知られてはいけない(扉イズ版)

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創設期,成人向,長編,原作軸,完結済みオメガバース,オリジナル設定有,シリアス

フェロモンに堕ちろ

 殴った痕を見られたのはマズった。気配は読んでいたがまさか気取られるとは思ってもみなかった。俺が思っているよりもあいつ、扉間は気を読むのに長けている。それも探知型と同等以上の。一体どんなバケモノなんだ。兄さんには遥か遠いとはいえ、奴もやはり油断できる相手ではない。しかもこれから……恐らくは産まれるまで、同じ部屋で過ごすなんて。腹の痣を見られたからには俺一人この部屋に残す事は無くなるだろう。とはいえ恐らく千手の中でも相当な立場にいるはずだ。姿を見せなくなれば怪しまれる。何より鍛錬をしない事で身体が鈍る。扉間はそれを許すような人間じゃない。
 多分影分身に俺の見張りをさせながら鍛錬や指導を続けるのだろう。影分身をどちらに置くのかはわからないが……チャクラは分散される。俺の見張りの方に神経を向けさせれば表に出る方のチャクラは少なくなるだろう。どの程度のチャクラ量があるかはわからないが、ともかく俺に手を焼かせる必要がある。
 目の拘束が解かれたのは恐らく柱間の指示だ。他に拘束らしい拘束はない。扉間の目くらいだ。この部屋の中で暴れ回るか、それとも俺に意識を向けさせるか。
 堕胎させたくない、という千手の都合を利用するのが一番良い。腹を殴るのは手さえ自由ならいつでも出来る。あわよくば堕胎すれば。いつ俺が殴り始めるかわからない緊張感を出せば見張りの方に力を入れるはずだ。
「それで、そのフェロモンはいつになったらどうにかするんだ。」
「……悪いが今はどうにも出来ん。」
 今は? 何か訳ありか。
「俺に堪えろと? 着替えたときに見ただろう、俺の状況を。」
「イズナが敵である俺にそういう事を求めるとは思っていない。」
「もう敵じゃない。扉間、お前は勝者で俺は敗者の捕虜だ。」
「捕虜だからと言って……例えオメガだろうと尊厳を損ねる扱いはしない。」
「……尊厳などお前に負けた時点でとうに失っている。拘束を解いたという事は、この部屋では自由に動いても良いと捉えるぞ。」
「その認識で構わない。」
 言質は取った、ならば自由にやらせて貰う。
 部屋の真ん中であぐらをかく扉間に近寄りその首筋に鼻を当てる。濃いアルファの匂いに身体が熱くなってくる。そのまま扉間に抱きつきながら、主張する股間に自らの尻を押し付けた。それだけでどんどん心拍が上がっていく。
「……好きにさせてもらう」
 冷静な顔のままの扉間の口を塞いだ。舌を差し込みその口内を舐めながら舌を絡ませ合いどんどん俺の心拍は上がっていく。……薬の効果も切れる頃合だろう。俺のフェロモンも出始めるはず。正気は失わずともオメガとヤればアルファは少なからずこの身体に夢中になるはずだ。その証拠に扉間も今舌を絡めている。と思ったら、後頭部を支えられてゆっくりと畳に上半身を倒された。はだけた浴衣の隙間から手が入りドロドロに濡れたそこに指が差し込まれる。それだけで声が漏れる身体。気持ちいい、そんな副産物はいらないのに指が出入りするだけで思わず背が反るくらいに快感を拾う。
「イズナが望むなら望み通りにしてやる。一応確認するが俺とのまぐわいを望んでいる、で合っているな。」
「い、わせんなっ……!」
「それは肯定と捉えるぞ。」
「あっ、っ、んっ! ひ、ぁっ!」
 指で慣らす必要なんてない、さっさと挿れて俺の身体に狂えよ。
「言った通りだな……俺のフェロモンでここまで濡れるものなのか。」
「ぅあっ、御託は、いいっ! 早く、扉間のそれを、っく、」
「挿れて欲しいのか。そんなにも……まあ、俺も同じだ。イズナの中をかき乱してやりたい。ただこれは我慢することもできる衝動だ。イズナも本当は我慢が効くんじゃないのか。発情期でもないのだから。」
 どこまでも俺を読んで分析しようとしやがる。そういう奴だと知ってはいるが、ならそれも利用するだけだ。
「っは、お前だからだ扉間。俺に勝ったお前だから武力だけでなく他のすべても俺の方が弱いと叩き込んでみろよ……! でなければ俺は捕虜のまま大人しくする事はないと思えっ。」
「まぐわいで優位に立たなければ暴れ始めると言いたげだが、この屋敷には俺と兄者しかいない。イズナがどう暴れたところですぐに鎮圧出来る。意味のない事はやめろ。」
「俺が単に暴れるだけと思っているなら哀れだな、千手の中で俺のことを一番知っているお前が。」
「話はわかったがイズナはオメガだ、アルファの俺にまぐわいにおいて有利に立てる算段があるのか? それとも思い知らされたいのか、自分がオメガだということを。」
「好きなように解釈しろ、やるならさっさと……」
 いつの間にか扉間はそれを取り出して俺の尻に当てていた。いつでも挿れられると。その熱くて硬い感覚に脳が揺らぐような感覚を覚える。アルファの熱い塊が、すぐ、そこに。
「後悔しても知らんぞ。」
 にゅる、と何の抵抗もなく入ってくる。ゆっくりと。ゆっくり過ぎて焦ったい。優しさのつもりなのか? もっと激しく突けよ……!

