知られてはいけない(扉イズ版)

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創設期,成人向,長編,原作軸,完結済みオメガバース,オリジナル設定有,シリアス

確認

 イズナの話を聞いてすぐに部下に指示を出して周辺の農家や酪農家を回らせた。忍術にそういう使い方があるとは思いもよらなかったがイズナから聞いた話の通り、天候や虫、盗賊の被害は彼らの課題だった。忍術で解決できると実演して見せたらすぐに快諾を得られたらしい。
 食材の入手経路が無事に確保できた、これで先を心配せずに一族の者にもイズナにもきちんと食べさせることができるようになった。
 イズナのおかげだがイズナの存在はまだ伏せられている。結果として俺の手柄のようになってしまったのはもどかしいが、敵としては厄介な相手だったイズナが味方につくとこうも頼もしいものなのか。イズナはいずれうちはに戻るがこんなにも積極的に千手を手助けしてくれているのだから兄者の言うように和睦の実現は近いのかもしれない。
 と思っていたところにまたうちはマダラがやって来た。書簡を見て来たにしては早すぎるが今度は何の用だ。こいつは恐らくまだ和睦など考えてもいない。敵情視察のためだろうか。
「マダラ、ちょうど俺から書簡を送ったところだった! このタイミングで来るとはやはり俺達はどこか通じ合っているとしか思えん!」
 マダラを受け入れる兄者は和睦を疑っていない。イズナがここにいる以上下手な事は言わないだけでマダラはイズナを取り戻した後また戦を考えるに違いない。
 だが弟のイズナの話は恐らく聞くだろう、イズナがマダラに千手を殺すなと言ってくれたならば。
「差し入れを持って来た。この辺りは肉の入手が難しいだろう。干し肉だ。」
 そう言いながらうちはマダラは背後にある一輪車の上を見るように顎を向ける。大きい麻袋がその荷台に載っていた。
「おお、これは助かる! ありがとうマダラ、ちょうど困っておってな。」
 うちはマダラの意図は何だ……単なる気まぐれで動くような男ではない。兄者は無邪気に喜んでいるが、何かの意図があるのは間違いない。それは何だ……?
 兄者の部屋に俺とイズナも呼ばれた。イズナはマダラに会えるのは喜びつつ兄者もいる事を気にしているようだった。
「イズナは千手の窮地を救った、マダラの手土産も今の千手にはありがたい。兄者がおかしな事を言い出す事は恐らくないから安心しろ。」
 手を握り寄り添いながら兄者の部屋に向かい、……今のこの状況をマダラに見せるべきか見せないべきか考える。
 マダラにしてみたらイズナが俺を頼っている様子は面白くはないだろう。兄者の前でイズナは自ら喋ることもない。部屋に入る前に繋いだ手を離して襖を開いた。

「イズナも俺たちを助けてくれた立役者でな、戦がなくなって金が入らなくなり一族の者をどう養うか苦心しておった。2人に助けられるとは思いもよらなかったがその気遣い、まこと助かった!」
「ほぉ……、イズナも。」
 千手柱間は兄さんに対しては無邪気だ。兄さんも干し肉を持って来たという事は俺達は2人とも同じ事を考えているのだろう。千手を援助して停戦後は和睦となるに違いないと思わせる……実際に千手柱間もそう信じて疑っていない様子だ。
「前回の氷も随分助かった、イズナは気に入っておったと聞いている。おかげで無事につわりの時期も終わったようだ。あとは生まれるのを待つばかりぞ!」
「つわりが終わったのは何よりだ。……身体の肉も落ちている事だろう、これからはイズナにはしっかりと食べさせてくれ。他にも足りないものがあるなら寄越すように手配する。」
「任せろ、何せ両家の大事な子だ。イズナが何か欲しがったときには連絡しよう。」
「……随分とイズナを大事にしているようだな。その様子であれば俺も安心できる。」
「今までは命の奪い合いだった……しかし今は共に新しい命を育んでいるのだ。これほど尊い事はない。マダラもそう思わんか?」
 呑気なものだ。しかしうちはに戻るまでは気は抜けない。正確には、俺が戦場に復帰できるまで。
 兄さんが俺と同じ考えなのがわかっただけでも収穫だ。千手に助け舟を出してやればこいつらは和睦を疑わなくなる。
「そう言われると確かにそうだな。」
「扉間もイズナを好いているようだ。このまま上手くやれたら約束の日には祝言をあげられるかも知れんぞ。」
「扉間がイズナを? それは意外だな。こいつが誰かを好きになるとは想像も出来ないが。」
「扉間とて愛の千手一族のひとりぞ。理屈っぽいが胸に情熱を秘めている男だ。イズナも扉間とよくやっている。だからマダラは安心して待っていて欲しい! 約束の日が楽しみだ。」
 兄さんは少しだけ口角を上げた。
「……それは安心だ。」

