だった。まだまだ知らん事もたくさんあるのだろう。新しいことを知るときに隣に柱間が居てくれる事が俺にとって喜びだ。」
「そう思ってくれているのがオレにとっても喜びだ、ありがとうマダラ。」
「礼を言うのはこっちだ、相棒。」
 またオレに他の誰にも見せないやさしい笑顔を向ける。
 そのマダラの純度の高い笑顔にオレの下心を照らし出されて濃い陰ができているような気がしてならないっ……!
 しかし今のマダラは恋仲も接吻もまぐわいも理解しているわけで前回よりもちゃんと順番を守って段階を踏めば結ばれる未来は近いはずぞ……!
「これからも二人で共に新しい事を見つけたり経験していきたいものだなあ。」
「そうだな、柱間と共にであればどんな事でも楽しみに変わりそうだ。」
 これは来ている? 風が来ているのでは?
「だが共に新しい事を経験するのと同じぐらい、オレはマダラと愛を育みたい。」
 軽いジャブを打ってみたがマダラは色恋のそれとは認識せん、そこまでは学習済みだ!
「愛か、本来身内に向けるものだが柱間は特別だ。共に過ごせば自然と愛も深まるだろう。」
 本来身内にというのは親兄弟や子どもに対してという解釈でよさそうだ。伴侶もその中に含まれている、か?
「だがオレに愛を傾けていてはマダラが祝言を挙げるのは先になりそうだの。」
「まあ周りからはうるさく言われているが、嫁さんを貰う気は今のところない。どの道先の話だ。」
 恋敵ナシ! ヨシ!!
「ならばオレとしてはマダラとは相棒以上に特別な仲になりたいんだがな。」
「ああ、友人も相棒も愛も、柱間との間柄を正確に言い表すものではないな。それだけ既に互いに特別な存在だ。」
 まだいける! 大丈夫! 押すんだ柱間!
「既にか、それは嬉しいな、オレにとってマダラは特別で大切な存在だ、それこそ抱きしめ合いたいくらいに。」
「ああ、前も言っていたな、そういえば。またやるか?」
 笑いながらまたマダラが手を広げる。
 前も言っていた事を覚えている——という事はもしかしてまぐわいたいと言ったことも覚えている!?
 マダラが手を広げているという事はその後の前戯やまぐわいまで持って行ける可能性!?
「マダラはやはり懐深い男ぞ! 抱きしめさせてくれ、オレからの愛情の証として。」
 はやる気持ちを抑えてマダラを抱きしめる。温かい身体……脱力した筋肉の程よい弾力……ああ何という至福のひととき……しかしこれはまだ序章!
「まるで幼子のようだな、そんなにも抱擁がしたかったか。」
「……幼子どころか……むしろ逆ぞ。」
「ああ、悪い。そうだったな、柱間は誰よりも強く強靭な男だ。……また戦場で対峙したいものだ。俺と渡り合える唯一の相手だからな。」
 待って方向性ちょっと変わった。いやまだ修正できる!
「そんな物騒な事を言ってくれるな、オレはマダラと戦うのはもう嫌ぞ。」
「それもそうだ。しかし何だったか……オキシトシン……か? 確かに感じるな。柱間が抱きしめてくれていることで疲れが癒えるような感覚だ。……柱間は俺の疲れを癒そうと抱きしめたいと言ってくれたのか。……確かにその愛情、伝わるな。」
 マダラが普通に癒されてる。本の知識をフルに活用して。オレがマダラを癒したい事になっている。
 ……いい兆候ぞ!! ちゃんとオレからの愛情として伝わっているわけで些末なことを気にしてはダメだ結果ヨシ!