「っあ、あ、っと、もっと、っは、やく……っ!」
 イズナのフェロモンが強くなっている、頭がくらくらしそうだった。理性は保てているがこの甘い声が考えをかき乱す。戦場とはかけ離れたこの甘い声とフェロモンに頭が狂わされていくのがわかる。優位を保たなければならないが、イズナの中はあまりにも熱くてとろとろに濡れそぼっていて、油断するとガンガンに腰を振りそうになってしまう。
 イズナはこんな身体の状態で理性を保っているのだろうか。優位に立つとはそういう事だ。なら俺も理性を手放すわけにはいかない。何と言われようが、理性を飛ばすような腰の動かし方は絶対にしない。それはつまり、ゆっくりとした抽送で子宮口をぐりぐりと押し付けるだけ。激しい出し入れはしないが、それだけでもイズナの方は快感で理性が飛ぶかもしれない。それだけ発情に似た身体の反応、フェロモンの出方をしている。
「あっ! あ、おくっ、ばか、りっ! っあぅ、そんなんでっ、勝てる、と、っく、あっ!」
 身体を震わせながら、腕が伸びてくる。その腕は俺の首の後ろに回り、グッと力が入ったかと思うと、イズナは座る俺の上に乗る態勢になった。そして自ら腰を動かし始める。……これは、……駄目だ、快感に呑まれ、
「はぁっ、あっ、んっ! あ、んぅっ! っあ、」
 わざとやっているんだろう、首筋の分泌腺を俺の顔のすぐ横に持ってきているのは。ただそれは俺のフェロモンも多く嗅ぐことになる。これは我慢比べだ、まぐわいながらどちらが先に理性を飛ばすかの。だったらいっそ激しく突いて互いに理性を飛ばした方がいい、それなら勝ちも負けもない。
 抱きつきながら腰を動かすイズナを再び畳の上に下ろして、理性は端に置いたまま本能に従ってガンガン腰を動かした。動かせば動かすほど孕ませたい思いが頭の中を覆っていく。
「あっ! ぁあっ! あ、あ゛っ! きもち、あ゛っ!」
 目下で乱れるイズナから理性は感じなかった。互いに快感を貪りながら奥で射精してはぐちゃぐちゃになった中を再びかき乱す、それを何度も繰り返して自分でも何をしているのか理解できないまま気がついたら奥にどくどくと子種を送り込みながらイズナを抱きしめていた。
 イズナは途中で理性どころか意識も飛んだらしくぐったりと目を閉じて動かない。
 その頬をペチペチと叩いて意識を浮上させ、途中はさておき今の状況をイズナに見せつけた。俺は意識があってイズナにはなかった、それだけがわかればイズナも負けたと認めるだろう。
「……弱いな。だがイズナがオメガだからだ。イズナ自身は強い。……腕も立つし頭も回る。俺はそんなイズナを敵として認めていた。……弱いイズナを見るのは本心じゃない。もうこんなまぐわいはやめろ。」
「……途中で理性飛ばしておいてよく言うよ。フェロモンが薄くなって正気取り戻しただけだろ。っあ、」
 奥にぐりっとそれを押し付けるとイズナは震えながら声を上げる。
「減らず口を叩くならまだ続けるが、……余程思い知らされたいらしいな。」

 俺の勝ちだ。
 理性を飛ばして腰振り出した時点で、扉間の頭からこの胎の中の子の事なんて吹き飛んでいる。奥をガンガン突きまくって子宮を揺すって、そうすれば筋肉の上から殴るよりも余程堕胎の可能性は高くなる。
 俺の挑発に乗った時点でお前の負けだ。
「思い知らせてみろよ、減らず口が叩けなくなるまで。」
「ならフェロモンなど関係なく望み通りにしてやる。」
 まだ硬いそれが動き始める。激しく子宮口を突き始める。もっとやれ、俺は何をしようが折れない。精々俺を泣かせるまで腰振ってろ。そうすればするほど、俺の思い通りになるのだから。