 マダラが敷地の外に出たのを確認して屋敷に戻ると、兄者に呼ばれた。何の話だろうか。
 襖を閉めると先ほどとは打って変わって真剣な顔つきで座っている。
「座れ、扉間。」
 さっきのやり取りに何かを感じたのだろうか。俺から見て不自然な点はあまり感じなかったが兄者の勘は馬鹿にならない。
「イズナとの関係は今どうだ。」
「俺が子が産まれてからも共にいたいと伝えてからは、イズナも俺との距離を縮めているように見える。」
「マダラは今まだ和睦に応じる気はない。扉間、お前は確実にイズナを手に入れろ。まだ時間はある。出来るか。」
 人を物のように……しかし和睦に応じる気がないと思った根拠は何だろうか。会話を頭の中で再現する。
 和睦に応じる気がない、という前提で考えれば確かにマダラは和睦についても子を産ませる事に対しても言及を避けている。
 マダラのことは兄者の方がよく知っている、その判断は信用できる。
 ではイズナはどうか。
 最近は子を産む事に前向きな発言や様子が見られるようになってきた。俺との距離も確実に縮んでいる。もし……万が一それら全てがイズナの演技だとしたらどうする。しかしイズナとは信頼を積み重ねてきたつもりだ。その万が一の可能性は、ゼロではないが低い。
 低い、では安心はできない。可能性をゼロにしなければ。であれば、イズナが保留すると言った考えを聞き出して嘘かどうか見極める必要がある。……カマをかけてみるか。
「話はわかった。イズナについても考えておく。」
 兄者の前から影分身を消した。

 兄さんが持ってきた干し肉は早速夕食に出てきた。香草と一緒に干してある懐かしいうちはの味。……兄さん、俺も一緒にうちはを守る。敵地の中にいてもそれは変わらない。
「干し肉というと固い物だと思っていたが、随分柔らかいな。どのように作っているんだ?」
「さあ、干してある状態で貰ってるからその辺は知らない。こういうものも研究の対象になるのか? 扉間の知識欲に恐れ入るな。」
「イズナの演技力ほどではない。」
「演技……? 台風の前でのことならただ大人しくしてただけだけど。」
 こいつ……見破っているのか、試しているのかどっちだ。どちらにしてもそんな揺さぶりは俺には効果はない。
「俺の前での話だ、演技なのはわかっている。とぼけたふりはしなくていい。」
「俺のどこが演技だって? 扉間がそんな事を言うなんて心外だな。なら聞くが扉間が俺と共に居たいと言ったあれは嘘だったのか。」
「俺は嘘は嫌いだ……演技ではないと言うのなら、保留にしていた返事を今聞かせてくれ。」
 見破ったわけではないようだ。けれど扉間が疑念を抱く余地もなくなるようにしたほうがよさそうだ。
「俺が何言っても演技だと思われるんだったら何も言わない。真面目に聞く気があるなら……答えてやるよ。」
 不機嫌そうに振る舞って皿が載っているお盆を机の奥に押しやった。
「……疑って悪かった。職業柄相手の裏の裏を読む……のが身に染みているようだ。」
「その気持ちは……分からなくもない。だから答えを保留にしてた。扉間が本気なのかどうか疑っていたのは俺も同じだ。」
 向かい合って扉間の手を両手で握った。こうすれば嘘でないと確信するだろう。心拍数を少し上げて柱間と視線を合わせる。更に心拍数を調整する。
「なら俺の言う事を疑うなよ。」
「わかった。」
 体温調整。
「……俺も扉間と同じだ。」
 汗を出さないように全身を巡るチャクラを少しだけ調整する。
 ……どうだ。
「それが本当なら、口づけてもいいか。」
 体温を調整しながら発汗への対応をやめる。
「……嘘を見抜くのは得意なんだろ。」
 扉間の顔が近づいてくる。何故かは分からないが心拍は調整するまでもなく上がっていた。俺からも近づいてその唇を合わせる。
 触れるだけの口づけ、しかし扉間は納得したらしい。
「疑った事を改めて謝るのと、イズナの答えを聞いて安心した。……ありがとう。」
 疑っている様子は見た目からは窺えないが用心するに越したことはない。こいつの中では両想いになっているのだからこの先の行動と言動は修正を。
 しかし何故突然疑ったのだろうか。気は抜いていない、尻尾は出していないはずだ。……いや、そういう慢心が疑念に繋がったのかもしれない。慎重に進めよう。
「……基本疑ってかからなきゃなんないのはお互い同じだろ。別に気にしてないよ。俺だって扉間の言葉を疑っていたんだから。」
「戦場ではそうだったな、互いに読み合いをしながらの戦いだった。」
「これからは疑う必要も欺く必要もない、と思っていいのか。」
「そうだな。これからは。」

