もういちど

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創設期,成人向,長編,原作軸,完結済みエロ描写有,オリジナル設定有,シリアス,ほのぼの,平和IF

大きな悔い

「この手の中の石、どのようにマダラに渡せば届くか悩んでおってな。」
 食事を食べ終えて神妙な顔で話し始めた柱間、あの星見からちょうど一週間経っていた、
「言っちまえば良いだろ。」
「ただ言うだけでは伝わらんと、思っておる。」
 何を伝えたいのかは知らないが、言ってしまった方がすっきりするだろうに。言うだけでなく伝わらなければ意味がないという話のようだ。そして伝わらなければ俺がその石を手に取る事はないと理解している。
「もう一回やった事だろう、もう一度やるだけのことだ。その石は受け取れんと断られるのが怖いのか?」
「いや……、昔とは少し違う。何より俺には妻がいる。それを踏まえての事だ。誤解だけは避けたい。」
「……誤解しているとわかったなら誤解を解くよう話せば良いだろう。何をそんなに勿体ぶっている。」
「……話せば、俺の言葉を聞いてくれるのか。」
「どう受け止めるかはさておき、聞くだけならいくらでも聞いてやる。」
 立ち上がった柱間は、場所を変えよう、と己の寝室に向かった。その後をついていく。
 柱間の部屋に入るのははじめてだった。
 座して向かい合い、話を聞く姿勢をとる。
「まず最初に断っておく。妻にはマダラとのこと、全て話してある。妻と子は愛しているが、恋をしたのはマダラただひとりだったとも伝えてある。」
「俺への想いは妻も認めている、と言いたいのか?」
「そうだ、馬鹿だと笑われた。それはマダラも里を出るわけだとも言われた。その上で行ってこいと言ってくれた。」
「だが俺はお前に恋などしとらんぞ。」
「わかっておる、それに昔とはマダラに対する気持ちは変わっておって、いや今でも好きだ、好きなんだが当時の好きとは違う。」
「どう言い表したら良いのかわからんということか。」
「そうだ、そうなんぞ。どう言えばこの気持ちを適切に伝えられるのかわからん。」
「……なら気持ちは後にして、何がしたいのかを言ってみたらどうだ。」
 どうせ最終的にはまぐわいたいとなるのだろう。それは断るとして。
「いや物事には順番がある、きちんと言葉にして伝えて、伝わったのかを確認して、マダラがどう受け止めたのかを確認して、……どうしたいかはその後の話ぞ。」
「ならその言葉が出て来るまで辛抱したらどうだ。それとも俺に言い当てて欲しいのか。」
「確かに俺よりマダラの方が伝えるという点については上手だ、それは確かだが俺の気持ちは俺に言わせて欲しい……。」
 面倒な奴だ、気持ち云々は置いておいて結論恋仲のようにまぐわいたいだけだろうに、何をそんなに言い淀んでいるのか……。
「……では言葉はひとまず置いておけ、何か俺に対して悔いが残っているのは間違いないか。」
 こくこくと柱間は頷く。
「何が悔いで、それはどうしたらお前の中で晴れる?」
「……それは、……言いにくいのだが……。」
「そこがわからんと話にならん、言えよ。誤解はもう嫌なんだろう。」
 観念したように息を大きく吸って吐いた。俺の目を見ないまま、意を決して口を開く。
「……まぐわいのときに、マダラが……何も……その、良いという反応を、見せなかったのが、……心残りだ。」
 ……うん? 反応?
「は、はじめての時は、やむを得まいと思っておった、俺もそれなりに勉強をして、挑んだがマダラは声ひとつ出さず、どうすればマダラが反応してくれるか努力をしたつもりだった、……だがマダラがそれに応えた事自体が俺への好意ではなく敗者……が理由だと、……とは言え気持ちだけが原因ではなく俺のやり方が間違っていたのだと……思うのだ。書物にはきちんと気持ちよくなれるとあった、きちんとマダラも良くさせたかったのに何度どうやってもだめだった事が、……心残りで、悔いのひとつだ。……。」
 そんなどうでもいいことを悔いとして抱え続けてきたのか。本人は真剣だから笑ってはいけないが、いやこんな悔いは笑い飛ばしてやった方がいいのだろうか。
「そうすると、俺が好きだとか云々ではなく、身体を満足させたいと、そういう話か。」
 柱間の耳が赤くなる。顔の色は変わらんが耳までは制御出来んらしい。さて想定外の話が飛んできたがどうするか。
「石を投げると言って一週間溜めた挙句そんな事か、そんな悔いは気にせんでいい。俺はまぐわいで良くなりたいなどと思っておらん。投げたかった石はそれだけか?」
「お、男としては重要な事ぞ! 愛する相手を良く出来なかったなど……恥でしかない……。」
「でやり直したいと? お前には妻がいるだろう。男と睦む事など考えるべきではない。」
「それは最初にも言ったが妻も承知だ……。それに睦むのではない、そうではなく一度だけでもいいからマダラを満足させたい……のが悔いぞ。」
 思い返してみれば……確かにこいつとやっていて気持ちいいなどと感じた事はない。口ではあれこれ言っていたが、良くさせるという点で見ればこいつは下手くそだった。しかしこの地まで持って来るとはこいつにとってはよほどでかい悔いなのだろう。感情に対しては応えるつもりはなかったが、ただの一回、身体だけで満足して悔いが消えるのであれば一回くらいなら付き合ってやっても良いのだろうか?