 ……しかしここからどう持っていくか……。
「オレもまたマダラを抱きしめることで癒されておる、こうして互いにぬくもりを確かめ合うのは尊いと思わんか。」
「まあ同意だが、ずっとくっついているわけにはいかんだろう。」
「直接素肌同士で触れ合うのが一番効果があるようだぞ、試してみんか。」
 裸で抱き合えばオレの正直な魔羅が元気になるのは間違いない、普通ならばそこでエロい雰囲気になるが! マダラがそうならないのは想定の範囲内ぞ、そこからどうやってまぐわい……違う、目的と手段を見失うな柱間。オレがマダラを恋仲として好きでマダラもそれに同意する、そこがまずは第一関門……。
「裸で抱きしめ合いたいということか? そこまで疲れているわけじゃない、ただその気持ちはありがたく頂いておこう。」
 裸で抱擁は未遂ッ! ……少し飛ばしすぎたようだ、ゆっくり行こうまだ夜は始まったばかりぞ……!
「だがこうしておると落ち着くはずなのに胸が高鳴る。好きな人と抱きしめ合うとはこんなにドキドキとするものなのだな。マダラはどうだ?」
「胸がドキドキ? ……大丈夫か、動悸か。酒はまだあまり飲んでいないようだが……呼吸は苦しくないか。」
 違いますいや現象だけ見れば確かに動悸だがあ——ッ! 伝わらんもどかしい!
「こ、恋をすると動悸に似た心拍の増加が見られるんぞ、つまりはオレはマダラのことを」
「恋をする、何かの本で見かけた言葉だ。何だったか。」
 ん——? マダラは恋愛について本により知見を得たというオレの前提間違っていた説??
「確か恋をした、という文脈で使用されていたな……ああ、思い出した二冊目の本に記述されていた。恋仲の恋と同じ文字だな。男が女に対して向ける感情のひとつでざっくり言えば好意を持っているという意味合いだったな。」
 そこはざっくりしないで。
「思い出したか、その通りだマダラ。オレはマダラに対して」
「俺も柱間に対しては言うまでもなく好意を持っている。……これは俺が柱間に対して恋をしている、という状態で合っているか?」
 おおっ!? 合っていない可能性もあるとしてもここは全力で肯定するべき場面ッ!
「……そう! 多分そうぞ! オレもマダラの事が好きだしマダラに恋をしておる!」
「ならば相思相愛だな。まあ、そんな事はとっくにわかっているが。」
 くぅっ、恋まで引き出したのにまた友情の方の好きに行ったァーー……!
「本当にわかっておるのか? 恋をしておるということはだ、互いに恋をしておるということは男女における恋仲と同じで、それはつまり……」
「みなまで言うな、わかっている。」
 最後まで言わせてくれ!! しかしマダラは何がわかっておると……?
「……ではオレの代わりにマダラの口から聞くとするか。」
「母と子のような強固な愛情が俺と柱間の間にあるということだろう、互いが互いを愛しむ、柱間とそういう関係になれた事が俺は嬉しい。違うか、相棒。」
 マダラはまたあの純粋な子どものような笑顔をオレに向ける。
 惜しい……ような……でも違う……。しかしここで「いやそれは違うぞ」と言うのは……この笑顔の前では……オレにはとても……!
「勿論、……合っているとも! オレはマダラの事を愛してやまん。互いに愛しむ、ということはマダラも同じ気持ちでいてくれているのだろう。オレも嬉しい……ぞ!」
 ……おかしい、恋仲まで話が進んでいるのに、話の中身が全然言葉に追いついていない。恋愛小説からエロ小説まで色恋に関する本は色々読ませたしまぐわいについてもマダラはきちんと知識を得ているはずなのに何故恋仲という言葉から着地する先が相棒なんぞ……?
「抱きついてばかりいないで酒の続きといこう。時にはこうして互いの認識をすり合わせるのも重要だな。言葉で相手に伝えることの重要性を柱間から借りた本でよく学んだ。だから俺の一番の実践先は柱間、お前だ。」
「そうだの……互いの認識を……すり合わせることは本当に重要だと、オレも思うぞマダラ……。」