 夜、同じ布団に入りながらまた抱きしめられる。俺も扉間の背中に手を回す。
「おやすみ」
 顔を上げれば至近距離に扉間の顔がある。唇を寄せれば口づけが始まる。触れるだけではない、舌を絡める深い口づけが。
 心臓の拍動を……制御するまでもなかった。体温も僅かに上がっている。抱き寄せる腕に力を込めると何故か下が固くなっていた。……アルファの体液を身体に入れたからだろうか。それとも俺の薬が切れかかっている?まあ、その方が自然な反応だから問題ない。
 お互いのそこが布越しに触れ合った状態で口づけをしていると扉間の呼吸が少しずつ乱れていく。
 フェロモンも何もない素面だけどこいつはその気になっているらしい。……違うな、俺の身体も反応している。フェロモンの影響は受けていないはずなのに。……アルファの唾液だけでこの身体は反応するものなのか。オメガというのはつくづく厄介だ……。
 扉間の手が下半身に伸びて浴衣の帯を解いていく。互いに露出したそれを擦り合わせながら口づけをしているとその手は俺のものを触り始めた。
「……っ扉間、やるつもりなのか。胎の中の子に……。」
「フェロモンの影響は受けていない……子供に差し障るような抱き方はしない。それとも嫌なのか。」
「嫌じゃないけど……、っ、」
 股の間に手が伸びて孔に指が差し込まれる。体勢的に浅くまでしか入らない、けどその中は十分に濡れているのはわかった。それがわかると仰向けにさせられて扉間は覆い被さり胸の突起に舌を這わせながら中に深く指を入れて刺激し始める。
「んっ……、はぁ、っあ、っ! そこ、あっ、きもちい……。」
 胎の子に配慮しているんだろう。激しく動かすことなく感じる部分を入念に撫でられて愛液は孔から溢れるくらいに分泌されていた。少し息を乱しながら扉間はそれを孔に当てがう。……こいつ呼吸の制御をやめたのだろうか。以前はフェロモンを浴びながら息ひとつ乱さず平然としていたのに。
「扉間、早く……」
「……ゆっくりする、あと奥までは挿れない。」
 少しずつ中に入ってくる熱い塊、久しぶりの感覚だけどフェロモンがないからか冷静に周りが見れる。俺の様子を見るように視線を向ける扉間に俺も視線で応える。宣言通り奥まで入れないまま、抽送が始まった。奥を突かない代わりに感じる場所をえぐるように腰を動かされて思わず声が出る。声が出てしまった事を恥じるふりをする。扉間は額に口づけを落とした。
「恥じなくていい、聞かせてくれ。」
 顔に熱を集めて横を向いた。早くなる抽送に合わせて出るまま……だけでなく甘えるような声色に変えながら声を出す。
 早くなると言っても激しくとまではしなかった。それがもどかしいと思いながら下半身は刺激に素直に反応し続ける。
「あ、……っは、とび、らまっ、だ、めだ……っ、イキそ、っ……う、」
 唇がまた合わさる。舌を絡ませ合いながら、時折ビクンと動く身体を扉間は抱きしめる。
「俺も同じだ、……イズナ。」
「あっ、ぁんっ、気持ちいい……っ、とびらまぁっ、っあ、っはぁっ、もうっ、……っ!」
 ビクンっと下半身が緊張して先端から白濁液が出る。中がきゅううっと締まるのが分かった。扉間のそれを締め付けているのも。
「っん……!」
 中で熱いものがじわりと広がる。そのまま、また口づけが降ってくる。バイタルの制御は身体の反応に任せた。その方が自然だろう。
 長い口づけを終えてまた抱きしめられて名残惜しそうに抜いてからもそのまま、浴衣がはだけたままで口づけをし合った。
 しかし、よほど口づけが好きらしい。それとも今まで我慢していたのだろうか。
 扉間の好きなようにやらせながら、まさか毎晩こうなるのだろうかと思いつつ……オメガとしての生き方は本来こうなんだろうなとも思う。お互いにフェロモンは出ていないけど。幸せそうに目を細めて見せれば少し顔を綻ばせる。
 ……この調子で問題はないだろう。少しずつ俺からも求めるように仕向けていけばいい。少しずつだ。そしてこう言ってやる。
『停戦のおかげで今はお互いの立場なんて関係なく扉間を感じられる、幸福というのはこういうものなんだな。』
 ……扉間はこの言葉を疑わない。