 あまりに馬鹿馬鹿しい内容に俺まで馬鹿になりそうだ。
「……一度で良い、最後の我儘と思ってくれて構わない、挽回する機会をくれたら、……嬉しいが、内容が内容だ。無理は言わん……。」
「……確認だが、気持ちは今はなく、あくまで身体を満足させられなかった事だけが気がかりとして残っていると、それだけか。」
「……先ほども言ったが、今は好きではあるが恋や愛のそれではない。ただ共にいられるだけで十分だ。悔いはマダラを満足させられなかった事だけぞ。」
 耳を赤くしたまま俯く。
 ……俺にどうしろと。しかし互いに少し時間をおいた方が良さそうだ。
「夜までに考えておく。」
 柱間の部屋を改めて見たらあの小さな机に三冊書物が置いてある。一番上の本には男色のすゝめと書かれていた。……下らんが悩んでいるのは間違いなさそうだ。それにこいつが俺に欲情していない事は以前風呂場で確認をしたし、本人も気持ちが残っているわけではないと言っている。
 柱間の部屋を出た。
 やるのがはじめてというわけでもない、ただの一度で納得するのであれば別に良いような気もするが、そんなにも相手を良く出来なかった事が悔いになるものなのだろうか。
 村の者に聞いて回るわけにもいかない。柱間のやり直しにそこまで付き合ってやる道理もないが、最後の我儘だとも言った。
 気持ちがないのであれば嫌というわけでもない。そんな事をいつまでも後悔として持ち続けていたのかという驚きだけで。
「……。」

 風呂から出て柱間の部屋の襖を叩こうとしたところで勢い良くその襖が開いた。
 風呂でのぼせたのか赤い顔の柱間が俺の顔を見て口を開く。
「答えは、出してくれたか。」
「一回だけだ。」
 柱間は大きく深呼吸をして俺を招き入れ、掛け布団のない布団に誘う。
「……便宜上……気持ちを盛り上げるためにあれこれ口にするが、本気と捉えなくて良い。布団に寝てくれ。」
 こんな雰囲気では確かに勃つもんも勃たんだろう。布団に横になってはみたが、柱間は押し入れから何やら取り出して腰の辺りに置いた。
 寝衣の帯をほどいて俺に覆い被さるように柱間が跨る。
「口付けもしても良いか。」
「お前の悔いを晴らせるならどうしようが構わん。好きにしろ。」
 顔が迫って唇が合わさる。唇の隙間から入ってくる舌に応えてやった方が良いのか考えながら、良くするとはどうなるのが終着点なのだろうかとぼんやり考えた。
 柱間の手が合わせの中に入って胸の突起を触り始める。そんなところを触ってどうするつもりだ? 女でもあるまいに。
 唇が離れて胸の突起に移っていく。舌で転がされ押しつぶされ強く舐められている内に何か痺れるような甘い感覚が走り始めた。
「……?」
 感じた事がないがこれはなんだ。気持ちいい、と言えるほどではないが柱間の舌で確かに何かを感じている。どんどんその感覚が鋭敏になっていくのがわかる。ピク、と動いた肩、思わず出そうになった声を吐息で逃した。
「……気持ちいいか、声が出るなら聞かせてくれ……。」
 これが気持ちいい? と言われるとそうとも受け取れるとは思うが、自信を持って気持ちいいと言えるほどでもない。ただその突起を舌で押しつぶされるたびに身体が震えて息を吐く。柱間は片手を俺の中心に添えて扱き始めた。……勃っている? ということは、これは。
「……多分、……気持ちい、い」
 ほっとしたような顔が更に下に降りていく。上下に扱いていた手が離れて熱くてぬるりとした感覚がそれを覆った。さすがにその直接的な刺激は、……。
「っ、……刺激が、……っ強い」
「感じるままに言ってくれ、気持ちいいなら気持ちいいと。」
「……っ気持ちいい……。」
 柱間の頭が上下に揺れるたびにたまらない感覚が込み上げてくる。自慰はあまりした事がなかったが、口淫がこんなにも気持ちいいものとは知らなかった。
「っはし、らま……っ、気持ちいい……っ、出てしまう、からっ……、もう、」
 やめさせようと言ったのに柱間はむしろそれを聞いて舌と口の動きを早めた。
「やめ、……っでる、はしらまっ……!」
 思わずその頭を掴んでいた。やめろと言いながら喉の奥に突きつけて、どくどくとその中に迸りを流し込む。