 フェロモンの影響がないと、普通のまぐわいと変わらなくなるらしい。何度も射精、は無理のようだ。イズナは勝ち誇ったように俺を見ている。意識を飛ばすほどの快感に見舞われながらこの余裕は一体なんだ。
 萎えたそれを抜いたら孔から白い液体がごぽ、と溢れ出てくる。
 もう妊娠してるのだからいくら中に出しても意味はないというのに……待て、妊娠。
 イズナは腹を殴っていた、堕胎が目的に違いない。では今俺がしたのは。内臓の側から子宮を激しく突いていた。イズナの狙いは最初から……!
「……そんなに子を産むのが嫌か、よく分かった。ならば徹底的にそれを妨害して必ず産ませる。堕胎してもまた孕ませる。イズナが俺との子を産むまで、ずっと続けるぞ。」
 勝ち誇ったような顔が、無表情に変わった。
「……何だ、流石に気がつくのが早いな。でも俺は産まない。一生抵抗し続ける。抵抗されたくないのなら拘束すればいい。でもそうやって子を産んだとて兄さんは和睦には応じない、絶対に。お前らの思い通りにはさせない。」
 イズナの話は尤もだ。無理やり産ませたところでマダラが黙っているはずもない。
 ……兄者の言う通りに、関係を良くしていかなければ兄者の筋書き通りにはいかない上、和睦など叶わない可能性の方が高い。そうなれば千手とうちはの戦はジリジリとした消耗戦になるだけだ。
「……もうまぐわいはしない。腹を殴るのも変なものを口にして堕胎を企むのも俺が止める。これはイズナの胎の子のためだけではない、イズナのためでもある。千手はイズナを単なる捕虜として扱うつもりはない。」
「へえ、じゃあ俺はここでどういう身分なわけ。あんたの嫁か?」
「嫁……に出来ればそれに越した事はないが、イズナはその身分に落ち着く者ではないだろう。イズナの尊厳は尊重するつもりでいる。意思や意見も可能な限り叶えたい。俺の大切な客人……とでも思え。」
「でも俺があんたにまぐわえと言っても拒否するんだろう。」
「そこは譲れん、オメガであるイズナにとってアルファと生活するのは苦かもしれないが、俺も抑制剤は欠かさないようにするからそこは安心しろ。今日のようなとはもう起きない。」
 イズナは何かを言いたげに目を細める。
 あの丸薬の薬効を調べたいがイズナをここにひとりにはできない。研究室は屋敷の外だ……影分身を使うか。
 イズナからオメガのフェロモンが出ている。丸薬の薬効が切れているのだろう。床に転がったままのそれをひとつ手に取る。
「これを飲め、フェロモンが出ている。他の千手にバレては……互いに困るだろう。」
 イズナは少し考えてから、それを受け取って口に放り込んだ。喉仏が上下したのを確認すると、すぐに効果が現れ始める。……オメガのフェロモンを、完全に消せるのか。この丸薬……。
 一般に出回っているアルファの抑制剤はオメガのフェロモンの影響を受けないように阻害するもので、アルファのフェロモンが出ないようにする、という薬効ではない。
 イズナの……うちはの丸薬はフェロモンそのものを抑制している。これはアルファにも応用できるかもしれない。副反応もみたところそんなに見られない。3つ飲んでいる時だけは少し身体が鈍るようだが、1つだけであれば。
「この薬、一度飲んだらどのくらいの間効く?」
「知らないよ。一日ひとつとしか。でも24時間ってわけじゃなさそうだね。今日は朝飲んだ。で、今は深夜?18時間くらいか。」
 落ちている丸薬を拾い上げる。つまり12時間にひとつ飲めば効果は持続する。製造にかかるコストが問題だがそこをクリア出来れば可能性は広がる。
「扉間って……研究? そういうの好きなんだ? そんなにその薬が気になる?」
「それは、この薬の効力を今目の前で見たからな。成分を確認して同じものを作り、それをアルファに飲ませてみた時の薬効を確認したい。」
「ふぅん……。俺もそれがなくなるのは都合が悪い。材料も作り方も知ってるけど、あんたが知りたいなら教えてやってもいい。」
 薬からイズナの顔に視線を移した。
「本当か?」
「嘘かどうか見抜くのは得意なんだろ。どっちだと思う。」
 その顔は、戦場で見せる勇ましいものでもまぐわいで見せる蕩けたものでもない。普通の青年と変わらない顔……これはイズナの素なのか。
「嘘では、なさそうだな。」