 腰がビクビクと躍動する。何度かに分けて全て出し終えて、掴んでいた頭から手を離した。
「悪い、つい……」
 顔を上げた柱間はまだ赤い顔のまま。
「……良かったか?」
 不安そうな顔をしている。こいつの悔いは、本当に俺を良くしてやれなかったというだけらしい。頷いたら、良かったと言いながら手に何かを垂らした。……挿れるのか。
 射精の余韻で思考が鮮明になっていく。そろりとぬるついた指が孔にあてがわれて、柱間の顔がまた目の前に来た。
「いいか? 挿れても……。」
「好きにしろと、いっ……、」
 ゆっくりと一本指が入ってきて、一点をしつこく撫でつけ始める。もう一方の手は出したばかりのそれをまた扱き始めていた。指は奥に入るでもなくひたすら同じ場所をトントンと叩いたりぐりぐりと撫でたりしている。
「……挿れないのか」
「物事には順序がある、このまま身を任せてくれ。多分合っているはずぞ……。」
「合っている……?」
 指が入っている感覚はある。しつこく刺激するそこに何かがあるんだろう。ただそれよりも前を扱かれている方にどうしても意識がいく。男なのだからこっちの刺激の方が強く感じるのは当然だ。
 なのに何故だろう、しつこく撫でられて充血し始めたのか、じわりじわりとそこが熱くなっているような感覚を覚える。胸の突起の時と同じように、痺れるような感覚が、少しずつ大きくなっていく。気がつけば息が短くなっていた。柱間がまた口付けをする。その舌に応えながら二本に増えた指がぐりっとそこを撫でるたびに身体が震える。
「っは……、んっ、……ぁ、」
「……良くなってきたか……?」
 そう言いながら柱間も興奮してきたらしい。何に……俺の反応に?
「あっ、そこ、……っ、変な……っ、……あ、」
「これは気持ちいい、だ、マダラ、言ってくれ……。」
「っきもち、いいっ……」
 ひたすら柱間はそこばかり指で刺激し続ける。中のその感覚に自然に声が漏れて身体が震える。
 柱間がしたかったまぐわいは、こういう……。
「は、ぁ、きもちいっ、い、はし、らまっ……」
「マダラ……愛している、ずっとこうしたかった……マダラの愛しい声を聞きたかった、愛している、もう、大丈夫か? 一体になりたい……マダラ……」
 また口付けをしながら、指が抜けて熱い感触が代わりにあてがわれた。乳首に、竿に、中の指、次は柱間の。
 ゆっくりと圧がかかって最初の引っ掛かりを抜けるとにゅると中に入ってくる大きな熱いもの。しつこく指で刺激していたところをかりで刺激するように浅く動かしてその度に漏れ出る声に満足したのかゆっくりと奥へ奥へと入っていく。……何だろうこの充足感は。これも感じた事がない……。
 最奥らしきところを突かれるとまた違う快感が駆け抜ける。知らない、この感覚も。
「……あ、っあ、……んっ、」
「奥……も、感じるか……?」
 ぐ、ぐ、と奥を押される度に頭が真っ白になりそうな快感が身体を震わせる。
「あっ、う、んぅっ、かんじ……っ、あっ」
 柱間は身体を起こしてふう、と息をつき、腰を抱えて少しずつその動きを大きく激しくしていった。あの指でしつこくなぶられた場所、奥を突かれる時、抜けていく感覚、それがこんなにも……!
「あっ! や、あっ! きもちっ! はしっ、あ゛!」
 まぐわいでこんなに乱れるなどと思っていなかった。何も感じない出し入れが俺の記憶の中のまぐわいで。こんなに気持ちよく快感に翻弄されるものだなんて、柱間が後悔し続けたのもわかる気がする。まぐわいは本来こういう……。
「マダラっ……愛している……っ、」
「はっ、あっ! ぁ、あっ! で、っ、る、やっ、あ!」
「マダラ……俺も、一緒に……っ」
 早くなった腰つき、奥を激しく突かれてとうとう2回目の迸りが腹を汚す。ぎゅううと締め付けた柱間のそれも奥を突いたまま止まり、中で温かいものがじわりと広がった。
 射精した満足感よりも、まぐわいの充足感の方が、遥かに強く頭に残っていた。
 柱間がしたかったまぐわいは……こういうものだったのだろう。中にまだあるそれを感じて余韻に浸りながら、求められるまま身体を差し出していたあの時にこれを感じていたら……何かが変わっていたかもしれない。
 ……今となっては、が、ひとつ増えた。